奈良・大阪なのに西国が絶滅危惧種で東国が普通種のふしぎ 西国鯖の尾と東国鯖の尾
奈良と大阪の境にある金剛山。
杉や桧が植林された山ですが、かろうじて本来あるべき自然がのこっています。
そういうものにサバノオの仲間があります。
キンポウゲ科シロカネソウ属の多年草で、果実がサバの尾ビレに似ているとされるのが由来。
金剛山にはゴールデンウイーク頃に咲くサイコクサバノオ(西国鯖の尾)とトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)があります。
どちらも見落としてしまいそうなほど小さな、足下で咲く花です。

トウゴクサバノオ

どちらも日本の固有種で、なぜかサイコクサバノオだけが奈良・大阪とも絶滅危惧 I 類(CR+EN)。
これは「絶滅の危機に瀕している種」ということで、絶滅していない中では最も危険度が高いランクになります。
サイコクサバノオは近畿以西の西日本に分布していますので、名は体を表しているようです。
ところが、トウゴクサバノオは宮城県あたりから九州にかけて分布。
ちょっと名前に偽りあり系のようですが、関東でよく見られるとされています。
ともあれ、トウゴクサバノオのほうが分布が広いだけに、絶滅危惧種になりにくいのかもしれません。
これがサイコクサバノオとトウゴクサバノオの果実。

トウゴクサバノオの実

熟すと合わせ目の線で割れ、タネをこぼす袋果(たいか)。
袋が左右に分かれてV字型。
魚の尾ビレというと、三角形か扇型をイメージします。
ところが名前の由来となったサバの尾ビレは真ん中が大きく切れ込み上下にわかれたV字型。
確かにサバの尾ビレにも見えないことはありません。
でも、もうちょっと小さく可愛くきれいな花をイメージできる名前はなかったのかな、と思います。

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