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ただの塩かそれとも生き物か『塩の街』


作家 有川浩

 最近映画が公開された「阪急電車」や、テレビドラマにもなった「フリーター、家を買う。」を書いた作家、有川(ありかわ) (ひろ)さん。

 その作家デビュー作がこの本『塩の街』のもとになった作品です。

 正確にはデビュー作に加筆して、同じ登場人物の短編を1冊にまとめた本です。


塩の街
有川 浩著 
税込価格:¥700
出版:角川書店
   角川文庫
発行:2010年1月

『塩の街』

 ある日、突然世界中に宇宙から落下してきた塔のような巨大な塩のかたまり。

 それと同時に人間の体が塩に変わって死んでしまうという奇病が蔓延します。

 奇病は一瞬で広がりが政府の機能はマヒ、生き残った人々はかろうじて自治的な機能を保って命をつなぎとめていました。

 そんな世界でのちょっと歳の離れた男女の物語です。

 その男性の職業は自衛官。
 そうです。
 突然の災厄と対峙する組織の一員です。


『図書館戦争』

 ここまででもわかるように、『塩の街』の世界は「阪急電車」の世界でも「フリーター家を買う」の世界でもありません。

 著者のもう一つの顔、人類の貴重な財産である図書を守るために戦う『図書館戦争』シリーズのような世界です。

 ただ有川浩作品の書評の枕詞ともなっている「ベタ甘の恋愛」はもちろんあります。
 むしろそれを描くためにこの終末を迎えたような世界が考えだされたのかもしれません。


塩の怪物

 塩になる病気の元凶と考えられているのが、宇宙から落ちてきた巨大な塔のような塩の塊。

 火を吐くわけでも、動いてビルを壊すわけでもありません。

 しかしステルス機能を持ち巨体を隠して誰にも見つかることなく地球に落下してくるなど、ただの自然現象とは思えません。

 作品はSFよりも恋愛小説に重点が置かれているため、この塩の塊の出自やこれに関することについての言及はほとんどありません。

 その数少ない言及の一つが、「塩の塊生物説」です。


図書館戦争
有川 浩著 
税込価格:¥700
出版:角川書店
   角川文庫
発行:2011年4月

いきもの?

 生物らしい構造を持っていない塩の塊は、地球の常識からすれば明らかに「生物」の枠の外にいます。

 しかし人間を自分と同じ塩の塊にし、結果的に増えていきます。

 塔のような塩の塊と塩の塊になった人間。
 形も大きさも違いますが、かたまりを作っている小さな塩の粒の一つ一つが“いきもの”だとします。

 すると、人間の体を蝕み自分と同じものを増やしているのですから細菌やバクテリアなどと同じ働きをしていると言えるかもしれません。
 ものすごく強引ですが。


「生物」とは

 地球の常識の範囲内の存在ならば、細胞を持っていれば「生物」とうやむやにできるかもしれません。

 しかし地球の常識にとらわれない存在に対して「生物」はどう定義すればいいのでしょうか。

 そこで例によってむりやり強引に「生物」の定義をまとめてみると。

 外からエネルギーを得て物質を化学的に分解し組み合わせて自分を複製して増えることができるもの

 という感じでしょうか。

 つまり、単純に個々の分子が酸素と結合するだけの鉄の錆は、何かを分解して錆を組み立てて増えているわけではないので、生き物とは呼べないでしょう。

 もちろん細胞を持っていないので地球の常識でも生き物ではありません。


塩の錬金術師

 一方。謎の塩の塊は、どのような方法かわかりませんが、人間のからだの成分を組み替えて自分と同じ塩の塊にするのですから、地球の常識を超えた生き物と呼べるのかもしれません。

 ただし、人間の体には塩分があるとはいえ、体全体をそのまま塩に換えるためにはまったく足りません。
 これを行うのには水素や炭素に酸素や窒素などの原子を塩素とナトリウムという“塩の原料”に作り替える必要があります。

 これら物質の多くは、太陽の中や太陽が爆発する時につくられるものです。
 工場でつくることはできません。

 ですから、鋼の錬金術師でも人体をすべて塩に置き換えるのは無理でしょう。

 きっと。


鋼の錬金術師 1
荒川 弘著 
税込価格:¥420
出版:スクウェア・エニックス
  ガンガンコミックス
発行:2002年2月


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