今年も、大阪市立自然史博物館の夏の特別展の時期が来ました。
今年のテーマはキノコ。
「きのこ!キノコ!木の子!~きのこから眺める自然と暮らし~」。
キノコは2009年の「きのこの秘密」以来。
今回もブロガー招待で内覧会に行ってきました。
公園入口の看板
展示の中心となるのは、キノコの標本。
生物の標本というと、生きているときと色や姿がかわってしまい、専門家でないので見てもよくわかりません。
それが、展示されているキノコの標本は、まるで生きているように、とはさすがに言えませんが、少なくとも生きていたときの姿を概ね保ち、色もそれなりに残っているものも少なくありません。
変色し、生えているときの姿が想像できない押し花状態の植物標本とちがい、よくみるキノコっぽいものばかり。
それができたのはフリーズドライの技術で作られたから。
その方法は会場で説明されています。
大きなオニフスベの標本

キノコっぽいキノコいろいろな標本
会場に入ってすぐ、身近なキノコが展示されています。
「台所からはじめるきのこ観察」の「キッチンマイコロジー(台所菌類学)」。
スーパーでも簡単にキノコウォッチができます。
といいつつ、食用キノコは食べやすくするために品種改良されていたり、雑種になっていたりと、自然界とはまったくちがう環境で育ったり、図鑑に載っているのとちょっとちがいますが。
でも、キノコのことを知り、観察の練習をするにはもってこい。
何しろ年中手に入りますし、毒がありません。
スーパーの店頭に並ぶ状態で展示
展示はキノコ栽培の歴史、キノコの役割や植物との関係、もちろん標本にキノコそのものについてなどキノコに関係することがいろいろ。
今のところ唯一?の生体展示のアラキクラゲ

会期中にはマイタケとヤマブシタケが加わる予定
キノコ観察のポイント
キノコという傷みやすいものをいろいろな形で見ることができるのが、きのこ展。
模型もあります。
模型いろいろ
マツタケ

イボテングタケ

イカタケ

模型じゃなくて「ほんもの」の冬虫夏草

本来「冬虫夏草」はオオコウモリガの幼虫に寄生するキノコのことで
それ以外の虫に寄生するキノコは「虫草」
見て楽しいキノコ研究者の絵。
研究者が研究のためや図鑑のために描いたもの。
スーパーで売っているキノコは白とか茶色とかが多いですが、自然界のキノコは本当にいろいろ。
赤いのも黄色いのも紫色のもあり、色のバリエーションはとても豊富。
それを再現しています。
きれいなキノコを楽しむのもいいですし、キノコをもっと知りたい人には絵の描き方の参考になるかもしれません。
南方熊楠図譜

川村清一菌類図譜

本郷次男菌類図譜
きれいなキノコを見るのもいいし、キノコがどういう生き物か知ることもでき、キノコの観察の方法もわかる。
キノコが気になる人も、キノコのことをもっと知りたい人も、いろいろな人が楽しめる幅広いキノコ展。
「キッチンマイコロジー(台所菌類学)」は自由研究にも使えそうです。
そして解説書。
よく展覧会では展示物のカタログ的な『図録』が販売されますが、自然史博物館ではいつも「解説書」。
展示内容を解説するだけではなく、1冊の本として完結して読めるような作りになっています。
図録のように展示物がすべて載っているわけではありませんので、展示の一部と考えたほうがいいかもしれません。
キノコの説明から、キノコの観察の仕方、図鑑の使い方、顕微鏡での観察のしかた、標本の作り方などが載っています。
9年前の特別展の解説書が改訂され、ページ数も1.5倍になっていますので、前回買った人も要チェックでしょう。
■参考外部リンク■
きのこ!キノコ!木の子!~きのこから眺める自然と暮らし~|大阪市立自然史博物館
大阪市立自然史博物館
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冬虫夏草
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