【 2017年07月】

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銀竜草のタネをまいている動物発見記念

 先日、熊本大学からすごい研究が発表されました。

この記事にはの画像があります。


 このブログでもよく紹介しているギンリョウソウについてです。
 ギンリョウソウ(銀竜草)はツツジ科の多年草ですが、梅雨の間だけに現れる真っ白な植物。
 梅雨の間というのは、山の話で、平地ならもうちょっと早くなるでしょう。

真っ白なギンリョウソウ
ギンリョウソウ

 真っ白の植物ということは、光合成をしないということ。
 栄養は他からもらっているということ。
 つまり、寄生植物。
 といっても、地下に張り巡らされたベニタケ科の菌類の菌糸ネットワークから栄養をもらっているという、なかなか変わった植物です。

 そのギンリョウソウがタネをどうやってばらまいているかがわからなかったのです。
 タネをどのようにばらまくかは、植物にとってとても大切なこと。
 できるだけ遠くにばらまけるほうが広がることができますし、同じ仲間とも競争にもなりにくい。
 でも、そこが育つのに適さないところだと意味がありません。
 離れることと、育ちやすいところへ行くこと。
 それを叶えるために植物はいろいろな方法を使っています。

壺型の花はツツジ科らしい?
花

 たとえば、キク科植物の一部は、小さなタネにふわふわの綿毛を付け、風を利用して遠くへ飛んでいくタネをたくさんつくります。
 カキはタネが完成すると甘く熟した実を落としてタヌキなどにタネごと食べてもらい、離れた場所で糞として落としてもらいます。
 ヤマハゼのようにトリに食べてもらってもっと遠くへ運んでもらうタネもあります。
 羽をつけてとんでいくものもあれば、そのまま地面に落ちるタネもあります。

 ギンリョウソウがどの方法を使っているのかがわかったのです。
 ギンリョウソウの実の種類は液果。
 液果というのは、種の周りを汁気が多い果肉が覆っている実のこと。
 果物として食べられるものに多いタイプ。
 それもそのはず、液果は食べられることを前提にした実なのです。
 もちろん例外もありますが。

熟すと下を向く実 果実

 ギンリョウソウは、昆虫に食べられてタネを運んでいたのです。
 これはとてもすごいことです。
 昆虫が植物の実を食べることはよくありますが、飲み込んだタネをばらまくという例はほとんどありません。
 それもそのはず、昆虫の小さな体の細い消化管の中を通り抜けることができるタネは一体どれだけの大きさか。
 ギンリョウソウのタネの長さは0.3ミリ。もう、ホコリのようなものです。
 こんな大きさなら、昆虫の体の中を通り抜けることもできるでしょう。
 しかしホコリのようなタネというのは、芽を出して育つ栄養が少ないか、ほとんどないということ。
 それにギンリョウソウは光合成をしないので、タネの近くに寄生する菌糸がなければどうにもならないでしょう。
 つまり、菌糸の近くに連れて行ってくれる昆虫です。

 その昆虫は。
 ゴキブリ!
 ただし、あまり馴染みのないゴキブリ。普通の人にとっては。
 名前はモリチャバネゴキブリ
 チャバネゴキブリではありません。モリ+チャバネゴキブリ。
 名前のように、森や林の落ち葉の下にいるゴキブリです。
 落ち葉の下、菌糸のあるかもしれないところで糞をするでしょう。

背中の黒い筋が「()」となっているのがモリチャバネゴキブリ
モリチャバネゴキブリ
チャバネゴキブリは「||

 ギンリョウソウが世界で唯一ゴキブリにタネを食べて運んでもらう植物。
 そして、世界で3番めにみつかった昆虫に実を食べさせてタネをはこんでもらう植物。
 そんなすごい植物が身近にあるとは思ってもいませんでした。

モリチャバネゴキブリの幼虫
幼虫

 ギンリョウソウのタネを運ぶモリチャバネゴキブリは、落葉が積もった森や林があれば、どこにでもいるような普通の昆虫。
 ベニタケ科のキノコもそれほど珍しいとは思いません。
 でもギンリョウソウはどこにでも、というわけではありません。
 モリチャバネゴキブリとベニタケ科の菌類の力だけではギンリョウソウは生えないようです。
 ギンリョウソウの別名は幽霊茸。
 その名前のように、思わぬところでひょっこり出会うちょっと不思議な植物です。

■参考外部リンク■
世界初! ゴキブリに種子を散布してもらう植物を発見 - 熊本大学

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タグ: ギンリョウソウモリチャバネゴキブリ種子散布

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旅するトンボがやってきました! 薄羽黄蜻蛉

 7月半ば。
 今年もウスバキトンボがやってきました。
 場所はネタの宝庫、錦織公園。


 ウスバキトンボは南方生まれの旅するトンボ。
 旅の途中で世代交代しながら北上してきます。
 しかし、到達した北の世界では冬を越せない片道切符。
 不思議ですが、多分、1万年くらいは続けていると思いますので、これでも絶滅しない方策をもっているのでしょう。

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タグ: ウスバキトンボ夏の虫錦織公園の虫錦織公園

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かんちがいしていた虫は、実は激レア虫だった?

 数年前の画像を見ていると、ちょっと変わったワラジムシを見つけました。
 錦織公園で移した画像です。
 薄い小豆色で、背中の中央に白い筋、その左右に白い模様があります。
 ちょっと変わったヤマトサトワラジムシと思っていました。

この記事にはの画像があります。


 しかし拡大して見てみると、ワラジムシ特有のお尻から伸びた触角のような1対の尾肢(びし)がありません。
 ということは、ワラジムシじゃなくて、ダンゴムシ?!


 ダンゴムシと言うにはちょっと平たい感じまします。
 それに背中を覆う装甲の背板の縁がちょっと外側に反っているように見えます。
 ですから、見た目はワラジムシ。
 でも尾肢がない。
 やっぱりダンゴムシ。


 ということで、探してみてみつかったのが、ハナダカダンゴムシ。
 微妙に背板の模様がちがうようですが、変異が多いらしいのでちがうとは言い切れません。
 なのでハナダカダンゴムシ(仮)のようです。

 このハナダカダンゴムシは、結構レアなダンゴムシなのです。
 神戸と横浜の一部でしか見つかっていないようです。
 ということは、超絶滅危惧種?
 といいたいところですが、数百キロ離れたふたつの都市、それも世界的港湾都市。
 つまり、最近入ってきた外来種です。
 ヨーロッパ原産の。


 調べてみると、神戸と横浜から徐々に広がっているようですが、それが大阪の南東にある錦織公園まで?
 大阪を縱橫断したようなもの。
 ということは、途中のいろんなところにもいるはず。
 どうなのか、気になります。

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タグ: ハナダカダンゴムシダンゴムシ等脚類錦織公園

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巨樹・古樹・老樹 その58 金剛山の夫婦杉 其ノ貮

 巨樹・古樹・老樹の一番最初が金剛山の夫婦杉
 それから5年。
 今はどうなっているでしょうか。

金剛山の夫婦杉(2017年5月)

 雪がうっすら積もった冬の夫婦杉でしたが、今回は新緑の季節の夫婦杉。


 これだけ長い間生きてきた杉ですから、5年ほどで大きな変化は無いでしょう。
 それでもよく見ると下の枝の形が変わっているようにも。
 写す角度も場所もちがいますから単純にはいえません。
 でも、この5年間で大きな変化が起きるようなことはなかったようです。

巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木

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タグ: 巨樹・古樹・老樹夫婦杉金剛山のスギ金剛山の植物金剛山

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第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」瀬戸内海の“いろいろ”な“もの”がいっぱい!〈大阪市立自然史博物館〉

 大阪市立自然史博物館の2017年の夏の特別展が始まりました。
 第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ-生き物のにぎわいとその恵み-」。
 大和川、淀川大阪湾ときて、瀬戸内海です。
 ということは、次は太平洋?!

いつもの予告付

 閑話休題。
 瀬戸内海は太平洋と日本海に通じる海ですが、それぞれ狭い海峡で隔てられていて、日本ではここだけにしか無い個性的な海です。
 大阪自然史博物館は瀬戸内海沿岸の博物館や水族館と連携して観察会や調査会を行い、様々な情報や標本を蓄積してきました。
 その成果が展示されています。

瀬戸内海の地図

特別展では大阪湾から福岡県・大分県までの帯状の部分が瀬戸内海

 会場は「瀬戸内海の自然」「瀬戸内海の漁業」「消えた風景」「抱える問題と解決に向けて」「瀬戸内海を調べよう」の5つのテーマに分かれています。
 見ての通り真ん中の3つは人間が関わる民俗学的なテーマで、そういう展示もたくさんあります。
 自然史の博物館としてはちょっと意外な感じもしますが、それだけ瀬戸内海は人々の生活と密着しているということなのでしょう。

瀬戸内海の立体地図

深さ高さが誇張されていますが海の深さのほうがより誇張されています

「瀬戸内海の自然」

 展示スペースが一番広くて、展示内容も多岐にわたり、地質と動植物の標本がいっぱい!
 ですが、意外と瀬戸内海の固有種はいないようです。
 それもそのはず、たった2万年前(地質学的には)は陸地で川が流れていました。
 2万年程度じゃ固有種が生まれるのはちょっと難しそうです。
 残念。

2万年前の「瀬戸内海」

水色が今の瀬戸内海 白いところが当時の海 紫の線が当時の川

鯨の骨格標本シリーズ第三弾のオスのザトウクジラ 名前を募集中

ナガスクジラの「ナガスケ」 マッコウクジラの「マツコ」 じゃあ「さとうくん」?

明治時代の瀬戸内海にあった捕鯨会社のモリ

瀬戸内海には大きなクジラも迷い込みますが
住みついているのはイルカと変わらない大きさのスナメリだけ
その他いろいろあって続かなかったようです

コカスリウスバカゲロウの巨大模型!

物凄くリアルで今にも動き出しそう!

大分県杵築湾のカブトガニ

「瀬戸内海の漁業」と「消えた風景と抱える問題」と「解決に向けて」

 これは人間と瀬戸内海の関わりで、様々な漁具など自然史からちょっと離れた展示がでてきます。
 瀬戸内海がいかに人間の生活と密接に関係していたのかがわかります。

タコツボいろいろ

「瀬戸内海を調べよう」

 これも人間の活動ですから民俗学的にも思えますが、視点はその成果ですから、自然科学の領域ですね。
 おどろいたいのは、瀬戸内海の最も最初の学術的な調査は、イギリスのチャレンジャー号だったこと。
 チャレンジャー号は、今からおよそ140年前に世界中で学術的海洋調査を行ったイギリスの海洋調査船です。
 その調査報告書や、記載された生き物の標本なども展示されています。

チャレンジャー号探検航海調査報告書

 大阪に住んでいると淡路島より西側の瀬戸内海は、身近でちょっと遠い海だったのですが、そこには思っていなかったドラマがたくさんあることがわかりました。
 自然史の博物館らしく瀬戸内海の生き物のことだけでなく、瀬戸内海の生き物と人間の関係もわかるおもしろい特別展でした。
 展示内容の幅が広いだけに、見る視点を変えると夏休みの自由研究のネタがたくさん!

■参考外部リンク■
第48回特別展 瀬戸内海の自然を楽しむ~生き物のにぎわいとその恵み~
大阪市立自然史博物館

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タグ: 瀬戸内海の自然を楽しむ48th-setonaikai大阪市立自然史博物館瀬戸内海ザトウクジラ捕鯨会社コカスリウスバカゲロウカブトガニタコツボチャレンジャー号

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公園ネコを考える7 餌付けってなにか考えてみることにしました。その2環境への影響を考える

 公園ネコ問題でおそらくもっとも中心になること、餌付け。
 一般的に「餌付けはダメ」といわれますが、どうしてか考えてみました。
 前回はまわりに住んでいる人への迷惑について。
 これはそもそも議論する必要のないことです。
 今回は自然環境への悪い影響について。
 こちらについては、ちょっとややこしそうです。

これまでの【公園ネコを考える】
【ノラネコについて考えてみることにしました。】
まとめ1【ネコの分類について】
まとめ2【ネコの生態について】
まとめ3【ネコと餌付について】

いきものが生きていける限界

 そもそも生き物は、その環境によって生きていける数というのは限りがあります。
 食べ物であったり、住むところであったり、動きまわるところ、同じ種類の生き物の数、そして種類の数。
 それらが複雑に関係し合って単純に表すことはできませんが、全体でその場所が支えることができる生き物の「量」には限界があります。


 もちろん、バランスは生き物の生きることすべてに関係します。
 生き物は例外なく、生まれて死んでいきます。
 その間に“食べ”、そして“排泄”します。
 遺体も排泄物もほかの生き物の糧になり、いずれなくなります。
 動物が増えすぎるるということは、たとえば糞が増えすぎ、糞を分解してできる成分が増えることになります。
 場合によっては分解されずに溜まっていくことにもなります。
 つまり、今まではなくなっていたものがどんどん溜まっていってしまうのです。 
 そうすると、環境が変わってしまい、今まで生活していた生き物が、生きられなくなります。

限界を超えてしまうと

 そうです。
 餌付けが行き過ぎると、限界を超える生き物が集まり、たとえば糞がおとされ、環境が変わってしまう(悪くなってしまう)のです。
 そうなれば、そこに住む生き物がいなくなり、今までいなかった別の生き物が住むようになります。
 冬にやってくる水鳥に餌付けをして増やしてしまった結果、その糞で水が富栄養化して環境が変化、もとからそこに住んでいた生き物が少なくなった池もあります。
 限度を超えた餌付けは、多くの生き物に、別の言葉を使えば環境にダメージを与えてしまうのです。

ネコと限界

 そして猫について。
 住宅街から離れた大きな自然公園で餌付けをしたとします。
 周りに人は住んでいませんので、周辺住民に対しての被害はないでしょう。 
 しかし、餌を求めて猫が集まり、またそういう場所なら捨てる人も少なくないでしょう。
 数が増えれば序列が下の猫は餌が足りなくなり、そこに住むトリやネズミやカエルなど小動物を食べます。
 過剰に猫が増えると、そういった小動物が減ってしまいます。
 そもそもネコの先祖となるヤマネコの行動範囲は、およそ2平方キロ。甲子園球場52個分、東京ドームなら43個分。
 餌付けでネコが集まった状態では、明らかに過密。
 環境の限界を超え、バランスが崩れて当然です。

イエネコと同じネコ属のボブキャット(神戸市立王子動物園)

見えなくてもたくさんいます

 目に見えないだけで、生き物はそこら中にたくさんいます。
 多種多様な無数の生き物たちが複雑に関係し合って生きているのが環境。
 見えない生き物たちのことも、考えなければなりません。
 視野が狭くなった蝶の保護をしている専門家の話をしました。
 餌付けをする人は、その専門家と同じかもしれません。
 その専門家は、自分が好きな蝶のことしか見えていません。
 同じように餌付けをしている人は、餌をあげたい生き物のことしか見えていないのでしょう。

ネコが入る余地は?

 ノラネコはそれほど環境に影響を与えないとする論文もあるそうです。
 しかし、現実問題として目に見えない無数の生き物が複雑に関係し合っている環境で、ネコがいいる時といない時の差を明確にすることは、事実上不可能でしょう。
 ただ、確実に言えることは、ネコは人間がつくりだした自然界に存在しなかった生き物だということ。
 仮に野生種のヤマネコとしたところで、日本のほとんどの地域では、日本に文明が現れるより昔に絶滅してしまった生き物です。
 つまり、日本の自然環境のほとんどはネコ無しで成立していました。
 ネコが入る余地は、本当はないのです。


自然保護・環境保護は人間の都合?

 猫好きの人にとっては悲しく、認めがたいことかもしれません。
 しかし、ネコは人間がつくりだした環境の中ではじめて居場所ができる特殊な動物(家畜)の一つなのが現実です。
 このブログでいつも書いているように、自然は人間の都合など一切関係ありません。
 感情で人間の都合を考えるとき、すでにそれば自然とは離れたことになってしまいます。
 もちろん、それは「自然保護」「環境保護」も同じ。
 どちらも「自然や環境にいいこと」ではなく、「特定の生き物にとっていいこと」、「人間からの見た目のいいこと」かもしれません。
 つまり「保護」が「人間の都合にいいこと」かもしれないことは、常に意識しなければならないでしょう。

餌付けは悪いこと?

 餌付けはいけないことなのでしょうか。
 「いい」「わるい」の単純な二元論で考えれば、「わるい」でしょう。
 環境を破壊してしまう可能性を含んでいますから。
 山で野鳥の写真を撮るため野鳥への餌付け行為を、環境を壊すと言って批判する登山者もいます。
 たしかに、餌付けは環境を壊す恐れがあります。
 しかし、登山という行為自体は言うまでもなく環境破壊行為です。
 人がめったに入らない山なら自然の回復力がまさり、野生のシカやクマの活動と同じように環境破壊には至らないでしょう。
 しかし、道ができ、多くの人が登り、山頂に売店があるような山では、明らかに登山は環境を破壊します。
 環境破壊を理由に餌付けを批判する登山者は、まず、自分の登山そのものをやめなければ、「目糞鼻糞を笑う」だけのことかもしれません。


 つまり、自然環境への影響を考えるとき、餌付けというのは、悪影響を与える要素の中の一つでしかないのです。
 餌付けを「環境の問題」とするとき、それは単純に餌付けだけを禁止すればいいだけの問題ではないのです。
 餌付を批判していいことをしたつもりになっていたら、もっとひどい環境破壊行為をしているかもしれません。
 ネコの餌付問題を環境の問題とするときは、餌付問題はゴールではなく、数多くある通過点のたった一つ、ということは意識しなければならないと思います。

 このように餌付けと自然環境の関係を考えるとき、個人が意図的に餌をあげることよりも大きな問題が見えてきますが、それはまた別の話に。

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タグ: 公園ネコを考えるネコ餌付ネコの餌付

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古い写真から現れた6月の沖縄の動物

 古い写真を整理していた出てきた6月の沖縄の写真。
 その動物編です。

この記事にはの画像があります。


 陸上の生き物の分布を広い範囲で見ると、突然何種類もの動物たちがいなくなる「境界」があります。
 たとえばトカラ(吐噶喇)列島の南の悪石島(あくせきじま)と小宝島(こだからじま)の間に引かれた渡瀬線。
 わかりやすく言うと、屋久島の南に連なるトカラ列島と奄美大島の間に引かれた線です。
 この線を中心に、北と南で動物の種類が変わるのです。気候も環境もそれほど変わらないというのに。
 その渡瀬線のずっと南にある沖縄島は、気候が本州や九州(島)と大きくちがうため、本州などでは見たこともないような生き物がたくさんいます。

オキナワシリケンイモリ(沖縄尻剣井守)Cynops ensicauda popei

脊索動物門 脊椎動物亜門 両生綱 有尾目 イモリ科 イモリ属
南西諸島に分布

沖縄ではポピュラーなイモリ。

背中の模様には変異が多いので、沖縄で黒いっぽいイモリを見たら、シリケンイモリかもしれません。

アカハライモリと同じように、皮膚から毒を分泌するので触らないほうが無難。

陸上でも盛んに行動するようです。

アオタテハモドキ(青立翅擬)Junonia orithya のオス

節足動物門 六脚亜門 昆虫綱 チョウ目 タテハチョウ科
九州~沖縄に分布

ムラサキオカヤドカリ(紫陸宿借)Coenobita purpureus

節足動物門 甲殻亜門 エビ綱 エビ目 オカヤドカリ科 オカヤドカリ属
南西諸島を中心に分布
国の天然記念物

上の画像では外来種のアフリカマイマイの殻を使っています。

下の画像はよく見ると殻をつけていません。
引っ越しの途中でしょうか。

こんな大きなヤドカリが陸上を歩いているのが沖縄。

もっと大きなヤドカリのヤシガニもいますが、沖縄島では一時絶滅したといわれた野生のヤシガニを見るのは困難でしょう。

シュリマイマイ(首里蝸牛)Satsuma mercatoria

軟体動物門 腹足綱 柄眼目ナンバンマイマイ科
沖縄島中南部に分布

コウガイビル(笄蛭)類

扁形動物門 ウズムシ綱 ウズムシ目 コウガイビル科 コウガイビル属

見たとおり渦巻きの殻はカタツムリのシュリマイマイ。

見かけたのは中城(なかぐすく)城址。
沖縄の城(ぐすく)は石灰岩の石垣を巡らせています。
シュリマイマイは石灰岩の場所を好むということですので、ピッタリの場所です。

そしてシュリマイマイに巻き付いているのがコウガイビル。
口と肛門が同じ扁形動物で、驚異的な再生能力を持つことで有名なプラナリアの仲間です。

ミミズやカタツムリなど柔らかい動物が好物。
顎を持たないので消化液を出して溶かして飲み込む体外消化を行います。
今はコウガイビルの食事中。

残念ながら種類まではわかりません。

アフリカマイマイ(阿弗利加蝸牛)Achatina fulica

軟体動物門 腹足綱 柄眼目 アフリカマイマイ科 アフリカマイマイ属
世界最大の陸産巻貝の一種
要注意外来生物
生態系被害防止外来種
日本の侵略的外来種ワースト100
世界の侵略的外来種ワースト100
東アフリカ原産

食用として持ち込まれたものが逸出して野生化したもの。

最悪命を落とすことにもなる広東住血線虫症を引き起こす広東住血線虫が寄生していることがあるので、触らないのが無難です。

それだけでないいろいろな問題を起こしているのは、アフリカマイマイの肩書を見ればわかります。

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銀竜草が減ってちょっと残念な今年の梅雨の金剛山

 梅雨も後半。
 ギンリョウソウの季節です。
 ということで、金剛山に行ってきました。

 ギンリョウソウは金剛山では梅雨のころに現れる真っ白な植物。
 光合成をやめてしまい、地下でいろいろな植物とネットワークを作っている菌類に寄生している植物。
 漢字では「銀竜草」。
 鱗片状の葉をつけた茎とその先につく花を白い竜に見立てたもの、と言われます。
 ということで、竜ぽいようなな気がする銀龍草です。




 金剛山でギンリョウソウというと、メインルートの千早本道。
 三合目をすぎたあたりから山頂まで、登山道の左右の落葉の中や土留めの丸太の下から顔を出します。
 ところが、ここ数年千早本道の改修が進み、すっかり減ってしまいました。
 この日も最初に見かけたのは四合目を過ぎたあたり。
 その後は八合目まではほとんど見かけません。
 残念です。

 といっても、金剛山からギンリョウソウがなくなったわけではありません。
 時間がたては千早本道にも戻ってくるでしょう。
 きっと。

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タグ: ギンリョウソウ梅雨の花夏の花白い花寄生植物金剛山の花金剛山の植物金剛山千早本道

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実は光るんですが、見た人がとても少ないのです。クロマドボタル

 幼虫が光るクロマドボタルの雄成虫が飛びはじめました。

この記事にはの画像があります。


 メスは翅が退化してオスしか飛ばないホタル。
 そして幼虫は陸上に住む陸棲のホタル。

クロマドボタルのオス成虫

 ホタルといえば、ゲンジボタル、ヘイケボタル、そしてヒメボタルでしょうか。
 どれも明るく、各地で鑑賞会などが行われています。
 クロマドボタルは成虫じゃなくて、幼虫が光るホタル。
 幼虫が光るホタルは珍しくはないのですが、とても暗い。

名前の由来となった「窓」

目のようですがここは背中
擬死中なので頭は腹側に折り曲げていて見えません

 ところが、クロマドボタルの成虫も光ります。
 ただゲンジボタルやヒメボタルのように繁殖行動と関係なく、光る時期も短いということで、自然の中でなかなか観察されないのが誤解の原因のようです。
 飼育されたクロマドボタルは羽化後にはよく光るそうですので、自然の中でも同じだろうということは容易に想像できます。
 つまり、光る器官を持っているはず。
 ということで、擬死(しんだふり)してるクロマドボタルのオス成虫のお腹を見てみましょう。

お腹側からみたクロマドボタルのオス


発光器らしいところをクローズアップ

 一番先の節だけが色がちがいます。
 ちょっと半透明?
 見るからに光りそうですし、ゲンジボタルやヘイケボタルの発光器に似ています。
 クロマドボタルのオスが光ってもふしぎはないですね。
 まだ見たことないですが。

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タグ: クロマドボタルホタル光る虫初夏の虫

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古い写真から現れた6月の沖縄の植物

 古い写真を整理していたら、数年前の6月に行った沖縄の写真が出てきました。
 まだブログを始める前で、あまり量は多くありませんが、その中から抜き出した沖縄で出会った植物です。

アダン(阿檀)Pandanus odoratissimus

被子植物 単子葉類 タコノキ目 タコノキ科 タコノキ属
常緑小高木
亜熱帯から熱帯の海岸近く 日本ではトカラ列島以南の沿岸域
雌雄異株

沖縄ではありふれた木。
特に離島の自然海岸では、アダンの林が防風林・防砂林の役割を果たしています。

沖縄では葉の繊維からムシロやゴザやゾウリを作るなど古くから利用されていました。

黄色く熟す実はパイナップルのようでおいししそうに見えますが、繊維が多く甘みも大したことがなくおいしくないそうです。

そして、木なのに単子葉植物というのも、意外です。

ソテツ(蘇鉄)Cycas revoluta

裸子植物 ソテツ綱 ソテツ目 ソテツ科 ソテツ属
常緑低木
台湾~中国南部 日本では九州南部~南西諸島
タグ:ソテツ

マツ綱以外で唯一日本に自生する裸子植物。
ただし自生するのは鹿児島県南部から南西諸島など温かいところだけ。
ところが寒さにはそれなりに強いようで、西日本の平野部なら露地でも育ちますので、珍しくはありません。

実や幹の芯の部分にはデンプンが多く食用になりますが、有毒で十分に毒抜きしなければなりません。
大正末から昭和初期の不況時の食料危機には、沖縄ではソテツが食べられましたが、十分な毒抜きができず、多くの人が亡くなり「ソテツ地獄」と呼ばれます。

もちろん、十分な毒抜きをすれば問題なく、奄美では伝統食として食べられています。

木の中央から伸びているのは雄花です。

識名園

第二尚氏の時代に作られた庭園で、中国の冊封使をもてなす迎賓館として使われていました。

日本の大名が作った庭園と同じように、権勢を示すためいろいろと工夫されています。
その一つが沖縄以外のものも含めて様々な植物が植えられていること。
今の植物園です。

ゲットウ(月桃)Alpinia zerumbet

被子植物 単子葉類 ショウガ目 ショウガ科 ハナミョウガ属
多年草
熱帯から亜熱帯アジア 日本では沖縄県から九州南部に分布
別名:サンニン

沖縄では結構あちこちで見かける植物。

ショウガの仲間ですが、使われるの葉。
タケノコの皮や笹の葉、カシワの葉のように防腐作用を利用して食べ物をくるむのに使われます。
むーちーや儀保まんじゅう(のまんじゅう)のように、月桃の葉でくるんで蒸したものは、独特の風味がありますが、なれるとこれが美味しさになります。

シークヮーサーCitrus depressa

被子植物 双子葉類 ムクロジ目 ミカン科 ミカン属
常緑低木
台湾 日本では琉球諸島に自生
和名:ヒラミレモン(平実檸檬)

沖縄の柑橘類といえば、このシークヮーサー。
和名はヒラミレモンですが、知名度の差は圧倒的。

「シークヮーサー」は沖縄の方言で「酸っぱいものを食べさせる」というような意味があります。
表記はゆらぎが多く「シーカーシャー」などいろいろ。

古くから沖縄で使われていたようで、いつごろ沖縄に来たのかはわかっていないようです。

沖縄では様々なシークヮーサージュースがありますが、ストレートで飲めるものはみんなかなり薄まっています。
でも果汁100%好きの人も、シークヮーサーは100%ではおいしく飲めないでしょう。
殺人的なすっぱさです。

ハナバショウ(花芭蕉)Musa basjoo

被子植物 単子葉類 ショウガ目 バショウ科 バショウ属
多年草
中国原産
バショウの観賞用品種

バショウの観賞用品種。

バショウの仲間にはバナナがありますが、こちらは食用には向かないそうです。

「糸芭蕉」と呼ばれる種類の葉から繊維をとり、それを織って布を作りました。
古くから沖縄の人の生活を支えた植物の一つです。

レイシ(茘枝)Litchi chinensis

被子植物 双子葉類 ムクロジ目 ムクロジ科 レイシ属
常緑高木
中国の嶺南地方原産
別名:ライチ

南方の果物。
沖縄では露地で育てることができます。

中国では紀元前から栽培され、楊貴妃が愛したと言われています。
味はもちろんのこと、傷みやすいので高価な食べ物だったようですが、今ではスーパーで簡単に買うことができます。
冷凍ですが。

首里金城の大アカギ

沖縄の首里には大きなアカギがたくさん生えていました。
第二次世界大戦のとき、首里城の地下に陸軍基地が置かれたこともあり、アメリカ軍の艦砲射撃を受け、多くの木が失われました。
その中で奇跡的に生き残った6本の大アカギ。

生えているのは 内金城嶽(うちかなぐすくたき)の境内。
「嶽(たき)」「御嶽(うたき)」は南西諸島(奄美地域と沖縄地域と先島地域)に古くからある神様への祈りを捧げる場所。
イメージとしては、神社よりも祠(ほこら)に近いような気がします。

自然物に神様を見出し祈る場合や、遠くの神様へ祈る場合(遥拝)などがあります。

アカギ(赤木)Bischofia javanica

被子植物 双子葉類 キントラノオ目 コミカンソウ科 アカギ属
常緑高木
台湾~中国南部~東南アジア~ポリネシア~オーストラリア
日本では南西諸島(奄美群島、沖縄諸島、先島諸島)に分布
別名:カタン
国指定天然記念物

6本の大アカギの中の最も大きなアカギ。

推定樹齢は200~300歳、樹高は20mで、様々な植物が着生しています。

木の内側(材)が赤いことが由来。

沖縄では極相林(生える植物種の変化の最終段階)を作る樹木の一つなので、アカギの古い大木が残るのは自然なことです。

仲島の大石(なかしまのうふいし)のアコウ

那覇市内のバスターミナルの構内にある大きな琉球石灰岩の岩。
高さ約6m、周囲葯25m。
上にはアコウをはじめさまざまな植物が生えています。

岩の根元がえぐれているようにみえるのは、波がけずったためで、ここが海だったことの証です。

県指定天然記念物。
県指定史跡。

アコウ(榕、赤榕、赤秀、雀榕)Ficus superba var. japonica

被子植物 双子葉類 バラ目 クワ科 イチジク属
半常緑高木
中国南部~東南アジア 日本では紀伊半島~四国~九州~南西諸島に分布

沖縄の樹木で有名なガジュマルと同じように気根をたらす亜熱帯を好むイチジクの仲間。

木の上で芽を出すと、伸ばした気根で台になった気を多いからしてしまう「絞め殺しの木」の一つなのもガジュマルと同じ。

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