コナラ(小楢)-公園を象徴する木〈錦織公園の樹木〉
錦織公園の樹木紹介の一番目は、やっぱりコナラ。
公園を象徴する樹木です。
数も一番! と言いたいところですが、意外とアラカシも多そうです。
コナラ(小楢)Quercus serrata
被子植物門 双子葉類
ブナ目 ブナ科 コナラ亜科 コナラ属 コナラ亜属 コナラ節
タグ:コナラ

落葉高木 陽樹 どんぐりの木
花期:4~5月 雌雄同株異花 ♂尾状花序 風媒花
果熟期:9~11月 堅果 1年成
葉:単葉 互生 倒披針鋭頭形 単鋸歯
樹皮:縦裂 裂け目は長く深い
自生地域:北海道~九州
成長適地:丘陵~低山
レッドリスト:大阪府2014-記載なし/環境省2015-記載なし
錦織公園内分布:園内林各所(一部を除きほぼ全域)

錦織公園を代表する樹木で、一部を除き、園内林のほぼ全域に生えています。
里山によく植えられる樹木の一つ。
利用方法は、落葉を肥料、枝や幹を木炭やシイタケのホダ木など。
枝や幹が使われる木は、太い幹が伐られ、そのまわりから細い枝が沢山伸びる「台場伐り(だいばぎり)」と呼ばれる独特の姿になります。
ただ錦織公園には台場伐りされたコナラはありません。
ですから、多くのコナラは植えられたものと思われます。


コナラの葉は、先のほうがふくらんだ倒披針形で、先端は尖っている鋭頭。
ただ変異が多く、「典型的」な葉が見つからないこともあります。
葛飾北斎の神奈川沖浪裏の白波のような粗い鋸歯(きょし/葉の縁のギザギザ)が特徴。


右は葉の裏。
ちょっと白っぽい緑色。
日本の色名で「裏葉色」がありますが、ちょうどそんな色。
裏葉色
参考:#94B090 裏葉色 うらはいろ | Web Color カラー辞典 色辞典 | FKBLOGNET FKブログネット

どんぐりは、ラグビーボールを引き伸ばしたような形で、ウロコ模様の殻斗(かくと/どんぐりの帽子)が特徴。
大きさも長さもいろいろですが、概ね細長め。
錦織公園では、アラカシと並んで生えていることもありますので、アラカシとのちがいを覚えると見分けやすくなります。




左が雄花で右が雌花。
雄花はたくさんの花が房状について垂れ下がります(尾状花序)。
雌花は新しい枝の先につき、小さいので目立ちません。
花は初夏に咲き、初冬には果実が熟す一年成。


樹皮は縦に深い溝が走ります。
若い幹は溝も少なく、あっても浅いので、ちがう種類のように見えます。
右は、中に虫が入った虫こぶ(虫嬰)。
虫が寄生すると植物がコブのようなものを作ることがあり、それが虫こぶ。
寄生する虫によって形や色は変わってきます。
コナラにできる虫こぶはいろいろありますが、これはナラメリンゴタマバチの幼虫がコナラに寄生したもので、ナラメリンゴフシと呼ばれます。


コナラは芽生えの時から日光が必要な陽樹。
そのため、樹木が茂ったところでは、芽生えても枯れてしまいます。
現在の錦織公園のように安定した樹林では、新しいコナラが生える可能性があるのは芝地などとの林縁ですが、そういったところは下草刈りなどが行われるので、園内でコナラが更新されるのは困難でしょう。
コナラと数を競うアラカシは、芽生えから数年は日光が少なくても成長することができる半陰樹なので、手を入れなければ自然とコナラと入れ替わってしまいます。

開園30年を過ぎ、コナラも老樹となり、コナラを中心とした里山を維持するのであれば、樹木を皆伐(かいばつ/一定範囲の樹木をすべて伐採すること)した後に、コナラの苗木を植えるか、どんぐりから自然と芽生えが育つようにするなど、大掛かりな手入れが必要になります。
コナラを主体とした里山公園を維持するのならば、コナラの更新が今後の課題になると思います。
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