苔玉のネジバナには謎がいっぱいです。
夏、梅雨頃に咲く蘭。
ネジバナ。
希少種が多い中で、普通に見ることができる珍しい蘭。
雑草扱いされることも少なくありません。
雑草になるくらいですから繁殖力もあるようで、育てていると、あちこちの鉢で芽を出していてびっくりします。
ネジバナは他の植物がないと成長がうまく生きません。
ネジバナだけを鉢に植えると、成長が滞り、花を咲かせることなく弱ってしまいます。
でも、いっしょに育つ植物の種類は多く、木でも草でもいいようです。
気になったのが、この苔玉。

ネジバナのために作ったのですが、最初のネジバナは枯れてしまいました。
そこにコモウセンゴケのタネが飛んできて増えたところにネジバナのタネが飛んできて、いつの間にか芽が出たようです。
なんでもないことのように思えますが、蘭の成長のことを考えると、ちょっと気になるところがあります。
蘭はかなり変わった性質を持つ植物のグループ。
成長していくためには、菌類が必要です。
土の中の水分や養分などを菌類に集めてもらうのですが、これは多くの植物と共通するところ。
ただ、蘭の場合は細いひげ根を無くし、菌類に大きく依存しているのです。

そしてもっとかわっているのは、タネは菌類を食べて芽を出すのです。
蘭のタネには普通のタネが持っているような栄養はまったくないのです。
そのため、タネに近寄ってきた菌類を食べ栄養にして、芽を出すのです。
菌類はどれでもいいというわけではありません。
つまり、食べられる菌類がいるところにタネが落ちなければ、芽は出ません。
コモウセンゴケしかなかったこの苔玉には、ネジバナのタネの栄養になる菌類、ネジバナと共生する菌類がいたということです。
コモウセンゴケは湿地にも育つこと、根は糸のようなものが数本あるだけで水分は葉から吸収していると思われること、そして栄養は葉で捕らえた昆虫からも得ていることから、菌類と積極的に共生しているとは思えません。
となると、苔。
苔の蘚類は他の植物が成長できないような過酷な環境に育つ場合もあり、菌類と共生しない種類もあるようです。
この苔がそのタイプかはわかりませんが、湿り気のある土の上に生える種類ですからコモウセンゴケよりは菌類と共生する可能性はあるような気もします。
たくさんの細い茎はコモウセンゴケの花穂

苔は外へ外へと成長していきます。
古い体の上に新しい体を作って少しずつですが大きくなっていきます。
たとえば、サンゴのように。
そうなると古い部分は腐っていくかもしてません。
その時登場するのが、植物を腐らせる菌類。
ネジバナと共生する菌の中に植物の体を分解する菌類がいるそです。
苔玉ネジバナはその菌類と共生しているのかもしれません。
それにしてもよく成長しています。
もしかしたらコモウセンゴケが昆虫を捕らえすぎて余分になった栄養を捨て、それが肥料のようになったのかもしれません。

苔玉のネジバナには謎がいっぱいです。
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