【 2015年01月】

[カテゴリ リスト] 【表示記事リスト】
ビオトープ
┃《ビオトープとは
山・森・里山
川・湖・池
海岸・干潟・海
公園・緑地・田畑
都市
野鳥・鳥
モズ
哺乳類
爬虫類・両生類
恐竜と化石爬虫類

節足動物
甲虫
昆虫(甲虫以外)
甲殻類
虫(節足動物以外)
その他の海の動物
草花
野菜・食用作物
お茶
樹木
花木
紅葉・黄葉・褐葉
果物・実
コケ・シダ
その他植物について
微生物・菌類・細菌 等
地衣類
博物館・植物園・催事 等
季節
本・DVD・物語・伝承
架空・神話・創作
語彙集
フィールドワーク
リンク
ブログのご利用について


〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

靫草 赤く縮かむ蓮座草 (七十二候第六十四候「乃東生」を過ぎて)


 1年を72に分けて季節を表す七十二候(しちじゅうにこう)。

 12月下旬、冬至の最初の七十二候が「乃東生」。

 よみは「なつかれくさしょうず」。

 乃東(なつかれくさ)が生える時期、という意味です。



 夏枯草(かごそう)の古い呼び名が「乃東」。

 夏枯草は、シソ科のウツボグサ(靫草)の花穂の漢方生薬としての呼び名です。

 ということで、「乃東生」は、ウツボクサが芽吹く頃、という意味になります。



 ところが。

 ウツボグサは多年草。

 多年草でも冬に地上部分が枯れる植物もありますが、ウツボグサはロゼットの状態で冬を越します。

 芽吹いたようには見えないでしょう。



1月中旬の下赤阪の棚田の赤く焼けてるウツボグサのロゼット 1月中旬の下赤阪の棚田の赤く焼けてるウツボグサのロゼット




 「ロゼット」は、植物が茎を伸ばさず、地面の上に貼り付くように四方八方に葉をのばした状態のこと。

 中国語では「蓮座叢(リェヌゾゥツォン))」。

 「蓮座」は「蓮華座(れんげざ)」のことで、仏像が座っている蓮の花を模した台座のこと。

 何重にも葉を重ねる様子を見立てたものでしょう。



 ということで、この七十二候の「乃東」は、ウツボグサではないとする説もあります。

 しかし、今のところ、ウツボグサ以外に「これだ!」というのは見つかっていないようです。



6月中旬の下赤阪の棚田のウツボクサの花
6月中旬の下赤阪の棚田のウツボクサの花




 七十二候は、1年を24に分ける二十四節気(にじゅうしせっき)と同じように中国が発祥。

 中国のものをそのまま使っている二十四節気とちがい、七十二候は日本オリジナルのものが少なくありません。

 「乃東生」も日本オリジナル。

 明治時代の暦(こよみ)の要約に書かれていたものですが、わずか百年ちょっとでなにかわからなくなってしまったというのは、おもしろいですね。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 乃東生ウツボグサロゼット七十二候1月の下赤阪の棚田の植物下赤阪の棚田2015下赤阪の棚田201501

関連記事
スポンサーサイト



theme : 散策・自然観察
genre : 趣味・実用

一番寒い時期ですが、春が近づいていることを教えてくれる香りと花


 1月の下赤阪の棚田。

 大阪で唯一の村の棚田。

 もちろんイネもなく、田んぼもそのまま休ませていますので、ちょっと寂しい棚田です。

 その中で咲いていたソシンロウバイ。



葉より先に花が咲く落葉樹
葉より先に花が咲く落葉樹




 漢字では「素心蝋梅」。

 クスノキ目 ロウバイ科 ロウバイ属のロウバイの園芸品種。

 薄く透けて見えるような花びらは、天気のいい日に見るとほんとうに綺麗です。



曇りだったのにソシンロウバイのそばに来た時だけ青空が
曇りだったのにソシンロウバイのそばに来た時だけ青空が




 そしてなにより独特な香り。

 遠くからでも咲いているのがわかります。



まだまだつぼみもいっぱい
まだまだつぼみもいっぱい




 梅もまだつぼみが固い1月に、春がくることを教えてくれる花です。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: ソシンロウバイ冬の花黄色い花下赤阪の棚田下赤阪の棚田2015下赤阪の棚田2015/01

関連記事

theme : 樹木・花木
genre : 趣味・実用

今年も儚い金剛山の樹氷


 2014年から15年にかけての冬、最初の霧氷は高野山でした

 それに遅れて、金剛山でも霧氷を見てきました。

 冬、空気中の冷えた水蒸気が木にあたって氷になったものが霧氷(むひょう)。

 白くなって木についた霧氷が樹氷(じゅひょう)。



 蔵王の「アイスモンスター」は有名ですが、さすがに大阪の低山ではそのようなものはありません。

 それどころか、ちょっと温度が上がって雨が降るとみんなとけて無くなります。

 この冬も何度かとけています。

 だからこそ、小さな儚(はかな)い樹氷でも、冬の風物詩になります。



 金剛山登山での樹氷ポイントの一つが、最も登山者が多い千早本道の八合目から上。

 実はここは奈良県。
 大阪の樹氷ではなかったりします。



葉を落としたブナにつく樹氷
葉を落としたブナにつく樹氷




向かいの文殊尾根のブナ林も樹氷ポイント
向かいの文殊尾根のブナ林も樹氷ポイント




 八合目からの迂回路はブナ林の中を通ります。

 葉を落としたブナに樹氷がついています。



曇だと水墨画の中にいるようです
曇だと水墨画の中にいるようです




 この冬はちょっと暖かいようで、金剛山の雪もとけたり積もったりを繰り返しています。

 今年も金剛山の山頂は、儚い樹氷になりそうです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 樹氷霧氷冬の金剛山千早本道ブナの樹氷

関連記事

theme : 山登り
genre : 趣味・実用

二酸化炭素はぐるぐるまわる その2「二酸化炭素の行き先」


 地球がだんだん暖かくなっていく地球温暖化。

 その直接の原因とされるのか、空気中の二酸化炭素の濃度。

 地球温暖化について科学的に評価する国際機関のIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change/気候変動に関する政府間パネル)の2013年の報告では、地球の平均気温の上昇と二酸化炭素の濃度の変化に深い関係があると考えられることが指摘されました。



 二酸化炭素が増えているということは、一体どこから来たのでしょうか。

 それは、炭素を含んだ物(燃料)を燃やして空気中の酸素と化合さるから。

 つまり、とても大雑把に言うと、元が生き物だったものを燃やすと、出てくるのが二酸化炭素です。

 ということは、石炭や石油やガスを燃やす限り二酸化炭素は増え続けていくのでしょうか。

 それは半分正解で、半分まちがいです。



二酸化炭素が塊になった石灰岩が溶けてできた鍾乳洞〈星野洞(南大東島)〉
二酸化炭素が塊になった石灰岩が溶けてできた鍾乳洞
〈星野洞(南大東島)〉




 なぜなら、空気中の二酸化炭素を取り除く自然の仕組みが地球にはあるので、増える一方にはなりません。

 地球と似たような物質で出来ていると考えられる金星と火星の大気はほぼ100%が二酸化炭素。

 しかし現在の地球はほぼ0%の0.04%。

 地球もできた時の二酸化炭素の割合は、金星や火星と同じくらいだったと考えられます。

 実際、地球にある炭素がすべて二酸化炭素になったとすると、空気中の割合は99%になると言われています。
 金星の97%に匹敵するくらいのすごい量です。



 ということは、地球は空気から二酸化炭素を取り除く仕組みが金星や火星とちがってよく働いているようです。

 二酸化炭素濃度が増えていると騒がれている現在でも、実は地球の歴史の上では極端に二酸化炭素の濃度が低い時期の一つなのです。

 たとえば、恐竜がいた中生代の三畳紀には一時期今の10倍の濃度があったと考えられていますし、陸上に植物が上陸し始めた古生代のオルドビス紀には20倍あったとも言われます。



二酸化炭素が固まった石灰岩の南大東島と二酸化炭素がたくさん溶け込んだ太平洋
二酸化炭素が固まった石灰岩の南大東島と
二酸化炭素がたくさん溶け込んだ太平洋




 そんなにいっぱいあった二酸化炭素がどこへ行ったかというと、姿を変えて空気中でないところにあるのです。

 ひとつは海の中。

 まず、海には大量の二酸化炭素が溶け込んでいます。

 それを植物プランクトンなどが炭水化物に変えます。

 しかし、その炭水化物は植物プランクトンが死んだり食べられたりすると、また二酸化炭素に戻りますので、一時的なものでしかありません。



 二酸化炭素を取り除くための重要な働きをしている生き物にはサンゴや貝があります。

 海に溶け込んだ二酸化炭素を炭酸カルシウムにして、貝殻やサンゴをつくって体を支えたり守ったりするのに利用します。
 ほかにも炭酸カルシウムという形で二酸化炭素を利用する海の生き物はいろいろいます。

 そういったサンゴや貝殻などに姿を変えた二酸化炭素は、サンゴや貝が死んだ後に海底にたまっていき、長い時間をかけて石灰岩に姿を変えます。

 それ以外にも海中の二酸化炭素が海中のカルシウムとくっついて炭酸カルシウムとなって海の底に沈んでいきます。

 これも時間がたてば石灰岩になります。



二酸化炭素を間接的に取り除いてくれるサンゴ-和歌山県立自然博物館
二酸化炭素を間接的に取り除いてくれるサンゴ-和歌山県立自然博物館




 そうやって地球に取り込まれた二酸化炭素は、火山ガスとして再び空気中に戻ってくるのです。

 人間がどんどん増やしていってると言われる二酸化炭素ですが、実は増えたり減ったりぐるぐる回るシステムが地球にはあるのです。

 その仕組で、ほとんどないくらいに減らされたのが、今の地球の空気。

 でも二酸化炭素は姿を変えただけで、海と地面の下にたくさんあるのです。

 今の金星や火星には海がありません。
 しかし、大昔には海があったという説もあります。

 地球の二酸化炭素がほぼ0になるまで減ったのは、海がなくならなかったからからかもしれません。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 炭素循環二酸化炭素石灰岩IPCC南大東島

関連記事

theme : 雑学・情報
genre : 学問・文化・芸術

名前に偽りなかった? やっと出会えた“イソヒヨドリ”


 イソヒヨドリ。

 漢字で書くと、「磯鵯」。

 つまり、岩場の海岸、磯に棲むヒヨドリ。



 ではありません。

 磯を活動の場にしていますが、スズメ目 ツグミ科 イソヒヨドリ属。

 ヒヨドリは スズメ目 ヒヨドリ科 ヒヨドリ属。

 科からちがう鳥です。






 本来は名前のように磯の近くに棲む鳥でしたが、最近の大阪では内陸部への進出が確認されています。

 ということで、近所、しかも住宅街などで時折見かける、「町ヒヨドリ」になっています。

 それどころか狭山池でも見かけて「池ヒヨドリ」

 さらに山の麓の下赤阪の棚田で見かけてほとんど「山ヒヨドリ」です。

 と、海の近くで見たことはありましたが、磯で見たことはありませんでした。

 ヒヨドリでないどころか、磯にもいません!

 「名前に偽(いつわ)りあり!」。



 それが、やっと名前通りのイソヒヨドリに出会うことができました。



スズメ目 ツグミ科 イソヒヨドリ属
ハトより小さい
留鳥

磯に立つイソヒヨドリのメス
磯に立つイソヒヨドリのメス



 場所は和歌山市の北部、加太(かだ)。

 最近は海上のラピュタと言われる友ヶ島へ渡るための港として有名かもしれません。

 加太海水浴場と城ヶ崎の間の岩場。

 石の上を、尾羽根を上下させながら歩き回っています。

 その姿はヒヨドリじゃなく、セキレイのよう。

 でも立ち度待った時の姿は、上半身を起こしたつぐみん立ち。

 たしかにツグミの仲間。

 名前の偽りは半分だけでした。



目線をくれました?
目線をくれました?




DVD付 新版 鳥 恐竜の子孫たち (小学館の図鑑・NEO)

新品価格
¥2,160から
(2021/4/5 00:12時点)

ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

新品価格
¥1,650から
(2021/4/5 00:16時点)

幸せの青い鳥

新品価格
¥1,306から
(2021/4/5 00:17時点)

和ことり [5.いそひよどり](単品)

新品価格
¥99から
(2021/4/5 00:18時点)

イソヒヨドリ 赤い お腹 カフスボタン 赤 メンズ 605

新品価格
¥2,170から
(2021/4/5 00:19時点)

››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: イソヒヨドリ海の鳥ハトより小さい鳥留鳥加太

関連記事

theme : 散策・自然観察
genre : 趣味・実用

未年に羊の顔が現れた?


 2015年未年(ひつじどし)。

 ということで、羊の顔です。

 といっても本当の羊でないのは、見ての通り。



謎の羊の顔
謎の羊の顔




 これは、植物に出来た羊の顔。

 霊的な作用で出来た人面疽(じんめんそ)、じゃなくて羊面疽。
 ではありません。

 樹木の葉が落ちた跡、葉痕(ようこん)です。

 それが羊っぽい模様に。



斜めでも羊の顔
斜めでも羊の顔




 この樹木はオニグルミ。

 クルミ目 クルミ科 クルミ属の落葉高木。

 そう、高く成長するので、もちろん葉がつくのは上の方。

 ちょっと見にくいのです。

 写真は大阪府河内長野市の植物園、花の文化園のオニグルミ。
 新聞に載っていました。

 まだ植えられて間がないようで、高さも2メートルをちょっとこえたくらい?

 なので葉痕を目線の高さで、そして近くで見ることができます。



オニグルミの葉痕
オニグルミの葉痕




 オニグルミは植物園では珍しい樹木ではないと思いますが、羊の葉痕を間近で見ることができるのは、珍しいかも?

 もしかして、樹木の葉痕をさがしてみると、十二支がそろったりして?



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: オニグルミ葉痕ヒツジ花の文化園

関連記事

theme : 樹木・花木
genre : 趣味・実用

いきなり質問。これはなんの草? その2


いきなり質問です
 これはなんの草でしょう?



これはなんの草でしょう?
これはなんの草でしょう?




 といっても、特徴がなさそうな単子葉植物を思わせる線形の葉。

 見当がつかないかもしれません。

 ということで。



ヒント1
 見ての通り単子葉植物で、線形の葉を地面から生やす根出葉。



ヒント2
 緑の葉を茂らせたまま冬を越しますが、春には花もさかさずに枯れてしまいます。



ヒント3
 都市部では見かけないかもしれませんが、郊外の住宅地や田園地では珍しくないと思います。



ヒント4
 秋に咲く花が有名です。



冬。こんな感じでまとまって生えていました
冬。こんな感じでまとまって生えていました




こたえ
 ヒガンバナです。

 普通イメージするヒガンバナは花だけ。

 花の枯れた後、このような葉が生えてきて、秋から冬の間に栄養を土の中の鱗茎にためます。

 土の中から葉を出さずにいきなり花を咲かせる面白い植物です。

 ヒガンバナの花は見たことがあっても、ヒガンバナの葉を見たことがある人は少ないかもしれません。

 毎年ヒガンバナが咲くところなら、冬の間はこのような葉が茂っているはずです。



秋。上の画像と同じ所で咲いていたヒガンバナ
秋。上の画像と同じ所で咲いていたヒガンバナ




 冬に機会があれば、ヒガンバナが咲いていた場所に立ち寄ってください。

 濃い緑の細長い葉がたくさん生えているはずです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: いきなり質問ヒガンバナ

関連記事

theme : 山野草
genre : 趣味・実用

お正月の門松 神様も明治新政府にはかなわなかった?


 お正月のおめでたい飾り系の植物には、数種類の植物をまとめたものもあります。

 その代表的なものが、門松(かどまつ)。



 門松は、お正月の前後に、家の門の左右に飾るものです。

 年神(としがみ)様を家に迎えるための依代(よりしろ)という意味合いがあります。

 「依代」は、神や霊魂などが一時的に乗り移るもののことで、日頃は見えなく存在も感じない神様も、その間だけは形があるもののようにお祀(まつ)りできるようになります。

 そういう意味では、門松は縁起物とはちょっとちがうかもしれませんが。



錦織公園の河内の里の門松
錦織公園の河内の里の門松




 「門松」というのに中央に竹があって「門竹」としか言いようがないようですが、竹の後ろや左右にちゃんと松があります。

 もちろんこの松こそが「門松」本体。

 そして松と斜めに切られた3本の竹が門松の基本。

 神は緑の植物を好むと考えられるので、松と竹以外に常緑の植物がつかわれますが、地域によってかわります。



左の門松
左の門松
右の門松
右の門松
大阪では葉牡丹が使われます



 12月中ごろから1月15日の小正月まで飾るところが多いようです。

 もちろん、明治以前からある古い習慣。

 つまり、本来門松を飾るのは旧暦の正月、今の2月初旬前後のこと。

 神様も明治の改暦には、かなわなかったのでしょうか。

 いやいや、神様はそんなちっちゃなことは気にしてないでしょう。

 きっと。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 門松正月縁起物葉牡丹錦織公園河内の里

関連記事

theme : 雑学・情報
genre : 学問・文化・芸術

お正月を彩るお目出度い千両の謎は謎のまま?


 お正月。

 新しい一年の始まりです。

 ということで、お目出度いものが特に尊ばれる時期でもあります。

 お正月向けの縁起のいい生き物は何種類もあります。

 植物の場合、食べるものと飾るものにわかれます。



 そんなお目出度い飾り系植物の一つがセンリョウ。

 漢字では「千両」。

 コショウ目 センリョウ科 センリョウ属の被子植物の古い形を残した植物です。

 大阪では、ホームセンターからスーパーまで年末の店先を彩っています。



緑の葉に赤い実が映えるセンリョウ(花の文化園)
緑の葉に赤い実が映えるセンリョウ(花の文化園)




 名前に「両」がついた赤い実がなる縁起物の植物は、一両・十両・百両とあり、千両の上には万両・億両と続きます。

 ただ、「両」が正式な名前(標準和名)になっているのは千両と万両だけ。
 ほかはそれぞれ別の名前を持っています。

 一両がアリドオシ、十両がヤブコウジ、百両がカラタチバナ、そして億両がミヤマシキミ



 十両や百両はともかく、万両よりも尊ばれるのはどうしてでしょうか。

 理由はわかりませんが、一両から万両まで赤い実は下向きになりますが、千両は上向き。

 しかも木の先端に。

 飾りとしてよく映えます。



花の少ない冬の赤い実は目を楽しませてくれます(花の文化園)
花の少ない冬の赤い実は目を楽しませてくれます(花の文化園)




 でも、実は億両も実が木の先端になります。

 どうして億両でなく千両なのか。

 この理由も定かではありませんが、億両がとてもマイナーだからかもしれません。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 千両センリョウ小判シリーズ縁起物赤い実

関連記事

theme : 樹木・花木
genre : 趣味・実用

羊(ひつじ)が山にいったら山羊(やぎ)になるの? 中国の「山羊年」の謎


 2015年です。

 ということで、毎年恒例の干支関係を。



 今年の干支(えと)は未(ひつじ)。

 ひつじの年です。

 この「ひつじ年」、日本ではあまり気になりませんが、干支の本家中国に行くと、ちょっと違和感を感じることがあります。

 中国の「羊」は、スリムな体にサラサラの毛、顔にはあごひげ。
 なんかヘンです。

 「ヒツジ」と聞いてイメージされるのは、くるくるとカタツムリのようにまるまった角と、温かそうなもふもふした毛。

 あごひげは?



角はないけど羊らいいヒツジ(天王寺動物園)
角はないけど羊らいいヒツジ(天王寺動物園)




 あごひげの動物というとヤギ。

 「ヤギ」は真直ぐとんがった角に、もふもふしてない毛に、あごひげ。

 そう、中国の「未(ひつじ)」の絵は、ヤギなのです。



角はないけど山羊らしいヤギ(六甲山牧場)
角はないけど山羊らしいヤギ(六甲山牧場)




 でも、ここで新たな疑問が生まれます。

 そもそも「ヒツジ」と「ヤギ」はちがうのでしょうか?

 名前がちがうのですからちがういきものなのでしょうが、「ヤギ」は「ヒツジ」の一種なのか、それとも「ヒツジ」が「ヤギ」の一種なのか。

 はたまたまったくちがう生き物なのでしょうか。



 はじめに結論を言ってしまえば。

 染色体の数はヒツジが54個(野生種は58個等)に対してヤギが60個。

 生物学的にはちがう生き物と言えます。

 しかし分類では、ヒツジは、哺乳綱-鯨偶蹄目-ウシ科-ヤギ亜科-ヒツジ属。

 ヤギは、哺乳綱-鯨偶蹄目-ウシ科-ヤギ亜科-ヤギ属。

 亜科まで同じですから、おおざっぱに「同じ種類」と言ってもいいと思います。



草を食べてるヒツジ(六甲山牧場)
草を食べてるヒツジ(六甲山牧場)




. それにどちらも家畜としての歴史が数千年あり、特にヒツジは品種改良がすすんでいるので、外見でヤギと区別するのが難しいものもあります。

 つまり、染色体を調べることができるようになるまでは、ちがう生き物として区別するかしないかは、何をポイントにするか次第ということ。

 手元の国語辞典で調べてみると、「羊」については、渦巻き型の角や縮れた毛などのヒツジらしい特徴が書かれています。

 「山羊」についても同じようにヤギらしい特徴が書かれています。

 そして羊と山羊は区別されているようです。



 同じように十二支の本場の中国の辞典(漢語詞典)で調べてみると。

. 「羊(yang/ヤン)」は、「哺乳動物。反芻動物。綿羊(羊毛をとる羊)、山羊(やぎ)、羚羊(れいよう/インパラやガゼル等)、黄羊(モウコガゼル)などの種類がある」というようなことが書かれています。

 「山羊(shanyang/シャヌヤン)」は、「羊の一種。形は綿羊に似ていて体は小さい……」など見た目の特徴が書かれています。

 つまり中国ではヤギやヒツジなどを含めたウシ科のいくつかのグループをまとめて「羊」と呼んでいるようです。

 ですからヤギが未年の絵に使われるのは、不思議でない。というこです。

 しかし、どうしてもふもふのヒツジではなくヤギばかりが使われるのでしょうか。



 あくまで想像ですが、草のみを食べるヒツジは、中国では漢民族圏の周辺の樹木の少ない草原地帯の少数民族圏でよく飼われています。

 それに対して樹木もある漢民族圏では、草よりも木の葉を好むヤギのほうが身近な動物なのかもしれません。

 ただ、漢民族圏ではヒツジやヤギよりもブタやスイギュウのほうが身近な動物ですが。



 ヒツジとヤギ。

 生物学的にはちがう生き物です。

 でも、同じ生き物と考えるのか、ちがう生き物と考えるのかは、時と場合と時代と文化で変わるようです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: ヒツジヤギ干支

関連記事

theme : 雑学・情報
genre : 学問・文化・芸術

二十四節気・七十二候
プロフィール

ノート

Author:ノート
都会の植え込みから自然あふれる山まで。
フィールドワーカーのノートが生き物たちとの出会いを書いています。

検索フォーム
カレンダー
12 | 2015/01 | 02
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
BLOG & NEWS | 動物プロダクション SCIENCE FACTORY ltd.
けろんの100円で昆虫採集!
相生山からのメッセージ
ななこの『生き物のお世話』ブログ
雑記帳~身の回りの出来事やら自然やら~
とある昆虫研究者のメモ
ACTOW
徳川広和・恐竜・古生物・模型・フィギュア作品ギャラリー
コトラ&ミーのこんにちは ご近所さん
すみれ奏へようこそ
そぞろ歩き
デジカメ・昆虫・写真
くろねこのチラシの裏
どくだみ荘日乗
故郷の廃家
とらログ
ようこそ大阪市立自然史博物館へ
インターネットミュージアム
いきもの を ぱちり!
管理画面
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
最近記事のRSS
最新コメントのRSS
最新トラックバックのRSS