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金剛山のモミジ谷の堰堤ビオトープの更新開始


 去年(2013年)の台風18号は日本を縦断するようなコースを取り、各地に様々な被害をもたらしました。

 大阪の低山、金剛山にも爪痕を残しました。



 金剛山のモミジ谷の入り口から数えて5つ目の砂をせき止めるダムの堰堤(えんてい)、第5堰堤。

 その上は草や樹木が茂り、葉を通り抜けた光で緑色に染まる世界、でした。




2013年8月の台風18号前のモミジ谷第5堰堤の上の様子
このように草や木が茂っていました




 それが白い花崗岩(かこうがん)の礫(れき)が転がる白っぽい場所になっていました。




台風18号後の礫だらけになったモミジ谷第5堰堤の上
上の画像は奥の方からこちらに向かって写したものです




 しかし山は崩れるもの。

 特に花崗岩の山ですから、崩れないほうが不思議なくらい。

 今多くの植物が茂っているところも、もとは花崗岩と花崗岩が風化してできた真砂土に覆われたところだったはず。

 それが時間がたって様々な植物に覆われるようになったのです。

 そこで一度リセットされた第5堰堤が再び緑色のトンネルになるまでの様子を追っていくことにしました。

 いつまでできるかわかりませんが。



 ということで、花崗岩の礫原になった金剛山モミジ谷第5堰堤、1回めの初夏の様子です。

 まだまだ小さいながら、すでに数種類の植物が芽生えていました。




2014年6月のモミジ谷第5堰堤の上の様子
このように半年余りでは変わった様子はありません




植物界
シダ植物
クジャクシダ(孔雀羊歯)Adiantum pedatum
シダ植物門 シダ綱 シダ目 ホウライシダ科 ホウライシダ属
夏緑性シダ植物

ちょっと枝の分かれ方がちがうような気もしますが、広がった葉の特徴がよく似ています。

林床や林縁や崖に生える、少々土壌がなくても日当たりのいいところに生えるシダ。

礫だらけのここには似合いの植物のようです。

シダ植物
植物界
被子植物
単子葉類
メランチウム科と思われる植物
被子植物門 単子葉植物綱 ユリ目 メランチウム科

はじめはカンスゲ(寒菅)の仲間と思いましたが、カンスゲほど固そうな感じはしないので、同じ単子葉植物のメランチウム科としました。

金剛山ではショウジョウバカマなど複数のメランチウム科の植物がはえています。

単子葉類
被子植物
真正双子葉類
カワチブシ(河内附子)Aconitum grossedentatum
被子植物門 双子葉植物綱
キンポウゲ目 キンポウゲ科 トリカブト属
多年草

葉の形からするとニリンソウにも見えます。
この上流には群生地がありますのでニリンソウでも不思議はありませんが、ニリンソウよりも大きな葉ですし、なによりニリンソウはもう枯れている時期です。

ということで金剛山のトリカブト、カワチブシとしました。
金剛山では谷筋でよく見かけます。

ただ谷筋とはいえ、比較的安定したところに生えているように思いますので、ここに定着するかどうかはわかりません。

被子植物 真正双子葉類
コア真正双子葉類
マメ類
シラキ(白木)Sapium japonicum
被子植物門 双子葉植物綱
キントラノオ目 トウダイグサ科 シラキ属
落葉小高木

シラキと言い切るにはちょっと自信がなく、ほかのトウダイグサ科の可能性もありそう。

谷筋を好む樹木で、この場所でも林縁に生えていますので、その種子が芽生えたのでしょう。

近くの林縁ではこんな感じでシラキが花を咲かせています。

ミズナラ(水楢)Quercus crispula
被子植物門 双子葉植物綱 ブナ目 ブナ科 コナラ属
落葉高木

見るからにわかり易いほどの典型的なミズナラの葉の付き方。

ミズナラは金剛山の標高の高いところの広葉樹林では一般的な樹木。
山頂付近ではブナと一緒にはえています。
標高の低いところは里山と同じようにコナラになりますが、この辺りの標高は900mあたりですでにブナ林帯ですからミズナラ。

上から転がってきたドングリが芽生えたようです。

「ミズナラ」の「ミズ」は木に「水分が多い」から。「水辺を好む」というわけでありませんので、ここではいずれ負けてしまうことでしょう。
実際谷ではあまり目にしないような気がします。

ミヤマイラクサ(深山刺草)Laportea cuspidata
被子植物門 双子葉植物綱
バラ目 イラクサ科 ムカゴイラクサ属
多年草

シソ科のようにも見えますが、葉がどことなくイガイガっぽく互生(ごせい)なのでイラクサの仲間。
シソ科は対生(たいせい)。

ミヤマイラクサは沢筋によく生える野草ですので、早速ここに進出してきたのでしょう。

マメ類
被子植物門 真正双子葉類 コア真正双子葉類
アオイ類
ワサビ(山葵)Wasabia japonica
被子植物門 双子葉植物綱 アブラナ目 アブラナ科 ワサビ属
多年草

ほかのワサビ属の植物かもしれませんが、丸い心形で光沢のある葉なのでワサビに。
金剛山では自生していますので上流から種が流れてきたものでしょう。

礫の下には水が流れているでしょうが、表面は乾いていますので、このまま育つかどうかはわかりません。

チドリノキ(千鳥の木)Acer carpinifolium
被子植物門 双子葉植物綱 ムクロジ目 カエデ科 カエデ属
落葉小高木

二重になった重鋸歯(じゅうきょし)とはっきりとした真っ直ぐな側脈ではじめはカバノキ科と思ったのですが、よく見ると対生。
カバノキ科は互生。
さらに林縁に生えている同じ葉の樹木にはブーメラン型の翼果(よくか)が。
ということで、チドリノキに。

楕円形の葉ですが、カエデ属。
モミジやカエデと同じです。

チドリノキは山地の沢ぞいに生える樹木。
この場所にも生えていますので、その種子から発芽したものでしょう。

はっきりとした真っ直ぐな側脈で一見ブナのようにも見えますが、重鋸歯なのでちがいます。
ブナは鋸歯のない全縁。

それにブナは翼果ではなくどんぐり(カシやナラのどんぐりとはちがいますが)。

マメ類
コア真正双子葉類
被子植物 真正双子葉類
所属不明の植物その1 木本?
葉のつき方と大きさからすると3列互生?

所属不明の植物その2 蔓性小低木?
上と同じように3列互生のようですが、よく見ると葉柄の付け根に芽らしきものがありません。

ということで、3出複葉の蔓性小低木?

真正双子葉類
被子植物
植物界



 人間が生活する都市部では、更地になるとまっさきに生えてくるのが荒れ地に強い外来種の植物たち。

 低山とはいえ都市から離れて人も住んでいない山頂付近の谷では、外来系植物は見られません。



 普通、森が壊された場合は、草本(草)が生えて地面が安定してから成長にたくさんの光が必要な陽樹、光がなくてもそこそこ成長できる陰樹と遷移(植生が移っていくこと)していきますが、いきなり木本(木)が生えてくるのが面白いところ。

 今のところ勢いで芽を出したという感じもしますが、今後どのように変化していくか、楽しみです。



タグ♦ モミジ谷の遷移 モミジ谷 金剛山 台風18号

■参考外部リンク■
金剛山登山道情報(金剛山のホームページ)


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タグ: モミジ谷(金剛山)  金剛山  モミジ谷遷移  クジャクシダ  カワチブシ  シラキ  ミズナラ  ミヤマイラクサ  ワサビ  チドリノキ 

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新米ビオトープ管理士でフィールドワーカーのノートが生き物たちとの出会いを書いています。

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