公園ネコを考える6 餌付けってなにか考えてみることにしました。その1まわりに住む人への影響
野良猫の問題で、最も取り上げられるのが、「餌付け」かもしれません。
ただ、「餌付け」そのものではなく、餌付けの結果の方がそもそもの問題なのですが。
これまでの【公園ネコを考える】
【1 ノラネコについて考えてみることにしました。】
【2 分類学的にネコについて考えてみることにしました。】
【3 人間との関係でネコを分類してみることにしました。】
【4 ヤマネコの生態について考えてみることにしました。】
【5 ノラネコの生態について考えてみることにしました。】
「餌付け」とは?
それを考える前に、まずは、「餌付け」とはなんでしょうか。
簡単に言うと、動物に餌をやって人間に慣れさせること。
普通、動物は人間を避けます。
その警戒心を和らげ、人間が用意した食べ物を食べるようにさせること。
その結果、よく観察できたり、ペット化したり、捕まえたりすることができます。
ですから、目的はいろいろあります。

「餌付け」とは「人間が動物に餌をやること」。
あまりにも漠然としすぎてしまい、今ひとつわかりにくそうです。
実際は餌付けをする動物が、人間が管理している動物(ペットや家畜)か、管理していない動物(野生動物)のちがいがあり、このちがいが餌付けの意味に大きく関わってきます。
普通、動物の餌付けの問題について語るときは、人間が管理していない動物への餌付けになります。
この場合の「管理している動物」とは、目が行き届く限られた範囲内にいる動物のこと。
ふらふらと自由に動き回る「野良猫」などは毎日餌をやっていたとしても含まれません。
「餌付け」の影響
動物に対して餌付けをする人がいる一方、餌付けを否定する人もいます。
餌付けをする人は、「かわいそう」とシンプルな理由だったりしますが、生き物を「かわいそう」と思う気持ちの一体何が悪いのでしょうか。
餌付け問題に関しては、大きく分けると2つありそうです。
一つは、餌付け場所の近隣住民の日常生活に支障がでること。
もう一つは、環境に影響があること。

どうして餌付けが近隣住民の生活に支障が出るのでしょうか。
単純な話ですが、動物は食べて出すのが自然の成り行き。
餌を食べようとして動物が集まると、もちろん、糞がたくさん落ちます。おしっこも。
糞はもちろん不衛生ですし、おしっこも同じ。
不快な匂いがあったり、動物によっては人間に有害な寄生虫や病原菌などを媒介することもあります。
餌付け問題で有名なネコにしろハトにしろ、餌を食べられるわけですから、餌の時間がはじまる前にその場所にたくさん集まってきます。
もしかしたら居着くかもしれません。
もちろん、餌場の近くに人の住居があれば、そこにも来るでしょう。
ということは、そこにも糞をするということ。
たまに1つ2つならまだしも、それが毎日たくさんとなれば、住人の生活に影響が出ます。
もしかしたら、病気になるかもしれません。不自由な生活を送らなければならなくなります。

だれが「かわいそう」か
「かわいそう」という単純な気持ではじめたことですが、たまたまそこに住んでいるだけなのに、日常生活に支障が出てしまう。
ネコやハトはかわいそうでも、人間はかわいそうではないのでしょうか。
もし、人間よりもネコやハトがかわいそうなら、他人におしつけるのではなく、まず、餌やりをする人自身が「かわいそう」になり、耐えるべきではないでしょうか。
もっとも、これも行き過ぎると多頭飼育崩壊して猫屋敷状態になり周辺の人の迷惑になってしまいますので、簡単な問題ではありません。
でも、餌付け問題の一つは、日常生活の中で普通に考えれば、答えもおもずと明らかなことではないか、と思います。
ということは、まわりに人が住んでいないところなら誰にも迷惑をかけないので餌付けも問題無いでしょうか。
いいえ。
今度は環境の問題がでてきますが、それは次回に。

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