【 2022年01月】

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虎って象形文字なの?

 2022年寅年はトラの年。
 トラは漢字で虎。


 漢字には様々な作り方があります。
 よく言われるのが象形文字。
 物の形をかたどってその意味を表した漢字。
 虎も象形文字。
 でも、正直、「虎」はトラに見えません。
 そこで「虎」のルーツをざっくりたどってみました。

 書道の手本にされる王羲之(おうぎし)の時代。
 今からおよそ1700年前の魏晋南北朝(ぎしんなんぼくちょう)の中国。
 それより遡ること500年ほど前の秦(しん)の時代。
 そのころの虎がこれ。

乕

 今の「虎」の面影がありますが、俗字の「乕」のほうが似ているように感じます。


 さらに秦よりまえの春秋戦国時代の虎。

虎

 秦の時代のトラの雰囲気がありますが、文字というより線画のようです。

 さらにさかのぼって殷周(いんしゅう)時代。
 甲骨文字が使われていた時代です。

トラ

 このころの「虎」の字はは四足で口が大きく尾の長い動物を表しているものがいくつもあります。
 そのなかでももっともトラっぽい文字を選びました。
 牙のある大きな口、鋭い爪を持った足、背中の湾曲は体がしなやかなネコ科のよう、その先のしなやかな長い尾、そして体の縞模様。
 トラの象形文字です。

 文字というよりほとんど線画ですが、曲線があるので亀の甲羅に掘られた甲骨文字ではないでしょうが、古い文字です。
 最も古い漢字と言われる甲骨文字の象形文字でも簡略化されていますので、この虎はわかりやすい方になると思います。

 殷周時代の虎から春秋戦国時代の虎をみると、ぜんぜん違うように見えます。
 でも、殷周時代の虎の顔を逆に向け、後足を前足の方へずらしていくと、春秋戦国時代の虎のようになります。

 たしかに虎は象形文字です。

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タグ: 象形文字説文解字漢字

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そしてトラや大きな動物は消えていった

 実は、日本に住んでいたトラ
 でも日本の歴史が始まるより前にいなくなってしまいました。

アムールトラ〈天王寺動物園〉
アムールトラ

 トラがいた頃は、今よりも寒くて海面が下がり大陸と地続きだったときもあり、大きなシカやゾウもいました。
 でも、そういった大きな動物は日本にはいなくなりました。

 地球が暖かくなり、海水面が高くなり、平地も少なくなり、草原が森林に変わり、大きな草食動物が生きていけなくなった。
 そして大きな草食動物を食べる大きな肉食動物もいなくなった。
 と言われますが、トラは平原ではなく森に住みます。
 草原の森林化では説明ができません。

ヤベオオツノジカ(1万2千年前頃まで)の生態復元
ナウマンゾウ(1万5000年前頃まで)の生態復元
〈大阪市立自然史博物館〉
ヤベオオツノジカとナウマンゾウ

 トラ以外にもヒョウやオオヤマネコなどネコ科の動物が住んでいましたが、沖縄県西表島のイリオモテヤマネコと、長崎県対馬のツシマヤマネコ以外いなくなってしまいました。
 一斉に滅んだわけではありませんが、縄文時代がはじまりましたので、温暖化による環境の変化で数が減ったところへ、人間の活動がダメ押しをしたのかもしれません。

 ただ、同じ食肉目でネコ科に近縁のイヌ科の動物は、オオカミ、タヌキ、キツネと3種も生き残りました。
 大型の食肉目のクマも生き残りました。
 オオカミもクマも森が住処。
 単独行動が基本でトラとは食べ物があまり被らない雑食性のクマはともかく、集団で狩りを行うオオカミは、トラには最大のライバルだったのかもしれません。

更完境界絶滅(仮)を乗り越えたのに
明治になって絶滅してしまったニホンオオカミ
〈和歌山県立自然博物館〉
ニホンオオカミ

 生き物がなぜ絶滅したのか。
 その理由を見つけるのは本当に難しい。

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タグ: トラ十二支アムールトラヤベオオツノジカナウマンゾウニホンオオカミ

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日本在来の動物で一番トラなのは?

 2022年は寅年。
 トラ年。

 本来は動物とは関係がなかったのですが、干支が広がっていく過程でわかりやすいように動物が当てられるようになり、今に至ります。
 中国発祥ですので日本には住んでいなかったり日本風に変わっていたりする動物もあります。

 その一つが、今年のトラ。

アムールトラ〈天王寺動物園〉

 トラがネコの仲間なのはよく知られていると思います。
 分類でトラは。
  食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ヒョウ亜科 ヒョウ属
 ネコは。
  食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ネコ属
 亜科から分かれています。
 それどころか、「トラ」は分類では現れてきません。
 ヒョウ属だったのです。

ネコ科
亜科 ヒョウ亜科 ネコ亜科
ヒョウ属     ベンガルヤマネコ属 ネコ属   オオヤマネコ属  
ライオン トラ ベンガルヤマネコ イエネコ オオヤマネコ
亜種 ツシマヤマネコ イリオモテヤマネコ

 今の日本には、在来種としてのトラは住んでいません。
 しかし、大昔にはトラは住んでいました。
 ただ、それは日本の歴史が始まるはるか前。

 「歴史」は、本来、文字による人間の活動の記録のこと。
 つまり、日本の場合は奈良時代かせいぜい古墳時代、無理して弥生時代後期でしょうか。
 文書には日本にトラがいたことが記録されていないようなので、日本の歴史が始まるころにはもうトラが住んでいたことは忘れ去られていたようです。

トラ 下顎骨・上顎骨
山口県 中期更新世(13万~180万年前)
大阪市立自然史博物館〈氷河時代展(終了しています)〉

トラ 左第5中手骨
岐阜県 後期更新世(1万2千~13万年前)
大阪市立自然史博物館〈氷河時代展(終了しています)〉

 1万年以上前にはトラ以外にもヒョウやオオヤマネコなどネコ科の動物が住んでいました。
 それが、沖縄県西表島のイリオモテヤマネコと、長崎県対馬のツシマヤマネコ以外日本からいなくなってしまいました。

ツシマヤマネコ〈京都市動物園〉

イリオモテヤマネコ〈国立科学博物館〉

 ということで、現在の日本の在来種でもっともトラに近いのは、イリオモテヤマネコと、ツシマヤマネコ。

トラ

Panthera tigris
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ヒョウ亜科 ヒョウ属

ツシマヤマネコ
対馬山猫
Prionailurus bengalensis euptilurus
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ベンガルヤマネコ属 種ベンガルヤマネコ
ベンガルヤマネコの亜種アムールヤマネコの日本在来種の名

イリオモテヤマネコ
西表山猫
Prionailurus bengalensis iriomotensis
食肉目 ネコ型亜目 ネコ科 ネコ亜科 ベンガルヤマネコ属 種ベンガルヤマネコ
ベンガルヤマネコの日本固有亜種

ベンガルヤマネコ〈天王寺動物園〉

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