第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」でクジラのふしぎがいっぱい!〈大阪市立自然史博物館〉
特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」の見どころの一つは、クジラ。
初お目見えのザトウクジラをはじめいくつもクジラの骨格標本が展示されています。

え、展示されてるのはイルカばかりじゃないかって?
いえいえ、イルカはクジラです。
ハクジラの中の小型のものを「イルカ」と呼びます。
分類学的にはクジラとイルカのちがいはありません。
呼び名としては、どうも4メートルあたり境界があるようですが、名前に「クジラ」がつくか「イルカ」がつくかで十分でしょう。
ということで、今回は個別の名前以外は「クジラ」で統一します。
そのクジラの骨を見て、不思議に思うところの一つ。
指の骨の数。
クジラの指の骨は、人間より多いのです。
人間の指の骨は、見えているところが3個で手の甲の中に見えないのが1個の計4個。
親指だけ1個少なく3個です。


でも指が4本しかなかったり骨の数が増えてない指があったりと
必ずしもすべての指の骨が増えたわけではありません
クジラと人間では見た目も生活の仕方もちがうので、指の骨の数がちがっても当然。
と思うかもしれません。
人間とクジラは同じ有胎盤類の哺乳類。
同じ先祖から分かれてきました。
魚のようなクジラも元は四足の動物。
そして、霊長類は哺乳類の古い形(基本的な形)をわりと残しています。
もちろん人間も。
つまり、クジラの指の骨は、増えているのです!


進化すりゃ増えることもあるだろう。
と思うかもしれません。
ところが、脊椎動物の進化は基本的に減る方向に進みます。
そして、一度なくなったものはもとに戻りません。
たとえば、一度陸上に出てから再び水中に戻って魚のようになった脊椎動物にクジラのほかに魚竜がいます。
どちらも尾鰭には骨がなく、皮膚を変化させヒレの形を作っています。
陸上に上がって失ったヒレの骨は戻らなかったのです。
人間の指の骨の数は哺乳類の基本的な数です。
展示されているクジラの手の指と比べてみてください。
足の骨を骨盤以外なくし、腕の骨も短くしたのに、指の骨だけを増やしたふしぎなクジラ。
その理由を考えてみるのもおもしろいかもしれません。
人差指(9個)と中指(7個)が増えていますが薬指と小指は減っています


クジラは「瀬戸内海の自然を楽しむ」展以外でも見られます。
小指はなくなっているようですが指の骨数は増えてるか変わっていない


ナガスケのとなりのマッコウクジラのマッコ
指の骨はやはり人差し指と薬指が増えています


親指がわからないほど細くなっていますが5本そろっています
本館第3展示室にもナガスクジラがいます。
まるでくじらの博物館のようです。
また、自然史博物館が主催しているもう一つの夏の展。
ATCの「メガ恐竜展2017」にもクジラが展示されています。
「瀬戸内海の自然を楽しむ」と「メガ恐竜展2017」は相互チケット割引があります。
What's New: 特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」×「メガ恐竜展2017」相互割引を実施します
この復元では人差し指と中指の骨の数は増えていないようですが
まだ見つかっていないだけかもしれません


マッコウクジラの「ご先祖様」で古い姿を残していると言われています
指の数以外にも、歯がみんな同じ形をしてる(たとえば人間は犬歯とか奥歯とかいろいろな形の歯があります)とか、ほかの哺乳類とちょっとちがうところがあります。
クジラの大きな体には不思議がいっぱいつまっています。
■参考外部リンク■
第48回特別展 瀬戸内海の自然を楽しむ~生き物のにぎわいとその恵み~
メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる- 大阪開催【公式サイト】
大阪市立自然史博物館

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