特別展「たまごとたね」でタマゴとタネのちがいは?!〈大阪市立自然史博物館〉
大阪市立自然史博物館の特別展「たまごとたね」。
記事は3回めになりますが、実は、とても大切なことをまだ書いていません。
この特別展の根幹になるものなのに。
それは、「タマゴ」と「タネ」について。
◆「たまごとたね -いのちのはじまりと不思議-」の記事をまとめてみる
【知っているのに知らないタマゴとタネがいっぱい!】
【鳥の卵がものすご~くいっぱい!】

台風の雨で濡れてる恒例の幟
そんなこと、常識の範囲。
言わなくてもわかるでしょう。
と「常識」で済ませてしまうと、そこで考えることがストップ。
科学ではありません。
ここは自然科学の博物館。
会場ではちゃんと定義されています。
生物学の世界では「タマゴ」や「タネ」のことは「卵(らん)」といいます。
今回の「たまごとたね」展では、動物のもので、メスの体の外に産み落とされた卵(らん)。
そして保護などの目的で卵(らん)についている殻とか様々なものも含めて「タマゴ」。

砂で固めた?ツメタガイ(巻き貝)のタマゴ
種子植物の卵は「種子(しゅし)」といいます。
種子は動くことができな種子植物が移動することができる貴重な時期。
そのために種子には殻や羽などいろいろなものが付いていますが、それらを含めて「タネ」。

羽が生えたフタバガキのタネ
ということで、動物の多くはタマゴを持ちますが、植物でタネを持つのは種子植物の裸子植物と被子植物だけ。
シダやコケはタネをつくりません。
ということは、タマゴとタネを比べるのは、多様性という点ではタネにちょっとハンデがあるように感じます。
そもそも動物は先カンブリア紀後期に登場。
おそらく5億年くらい前のカンブリア紀にはすでにタマゴは存在していたでしょう。

会場で最も古いタマゴ
恐竜メガロウーリサス類 白亜紀後期(約7200~6600万年前)
タネができる種子植物が登場したと思われるのは、デボン紀後期ころといわれ、3億年くらい前。
動物から2億年ほど遅れています。
このように、「タマゴ」と「タネ」は似ているようで、意外とちがいます。

会場で最も古いタネ
シダ種子類トリゴノカルパス 石炭紀前期(約3億4000万年前)
でも、会場にあるタマゴとタネの解説パネルをよく見てみると、共通点も。
タマゴもタネも成長していく小さな部分と、そのための栄養をためている大きな部分があります。

タマゴ解説パネル

タネ解説パネル
どちらも生まれて(芽が出て)すぐ自分で栄養を取り込んだり作ったりでませんから、しばらくの間の栄養は用意しておかなければなりません。
似ていて当然のような気がします。
動物と植物は門よりも更に上の界のレベルで違う生き物。
しかも植物がタネを持つようになったのは、登場して1億年くらいたってから。
ということは、タマゴとタネの似ているところはたまたま似た平行進化?
それとも目的が似ていたので構造も似てしまった収斂進化?
現れた順から考えると、タマゴが先で、タネは後。
ということは、タネは植物のタマゴ?
会場にたくさんあるタマゴとタネを見ていると、タマゴが先かタネが先かなんて気にならないほど、おもしろいことがいっぱいです!

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