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和泉葛城山 天然記念物のブナどんぐりは? 「梅雨の落果」


 本来は秋に落ちるはずのブナ(山毛欅)のどんぐりが、なぜか梅雨(つゆ)の時期に大量に落ちていた金剛山(こんごうざん)山頂付近のブナ林。

 このような現象がよく起きるのかどうかわかりませんが、これを「梅雨の落果(らっか)」と勝手に名付けました。

 「落果」とは、この実が熟す前に落ちてしまうことです。



2012年の金剛山ブナ林の「梅雨の落果」(モミジ谷東尾根)
2012年の金剛山ブナ林の「梅雨の落果」(モミジ谷東尾根)




 ブナのどんぐりは、豊作のあと何年か不作が続くサイクルでどんぐりをつけます。

 不思議なのはブナ林全体が同じタイミングで豊作・不作になること。
 理由はわかっていませんが、何かの方法でブナ林全体に「豊作にしよう」とか「不作になろう」とかの情報が行き渡っているかのようです。

 情報を伝えるというと、人間は声や文字を使いますが、植物はどちらも使えません。

 声を出せなく文字を持っていない昆虫などでは、フェロモンと呼ばれる物質を出して、情報を伝えています。

 つまり、それと同じ事をブナもしているのでしょうか。



ブナのドングリと殻斗
ブナのドングリと殻斗




 「フェロモン」といっていいのかどうかわかりませんが、植物が物質を出して外に働きかけをしていることは知られています。
 たとえばイモムシに葉を食べられた時、天敵のハチを呼ぶ物質を出したり。

 ですから、仲間の植物と一緒に行動するための物質があっても不思議はないでしょう。
 植物同士が「語り合う」物質です。

 今年の「梅雨の落下」も、そうした物質を使った金剛山のブナたちの「申し合わせ」の結果かもしれません。



 それを確かめようと和泉葛城山(いずみかつらぎさん)山頂付近の天然記念物のブナ林へと行きました。

 和泉葛城山は金剛山から岩湧山(いわきさん)を挟み西南西へ二十数キロ離れています。
 若干標高は低いものの、気候はそれほど変わらないと思います。
 もし今年の気候が「梅雨の落果」をもたらしたのなら、和泉葛城山でも大量にどんぐりが落ちているはずです。

 そうではなく、金剛山の「梅雨の落果」がブナたちの「申し合わせ」結果であれば、和泉葛城山では「梅雨の落果」が無いかもしれません。



 果たして和泉葛城山のブナ林は?

 「梅雨の落果」はありません。
 遊歩道やブナの根本の落ち葉の上にはどんぐりも殻斗も落ちていません。

 木道などにはいくらか落ちていますが、茶色のものばかりで殻斗のすり減った様子などから、去年の秋のもののようです。


 ということは、金剛山の「梅雨の落果」は気候ではなく、金剛山特有の理由があること。
 そしてブナの落果を促す物質は金剛山から二十数キロ離れた和泉葛城山へは伝わらないこと。
 この2つのことが考えられます。



和泉葛城山の木道に落ちていたブナのどんぐりの殻斗(2012年7月)
和泉葛城山の木道に落ちていたブナのどんぐりの殻斗(2012年7月)




 これはあくまで状況から推測したことでしかありませんが、なかなか興味深いことです。

 しかし、金剛山のブナたちが「梅雨の落果」を決めた理由についてはわかりません。

 ブナの不思議です。



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タグ: ブナどんぐり和泉葛城山金剛山

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