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南極の地下には想像も表現もできない知的生命体がいた!『狂気の山脈にて』ハワード・フィリップ・ラヴクラフト著

 いよいよ、いや、ついにクトゥルフです。
 それもH.P.ラヴクラフトさんの作品です。
 今から80年前に他界したアメリカの小説家。
 一般的に有名かどうかわかりませんが、人気マンガ『文豪ストレイドッグス』にも登場する作家です。

 現在の日本でも彼が創作したと言われる「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の影響は大きく、数多くの「二次創作作品」がつくられています。
 ところが、「クトゥルフ神話」を作ったのは、ラヴクラフトさんではありません。
 弟子のオーガスト・ダーレスさんがキャラクターや世界観を整理し、善悪二元論的な対立の神話に構成したことがはじまりとされています。
 もちろん、ラヴクラフトさんの頭のなかには大きな物語世界が作られていて、それをわかりやすい形にまとめ上げたのがダーレスさんなのかもしれませんが。

 小説のジャンルとしては、ホラー、恐怖小説です。
 ただし幽霊とか妖怪とかが出てくる「普通のホラー」ではありません。
 この地球、そして宇宙には人知を超えた無数の生命体があり、独自の歴史を紡いでいて、人間との接点ができたとき、それがホラー(恐怖)になるのです。
 なぜホラーかというと、その生命体は人間の理解の限界を超えた、多くの人が嫌悪を抱くような存在だから。
 つまりよくある宇宙人とも幽霊ともまったくちがうのです。

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 その代表作の一つが『狂気の山脈にて』。
 物語は南極の地質調査隊が遭遇した恐怖の体験を綴った生還者の手記という形で進行します。
 手記というのはラヴクラフトさんがよく使うスタイルで、物語にリアリティを持たせるための手法です。
 読者にありもしない設定の物語で恐怖を感じさせるためにはリアリティが必要。
 それが当事者が書いた手記というスタイルと、科学的な裏打ちのある設定です。
 そのためSFとしての側面も持っています。

 『狂気の山脈にて』でも、手記を書いたのは地質学の科学者です。
 科学者の視点で、彼らが遭遇した異様なものが次々と描写されます。
 南極の山脈の地下で出会ったのは人類が知らない文明が築いた施設。
 そして、その主と思われる生命体。
 生命体は仮死状態なのか動かないため細かく観察されます。
 その異様さは尋常ではありません。

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 詳細は実際に小説を読んで想像するのが一番だと思います。
 マンガも出版されていますが、おすすめしません。
 ネットで探せば想像図が簡単に見つかるでしょうが、それも見ないことをおすすめします。
 もちろん、ドラえもんの映画も。
 なぜならラブクラフトさんのホラーの演出方法の一つに、人間の常識と想像を超えた表現があります。
 その生命体の「古(いにしえ)のもの」も、人間が持っているだろう「生き物の姿の常識」そして「知的生命体の姿のイメージ」を完全に壊します。
 体の部分部分は想像できても、生物として一つにまとまって動いている姿は想像することができません。
 その不安定な状態が、ラヴクラフトさんが狙ったホラーの一つでしょう。
ですから、それが具体的な形を持った絵になると、ホラーも半減するように感じます。

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 南極の地下施設に残されたものから調査隊が推測したのは、「古のもの」が地球にやってきたのは複雑多様な生命が突然現れたカンブリア爆発よりも前。
 それだけでなく、他にも人類が知らない生き物が地球に来ていたことも。
 もちろんどれも生き物の常識を軽く超えています。
 既存の常識を超えた生き物に対する恐怖。
 想像してみてください。いや、できないでしょう。

 クトゥルフ神話物の作品は作者の死後も作り続けられていて、今も新しい作品が誕生しています。
 それどころか、ホラーの対極とも言える萌えキャラすらつくられています。
 それらはいわばオーガスト・ダーレスさんの二次創作のさらに二次創作のようなもの。
 まずはラヴクラフトさんのオリジナルをおすすめします。

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