第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」瀬戸内海の“いろいろ”な“もの”がいっぱい!〈大阪市立自然史博物館〉
大阪市立自然史博物館の2017年の夏の特別展が始まりました。
第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ-生き物のにぎわいとその恵み-」。
大和川、淀川、大阪湾ときて、瀬戸内海です。
ということは、次は太平洋?!

閑話休題。
瀬戸内海は太平洋と日本海に通じる海ですが、それぞれ狭い海峡で隔てられていて、日本ではここだけにしか無い個性的な海です。
大阪自然史博物館は瀬戸内海沿岸の博物館や水族館と連携して観察会や調査会を行い、様々な情報や標本を蓄積してきました。
その成果が展示されています。

特別展では大阪湾から福岡県・大分県までの帯状の部分が瀬戸内海
会場は「瀬戸内海の自然」「瀬戸内海の漁業」「消えた風景」「抱える問題と解決に向けて」「瀬戸内海を調べよう」の5つのテーマに分かれています。
見ての通り真ん中の3つは人間が関わる民俗学的なテーマで、そういう展示もたくさんあります。
自然史の博物館としてはちょっと意外な感じもしますが、それだけ瀬戸内海は人々の生活と密着しているということなのでしょう。

深さ高さが誇張されていますが海の深さのほうがより誇張されています
「瀬戸内海の自然」
展示スペースが一番広くて、展示内容も多岐にわたり、地質と動植物の標本がいっぱい!
ですが、意外と瀬戸内海の固有種はいないようです。
それもそのはず、たった2万年前(地質学的には)は陸地で川が流れていました。
2万年程度じゃ固有種が生まれるのはちょっと難しそうです。
残念。

水色が今の瀬戸内海 白いところが当時の海 紫の線が当時の川
鯨の骨格標本シリーズ第三弾のオスのザトウクジラ 名前を募集中

ナガスクジラの「ナガスケ」 マッコウクジラの「マツコ」 じゃあ「さとうくん」?
明治時代の瀬戸内海にあった捕鯨会社のモリ

瀬戸内海には大きなクジラも迷い込みますが
住みついているのはイルカと変わらない大きさのスナメリだけ
その他いろいろあって続かなかったようです
コカスリウスバカゲロウの巨大模型!

物凄くリアルで今にも動き出しそう!
大分県杵築湾のカブトガニ

「瀬戸内海の漁業」と「消えた風景と抱える問題」と「解決に向けて」
これは人間と瀬戸内海の関わりで、様々な漁具など自然史からちょっと離れた展示がでてきます。
瀬戸内海がいかに人間の生活と密接に関係していたのかがわかります。

「瀬戸内海を調べよう」
これも人間の活動ですから民俗学的にも思えますが、視点はその成果ですから、自然科学の領域ですね。
おどろいたいのは、瀬戸内海の最も最初の学術的な調査は、イギリスのチャレンジャー号だったこと。
チャレンジャー号は、今からおよそ140年前に世界中で学術的海洋調査を行ったイギリスの海洋調査船です。
その調査報告書や、記載された生き物の標本なども展示されています。

大阪に住んでいると淡路島より西側の瀬戸内海は、身近でちょっと遠い海だったのですが、そこには思っていなかったドラマがたくさんあることがわかりました。
自然史の博物館らしく瀬戸内海の生き物のことだけでなく、瀬戸内海の生き物と人間の関係もわかるおもしろい特別展でした。
展示内容の幅が広いだけに、見る視点を変えると夏休みの自由研究のネタがたくさん!
■参考外部リンク■
第48回特別展 瀬戸内海の自然を楽しむ~生き物のにぎわいとその恵み~
大阪市立自然史博物館

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タグ: 瀬戸内海の自然を楽しむ 48th-setonaikai 大阪市立自然史博物館 瀬戸内海 ザトウクジラ 捕鯨会社 コカスリウスバカゲロウ カブトガニ タコツボ チャレンジャー号

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