第45回特別展「ネコと見つける都市の自然」―大阪は緑が少ないかもしれないけれど、実は増えている!?―大阪市立自然史博物館
今回の特別展の大テーマは「都市の自然」。
日本語としては全然問題ないですが、具体的なイメージはちょっと持ちにくいかもしれません。
でも、展示がそうなのです。
大阪という都市の自然を様々な切り口で扱っています。
いろいろな小さなテーマがあり、全体を一言で表すと、やっぱり「都市の自然」。

特別展おなじみの幟
ということで、今回は中でも大テーマそのもののような? 大阪の自然を。
このブログでも取り上げましたが、「大阪はどうして緑が少ないのか」。
「緑」というのも曖昧な表現ですが、「樹木」や「樹林」と考えました。
緑が多いと言われる東京とくらべてみれば、わかりやすくなります。
大阪と東京では基本的に地理的な状況がちがっています。
東京はいわゆる「下町」を除いた多くが丘陵地帯にあります。
もともと原野だったところで谷や崖、つまり斜面が多く、開発から取り残されたところ、緑が残ったところが多いのです。
徳川家康が幕府を開く地に選んだのも、起伏が多く都市に向かないところが防衛に適していると考えたのかもしれません。

最近大阪市では見かけなくなったと言われるモズの標本
そして大阪。
大阪の市街地がある大阪平野は、何千年も前には海。
生駒山麓で鯨の骨が見つかっています。
そして湖になり、湿地になりました。
そんなところに森は発達しません。
樹木林はかろうじて上町台地の上にあるだけ。
現在の市街地がある地面の多くは、江戸時代から続く埋め立てや地盤改良によって作られたものです。

海だった縄文時代のころの大阪のパネル
戦前ですら大阪は地下水位が高くて樹木を植えるのに適さないと言われていたそうです。
現在の繁華街である梅田も「埋め田」が語源、難波と共に湿地で人が住んでいなかったので繁華街を作ることができた、とも言われます。
そうです。
元から樹木が多かった東京に対して、元から樹木が少なかったのが大阪。
もちろんほかにも様々な理由がありますが、東京に緑が多いことに地理的な条件が関係していたのと同じように、大阪に緑が少ないのも地理的な条件が関係していたのです。
ところが、今の大阪は緑が増えているようなのです。
会場では、それを繁殖する鳥の種類の変化で示しています。
鳥は種類によって住む環境が違ってきます。
つまり、どういった種類の鳥が繁殖するかで、地域の環境が見えてくるのです。

南港野鳥園へ行けばたいてい会えるチョウゲンボウの標本
さすがに江戸時代の専門的な情報はありませんが、大正から昭和初期までは鳥類研究家などの情報が残されているので、それで比較できます。
すると、東京は森林の鳥から山林の鳥に変わりつつも種類が減ってきています。
大阪は種類が少なかったのが山林の鳥がわずかに増えてきて東京に近くなってきます。
ということは。
東京は緑が減っている。
大阪は緑が増えている。
かもしれない。
大阪の歴史的景観や繁殖する鳥の変化などの資料は、ぜひ会場でご覧ください。
緑が多い少ないという話が、視点を変えると新しい事実が見えてくるのが、「ネコと見つける都市の自然」です。
タグ♦ ネコと見つける都市の自然 大阪市立自然史博物館
■参考外部リンク■
第45回特別展 ネコと見つける 都市の自然 ?家の中から公園さんぽ?|大阪市立自然史博物館
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