企画展「焼畑 ―― 佐々木高明の見た五木村、そして世界へ」国立民族学博物館
焼畑。
森林を切り開き、火を放って燃やした後、畑として作物を育てる農法。
最近は東南アジアや南米では森林破壊や環境破壊の原因とされることもあります。
そのため焼畑に環境破壊の悪いイメージがあるかもしれません。
大阪府吹田市。
国立民族学博物館で企画展「焼畑」が行われています。

展示は二代目館長の佐々木高明さんがフィールドとした熊本県五木村が中心。
五木村でいつから焼畑が行われたいたのかわかりませんが、1万2000年以上前の旧石器時代の石器が見つかっています。
地図を見るからに平地がほとんどなく、中世の頃から山の中腹に集落を作っていて、そのころから焼畑を行っていた可能性が高いと考えられています。
肥料を足すこともなく、自然の力を使って食べ物を生産。
同じ場所で数百年続くのですから、環境破壊ではない持続型でなければできなかったでしょう。

さらに世界各地との焼畑が比較されているのがとても興味深いところ。
多くの国で森のに再生させるのに多くが10年ほどのところ、日本では20~30年。
日本は焼畑ができるギリギリの環境なのかもしれません。

たしかに日本の焼畑は稲作に適さない山間部や寒冷地などで多いように感じます。
ただ、山がちの紀伊半島では焼畑はあまり見られないようなので、そう単純な話ではないようですが。
植物が集めた栄養を灰にすることで地面に戻し、それを肥料に作物を育てる。
そのあとは再び時間をかけて森にもどしてから、再び畑にします。
持続的な農業。
ただ、人口に対して広い土地が必要なので、都市部やそ周辺では持続不可能でしょうが。

焼畑はSDGs持続可能な世界を目指すための17の目標のうち、「2.飢餓をゼロに」と「15.陸の豊かさを守ろう」に関わっています。
ただしそれは、環境と人口と土地の広さのバランスが取れていてこそ。
人口が集中する都市部とその周辺ではむりでしょう。
自然に優しい持続型農法が焼畑ですが、とても繊細な農法のようです。
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