食べてもらいたいのに有毒!ヘンな植物 深山樒
10月末の低山、旗尾岳。

登山道の脇に真っ赤な実がなっていました。
これはミヤマシキミ(深山樒)。
ちょっと早めですが、真っ赤です。

いかにも食べてくださいと言わんばかりによく目立っていますが、実は有毒。
植物体全体が有毒で、食べてしまうと痙攣を起こします。
ということは、量が多いと命にかかわるでしょう。
ましてや、山ならば毒が命にかかわらなかったとして、動くことができなければ間接的に命を失うことになるかもしれません。
薄暗い林床でもよく目立つ赤い色、そして水分の多い果肉を持つちょっと小さい液果。
この2つがそろっているのは食べてもらうための果実のはず。
でも、有毒。
ふしぎです。

赤い色は哺乳類じゃなくて鳥向けの色。
なぜなら基本的に哺乳類は赤い色を見分けることができません。
人間が赤い色も見分けることができるのは、特別に手に入れた能力なのです。
人間が見える世界は、多くの哺乳類とはちがう色をしています。
ということは、鳥には効かない毒なのでしょうか。
それはわかりません。
ただ、果実の中で毒があるのは中のタネ。
果肉には毒はないようです。
それなら、食べても鳥は死なないでしょう。
植物が作り出す「毒」は、動くことができない植物の数少ない身を守る方法。
そして食べられる果実は、動くことができない植物の数少ない「移動」方法。
その両方ともを兼ね備えたミヤマシキミの果実。
とても興味深い生き物です。
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