生き物観察の基本の一つはスケッチ。でも美術のスケッチではありません。『生き物の描き方』盛口満 著 東京大学出版会 刊
すでに紹介している「教えてゲッチョ先生!」シリーズのゲッチョ先生こと盛口満さんの本です。
タイトルのように「絵」の描き方の本ですが、美術の本ではありません。
生物学の本。
スケッチというと、普通、美術の分野で、人物や風景などおおまかに紙に描き写すことです。
でも、生物学の場合はちょっとちがいます。
それは「自然を観察し、記録し、伝える手段」。
しかしそれなら、デジカメでも十分のように思います。
たしかに正確さや色、時間を考えると、デジカメのほうがはるかに優れています。
ところが、スケッチがデジカメに勝ることがあります。
それはじっくりと、細部まで観察すること。
デジカメの場合、細部まで注意を向けなくても撮ることができます。
しかしスケッチはじっくりと細部まで観察しなければ描けません。
そのため、生き物の特徴の出るところを知ることは大切。
絵が下手でもそういうところをちゃんと描けていれば、知識のある人が見れば、どういう生き物を描いたのかわかります。
生き物の特徴には、同じような生活をする生き物に共通するところや、同じ分類グループに共通するところがあります。
この本では「くらし」と「れきし」といっています。
スケッチには、その生き物の「くらし」と「れきし」を知ることが大切。
ですから、この本には色々な生き物の「くらし」と「れきし」が説明されています。
そのため生き物のスケッチを勉強しようと思っている人はもちろん、いろいろな生き物のことを知りたいと思っている人も楽しめるようになっています。
この「自然観察の技法」シリーズには、ほかに『昆虫の描き方』『植物の描き方』がありますが、スケッチの基本が書かれているのはこの『生き物の描き方』。
ですから、生物学的スケッチのことを知りたいと思っている人は、まず『生き物の描き方』をおすすめします。

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