第47回特別展「氷河時代」大きな動物は日本中しかも大阪にもいました!?〈大阪市立自然史博物館〉
副題は「化石でたどる日本の気候変動」。
動物などいろいろな化石で、日本の気温の変化をなぞっています。
「氷河時代」というと、普通は新生代、恐竜が滅んでからのこと。
残念、大きな動物の化石は、ない!

いえいえ、まったくいないわけではありません。
哺乳動物には「ベルクマンの法則」というのがあります。
同じ種類の動物は、寒いところに住む種のほうが大きくなる、というものです。
簡単に言うと、寒いところの哺乳類は、でかい! ってことです(かなり乱暴な説明!)。
つまり、今よりも寒い氷河時代には、今よりも大きな哺乳類がいたはずだ! ということ。
まずは入口の、ヘラジカ。
これは大阪万博のとき展示されていたという年代物。
最終氷期(最も近い寒い氷河時代)のころは、日本中にいたと考えられています。
奈良公園や厳島神社に行ったことがある方は実感できると思いますが、ニホンジカは四足で立っているとそんなに大きくありません。
ただ、鹿せんべいを食べようと伸び上がると、人間よりも大きく(長く)なりますが。
ヘラジカはニホンジカよりちょっと大きいくらいですが、ちょっと牛っぽくてずいぶん重そう。

そして、その奥にもっと大きな動物が見えますが、順路は右手へ。
うーん、やっぱり、こういうのは入り口から見えないほうがその場で見たときのインパクトが強いように思います。
そして20億年前の化石や、7万年の歴史を刻んだ地層などを見ながらグルっと回って、その大きな生き物たち。
まず目を引くのは、真ん中のケナガマンモス。
ただ、日本でマンモスがいたと思われるのは北海道だけですが、別のゾウ、ナウマンゾウは大阪にもいました。
頭の骨だけですが、マンモスのとなりにちょこんとあります。
マンモスとナウマンゾウは同じゾウ科のゾウ。
どちらも肩の高さが3メートルほど。
アフリカゾウよりも小さいとはいえ、見上げるような大きさ。

マンモスの隣には大きな角の鹿がいます。
ヤベオオツノジカ。
マンモスの隣では小さく感じまずが、肩の高さ2メートル近く。人間よりもずっと大きく、ずっと重い鹿で、大阪にいました。
ニホンジカとちがい、角が手を広げたような形になり、ヘラジカのように大きく広がっています。
もし、奈良公園の鹿がニホンジカでなくヤベオオツノジカだったとしたら、まるでオオタカが襲ってきたように、上の方から角を広げた顔が降りてきて鹿せんべいを食べます。
もっとくれとヤベオオツノジカが群がってきたら……
春日大社の参拝は命がけになったでしょう。

会場のは骨を組み立てたものですが、本館のナウマンホールには、生きているときの姿を再現したヤベオオツノジカと、ナウマンゾウがいます。

そして、ちょっと目立たないですが、もう一つ大きな生き物が。
ケナガマンモスの展示場所からちょっと戻ったところに、ぺったりと寝そべっています。
パレオパラドキシア。
今から1300万年前、今の氷河時代が始まるより前の、まだ暖かかった時代の日本にいた束柱類と言われる絶滅哺乳類。
展示されている化石は、組み立てずに並べているだけなので、生きている姿が想像しにくいですが、海辺でカバかセイウチのような生活をしていたと考えられています。

パレオパラドキシアの体長は2メートルほど。
大きいとはいえ、ゾウには及びません。
やっぱり、暖かいよりも寒いほうが哺乳類は大きくなるのだなぁ。
ベルクマンの法則は正しかった!
パレオパラドキシアと同じ束柱類のデスモスチルスの復元骨格が本館第2展示室にあります。
こちらは四足で立っています。

ということで、氷河時代展の後には博物館本館がおすすめです。

タグ: 47th-hyougajidai 氷河時代展 大阪市立自然史博物館 ヘラジカ ケナガマンモス ヤベオオツノジカ ナウマンゾウ パレオパラドキシア デスモスチルス

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