恐竜の魅力は人それぞれと思います。
なんとなく怪獣を彷彿させる姿がいいという人は多いような気がしますが、恐竜の面白い所の一つには、生き物としての限界への挑戦があります。
それは、大きさへの挑戦。
恐竜が怪獣でない理由の一つです。
怪獣、たとえばゴジラ。
最初は身長55メートル。
その後増減をしながら最新作では118.5メートル。
謎の熱線やら光線やらを出すのはともかく、この身長は怪獣の証です。
なぜなら、動物が陸上でこの高さになるまで成長することは不可能だから。
ティラノサウルス生体復元
核実験でゴジラになるゴジラサウルスはこんな感じ
ちなみに実際にゴジラサウルスという恐竜はいます
体が大きいということは、もちろん体重も重くなります。
わかりやすいよう四角い立方体の生き物だとしてます。
高さが2倍になると幅も2倍、奥行きも2倍。
ということで、体積は2倍の2倍の2倍で8倍になります。
体積が8倍ということは、重さも8倍。
ところが、地面に接しているところは2倍の幅と2倍の奥行しかないので、4倍。
つまり、8倍になった体重を支える面積はたった4倍にしかならないので、底で支える重さは2倍になるのです。
ディプロドクスの足の裏!
仮にゴジラが立ち上がったヒグマと同じような体だとします。
すると身長90メートルのゴジラだったら、体長3メートルのヒグマの体重の30×30×30の27,000倍。
足の裏で支える重さは30倍。
簡単にいえば、足を30倍丈夫にしなければならないということです。
生き物の足を30倍丈夫にするなんて、どうすればいいのかちょっと想像もできません。
だからゴジラは怪獣なのです(ほかにもいっぱい理由はありますが)。
クマではなくて巨大ナマケモノのパラミロドン
怪獣のように生き物が体を大きくするというのは、それだけ難しいのです。
それに果敢に挑んだ現実の生き物が、恐竜なのです。
たとえば最大の恐竜と言われるアンフィコエリアス。
全長58m。
体高9.2m。
半身展示されているヨーロッパ最大のトゥリアサウルスなら。
全長30m。
体高5.5m。
前半身だけでもでっかい!トゥリアサウルス
アンフィコエリアスなら全長は初期のゴジラの身長を超えています。
怪獣です!?
いやいや、怪獣ではありません。
恐竜の全長は、口の先から尻尾の先までを真っすぐ伸ばした長さ。
現在恐竜は頭から尾を水平にしていたと考えられていますので、恐竜の高さ(体高)ではありません。
アンフィコエリアスの場合は高さが10メートルたらず。
ゴジラよりずっと小さい。
でも、現在最大の陸上動物と言われるアフリカゾウの高さが3mあまりですから、陸上動物としてはとんでもない高さです。
そういう意味では、怪獣の域かもしれません。
肩の高さ(肩高)3.8mとアフリカゾウより大きいコウガゾウ
しかし恐竜は怪獣ではなく、現実の生き物。
ゾウより大きくなるには、ゾウにはない秘密があります。
たとえば隙間を多くして軽量化した骨、とても呼吸の効率がいい気嚢を持った肺。気嚢は軽量化の役に立っています。
その他、大きな体を維持するために大量の植物をとにかく噛まずに飲み込む。
さらに長くした首を動かすだけで体を移動しなくても(体力の消耗を最小限にして)広い範囲をどんどん食べていく。
それらがパネルで次々と説明されます。
ほかにもなぜここまで巨大化しなければならなかったのかや、巨大化のメリットとデメリットなど、幅広い解説も。
それを絵や写真ではなく、巨大な恐竜の骨格を見ながら、読んでいくことができます。
巨大恐竜のまとめパネル
そして、ショップでは公式図録。
図録というと、展示物のカタログ的なものをイメージするかもしれませんが、これはちがいます。
一応、展示されているものもほとんどの画像が載っていますが、むしろ読み物。
恐竜巨大化のパネルの内容が、読みやすくまとめられています。
今までの例からでも、一般書店では販売されないでしょうから(自然史博物館のショップやジュンク堂書店なんば店では棚に並ぶかもしれませんが)、恐竜巨大化の謎に興味を持った方にはおすすめです。
そして、図録では、基本的に一つの展示物には一つの写真ですので、気になった恐竜、気になった骨は写真を撮ることをおすすめ。
フラッシュや三脚の使用、動画の撮影は禁止されていますが、それ以外は「撮影歓迎」になっています。
■参考外部リンク■
メガ恐竜展2017-巨大化の謎にせまる- 大阪開催【公式サイト】
大阪市立自然史博物館
タグ:
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