あとわずかで絶滅危惧種 山の神のいたずら? 薩摩稲森
春の大型連休より少し前のダイヤモンドトレール。
金剛山地と和泉山脈の一部に連なる稜線を通る全長45kmのトレッキングルート。
うわさでは生駒山脈から和泉山脈のすべてを通って大阪湾に至る長大なルートになるとか。
その道で咲いていた小さな白い花。
サツマイナモリ。
漢字では「薩摩稲森」。
アカネ科サツマイナモリ属の多年草。

山野の林床で咲きます。
名前に「薩摩」とついていますが、関東から沖縄まで分布。
特に鹿児島県の固有種というわけではありません。
花が咲いていたのは和泉山脈の稜線。
大阪と和歌山の境。
和歌山側では、「絶滅の危険が増大している種」の絶滅危惧II類(VU)。
大阪ではランク外。
そこはGPSではわずかに大阪。ランク外。
わずかにずれていれば、絶滅危惧種。
山の神のいたずらでしょうか。

和歌山は「木の国」ともいわれるほど県内の大部分が山林に覆われています。
林野庁のデータでは森林化率は77%で同率6位の多さ。
それに対して大阪の森林化率は45%で同率最下位。
大阪がランク外で和歌山が絶滅しそうになりそうとは思えません。
どう考えても、逆。

ところが和歌山の人工林率は60%の同率10位。
大阪は意外な49%で同率17位。
和歌山は森林が多いわりに多くが植林されたものということになります。
ただ、林野庁の「人工林」は、植林された樹木が50%以上のものとされます。
つまり、植林されていても天然林とされることもあります。
50%以下でも植林されていれば人工林として考えると、90%以上に達するともいわれています。
木がたくさん生えていると豊かな自然と思われることも少なくありません。
もちろん量も大切ですが、質はとても大切だと思います。
■参考外部リンク■
和歌山県レッドデータブック【2012改訂版】|和歌山県ホームページ
林野庁/都道府県別森林率・人工林率(平成24年3月31日現在)

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タグ: サツマイナモリ 白い花 春の花 ダイヤモンドトレール 和泉山脈
