寄生と共生と着生と
「寄生」ってなに?
このブログでも何度か取り上げたことがあるヤドリギは、
もう少し細かく言えば、半寄生植物です。
半分だけの寄生植物。
なんかわかるようなわからないような。
そもそも「寄生」ってなんでしょうか。
「寄生」とは
寄生か寄生でないかを厳密に分けることはなかなか難しいようです。
それでも簡単に言ってしまうと。
ある生き物がほかの生き物から一方的に栄養などを取ることで、取られるほうは損ばかりで得が無いことです。
つまり、一方が得しているのに対価を支払っていない状態のことになります。
ヤドリギは水や栄養を取り付いた木からもらっていますが、その木に何も対価を払っていないので寄生なのですが、緑色の葉を持っていて自分で光合成で栄養を作ることもできるので「半寄生」といわれるのです。

ポプラから生えたヤドリギ
「相利共生」
それでは、取り付いている生き物が何か対価を支払えばどうなるのでしょうか。
つまり、どちらも何か得をする、もちつもたれつの関係の場合です。
たとえばこのブログでも取り上げている
藻類は自分が作った栄養を菌類に提供し、菌類は藻類の住処を提供します。
これを

ケヤキの幹についたロウソクゴケ(地衣類)
木の幹から生えているちがう植物
そういえば、神社などの大きな木の枝や幹からどう考えてもちがう種類の植物が生えていることがあります。
ヤドリギのような木ではなく、細長い葉っぱです。
それはノキシノブというシダの仲間で、もちろんその木とはまったくちがう植物です。

クスノキの幹についたノキシノブ
ということはそれは寄生か相利共生のどちらなのでしょうか?
実はそのどちらでもないと考えられています。
「着生」
ノキシノブは木に引っ付いていますが、その木から水や栄養をもらっているわけではありません。
そして木はノキシノブがついて得することはありません。かといってノキシノブのせいで枯れるわけではありません。
簡単に言えば、ノキシノブが取り付いた木は損も得もしていませんので、寄生でも相利共生でもありません。
しかしノキシノブは木に取り付くことで生える場所を手に入れました。これを
そしてノキシノブのような植物を着生植物といいます。
ちなみに、木の表面についている地衣類は、着生している相利共生の生き物、ということができます。
あいまいですが
しかしこれらは本質はまったくちがうものですので、区別することは大切だと思います。
多くの生き物を理解していく上で、きっと役に立つことでしょう。

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タグ: 寄生 共生 相利共生 着生 ヤドリギ ロウソクゴケ ノキシノブ 地衣類
