《ビオトープとは? その1》よく聞けけど、「ビオトープ」って何?
「ビオトープ」。
学校の校庭の片隅ある田んぼや池のこと。
のような気がしますが、それでいいのでしょうか?
「ビオトープ(biotop)」はドイツ語。英語で書けば「バイオトープ(biotope)」。
「ビオ」とは「バイオ」のことだったのです。
これでほんの少しわかりやすくなったかもしれません。
日本語では「生物生息空間」と訳されますが、「ビオトープ」と書かれることのほうが圧倒的に多いでしょう。
でも漢字を見ると大分わかりやすくなります。
なんとなくわかるように無理やり短く説明すれば、ビオトープとは「様々な種類の生きものたちが一緒に生活している場所」のことです。

金剛山から見た錦織公園
住宅街の中の山は立派なビオトープの塊
学校の片隅につくたれた草が囲む池などが「ビオトープ」と言われます。
まさに植物や虫や魚など多くの動植物がひとつにまとまっていますから、これが「ビオトープ」で正解!
ではありません。
ビオトープはもう一歩踏み込んで、人間か餌やりや水やりなど積極的に世話をしないでも成立している必要があるのです。
つまり、人間と関係なく動植物などの生き物が生き続けている場所です。
となると人間が近寄ることがない絶海の孤島や密林のジャングルだけがビオトープなのでしょうか。
そうではありません。
たとえば田んぼ。
説明する必要がないほど人間が自然に手を加えて管理しているところです。
元の自然が壊されていると言う意味では、ビルが建っているところと同じです。
しかし、ビルはビオトープではありませんが、田んぼはビオトープです。

金剛山から見た狭山池
冬にはカモ類がいっぱいやってくる日本一古い溜池のビオトープ
田んぼには人間が管理している稲が生えていますが、それ以外にも多くの生き物がいます。
しかし人間はそういう生き物の管理はしていません。管理しているのは稲だけです。
人間が稲を育てるために整えて維持している環境が好きな生き物が集まっているだけです。
だからビオトープになるのです。
同じように人間が森や林をつくりかえた「里山」があります。
ここもカブトムシなど様々な生き物たちが生きていますが、人間にはそういう生き物を育てるつもりはありません。
それでも多くの生きものたちがいます。
だからビオトープになるのです。

倉庫街の大阪南港野鳥園
埋立地に作られた野鳥がいっぱいの干潟のビオトープ
つまり、生き物が生きていく環境を整えるなど間接的に人間が生き物と関わるのはビオトープですが、えさなどをあげるなど直接関わるものはビオトープではないのです。
ということで、雑草が生えた近所の空き地もビオトープかもしれませんし、いつも通る道の溜池もビオトープかもしれません。
実はビオトープは身近なところにもいっぱいあるのです。
そういう身近なビオトープを眺めてみると、何か新しい発見があるかもしれません。
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