都市の干潟のいきものたち[矢倉干潟]
矢倉干潟へいってみよう
大阪市立自然史博物館の特別展「みんなでつくる淀川大図鑑」で紹介されていた淀川観察ポイントの一つ、淀川河口の
干潟があるのは神崎川河口の方になります。
地震と干潟
どうして都会の工業地帯の真ん中に干潟があるのかというと、それは1995年の1月にさかのぼります。
そうです。
阪神淡路大震災です。
その地震の影響でこのあたりは2~3mも地盤が沈下。
陸地だったところが海の下、コンクリート護岸の内側まで海水が入り込み、そこが干潟になりました。

大地震でできた矢倉干潟
9月の矢倉干潟で出会ったいきものたち
もちろん干潟といっても単に潮が満ち干記するだけの場所ではありません。
さまざまな干潟の生き物が住み着き、それをもとめて鳥もやってきます。
そんな矢倉干潟で出会った生き物達です。
鳥1 ミユビシギ(三趾鷸)
このときは矢倉干潟では一番多くいた鳥、だと思います。

ころころしているミユビシギ

名前の通り足の指が3本に見える……かもしれないミユビシギ
鳥2 ソリハシシギ(反嘴鴫)とキアシシギ(黄足鴫)
どちらもよく似ていて、写真を見比べて、

ソリハシシギによく似ていますが嘴が下に反っていので多分キアシシギ

キアシシギに似ていますが嘴が上に反っていますので多分ソリハシシギ
鳥3 干潟以外にもいるおなじみの鳥たち
アオサギらしく、遠くに立っていました。
ミユビシギたちが近くにいるのは、ここにはは悪い人がいないからというよりも、鳥の性質の違いなのかもしれません。

水辺なら川でも湖でも小さな池でも現れるアオサギ
なんと言う名前の干潟の鳥かと思いましたが、多分ハクセキレイでしょう。

水の近くならどこでもいるハクセキレイ
最後までよくわかりませんでしたが、水の中に入らなかったので通りがかりの羽が生え変わっている最中のムクドリということにしましたが、自信はありません。

水の中には入らなかったので換羽中のムクドリ?
甲殻類1 ハクセンシオマネキ(白扇潮招)
シオマネキはいっぱいいますが、近づくとすぐ引っ込みます。
でもその場でじっとしていると、すぐ巣穴から出てきますので、近くで観察ができます。
鳥も同様、あまり驚かさないようにゆっくりと近づいて、石にでも座っていれば穴に逃げ込んだシオマネキもすぐ出てきます。
シオマネキのオスは片方のハサミが大きくなることが有名です。
右のハサミが大きいのを「右利き」、左が大きいのを「左利き」と勝手に書きました。
しかし大きいハサミは盾のように体の前に構えるだけで、食事に使うのは小さい方のハサミです。
そういう意味では、小さいほうが利き腕なのかもしれません。

「右利き」のハクセンシオマネキのオス

「左利き」のハクセンシオマネキのオス
メスは両方のハサミが大きくないので両手で泥を集めています。
オスの倍の速度で食べることができるはずなのに、体はオスよりも小さいのが不思議です。

左右のハサミともちょっと小さめのハクセンシオマネキのメス
甲殻類2 フジツボ(藤壺)
貝のようなかわった生き物ですが、甲殻類です。
潮が満ちてからの中から体を出してもカニやエビの仲間に見えないと思いますが、甲殻類です。

まるで化石のようなフジツボ(種類不明)
二枚貝 カキ(牡蠣)
大きな石やコンクリートにカキの殻がいっぱいついていますが、どれも中がからのものばかり。
もしかするとすべて死んでしまっているのかもしれません。
干潟にいた人の話ではなんでも赤潮で全滅したとか。
一時期シオマネキもいなくなったいたそうです。
やはり巨大な工業地帯の真ん中にある干潟ですので、突然小さな大絶滅もおこるのでしょう。

貝殻のみで中身が無いカキ(マガキ?)
この干潟には他にもゴカイなどいろいろな生き物がいるようですが、今回は簡単に見えるもののみ。
ゴカイなどはまたの機会に。
潮だまり
矢倉緑地公園には海の水が染み出してくる「潮だまり」というプールがあります。
周囲を石に囲まれて干潟の生き物はいないようですが、岩場の生き物はいます。
まだまだ新しいので生き物の種類は限られますが、将来はイソギンチャクやヒザラガイなど岩場の生き物たちが住み着く、かもしれません。

干潟の近くの人工「潮溜まり」にいっぱいいるイソガニ

干潟の近くの人工「潮溜まり」によくみるといるアシハラガニ

干潟の近くの人工「潮溜まり」にはいっぱいいる甲殻類のフナムシ

干潟の近くの人工「潮溜まり」にもいたハクセキレイ
矢倉干潟への行き方
最寄り駅は阪神なんば線の「
付近に駐車場も無いので、ここに来る人は自転車がスクーターばかりです。
だからでしょうか、土曜日だというのに人も少なく干潟の生き物がよく観察できそうです。
いや、人が少ないのは炎天下だからでしょうか。
ともあれ人工海岸で埋め尽くされている阪神地域では、干潟の生き物を観察できるとても貴重な場所だと思います。

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