古い写真から現れた6月の沖縄の動物
古い写真を整理していた出てきた6月の沖縄の写真。
その動物編です。
陸上の生き物の分布を広い範囲で見ると、突然何種類もの動物たちがいなくなる「境界」があります。
たとえばトカラ(吐噶喇)列島の南の悪石島(あくせきじま)と小宝島(こだからじま)の間に引かれた渡瀬線。
わかりやすく言うと、屋久島の南に連なるトカラ列島と奄美大島の間に引かれた線です。
この線を中心に、北と南で動物の種類が変わるのです。気候も環境もそれほど変わらないというのに。
その渡瀬線のずっと南にある沖縄島は、気候が本州や九州(島)と大きくちがうため、本州などでは見たこともないような生き物がたくさんいます。
オキナワシリケンイモリ(沖縄尻剣井守)Cynops ensicauda popei
脊索動物門 脊椎動物亜門 両生綱 有尾目 イモリ科 イモリ属
南西諸島に分布

沖縄ではポピュラーなイモリ。
背中の模様には変異が多いので、沖縄で黒いっぽいイモリを見たら、シリケンイモリかもしれません。
アカハライモリと同じように、皮膚から毒を分泌するので触らないほうが無難。
陸上でも盛んに行動するようです。
アオタテハモドキ(青立翅擬)Junonia orithya のオス
節足動物門 六脚亜門 昆虫綱 チョウ目 タテハチョウ科
九州~沖縄に分布

ムラサキオカヤドカリ(紫陸宿借)Coenobita purpureus ?
節足動物門 甲殻亜門 エビ綱 エビ目 オカヤドカリ科 オカヤドカリ属
南西諸島を中心に分布
国の天然記念物

上の画像では外来種のアフリカマイマイの殻を使っています。
下の画像はよく見ると殻をつけていません。
引っ越しの途中でしょうか。
こんな大きなヤドカリが陸上を歩いているのが沖縄。
もっと大きなヤドカリのヤシガニもいますが、沖縄島では一時絶滅したといわれた野生のヤシガニを見るのは困難でしょう。

シュリマイマイ(首里蝸牛)Satsuma mercatoria
軟体動物門 腹足綱 柄眼目ナンバンマイマイ科
沖縄島中南部に分布
コウガイビル(笄蛭)類
扁形動物門 ウズムシ綱 ウズムシ目 コウガイビル科 コウガイビル属

見たとおり渦巻きの殻はカタツムリのシュリマイマイ。
見かけたのは中城(なかぐすく)城址。
沖縄の城(ぐすく)は石灰岩の石垣を巡らせています。
シュリマイマイは石灰岩の場所を好むということですので、ピッタリの場所です。
そしてシュリマイマイに巻き付いているのがコウガイビル。
口と肛門が同じ扁形動物で、驚異的な再生能力を持つことで有名なプラナリアの仲間です。
ミミズやカタツムリなど柔らかい動物が好物。
顎を持たないので消化液を出して溶かして飲み込む体外消化を行います。
今はコウガイビルの食事中。
残念ながら種類まではわかりません。
アフリカマイマイ(阿弗利加蝸牛)Achatina fulica
軟体動物門 腹足綱 柄眼目 アフリカマイマイ科 アフリカマイマイ属
世界最大の陸産巻貝の一種
要注意外来生物
生態系被害防止外来種
日本の侵略的外来種ワースト100
世界の侵略的外来種ワースト100
東アフリカ原産

食用として持ち込まれたものが逸出して野生化したもの。
最悪命を落とすことにもなる広東住血線虫症を引き起こす広東住血線虫が寄生していることがあるので、触らないのが無難です。
それだけでないいろいろな問題を起こしているのは、アフリカマイマイの肩書を見ればわかります。
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