金剛山の着生ツツジと菌根菌はものすごい!
役行者が開いたと言われる金剛山。
一番高い葛木岳の山頂は神社の神域となっていて行くことができません。
ということで、事実上の山頂になっているのが国見城址。
そこと売店などの間にちょっと変わったツツジがあります。
大きな木の途中から生えたツツジ。
種類はおそらくヤマツツジ(山躑躅)。

金剛山の着生ツツジ
もちろん、はえているのはツツジではない大きな木。
まるで寄生(きせい)しているようですが、ツツジは寄生植物ではありません。
偶然木の幹のくぼみか何かに種が落ちで育った着生(ちゃくせい)でしょう。

着生ツツジの根本
「寄生」と「着生」はよく似ていますが、本質はまったくちがいます。
他の生き物から水や栄養を盗んだり、直接食べたりするするものの、取る一方で何も相手にあげないのかのが「寄生」。
「着生」はひっついているだけで、食べたり栄養を盗んだりはしませんし、相手に栄養をあげたりすることもありません。
勝手にひっつかれて困っているかもしれませんが、普通は寄生ほど影響はありません。

着生ツツジの花
ツツジは酸性土壌などの比較的条件の悪いところにも生える植物。
といっても、樹木の幹というのはとてつもなく条件の悪いところだと思います。
にも関わらず、何年にもわたって成長し続けているのですから、結構しぶとい植物のようです。
着生されている樹木は、多分ヤマグワ。
幹をよく見ると、ツツジの下にはなんだかヤマグワの樹皮とはちがう模様の部分が見えます。
もしかすると、ツツジは地面へ根を伸ばしているのかもしれません。
そうすればこんな条件の悪いところで何年も生き続け花を咲かせていることも納得できます。

ヤマグワの幹にひっついているヤマツツジの根?
とはいえ地面までは2メートルくらい。
種から芽を出したツツジがそれだけ根を伸ばすには何年もかかったことでしょう。
それに、ツツジはエリコイド菌根というタイプの共生を菌としています。
共生というのは、ちがう種類の生き物が同じところで関係して生きてくこと。
菌根の場合はお互いに得があるので「相利共生(そうりきょうせい)」と言います。
菌根菌の場合は、土の中の肥料や水を樹木にあげ、樹木が光合成で作った栄養をもらいます。

ツツジが着生しているヤマグワの葉
葉の裂け方がばらばらなのがクワ属の特徴
小さな種から育ったツツジが、地面へ根を伸ばすほどに成長できたのは、ツツジだけでなくヤマグワの幹に住みついた菌根菌もものすごい!ということになります。
目には見えませんが、菌類は植物にとって縁の下の、いや土の中の力持ちです。

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