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「ぞわぞわ系」のルーツを探る!『ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物』金子隆一 著


 サイエンス・アイ新書『ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物』。

 この本は「ぞわぞわ」した生き物について書かれた本です。

 「ぞわぞわ」になんとなく嫌な予感がした人はこの本は手にしないほうがいいかもしれません。

 そうです。

 この本は、虫の本です。



この記事にはさまざまな虫の画像があります。





 著者は金子隆一さん。

 一般向けの科学関係の本を多く書かれてるのいで肩書きはサイエンスライターとなっていますが、英語の論文も読んでしまうという研究者のような方です。



ぞわぞわした生きものたち
古生代の巨大節足動物
サイエンス・アイ新書

金子 隆一
税込価格:1,000円
出版社:ソフトバンククリエイティブ
 「虫」というのは漠然とした言葉で、昔はヘビなども含まれていました。
 というか、「虫」という文字自体がヘビの象形文字で、本来「ムシ」は「蟲(小さいムシが集まっているさまを表す文字)」と書いていました。

 この本で扱っているのは無脊椎動物(むせきついどうぶつ)の中の節足動物(せっそくどうぶつ)と呼ばれる昆虫だけでなくクモやムカデなど(から)で覆われた体を持つ生きものたちで、ヘビやミミズなどは登場しません。

 この本は珍しい節足動物ばかりを集めたよくあるインターネット的な「イカモノ本」のように見えるかもしれませんが、そうではありません。



 節足動物というのは、動物の種類が爆発的に増えた約5億年前のカンブリア紀に登場し、現在に至るまで環境に合わせて変化し繁栄を続けている動物です。
 はじめて陸上に上がった動物でもあり、はじめて空を飛んだ動物でもあり、海や陸で食物連鎖の頂点に立ったこともある動物です。


カンブリア紀の次のオルドビス紀のホエカスピス(三葉虫・古生代オルドビス紀)の化石[大化石展・2011年]
カンブリア紀の次のオルドビス紀のホエカスピス
(三葉虫・古生代オルドビス紀)の化石[大化石展・2011年]



 多くの場所で食物連鎖の頂点を脊椎動物に譲った今でも、深海から空中、砂漠から雪の中までどこにでもいます。

 そういった節足動物の分類をして、それぞれ巨大化した種類を中心に虫たちの解説が続きます。



 といっても、基本的に節足動物が巨大化したのは大昔。
 みんな化石になっています。

 そして、大きな生き物ほど完全な化石はなかなか出ないという現実が立ちはだかります。

 さらに骨や貝殻のような化石になりやすい部分を持たない多くの節足動物の化石に残りにくいのです。

 そんな悪条件の中、著者は世界中の関連する論文の中から最新の巨大生物の情報を探し出します。



 現在の最大の節足動物は甲殻類のタカアシガニと言われています。
 幅は3メートルを超えますが、そのほとんどは細い脚。
 体そのものは40センチほど。


タカアシガニ(現代)の標本[OCEAN! 海はモンスターでいっぱい・2011年]
タカアシガニ(現代)の標本[OCEAN! 海はモンスターでいっぱい・2011年]



 超巨大ダンゴムシとして有名なダイオウグソクムシでも長さが50センチくらい。


ダイオウグソクムシ(現代)の標本[ナンダーランド~ふしぎで遊ぶ夏休み~・2010年]
ダイオウグソクムシ(現代)の標本
ナンダーランド~ふしぎで遊ぶ夏休み~・2010年]



 これが現在の大きな節足動物です。



 タカアシガニもダイオウグソクムシもサワガニやダンゴムシと比べるととてつもなく大きいですが、大昔にはそれをはるかに超える「ぞわぞわ系」がいました。

 たとえば、海には2m50cmのウミサソリや陸の上には2mのヤスデがいたと考えられています。

 ただし、それがその頃の最大の動物ということになりますから、クジラやゾウがいるいる現在よりも「ちっちゃな生き物だらけ」なのかもしれませんが。



2mはないけど結構大きなミクソプテルス(ウミサソリ・古生代シルル紀)の化石[OCEAN! 海はモンスターでいっぱい・2011年]
2mはないけど結構大きなミクソプテルス(ウミサソリ・古生代シルル紀)
の化石[OCEAN! 海はモンスターでいっぱい・2011年]



 生き物が大きくなるためにはいろいろな無視できない制約が立ちふさがります。

 巨大化のキーワードの一つが酸素の量。

 節足動物の体は、大きくなりすぎると酸素が足りなくなるようなつくりになているのです。
 だからクジラやゾウのように大きくなれないのです。

 それでも人間以上に巨大化できたのにはひみつがあり、それをわかりやすく解説してくれています。



 以前このブログで紹介した『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』では恐竜の誕生、つまり爬虫類の二足歩行化には酸素が薄くなったことが関係したとありましたが、虫の巨大化にも酸素がかかわっていたというのは、とても興味深ことです。

 酸素が多ければ、巨大化が苦手な虫だって巨大化できる。

 生物の絶滅・繁栄・進化と酸素。
 これからも目が離せないテーマだと感じさせてくれます。



 この本はイカモノっぽい虫を集めながらも節足動物の栄枯盛衰を通して地球と生き物の歴史を書いています。

 それと同時に節足動物全般についても解説してくれている、ムシ好きにはたまらない一冊です。



◆関連タグ◆ 〔化石〕 〔地質年代表〕


絶滅した生き物を中心に
節足動物大集合の一冊!

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古生代の巨大節足動物
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