【 2015年01月01日】

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羊(ひつじ)が山にいったら山羊(やぎ)になるの? 中国の「山羊年」の謎


 2015年です。

 ということで、毎年恒例の干支関係を。



 今年の干支(えと)は未(ひつじ)。

 ひつじの年です。

 この「ひつじ年」、日本ではあまり気になりませんが、干支の本家中国に行くと、ちょっと違和感を感じることがあります。

 中国の「羊」は、スリムな体にサラサラの毛、顔にはあごひげ。
 なんかヘンです。

 「ヒツジ」と聞いてイメージされるのは、くるくるとカタツムリのようにまるまった角と、温かそうなもふもふした毛。

 あごひげは?



角はないけど羊らいいヒツジ(天王寺動物園)
角はないけど羊らいいヒツジ(天王寺動物園)




 あごひげの動物というとヤギ。

 「ヤギ」は真直ぐとんがった角に、もふもふしてない毛に、あごひげ。

 そう、中国の「未(ひつじ)」の絵は、ヤギなのです。



角はないけど山羊らしいヤギ(六甲山牧場)
角はないけど山羊らしいヤギ(六甲山牧場)




 でも、ここで新たな疑問が生まれます。

 そもそも「ヒツジ」と「ヤギ」はちがうのでしょうか?

 名前がちがうのですからちがういきものなのでしょうが、「ヤギ」は「ヒツジ」の一種なのか、それとも「ヒツジ」が「ヤギ」の一種なのか。

 はたまたまったくちがう生き物なのでしょうか。



 はじめに結論を言ってしまえば。

 染色体の数はヒツジが54個(野生種は58個等)に対してヤギが60個。

 生物学的にはちがう生き物と言えます。

 しかし分類では、ヒツジは、哺乳綱-鯨偶蹄目-ウシ科-ヤギ亜科-ヒツジ属。

 ヤギは、哺乳綱-鯨偶蹄目-ウシ科-ヤギ亜科-ヤギ属。

 亜科まで同じですから、おおざっぱに「同じ種類」と言ってもいいと思います。



草を食べてるヒツジ(六甲山牧場)
草を食べてるヒツジ(六甲山牧場)




. それにどちらも家畜としての歴史が数千年あり、特にヒツジは品種改良がすすんでいるので、外見でヤギと区別するのが難しいものもあります。

 つまり、染色体を調べることができるようになるまでは、ちがう生き物として区別するかしないかは、何をポイントにするか次第ということ。

 手元の国語辞典で調べてみると、「羊」については、渦巻き型の角や縮れた毛などのヒツジらしい特徴が書かれています。

 「山羊」についても同じようにヤギらしい特徴が書かれています。

 そして羊と山羊は区別されているようです。



 同じように十二支の本場の中国の辞典(漢語詞典)で調べてみると。

. 「羊(yang/ヤン)」は、「哺乳動物。反芻動物。綿羊(羊毛をとる羊)、山羊(やぎ)、羚羊(れいよう/インパラやガゼル等)、黄羊(モウコガゼル)などの種類がある」というようなことが書かれています。

 「山羊(shanyang/シャヌヤン)」は、「羊の一種。形は綿羊に似ていて体は小さい……」など見た目の特徴が書かれています。

 つまり中国ではヤギやヒツジなどを含めたウシ科のいくつかのグループをまとめて「羊」と呼んでいるようです。

 ですからヤギが未年の絵に使われるのは、不思議でない。というこです。

 しかし、どうしてもふもふのヒツジではなくヤギばかりが使われるのでしょうか。



 あくまで想像ですが、草のみを食べるヒツジは、中国では漢民族圏の周辺の樹木の少ない草原地帯の少数民族圏でよく飼われています。

 それに対して樹木もある漢民族圏では、草よりも木の葉を好むヤギのほうが身近な動物なのかもしれません。

 ただ、漢民族圏ではヒツジやヤギよりもブタやスイギュウのほうが身近な動物ですが。



 ヒツジとヤギ。

 生物学的にはちがう生き物です。

 でも、同じ生き物と考えるのか、ちがう生き物と考えるのかは、時と場合と時代と文化で変わるようです。



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タグ: ヒツジヤギ干支

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