第47回特別展「氷河時代」気候変動の証拠はいつの時代にだってあります!?〈大阪市立自然史博物館〉
氷河時代は、もちろん今よりも寒かった時代です。
それどころか、地球全体が凍ったこともあったことがわかっています。
不思議です。
温暖化温暖化と言われていますので、二酸化炭素が地球を温めるのはわかります。
じゃあ、地球を冷やすのは何でしょう。
●今までの「氷河時代展」の記事
【気候変動はなにも今にはじまったことではありません?!】
【大きな動物は日本中しかも大阪にもいました!?】

これはとんでもない不思議ですが、それ以前に、どうして何万年や何百万年の昔、人間がいなかった時代の温度がわかるのでしょうか。
こちらのほうも、とんでもない謎です。
それを教えてくれるのが、氷河時代展!
寒い氷河時代には、もちろん氷河があります。
氷河は名前のように、氷の川。
目で見てもわからないほどゆっくりですが、川のように氷が流れていきます。
そのとき、地面の石を巻き込んだり、地面を削ったりします。
川の流れとそっくり。
もちろん、流れるものも、流れ方もちがいますから、削り跡もちがいます。
ですから、岩の表面に残った跡から、氷河があったことから、氷河の流れる方向までわかります。

氷河は流れながら石を取り込んでいきます。
そして氷河が溶けた時に落とします。
そういった石がたくさん見つかれば、そこまで氷河がやってきたことがわかります。

そのほか、氷河だけが作ることができる地形の痕跡が見つかれば、氷河があったことがわかります。
この方法だと、理屈の上では地球が固まってから今までの間の氷河があった時代と場所を知ることができます。
実際は、地面は動き、新しく創りだされているので、古い時代になればなるほど、地層がそのまま残っていることは少ないのですが。
このように古い時代のことは知ることができても、とても大雑把になってしまいます。
でも、「最近」のことならばもっと細かい気候の変動の様子を知ることができます。
その一つが木の年輪。
日本の場合、木は春から秋に成長しますが、冬は成長しないので区切りができます。
それが年輪。
たとえば、木が成長する春から秋にかけて寒いとあまり成長しなくて年輪が狭くなり、暖かいとよく成長して広くなります。
いつ切られたのかが分かれば、さかのぼっていけば、いつが寒くていつが暖かかったかがわかります。
もちろん、実際の木の成長はそんな単純なものではありませんので、年輪を読み解くにはさまざまな専門的知識や技術が必要です。

木の寿命は長くても数百年。
時折樹齢何百年、数千年と聞きますが、そんな木は稀。
ですが、遺跡から発掘された木や化石になった木の年輪の幅の変化をつなぎあわせていき、1万くらいさかのぼれるところもあります。
年輪よりも昔のことを知ることができるのが、年縞。
湖などに底に溜まって縞状になった層のこと。
四季の変化によって底にたまるものが変わります。
その時の気温などの変化によってたまるものの種類や量が変わります。
それが毎年繰り返され、木の年輪のような縞模様になります。
それで、いつ、どのような気候の変化があったのかわかるのです。

展示されている滋賀県水月湖の年縞は、数万年分の気候変動の様子が記録されています。
しかも誤差が少なく、世界の標準になっている年縞です。
ほかにも氷床コアがあります。
南極やグリーンランドに雪が積もってできた厚い氷の塊。
厚く積もった雪と一緒に空気や空気中のホコリ等が閉じ込められます。
その空気やホコリ等からその時の気候の様子がわかります。

ほかにもどういった環境で育つかわかっている生き物の化石が見つかったら、その場所の昔の環境がわかります。
もちろん、寒かったのか暖かかったのかも。
こういった情報を総合して、過去の気候の変化を読み解くことができるのです。
そういう貴重な証拠を見ることができるのが「氷河時代展」。
さまざまな過去の証拠や、詳しい説明は会場で。
実際に触れるものもあります!
たぶん、気候変動の証拠の実物を一度に見られる機会は、そうないでしょうから。

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