知るからはじめる外来生物~未来へつなぐ地域の自然~〈大阪市立自然史博物館〉ネコはなにもの?
あと残り2日になった大阪市立自然史博物館の外来生物展。
いろいろな外来生物について展示されています。

その下のノネコ

総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)の緊急対策外来種にノネコ(イエネコの野生化したもの)として指定されいている、ネコ。
身近な生き物なのに外来生物展ではちょっと地味です。
展示場所は入口から見える「3.大阪の外来生物」なんですが、解説板の縁の色が大阪の外来生物の茶色ではなく、最後の「8.外来生物とのつき合い方」のピンク色。
そして標本もなく、文字中心のパネルが数枚。
身近な生き物なのに、地味。
なんかヘン。
でも、なんとなくわかります。

簡単にネコについて説明すると、本来地球上に存在しなかった人間が作り出した生き物です。
といっても、遺伝子操作やクローン技術などではなく、人間にとって役に立つヤマネコを育て交配させてを繰り返し、とんでもない時間をかけて作り出したと考えられています。
日本にも様々なネコの仲間が住んでいましたが、歴史がはじまるころ、つまりには記録が残るようになったころにはヤマネコが対馬と西表島にかろうじて残るだけに。
今、日本にいるネコは国外から持ち込まれたものの子孫になります。
外来種です。
ネコのすべてが問題を起こすのではなく、問題となるのは人間の管理からはずれたネコ。
家の中で飼われているネコ以外のネコです。
たとえば、毎日夕方餌やりをしているネコも管理から外れたネコ。
なぜなら、餌を食べるとき以外人間の管理を受けていないからです。
その間は何をしているのかまったくわかりません。
そういったネコは「野良猫」や「ノネコ」と呼ばれますが、外来生物展では「ノネコ」で統一されています。

ノネコが起こす問題は、おそらく日本中の多くの人間が集まって住む地域での普遍的な問題かもしれませんし、野生動物の生息を脅かすこともあると言われています。
本来ならもっとスペースを割いて詳しくやるべきことだと思います。
しかし「5.日本の島の外来生物問題」でもパネル1枚だけ。
違和感があります。
でも、なんとなくわかります。

「5.日本の島の外来生物問題」の「島のノネコ対策」のパネルに書かれています。
「ノネコを殺さずに在来生態系を守ろうと、さまざまな関係者が一緒に進めているのが特徴です」
そしてこうしめくくられています。
「その対策は、飼い猫の適正な飼育の推奨と、ノネコを捕獲・不妊化して島から連れ出すことからなります。ネコの飼育施設を確保したり、引取先を見つけるのは簡単ではありません。関係者の努力が続いています。」
害があるときには駆除が前提となっている多くの外来生物とちがい、ネコは特別なようです。
なんとなくわかります。
■参考外部リンク■
知るからはじめる外来生物|大阪市立自然史博物館 #外来生物展
大阪市立自然史博物館
タグ: ネコ イエネコ ノネコ 野良猫 外来種 知るからはじめる外来生物 外来生物展 大阪市立自然史博物館

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