虎って象形文字なの?
2022年寅年はトラの年。
トラは漢字で虎。
漢字には様々な作り方があります。
よく言われるのが象形文字。
物の形をかたどってその意味を表した漢字。
虎も象形文字。
でも、正直、「虎」はトラに見えません。
そこで「虎」のルーツをざっくりたどってみました。
書道の手本にされる王羲之(おうぎし)の時代。
今からおよそ1700年前の魏晋南北朝(ぎしんなんぼくちょう)の中国。
それより遡ること500年ほど前の秦(しん)の時代。
そのころの虎がこれ。

今の「虎」の面影がありますが、俗字の「乕」のほうが似ているように感じます。
さらに秦よりまえの春秋戦国時代の虎。

秦の時代のトラの雰囲気がありますが、文字というより線画のようです。
さらにさかのぼって殷周(いんしゅう)時代。
甲骨文字が使われていた時代です。

このころの「虎」の字はは四足で口が大きく尾の長い動物を表しているものがいくつもあります。
そのなかでももっともトラっぽい文字を選びました。
牙のある大きな口、鋭い爪を持った足、背中の湾曲は体がしなやかなネコ科のよう、その先のしなやかな長い尾、そして体の縞模様。
トラの象形文字です。
文字というよりほとんど線画ですが、曲線があるので亀の甲羅に掘られた甲骨文字ではないでしょうが、古い文字です。
最も古い漢字と言われる甲骨文字の象形文字でも簡略化されていますので、この虎はわかりやすい方になると思います。
殷周時代の虎から春秋戦国時代の虎をみると、ぜんぜん違うように見えます。
でも、殷周時代の虎の顔を逆に向け、後足を前足の方へずらしていくと、春秋戦国時代の虎のようになります。
たしかに虎は象形文字です。

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