節足動物 虫の体をくらべてみると 虫の進化が見えてくる かも
節足動物(せっそくどうぶつ)。
体を殻で覆った生き物。
節足動物門という大きな集団をつくり、「虫」と呼ばれる多くの生き物を含みます。
深海から極地まで生息し、全動物種の80%以上を占め、中でも昆虫は最も繁栄した動物と言われています。
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この記事には虫の画像があります。
節足動物門は5つの亜門を含みます。
三葉虫形亜門 三葉虫など
鋏角亜門 クモやサソリなど
多足亜門 ムカデやヤスデなど
甲殻亜門 エビやカニなど
六脚亜門 トンボやカブトムシなど(昆虫)
出現した時代は異なりますが、少なくとも古生代にはすべて登場していました。
三葉虫形亜門は古生代のおわりに絶滅してしまいましたが、ほかはいくつもの大絶滅を乗り越え今も生き残っています。
それだけよく出来た体の仕組みで、様々な環境に適応しるように多様化していたので、生き残ることができたのでしょう。
節足動物はいろいろな形をしていますが、元は同じ生き物から進化したと考えられています。
節足動物の特徴の一つは、殻があることのほかに、体が同じような形のくり返し(体節制)になっていること。
ただし長い進化の歴史の中でそれぞれ体節が特殊化したり(異規体節制)、体節が癒合してひとつのようになったり(合体節)して、それぞれの形や機能のちがいが生まれました。

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動物の進化は、体のある部分の形が変わったりなくなったりということはよく起こりますが、新しくできるということはめったに起きません。
それまでになかった器官ができたとするのなら、多くの場合はすでにあった器官が変わったものなのです。
ですから、進化の系統が近い生き物の間では、ちがう役割を持つ器官でも実は同じものがちがう方向に進化したもの、ということがあったりします。
ということで、節足動物のグループごとに頭側の体節の役割を並べてみました。
石川良輔 著『昆虫の誕生』中公新書 を参考にしています。
「○」は一番先頭の節「先節」で、その次から「第1体節」「第2体節」と続きます。
先節は「□」と一緒に頭部をつくり、先節と第1体節の間に口があります。
「■」は胸や腹になります。
クモのように頭部と胸部の境がはっきりしないものもや、ヤスデのように一つの節から脚が2対出ているものもありますが、見えない節が残っていると仮定していますので、実際の見た目の節の数とはちがいます。
先節 | 第1体節 | 第2体節 | 第3体節 | 第4体節 | 第5体節 | 第6体節 | 第7体節 | 第8体節 | 以下略 | |||
空想の原始的節足動物 | ||||||||||||
┃┃○┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ~ | ![]() 初期の節足動物レアンチョイリア 「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」 | ||
節足 | 節足 | 節足 | 節足 | 節足 | 節足 | 節足 | 節足 | 節足 | ||||
三葉虫(三葉虫形亜門) | ||||||||||||
─ ─ | ┐○┘ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ~ | ![]() パラドキシデス 「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」 | |
触角 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | ||||
蜘蛛形類(鋏角亜門) | ||||||||||||
┤□┤ | ┐│□│┘ | ┓┃■┃┛ | ┓┃■┃┛ | ┏┃■┃┗ | ┏┃■┃┗ | ■ | ■ | ~ | ![]() オオシロカネグモ | |||
無 | 鋏角 | 触肢 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | 腹部 | 腹部 | ||||
多足類ムカデ(多足亜門) | ||||||||||||
─ ─ | ┐○┘ | □ | ◇□◇ | △□▽ | △□▽ | ┓■┛ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ~ | ![]() トビズムカデ | |
触角 | 無 | 大顎 | 第一小顎 | 第二小顎 | 顎脚 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | ||||
多足類ヤスデ(多足亜門) | ||||||||||||
─ ─ | ┐○┘ | □ | ◇□◇ | □ | △□▽ | ■ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ~ | ![]() キシャヤスデ | |
触角 | 無 | 大顎 | 無 | 小顎 | 頸板 | 歩脚 | 歩脚 | 歩脚 | ||||
昆虫類(六脚亜門) | ||||||||||||
─ ─ | ┐○┘ | □ | ◇□◇ | △□▽ | ━∩□∪━ | ┓┃■┃┛ | ┃┃■┃┃ | ┏┃■┃┗ | ━ ■ ━ | ~ | ![]() シオカラトンボ | |
触角 | 無 | 大顎 | 小顎 | 下唇 | 前脚 | 中脚+前翅 | 後脚+後翅 | 腹部 | ||||
甲殻類(甲殻亜門) | ||||||||||||
─ ─ | ┐○┘ | ┐○┘ | ◇□◇ | △□▽ | △□▽ | ┫┃■┃┫ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ┃┃■┃┃ | ~ | ![]() サワガニ | |
第一触角 | 第二触角 | 大顎 | 第一小顎 | 第二小顎 | 鋏脚 | 胸脚 | 胸脚 | 胸脚 |
こうして並べてみると、節足動物が脚を単純な形からいろいろと変化させてきたことがわかります。
そして三葉虫と鋏角類(クモの仲間)の頭のつくりが簡単なことも。
三葉虫は昆虫のように顎を持ちませんでした。
同じように噛み砕く顎を持たなかったクモの仲間のウミサソリと一緒に古生代のおわりに絶滅してしまいます。
その後、かみくだく顎を持つ節足動物は陸上で繁栄を極め、海では甲殻類が繁栄しています。
小さくて丸い昆虫の頭も、5つの節がひとつになったものというのは驚きます。
かみくだくため顎を進化させましたが、それだけにとどまらず、様々な食物に適するように変化させ多様化していきました。
チョウの口もカの口も基本はバッタの口と同じ。
これだけ複雑で多様化したな頭と翅をもったことが、昆虫の大繁栄の理由なのかもしれません。
タグ♦ 節足動物
■参考外部リンク■
What's New: 大阪市立自然史博物館 特別展 「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」 の開催について
※すでに終了しています
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