【 2017年10月】

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〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

巨樹・古樹・老樹 その61 大阪府指定天然記念物の流谷八幡神社のいちょう

 大阪と和歌山の境にある紀見峠(きみとうげ)。
 熊野巡礼や高野山巡礼の道でした。
 その紀見峠から大阪側に下ったところに南海高野線の天見(あまみ)駅があります。
 そこから西に10分あまり行ったところに小さな神社があります。
 八幡神社(はちまんじんじゃ)。
 通称「流谷八幡神社(ながれたにはちまんじんじゃ)」。
 日本に44,000社あると言われる八幡宮の総本社、大分県宇佐市の宇佐神宮から神様が勧請された京都の石清水八幡宮からさらに神様が勧請されたのがこの八幡神社。
 創建は古く平安時代、1039年。

 その社殿の隣に大きなイチョウの木があります。

大阪府指定天然記念物の流谷八幡神社のいちょう(2017年8月)

 岩盤の上に立っているということで、太い根が地面の上をうねっています。
 そして幹からはイチョウの老木の特徴、枝のような乳が垂れ下がっています。


 老木らしく、葉の中央に切れ込みがありません。


 樹高は30メートル。
 これはイチョウが成長できる限界近い高さ。
 樹齢は、大阪府が設置した説明板では400年、河内長野市では700年。
 イチョウは中国原産の「生きた化石」で、日本に伝来した時期はわかりませんが、最も古い確認できる史料では15世紀ころといわれます。
 樹齢が700年だとすると、日本に伝来したころのイチョウかもしれません。
 しかし幹周りが5.5メートル。
 10メートルをこえるイチョウがあるということですから、400年のほうが信憑性がありそうです。
 どちらにしろ、樹齢は実際に切り倒して年輪を数えなければわかりませんし、それも多少の誤差は含んでいます。
 実年齢はどうであれ、巨木で老木なのはまちがいないでしょう。

 このイチョウは雌株。
 まだ青い銀杏がなっていました。


 これだけ大きいと、初冬の黄葉も見事でしょう。

巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木

■参考外部リンク■
『流谷八幡神社の大いちょう』 - ブログ | 河内長野市観光協会
樹木・大阪府の天然記念物(植物)概要 冊子15-18 [PDFファイル/874KB]

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タグ: 巨樹・古樹・老樹流谷八幡神社のいちょう大阪府天然記念物イチョウ八幡神社流谷八幡神社

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シロマダラはどこで死んだのか?

 金剛山の二河原辺(にがらべ)道に次いで、また死んでいるシロマダラと出会いました。
 大阪では準絶滅危惧種のヘビです。

この記事にはヘビの画像があります。


 その公園はこのブログにとって重要な生き物フィールドの一つ。
 里山に植林して作られ、端から端まで歩くと20分あまり結構広い上に起伏に富み、木々に覆われ遠くが見えないため、道に迷っている人によく出会います。
 低山の森を好むシロマダラがこの公園にいてもふしぎじゃないように思えます。


 頭から尾の先までの全長は30センチ足らず。


 後頭部が白いので子供。


 ヘビとしての形はきれいに残っていますが、体の所々の皮膚が破れ、中は骨と皮だけ。内蔵も筋肉もなく、ぺらぺら。
 おそらく、シデムシのような小型の肉食昆虫に食べられたのでしょう。


 しかし、見つけた場所が、ちょっと問題です。
 実は、この公園はちょっと変なところがあるのです。
 それは、ヘビが極端に少ないこと。
 何年も公園に通って蛇を見かけたのは、実は2回め。
 ずっと回数が少ない金剛山のほうがもっともっとヘビと出会っています。
 公園で働いている方に聞いても、見かける回数は極端に少ないようです。

 はっきりとした理由はわかりませんが、少ない原因の一つとして考えられるのは、カエルが極端に少ないこと。
 大小の池があり、森があり、周囲に田んぼがあるので、トノサマガエル、アマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、ヒキガエルなどがいても不思議はありません。
 しかし、公園で見かけるのは、外来種のウシガエルと、絶滅危惧種のニホンアカガエルのみという両極端。
 さらに、ネズミ類の姿も巣穴も見かけません。
 つまり、ヘビの食べ物になる生き物が極端に少ないのです。
 ですから、おのずとヘビも少なくなります。

ニホンアカガエル 大阪府レッドリスト 絶滅危惧II類(VU)

 なぜ、公園にカエルやネズミが極端に少ないのでしょうか。
 公園では動植物の調査が本格的に行われたことはないようですので、理由は想像するしかありません。
 想像できるもっとも単純な理由は、ネコ。
 公園にはノラネコがいます。
 総数はわかりませんが、決して少なくありません。
 捨てられたものとその子供と考えられています。
 公園の名前を書かないのも、捨て場として検索されにくくするため。

 それだけたくさんのネコは一体何を食べているのでしょう。
 禁止されている餌やりをする人もいますが、ただただ餌をおいているだけ。
 きっちりとネコを管理しているようには見えません。
 実際、カラスがネコを押しのけ食べているところを見たこともあります。
 常識的に考えれば、人間から食べ物がもらえない序列が低いネコがいるでしょう。
 そういったネコは何を食べるのか。
 それは公園にいるもの。
 飼い猫ばかり見ていると信じられないかもしれませんが、ネコはネズミや鳥はもちろん、カエルやヘビに昆虫も食べます。

 そんな公園ですから、シロマダラのような準絶滅危惧種のヘビがいることには、ちょっとびっくりしてしまいます。
 誰かが捨てた可能性もありますが、公園の入口から10分は歩かなければなりません。
 それにシロマダラは夜行性で、捕まえるのも簡単ではないでしょう。
 カラスがくわえてきたものをここに落としたことも考えられます。
 しかし、シロマダラがいそうな森は近くても1キロくらい離れています。
 やはり公園に住んでいると考えるのがもっとも納得がいきます。

 このシロマダラがどこに住んでいたのか、はっきりとしたことはわかりません。
 もし、この公園に住んでいたとするのなら、もっとヘビがたくさんいる環境になれば、いや戻れば、いいなと思います。

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タグ: シロマダラヘビノラネコノネコニホンアカガエル絶滅危惧種大阪NT

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アメリカタカサブロウ(あめりか高三郎)-下赤阪の棚田の植物

植物界 被子植物 双子葉類

アメリカタカサブロウ(あめりか高三郎)Eclipta alba

キク目 キク科 タカサブロウ属
一年草
南アメリカ原産
花期:9月~10月
痩果


2017年下旬

筒状花のまわりに舌状花という、キク科らしい花。

痩果には綿毛はありません。


アメリカタカサブロウ 2017年下旬

タカサブロウ? 2017年下旬

在来種のタカサブロウによく似ていますが、痩果に翼がありません。
翼があればタカサブロウ。

ほかにタカサブロウより葉が細長いと言われます。

植物界 被子植物 双子葉類

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タグ: アメリカタカサブロウ下赤阪の棚田下赤阪の棚田の植物白い花秋の花

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どうしてヤマカガシは死ななければならなかったのか?

 【どうしてシロマダラは死ななければならなかったのか?】で思い出したことがあります。

この記事にはヘビの画像があります。


 今年の5月。
 同じ金剛山。
 ニリンソウが咲くカトラ谷。
 登山道にヤマカガシが倒れていました。
 大阪では準絶滅危惧(NT)のヘビです。
 腹を見せ、わずかに頭を動かしていますが、もう虫の息。
 状況からみて、登山者に危害を加えられたようです。


 ヤマカガシは毒ヘビで、毒の強さはハブやマムシ以上。
 猛毒です。
 しかし、毒牙が口の奥にあり、相当深く噛まないと毒が注入されないので、昔は毒がないと思われていました。
 また、人に向かってくるようなこともなく、噛まれて毒が注入されるのは、意図的に捕まえようとしたときなど、かなり限られるようです。
 今年、小学生が噛まれて一時意識不明になりましたが、それもヤマカガシを捕まえようとしたためのようです。


 山でヤマカガシに出会うことはよくありますが、こちらに向かってきたことはなく、たいてい無視されるか、逃げていくかどちらか。
 殺す必要はまったくありません。

 このヤマカガシが危害を加えられた経緯はわかりません。
 ヤマカガシが向かってくるような不幸な出会いがあったのかもしれませんが、可能性は人間の方から危害を加えたほうが高いでしょう。
 そうだとしたら、残念です。

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秋の一瞬のちいさな小さな赤い花 ヨモギ

 ちょっと遅くなりましたが、9月末のヨモギの花。
 小さくで、キク科っぽくない花。
 ヨモギはどこにでもはえるような雑草ですが、目立たなく、花期も短いのでいつも見逃してしまいます。
 まあ、見逃して残念な花ではありませんが。


 キク科の花は、舌のような1枚に見える花びらがついた舌状花と、花弁がない筒状花の2種類の花が組み合わさって花の集まり(花序)を作ります。
 実は一つの花に見えていたのはいくつもの花の集まりだったのです。
 ヨモギは筒状花だけで、しかも数が少ないのでとても小さい「花」になってしまいます。


 キク科の花は大きいのから小さいのまでいろいろありますが、舌状花と筒状花の組み合わせでできます。
 両方あるの、片方しか無いの、大きいのや小さいの、色もいろいろ。
 花とは思えないほど地味なヨモギですが、キク科の花としてじっくり観察してみると、おもしろいかもしれません。


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枯葉色が秋らしい大蟷螂

この記事にはの画像があります。


 写して楽しい昆虫のひとつ、秋のカマキリ。
 なんといっても、カメラに目線をくれますから。


 今年の秋カマキリ。


 オオカマキリの褐色型メス。
 カメラを近付けても逃げません。


 なんか、ものすごく殺気立っていましたが、お腹が大きかったから?


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木の上のキセキレイはちょっとだけめずらしい?

 里山公園を歩いていると、ちょっと先で小さい鳥が飛び立ちました。
 キセキレイ?
 鳥が飛び込んだ木をそっとのぞくと、はたしてキセキレイです。


 キセキレイは、名前のように黄色いセキレイの仲間。
 セキレイというと、ハクセキレイセグロセキレイ
 ハクセキレイは白と黒と灰色、セグロセキレイは黒と白というモノトーンの鳥。
 キセキレイはハクセキレイやセグロセキレイよりちょっと小さく、お腹が黄色いのが特徴。


 そして2羽ペアで行動することが多いハクセキレイやセグロセキレイとちがい、いつも1羽。
 街中のアスファルトの上を走り回っているハクセキレイなどとちがいいつも水辺。
 それが、水辺から離れた開けた尾根道の木の枝にいます。
 水辺へ移る途中なのでしょう。
 ちょっとめずらしい? キセキレイでした。

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アオジソ (青紫蘇)-下赤阪の棚田の植物

 身近な野菜のはずですが、あまり意識されていないかもしれません。
 ましてや、花の色を知っている人も多くないでしょう。

植物界 被子植物 双子葉類

アオジソ (青紫蘇)Perilla frutescens var. crispa f. viridis

シソ目 シソ科 シソ属 種エゴマ 変種シソ 品種アオジソ
一年草
花期:8月~9月
分果
ヒマラヤ~ビルマ~中国中南部原産の園芸植物

刺し身の下によく敷かれている緑色の葉。
梅干しを自宅で漬けなくなった現在では、よく目にするシソと言ったらこちらかもしれません。

栽培品種とは思えないほど繁殖力旺盛で、手間もかからないのでよく野生化しています。

学名を見るとわかるように、なかなか複雑な関係です。
オイルが健康にいいと言われるエゴマ(Perilla frutescens)。
そのエゴマから少し特徴が変わった(変種)のがシソ(Perilla frutescens var. crispa)。
そのシソからさらにほんの少し特徴が変わっ(品種)たのがアオジソ(Perilla frutescens var. crispa f. viridis)です。

どう見ても「ミドリシソ」ですが、動植物名前の「青」はだいたい「緑」のことです。

植物界 被子植物 双子葉類

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地面の上を走り回るはずのオサムシがなぜかひっくりかえってじたばたしていました。

 黄金色に染まる秋の下赤阪の棚田。
 そこで出会った昆虫。

この記事にはの画像があります。


 ヤコンオサムシ。
 多分。
 オサムシの種類は多く、そして同じ種でも地域差があったりと難しい昆虫です。


 それでも、色が黒いこと、大阪にいること、背中(鞘翅)の鎖模様が3本ということで、ヤコンオサムシとしました。
 オサムシは肉食の甲虫ですが、後翅、つまり甲虫が飛ぶときに使う翅が退化し、飛ぶことができません。
 そのため、同じ地域の同じ種でも川を越えれば姿が変わると言われるほど多様性がある昆虫です。


 このオサムシ、なぜかすぐひっくり返ってジタバタしています。
 真っすぐ走れません。
 病気かな、と思いましたが、よく見るとお腹がパンパン。
 卵をたくさん抱えているのでしょう。


 しかし、オサムシ類の多くは成虫で越冬するようです。
 それから産卵は春から初夏。
 ということは、このお腹が膨れたオサムシは、何なのでしょうか。

 オサムシの習性の一つは夜行性。
 それが昼間の陽の光が当たるところに現れてくる。
 もしかして、寄生虫?
 でも、内部寄生の寄生虫が食べるのは体ですから、食べられる虫より大きくなるのはヘンです。
 ということは、オサムシが食べた栄養の横取り?

 それとも、大食漢のオサムシがたくさん食べすぎておなかがふくれただけなのでしょうか。
 謎です。

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言葉じゃなくて、グラフで表す変化で環境が見えてくる!『学んでみると生態学はおもしろい』伊勢 武史 著 ベレ出版 刊

生態学とは

 生態学とは、生物が環境から影響を受けたり、逆に生物が環境に影響を与えたりするという相互作用について研究する学問です。

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 生き物を扱うのですから、生物学でいいような気がしますが、生態学。
 生物学は、その名前のように特定の生き物について様々な角度で研究する学問。
 生態学は複数の生き物や、それらが生きている場所もひっくるめて考えます。
 生態学の魅力は、生き物がリアルに生きている様子が見えてくること。
 それも動物だけでなく、植物だけでもなく、生きていない地面や水や空気のことも見えてくることです。

生態学と「モデル化」

 生態学の本はいろいろありますが、この本の特徴は、グラフ。
 生態学は生物と環境の相互作用のこと。
 つまり、生物が変わると環境も変わる、環境が変わると生物も変わる。
 または、生物や環境が変わると、バランスを取って元に戻そうとする。
 ですから生態学は変化がつきもの。
 そういった変化をグラフでわかりやすくします。
 それが「モデル化」。

いろいろな木に覆われた山にはいろいろは生き物がいます(金剛山)

生き物の関係をグラフで表す

 数学や社会科学など一部の学問に馴染みのある人でなければ、グラフで生き物と環境の変化を読み取ると言われてもよくわからないかもしれません。
 確かに日常使うことのない数式がいっぱい出てきます。
 そういうときは「そういうもんなんだ」と途中は考えずに、グラフの変化が表す意味を考えましょう。
 本に出てくるグラフは単純なものなので、慣れてくると時間をかけて変化する自然の姿が見えてきます。
 それと同時に、変化行き着く先も。
 もちろん、現実には無数の要素が複雑に関係しあっているので、単純な未来予測はできませんが。

炭素循環

 全10章中9章目が環境と物質循環の話。
 話題の地球温暖化が深く関係する「炭素循環」
 地球温暖化を語るときには必須の知識ですが、意外と知らない人が多い言葉です。

 地球の物質は、地球ができたときから基本的にはかわっていません。
 それが場所と形を変えて地球の上をぐるぐる循環することで、いろいろな地形や生き物を作っています。
 問題の二酸化炭素も同じです。
 ただし、二酸化炭素の形でぐるぐるまわるのではありません。
 二酸化炭素は、酸素と炭素が化合したもの。
 その炭素の方に注目して、「炭素循環」と呼ばれます。

炭素循環と地球温暖化

 大気中の二酸化炭素が増えて地球が温暖化していると言われています。
 ですから大気中の二酸化炭素を減らし温暖化を防ぐために植物を植えよう!
 とよく言われます。
 はたして、それが正しいのか。
 それについてもモデル化して解説されています。

実は二酸化炭素発生源の火山(桜島)

植物の炭素の行方

 途中はぜひ本を読んで確認してほしいのですが、結果を言えばこんなかんじです(多分)。
 このブログで今までに書いたように、植物が蓄えた炭素は永遠ではありません。
 植物が死んで分解されれ、つまりカビや微生物に植物が食べられれば、二酸化炭素に戻ります。
 日本では、植物がたくわえた炭素は、ほぼ100%二酸化炭素に戻ります。
 ということで、植物は一時的に二酸化炭素をたくわえているだけ。
 ですから、地球科学では、植物に含まれる炭素は、大気中にあるものと同じとして考えられます。
 つまり、いくら植物を植えても、実質的には二酸化炭素は減ったことにはならないのです。

植物を植えると二酸化炭素が減っていくのか?

 ただ、植物がたくわえた二酸化炭素が大気中に戻るには時間がかかります。
 その間、地面が二酸化炭素を蓄えることになりますので、決して植物を植えることは無駄にはなりません。
 しかし地面は有限で、蓄えることができる炭素には限界があります。
 それに今問題になっているのは、地面の下深くにある化石燃料由来の二酸化炭素。
 植物伐採で増えた二酸化炭素ではありませんので、大気中の二酸化炭素を大きく減らすために植物を植えることは、現実的には、簡単にいえば、意味が無いことです。
 本ではこのようには書いていませんが。

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怒るのはまちがっている証拠

 大気中の二酸化炭素を減らすために植物を植えることは、無駄。
 というと、怒り出す人は少なくありません。
 自分が正しいと思いこんでいたことを否定されれば、気分を害することは不思議ではありません。
 しかし、地球環境は気分では守れません。
 論理的に考えられた理論的に正しいことをしなければ、守ることはできません。

たくさんの二酸化炭素を蓄えている海と石灰岩の大地(沖縄島)

 怒る暇があれば、自分の考えが正しいときっちりと説明すればいいだけの話。
 それができないのであれば、ただの思いこみだと言われても、しかたありません。
 このブログでいつも言っていることですが、自然は人間の都合や気持ちのことなど一切気にしていませんし、関係もありません。
 自然のことを考えない、理論の伴わない、自己満足(反論しないで怒ることが何よりの証拠)のための行為では、環境を守ることはできません。
 場合によっては、環境を悪くするかもしれません。

 この本にもこう書かれています。
本当に効果的で広く社会に受け入れられる環境保護は、自己満足だけではなく理論的に正しくなければならないと思っています。感情を害してしまったら、ごめんなさい。

■参考外部リンク■
学んでみると生態学はおもしろい|書籍案内|ベレ出版

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フィールドワーカーのノートが生き物たちとの出会いを書いています。

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