金剛山のモミジ谷の堰堤ビオトープの更新
10月末に金剛山のモミジ谷に行ってきました。
大阪と奈良の境にある金剛山。
その北側の水越峠(みずこしとうげ)からの道の中からでも好きな道の一つです。

この日はモミジ谷のとなりのサネ尾を登って、モミジ谷を下るコースを選びました。
サネ尾は右がスギやヒノキの針葉樹の植林、左が広葉樹林、道はその狭間の尾根という、おもしろい道です。
途中谷に降りる道がありますが、尾根を登りつめるとダイヤモンドトレールに合流して、鳥居のところに出ます。
そのまま山頂広場へ行き、昼食。
そして下山。

広葉樹と針葉樹の間を歩くサネ尾
モミジ谷の上流は道も無くなり沢の中を歩くことになるのですが、何度もきているので大丈夫大丈夫と思って上流部へ下ってみると。
なんか様子が変です。
V字の狭い谷の沢には角張った花崗岩(かこうがん)の岩が転がっていたはずなのですが、花崗岩の岩盤がむき出しになっています。
足を滑らさないように気をつけながら水が流れる岩盤の上を歩いて行くと、「道」がなくなっています。
モミジ谷の上流は岩盤が飛び出し小さな滝がいくつもあるのですが、そこに流木と岩が絡んで谷を塞いでいます。
水は流木の隙間を流れているのでダムにはなっていませんが、道は完全に断ち切られています。
台風18号の影響です。

流木で塞がれてしまったモミジ谷支流の小さな滝
流木に力を加えてきっちりと固定されていることを確認して、素早く降りていきます。
それを何度か繰り返し、冬に凍る第六堰堤(だいろくえんてい)があるモミジ谷本流との分岐に到着。
遠くから見るだけでも、まるで別のところに来たかのように風景が変わっているのがわかります。
ここは谷が広くなっているところで、岩の間から草や小さな木が生えていたり、ところどころに苔が生えていたりとモミジ谷らしいところでした。
それがまるで標高が高い山のように、白い花崗岩の岩が川原を埋め尽くしていました。

花崗岩の河原に変わってしまった支流から見たモミジ谷本流との分岐点

木々に覆われていた下流から見たモミジ谷本流支流の分岐点(2012年)
上の写真は左側の支流から見たものです。
ここからガンドガコバ林道に合流するまで5つの堰堤があります。
堰堤は大雨などで土石流がおきたときにその被害を減らすため、土石や流木を塞き止めて量を減らすことが目的。
そのため堰堤の上は土砂がたまってちょっとした広場のようになっています。
そこには様々な木や草が生え、時にはコケに覆われ、モミジ谷独特の風景を作り出していました。
しかしどの堰堤の上も草はもちろん多くの木が流され、代わりに白い花崗岩と倒木が絡み合ったまま横たわるだけ。
どこにも今までのモミジ谷の風景は残っていません。

石だらけになってしまった第4堰堤の上

もとはこんなに草と木に覆われていた第4堰堤の上(2012年)
上は上流から下流に向かって下は下流から上流に向かって
金剛山のモミジ谷は六甲山のトエンティクロスよりも多くの沢渡を繰り返すのですが、所々で道が崩れ、川の流れも変わって、沢を渡るどころか沢の中を歩かなければならないところも出てきます。
台風18号は近畿のあちこちで大きな水による被害を出しましたが、その爪あとは金剛山にもくっきりと残っていました。
堰堤は人間が作ったもの。
堰堤によってつくりだされたモミジ谷の風景は、人間と川の流れによって作られたもの。
しかも氾濫する川の上に作られた儚(はかな)い自然。
しかしそういう場所にも、そういう場所だからこそ育つ植物があります。
モミジ谷の堰堤の風景は一度リセットされてしまいましたが、次はどのような形で自然が育っていくのかを楽しみにしていこうと思います。

- 関連記事
-
- 黄色い巨鳥で狭山池の鳥たちがかわっていく? (2016/04/20)
- 金剛山のモミジ谷の堰堤ビオトープの更新 (2013/11/09)
- 九頭竜川と氾濫といきもの (2013/10/22)
スポンサーサイト
タグ: モミジ谷(金剛山) 金剛山 川のビオトープ ビオトープ 台風 台風18号(2013) モミジ谷遷移
