【 2016年07月】

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第47回特別展「氷河時代」大きな動物は日本中しかも大阪にもいました!?〈大阪市立自然史博物館〉

 副題は「化石でたどる日本の気候変動」。
 動物などいろいろな化石で、日本の気温の変化をなぞっています。
 「氷河時代」というと、普通は新生代、恐竜が滅んでからのこと。
 残念、大きな動物の化石は、ない!

特別展恒例の幟

 いえいえ、まったくいないわけではありません。
 哺乳動物には「ベルクマンの法則」というのがあります。
 同じ種類の動物は、寒いところに住む種のほうが大きくなる、というものです。
 簡単に言うと、寒いところの哺乳類は、でかい! ってことです(かなり乱暴な説明!)。
 つまり、今よりも寒い氷河時代には、今よりも大きな哺乳類がいたはずだ! ということ。

 まずは入口の、ヘラジカ。
 これは大阪万博のとき展示されていたという年代物。
 最終氷期(最も近い寒い氷河時代)のころは、日本中にいたと考えられています。
 奈良公園や厳島神社に行ったことがある方は実感できると思いますが、ニホンジカは四足で立っているとそんなに大きくありません。
 ただ、鹿せんべいを食べようと伸び上がると、人間よりも大きく(長く)なりますが。
 ヘラジカはニホンジカよりちょっと大きいくらいですが、ちょっと牛っぽくてずいぶん重そう。

角がないのでちょっと残念なヘラジカ

 そして、その奥にもっと大きな動物が見えますが、順路は右手へ。
 うーん、やっぱり、こういうのは入り口から見えないほうがその場で見たときのインパクトが強いように思います。

 そして20億年前の化石や、7万年の歴史を刻んだ地層などを見ながらグルっと回って、その大きな生き物たち。
 まず目を引くのは、真ん中のケナガマンモス。
 ただ、日本でマンモスがいたと思われるのは北海道だけですが、別のゾウ、ナウマンゾウは大阪にもいました。
 頭の骨だけですが、マンモスのとなりにちょこんとあります。
 マンモスとナウマンゾウは同じゾウ科のゾウ。
 どちらも肩の高さが3メートルほど。
 アフリカゾウよりも小さいとはいえ、見上げるような大きさ。

アフリカゾウより遥かに迫力がある牙のケナガマンモス

 マンモスの隣には大きな角の鹿がいます。
 ヤベオオツノジカ。
 マンモスの隣では小さく感じまずが、肩の高さ2メートル近く。人間よりもずっと大きく、ずっと重い鹿で、大阪にいました。
 ニホンジカとちがい、角が手を広げたような形になり、ヘラジカのように大きく広がっています。
 もし、奈良公園の鹿がニホンジカでなくヤベオオツノジカだったとしたら、まるでオオタカが襲ってきたように、上の方から角を広げた顔が降りてきて鹿せんべいを食べます。
 もっとくれとヤベオオツノジカが群がってきたら……
 春日大社の参拝は命がけになったでしょう。

背骨の長い突起(棘突起)は筋肉がたくさんついてた証拠のヤベオオツノジカ

 会場のは骨を組み立てたものですが、本館のナウマンホールには、生きているときの姿を再現したヤベオオツノジカと、ナウマンゾウがいます。

大昔の大阪にいた本館のヤベオオツノジカとナウマンゾウ

 そして、ちょっと目立たないですが、もう一つ大きな生き物が。
 ケナガマンモスの展示場所からちょっと戻ったところに、ぺったりと寝そべっています。
 パレオパラドキシア。
 今から1300万年前、今の氷河時代が始まるより前の、まだ暖かかった時代の日本にいた束柱類と言われる絶滅哺乳類。
 展示されている化石は、組み立てずに並べているだけなので、生きている姿が想像しにくいですが、海辺でカバかセイウチのような生活をしていたと考えられています。

寝そべってる?パレオパラドキシア

 パレオパラドキシアの体長は2メートルほど。
 大きいとはいえ、ゾウには及びません。
 やっぱり、暖かいよりも寒いほうが哺乳類は大きくなるのだなぁ。
 ベルクマンの法則は正しかった!

 パレオパラドキシアと同じ束柱類のデスモスチルスの復元骨格が本館第2展示室にあります。
 こちらは四足で立っています。

パレオパラドキシアもこんな感じだった?本館のデスモスチルス

 ということで、氷河時代展の後には博物館本館がおすすめです。

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葉に病変ができたけどプランター稲2016

 田植え後根が張って、稲の株が分かれる分蘖(ぶんげつ)が進んでくると、毎年現れるのが葉の病変。
 色が抜け、新しい葉の場合は開かずネギのような筒状のまま。
 イネ縞葉枯病(しまはがれびょう)に似ているので、とにかく対症療法。
 病変のある葉を切っていきます。
 薬は使いたくないので。

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 今年も、病変がみつかりました。
 やっぱり。
 とうとうこの日が来ました。
 とにかくできるだけ根本から切ります。
 ほかにないかじっくり観察し、見つけ次第切り取ります。
 この作業が穂が出るまで続きます。

葉が黄色くなっています

 ところが、この日は2枚。
 その後も何日かあとに1枚。
 こんなことは、病変が現れるようになって以来はじめてのこと。
 何がよかったのでしょうか。

 そもそも病気名も推測ですので、原因も推測するしかありません。
 それで、2年目以降と今年のちがうところは、一つは肥料の量。
 肥料が多すぎると、普通でも植物の成長を妨げるうえに、植木鉢のように水が流れ出さないので、余分な肥料はたまったまま。
 鉢植えよりもシビアかもしれません。

たった1本の苗がこんなに増えました

 そして、ミネラル分を補充したこと。
 この両方が関係していると思いますが、肥料については、減らしたとはいえ、今年も少々多すぎた感じがしますので、ミネラル分が大きく関係しているように思います。
 ミネラルは、「ソフトシリカ」や「ミリオン」という名前で売っていたり、「根腐れ防止」として売られているもの。
 見た目は小さな石や砂。
 主要成分はケイ素で、他には鉄やカルシウム等のミネラルが含まれています。

 こういった成分は、植物に必要なもの。
 たとえば植物はケイ素をガラス質に変化させプラント・オパールというものをつくり、体を支えるために使います。
 特にイネ科やカヤツリグサ科は量が多く、細長い葉をピンと伸ばすことができるのもそのため。
 また、プラント・オパールは植物ごとに特徴がちがい、植物が枯れて腐っても長い間残ります。
 考古学では、その性質を利用して、大昔の植生や気候を知るヒントに使われます。

葉がまっすぐ上を向いているのは元気の証拠

 ともあれ、肥料が少なく、ケイ素が多かったので葉が元気になったようです。
 言い換えれば、今までは肥料が多過すぎ、ケイ素が少なかったので葉が元気に育つことができなかったのかもしれません。
 葉の異常は病原体が原因だったのかどうかわかりませんが、元気になると葉の力で病気を防ぐことができるのでしょう。

タグ♦プランター稲・バケツ稲の索引2015

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今年の梅雨のキノコらしくないキノコいろいろ

 キノコ。
 と言われて思い出すのは、多分いわゆるキノコ型のキノコ。
 シイタケやシメジのような。

 キノコは、菌類の内、胞子を作る大きな器官(子実体)を作るもののこと。
 小さいものはカビと呼ばれます。
 キノコは生物学的分類では担子菌(たんしきん)と子嚢菌(しのうきん)に分かれます。
 担子菌を見た目で分けると、キノコ型の「ハラタケ類」、キクラゲやサルノコシカケのようにヒダがない「ヒダナシタケ類」、丸かったり塔のような形をしている「腹菌類」。
 子嚢菌の見た目はいろいろな担子菌と似ています。

 ということで、今年の梅雨に出会った、キノコっぽくないキノコ、ハラタケ類以外のキノコです。

腹菌類のキヌガサタケ

まわりにあるレース状の部分が広がると、きれいです。
中華料理の食材でもあります。

腹菌類のキツネノエフデ


ヒダナシタケ類のシロソウメンタケ


ヒダナシタケ類のツガサルノコシカケ

サルノコシカケの仲間のキノコは何年も成長します。
そのため他のキノコとちがって硬く、
年輪のような輪があります。

子嚢菌のノボリリュウタケ

一見傘の形が崩れたハラタケ類のようですが、
胞子を作るのは「傘」の表面。
ハラタケ類のように傘の裏側ではありません。

 たった5種類。
 この間見かけたハラタケ類はもっとたくさん。
 さすが、キノコの代名詞となっているキノコです。
 その分、名前を探すのはたいへんです!

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特別展「生命大躍進展」にはダンクルオステウスとか今はいなくなった超古代魚がたくさん!〈大阪市立自然史博物館〉

 大阪展は終わってしまいました。
 でも期間中に書けなかったことがまだ少しあります。
 ブロガー招待していただいた自然史博物館には申し訳なく思いますが、すでに4つ書いていますし、入場券でも見に行っていますので、大目に見てもらえると信じています。
 そして生命大躍進展は岡山会場ではじまりましたので、見逃した方はまだだいじょうぶです。

●今までの「生命大躍進展」の記事
【生命誕生から人類まで40億年の本物の証拠がたくさん!】
【5億年分のいろんな動物がたくさん!】
【カンブリア爆発のいろんな動物がたくさん!】
【巨大ウミサソリとぞわぞわの節足動物がたくさん!】

しょくぽんといっしょ

 生命大躍進展の見どころはとてもたくさんありますが、その一つは6メートルのダンクルオステウスの実物大生態復元模型。
 化石の実物でもレプリカでもありませんが、現在の知識で復元した生き物は、専門家でない者にとっては、ある意味化石以上に意味のあるもの。
 クジラも首長竜もいなかった時代にも、こんな大きな生き物が海を泳いでいたということを実感できます。
 文字や絵ではちょっとわかりにくいことです。

迫力ある6メートルのダンクルオステウス!

 ただ、このダンクルオステウスはちょっとクセモノ。
 なぜなら、頭の骨しか見つかっていないのです。
 大きな頭の化石を残していながら、軟骨魚類という骨が柔らかい種類。
 体の骨が化石になりにくいのです。
 そもそも大きな生き物の全身が化石に残ることはとてもまれなこと。
 さらに骨自体が化石になりにくい。
 そして大きな生き物は数がものすごく少ないとしたら。
 ですから、このダンクスオステウスの胴体は、100%想像なのです。

ダンクルオステウスの頭の化石のレプリカ

 といっても、まったくのデタラメにつくったわけではありません。
 近い種類の魚の化石などから推測して復元していくことになります。
 ということは、復元をする人の知識やセンスが大きく影響します。
 つまり、10人いれば、10種類の復元があるわけです。
 とはいえ、ダンクルオステウスに恐竜のうような体をつけるわけはなく、概ね似たような姿になります。

 ダンクルオステウスは古生代の巨大魚ということで結構有名ですから、復元図はよく目にします。
 それらの多くは細長い尾の上下にヒレがつくオタマジャクシのような姿。
 ヒレの形はオタマジャクシよりもスマートな形が多いですが。
 生命大躍進展のダンクルオステウスもスマートなオタマジャクシ型。

鏃のようなダンクルオステウスの尾とヒレ

 残念ながら、今回の復元に至るまでの経緯は図録にも載っていませんのでわかりません。
 ただ、今は一般的な復元された姿ということは言えるでしょう。
 ところが、オリジナルグッズを販売している売店で売られているフェバリットのダンクルオステウスのフィギュア。
 ビニールモデルとソフトモデルの2種とも尾ヒレはサメのような形をしています。

 もちろん、このデザインも適当につくったものではありません。
 原型デザインは古生物復元模型作家の徳川広和さん。
 ご本人から直接お聞きしたこともありますが、ブログによると、ダンクルオステウスに近い種類と考えられ全身の化石が見つかっているコッコステウスを参考にしたものだそうです。
 ただコッコステウスは小型魚なので、同じ軟骨魚類で今も生きている巨大サメ類も参考にし、研究者の監修のもとつくりだされた姿です。
 専門家ではないので、どちらの復元が正しいのかはわかりません。
 しかし、会場に展示されているコッコステウスの化石を見ればなんか納得できます。

全身残ったコッコステウスの化石

 コッコステウスの化石では、背骨が尾の方で急に上向きに曲がっています。
 これはサメと同じ。
 サメの場合、この向きが変わっているところから尾ビレがはじまります。
 つまり、この上に曲がった背骨は、ブーメラン型の尾の上側。
 そして下側は細長い軟骨が支えています。
 タイやイワシなどの魚の尾ビレには背骨はなく、細い鰭条で支えられています。
 このように見た目は似ていても、尾のつくりはまったくちがいます。
 コッコステウスは、サメのように背骨で上のヒレを支え、下のヒレを細長い軟骨で支えていたと考えられています。
 当然、近い種類のダンクルオステウスも同じと考えてもおかしくありません。

タイやイワシの尾に近い形のユーステノプテロンの化石の尾

 魚の尾ヒレというと、どうしても胴の後端から扇形に広がったものを想像してしまいますが、泳ぐための尾ヒレの形として考えると、むしろ少数派になります。
 たとえは今もいる魚類でも、軟骨魚類はエイのように尾になっているか、サメのようなブーメラン型。
 また尾をヒレに変化させた生き物でも、このブーメラン型の尾は少なくありません。
 魚竜とかモササウルスのように。
 と考えると、ブーメラン型の尾ヒレは進化としてはよくある形なのかもしれません。

 会場には、ほかにも古代魚の化石がたくさん。
 見くらべてみると、おもしろい発見があるかもしれません。
 そしてグッズコーナーもチェックです。

2016/07/19加筆

【年代層序表〈顕生代〉β2 動物と植物】

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タグ: 生命大躍進ダンクルオステウスコッコステウスユーステノプテロン板皮類古生代の魚巨大魚大阪市立自然史博物館seimeidaiyakusin

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第47回特別展「氷河時代」 気候変動はなにも今にはじまったことではありません?!〈大阪市立自然史博物館〉

 今年も自然史博物館の夏の特別展がはじまりました。
 春は巡回する特別展。
 夏は学芸員の方が企画した博物館オリジナルの特別展。
 今年は「氷河時代」。
 ブロガー招待で内覧会に行ってきました。

おなじみ「予告」つきの案内板

 「氷河時代」。
 アメリカのCGアニメ「アイス・エイジ」シリーズを思い出すかもしれません。
 関係のない、ものすごく大昔のこと、と思うかもしれません。
 でも、ちがいます。
 実は、今、国際的に重要な問題になっている地球温暖化などの環境問題に大きく関係しているのです。
 それを自然史の博物館らしい視点でとりあげたのが、この特別展。だと思います。

入口で出迎えて?くれるヘラジカ

最終氷期には日本中にいたと考えられます

 「氷河時代」または「氷河期」。
 言葉はよく耳にしますが、さあ、一体いつのことでしょう。
 それは、今。
 氷河時代のわかりやすい説明は、氷河がある時代のこと。
 今は南極やグリーンランドなどにあるので、実は氷河時代。
 ただし、氷河時代の中でもちょっと暖かい、「間氷期(かんぴょうき)」と言われる時代です。
 氷河が発達する寒い時期が「氷期(ひょうき)」。
 氷河期は、寒い氷期とちょっと暖かい間氷期が繰り返し訪れます。

多分今回の展示の中で最も古い24.6億年前の縞状鉄鉱石

シアノバクテリアに作られた酸素によって
大量の海水中の鉄が酸化して沈殿したもの

 「氷期」「間氷期」を身近な言葉で言い換えると、「寒冷化」と「温暖化」。
 そう、なにかとおさわがせな「温暖化」です。
 今までの気候変動のことを知って、今、そしてこれからの温暖化という気候変動についても理解を深めてみましょう、ということなのです。

スノーボールアース(全球凍結)後にできた7億年前の縞状鉄鉱石
海が氷で覆われて無酸素状態になったところで
温暖化で氷がとけて一気に酸素が海水に溶け込んで
溜まっていた鉄が酸化して沈殿したもの。

 地球46億年の歴史の中で、氷河時代は何度もありますが、ほとんどが恐竜より古い時代のこと。
 唯一いろいろと細かいことがわかっているのが、今の氷河時代。
 そこで展示の中心は260万年前にはじまる「新生代後期氷河期」と、その中の7万年前から1万1700年前までの「最終氷期」。
 最も新しい氷期です。

三方五湖の水月湖から取られた7万年以上の気候変動が刻まれた年縞

年輪のように1年毎の縞になって
毎年の気候変化の痕跡が閉じ込められています。

 氷期には海水面が下がって日本と大陸がつながり、大陸の動物がやってきます。
 最終氷期は本州四国九州がつながり、北海道はアジア大陸つつながったサハリンとつながります。
 そして狭くなった津軽海峡が凍ったことで、北海道から大陸の動物が本州にまでやって来ました。
 今、日本でもっとも大きい野生動物は、本州がツキノワグマ、北海道がヒグマですが、もっと大きい動物も大陸から渡ってきました。
 大きい動物の代名詞でもあるゾウも、日本の多くの地域に住んでいました。
 そういった動物の化石もたくさんあります。

氷期の日本にいた巨大動物のケナガマンモスとヤベオオツノジカ

マンモスは北海道にいました。
ヤベオオツノジカは北海道と沖縄以外にいましたが
なんと大阪にもいました。

 こういった動物たちは、日本が暖かくなるといなくなりましたが、暖かい間氷期に日本にやってきた巨大動物もいます。
 巨大ワニ。
 特に大阪は巨大ワニ化石の産地。
 マチカネワニ、キシワダワニ、タカツキワニの3大大阪ワニの化石が展示されています。
 こういった動物たちは、日本が寒くなるといなくなりました。

最近種として認められたキシワダワニ

名前のように岸和田市でみつかりました。

ほぼ全身が見つかったマチカネワニ(本館第2展示室)

会場のマチカネワニは撮影禁止なので
写真は本館に展示されているもの。
本館内の壁にもエイリアンのようなマチカネワニがいます。

 もちろん、植物も氷期と間氷期では変わります。
 それだけ気候の変動は生き物にとって重要だということ。
 だからこそ、ただただ恐れるのではなく、その仕組を知り、過去の事実を知ることで、未来を想像することができます。
 ただただ訳もわからず恐れるのと、ちゃんと知識を持って対処するのは、雲泥の差があります。
 「氷河時代」展。
 人間にとっても重要な気候変動について知る機会になると思います。

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万両はともかく千両には負けない花は十両じゃなくて五千両だ! 藪柑子

 里山公園の錦織公園でヤブコウジ(藪柑子)の花が咲いていました。
 冬の間中赤い実をつける常緑樹ということで、縁起物として使われることも。
 それで別名は「十両」。
 マンリョウ(万両)やセンリョウ(千両)とともに、「両シリーズ」「小判シリーズ」のひとつ。


 里山の林床では珍しくはありませんが、小さい上に葉の陰で下向くに咲くのでなかなか気付かないかもしれません。
 ヤブコウジはツツジ目サクラソウ科。
 プリムラなど観賞用の花が多い科。
 同じサクラソウ科のマンリョウとはよく似てきれいな花。


 センリョウはコショウ目センリョウ科は、古いタイプの双子葉植物で、花弁も萼もない小さく地味な花。
 花で比べれば、十両(ヤブコウジ)のほうがきれい。
 だから万両と千両の間で五千両?


 ヤブコウジは常緑の小低木。
 「小低木」といっても、高さは20センチほど。
 木どころか、草よりも低い木。
 でも、見た目は木。
 例えるなら、盆栽の木。
 でも、ヤブコウジの本体は地面の下。
 地下茎を張り巡らせて、地面の上の部分が20センチほど。
 ですから、同じ所に何本ももまとまって生えているように見えます。

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公園ネコを考える4 ヤマネコの生態について考えてみることにしました。

 野良猫が公園でどうやって生活しているかを考える前に、ネコがまだ野生だったころのヤマネコなどの生態を簡単に考えてみました。

これまでの【公園ネコを考える】
【1 ノラネコについて考えてみることにしました。】
【2 分類学的にネコについて考えてみることにしました。】
【3 人間との関係でネコを分類してみることにしました。】

 ネコは食肉目の哺乳類の動物。
 同じ食肉目には、ペットの座をネコと二分するイヌがいます。
 名前のように、肉食のグループ。
 ただパンダのように草食になってしまった動物もいます。

 ネコとイヌの共通の先祖は森林で生活していた肉食の動物だったと考えられています。
 森から草原へ出て行ったものがイヌ科のオオカミになり、家畜化してイヌになりました。

草原に住むイヌ科イヌ属のチュウゴクオオカミ(天王寺動物園)

 森に残って大型化していったものがネコ科のトラになりました。

森に住むネコ科ヒョウ属のアムールトラ(天王寺動物園)

 また森で小型化していったのがネコ科のヤマネコ。
 ヤマネコが家畜化したのが、身近にいるネコです。

熱帯林の水辺に住むネコ科ベンガルヤマネコ属のスナドリネコ
(天王寺動物園)

 見通しのいい草原へ出て行った食肉目は獲物を狩るためにはとにかく走らなければならなくなりました。
 ただ走るだけではなく、逃げまわる相手を俊敏に追いかけ、そして捕まえなければなりません。
 そこで体を中型化して、力と軽快さのバランスをとります。
 ただ肉食動物が狩ることができる最大の大きさは、自分と同じくらいまでといわれます。
 それを知ってか知らずか、草原の草食動物は大型化します。
 そこで群れをつくり大勢で連携をして、自分より大きな草食動物を狩るようになりました。
 オオカミです。

草原に出て行ったネコ科ヒョウ属のライオン(天王寺動物園)

 逆に森に潜む食肉目は、待ち伏せ型。
 障害物が多い森の中では、大勢で飛びかかるのはむずかしく、1頭のほうが効率がいいでしょう。
 一気に瞬発力で仕留めるため、体を大きくして力を強くします。
 重い体重は、獲物を抑えこむのにも役に立ちます。
 そして大型化していったのがトラ。

人の生活の場に定着したネコ科ネコ属のノラネコ

 森にはもちろんトラよりもずっと小さな動物もいます。
 それは大きなトラの狩りの対象にはあまりならないでしょう。
 そのニッチ(隙間)に小型化して対応したのがヤマネコかもしれません。
 オオカミよりも小さくなったヤマネコは、きっと住む場所を広げていったことでしょう。
 ネズミやカエルのような小さな動物がいれば生きていけますから、大きな森でなくても生きていけるでしょう。
 さらに体が小さいほうが縄張りも小さくてすみます。

 森に住み、単独行動で、待ち伏せ型の狩りをする、食肉目の哺乳類。
 そのネコ科の特徴を残して小型化することで、生息範囲を広げていったヤマネコ。
 ところが、これがノラネコとなるとちょっとかわってきます。

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タグ: 公園ネコを考えるネコヤマネコネコの生態

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おわってしまった?2016年のプランター稲ビオトープ

 田植えが終わったプランター稲ビオトープ。
 稲が育っていくと同時にカブトエビやカイエビたちの数が減っていきます。
 淘汰されていっているのか、はたまだカブトエビに食べられているのか。
 わかりませんが、カブトエビ自身も1匹ずつ、まるでミステリーのように亡くなっていきます。
 数が減らないのはホウネンエビとカイミジンコだけ。

プランター稲ビオトープ

黒い篭は肉食カブトエビの隔離スペース
半分に切られたペットボトルは又の機会に

 そして、突然のカイエビの全滅。
 朝まで元気に動き回っていたのが、夜には底に横たわったまま動きません。
 エラも動いていないようです。
 その日を境に動いているカイエビはいなくなりました。
 そしてカイエビを追うようにカブトエビも。
 1ヵ月も待たずに、カイエビとカブトエビはいなくなってしまいました。

だんぶんそれらしくなってきたカブトエビ

 肥料を減らしても、まだ多かったのかもしれません。
 植えたときピンと上に葉はを伸ばしていた稲も、垂れてきています。
 これは肥料が多すぎたときの症状のようです。
 葉先が枯れはじめているのも同じ。

とにかく元気なホウネンエビ

 肥料は足すことは簡単ですが、引くのは難しい。
 本を参考にして体積から計算した量でしたが、植える苗が少ないので、多すぎたようです。
 来年はもっと思い切って減らすべきでしょう。
 とりあえず、今年も失敗。
 少しだけ前進できたような気もしますし、まったくのような気もします。
 田んぼの再現はむずかしい!

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巨樹・古樹・老樹 その40 金剛山の伏見林道の大阪府指定天然記念物の千早の栃木

 天然記念物。
 動植物から鉱物、地質や景観など自然を記念物として指定したもの。
 指定されると保護の対象になります。
 日本では国が指定した天然記念物と、自治体が指定した記念物があります。

 大阪府では81件の樹木が府の天然記念物に指定されています。
 その一つが、金剛山の登山道の一つ、伏見林道のトチノキ。

金剛山の伏見林道の大阪府指定天然記念物の千早のトチノキ
(2016年5月)

 落葉樹のトチノキが新緑の季節を迎えた5月。
 まだ若い葉から陽の光が透けています。
 それが周りの常緑樹のスギと緑のコントラストに。


 高さは25メートル、幹まわりは4メートル以上、樹齢は推定300年。
 江戸時代からずっと巡礼者や登山者を見守り続けていたのでしょう。

巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木

■参考外部リンク■
大阪府/大阪府指定天然記念物千早のトチノキ
千早赤阪村ホームページ - 千早のトチノキ

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都会の植え込みから自然あふれる山まで。
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