【 2014年05月】

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山頂の茅場のフィールドサイン カヤネズミの巣


 3月下旬、山焼直前の岩湧山(いわわきさん)山頂のキトラの茅場(かやば)。

 大阪の南部にある低山の山頂に作られた茅場です。

 「茅」は白川郷の合掌造りのように伝統的な建物の屋根などに使われるイネ科の数種類の植物で、岩湧山ではススキが育てられています。



山焼前の岩湧山山頂キトラの茅場
山焼前の岩湧山山頂キトラの茅場




 茅場ではほかの植物が育たないように定期的に焼きます。

 岩湧山では3月の下旬から4月上旬に行われます。

 山焼の直前ということでススキの多くは刈り取られていました。

 お陰で山頂尾根に立つと見通しが良くなっています。

 ここは野草の多いところなので、なにかないかなと思っていると、枯れ草が丸くなっているものが落ちていました。

 何かの巣のようです。



ススキが刈られた後に“落ちていた”巣
ススキが刈られた後に“落ちていた”巣




 これによく似た写真を見たことがあります。

 カヤネズミの巣。

 カヤネズミは背の高い草原に住む日本在来種の小さなネズミです。

 名前のように「カヤ」原によく住んでいます。



カヤネズミ(萱鼠)
哺乳綱 ネズミ目 ネズミ科 カヤネズミ属
日本で一番小さなネズミ

カヤネズミ(萱鼠) カヤネズミ(萱鼠)
天王寺動物園のカヤネズミとカヤネズミの巣




 というわけでカヤネズミというと、下流の河原の芦原に住む生き物と思い込んでいました。

 まさか川から離れた山の頂上に住んでいるとは思いもしません。

 それに巣はカヤの上の方に作るのですが、見つけたのは刈られた根本。

 複数の茅を取り込んで巣を作るので、刈られた衝撃で落ちできたとは考えにくく、これもイメージとは違います。



幅10センチほど
幅10センチほど




 調べてみると、岩湧山の茅場にカヤネズミが住んでいることは確認されているようです。

 また冬には根本に巣をつくるらしいということも。

 ということでカヤネズミの巣でいいようです。

 山頂でカヤネズミというのは変な感じがしますが、カヤネズミは水辺が好きなのではなく、カヤが生い茂る場所が好きなのだと思うと納得できます。

 つまり、カヤネズミは水辺ビオトープの住人ではなく、茅場ビオトープの住人ということです。



高さ?5センチほど
高さ?5センチほど




 しかし気になるのは、この茅場はこれから焼かれます。

 もちろん、カヤネズミもただでは済みません。
 どうなるのでしょう。



裏側には広葉樹の葉っぱが使われています
裏側には広葉樹の葉っぱが使われています




 茅場の南側には焼かれないススキの原が帯状にあります。狭いですが。

 きっと今はそこに逃げ込み、ススキが再び伸びてくるのをまっていることでしょう。

 もちろん、逃げる場所があるからこそこの茅場に住み着いているわけです。



巣の中は細くて柔らかそうな葉が使われています
巣の中は細くて柔らかそうな葉が使われています




 山頂のカヤネズミ。

 ちょっと意外でしたが、よくよく考えれば納得もできます。

 しかしこんな杉の植林の中にぽつんとある茅場に、一体いつどこからやってきのか。

 謎は残りますが、そろそろススキも伸び、カヤネズミも戻ってきていることでしょう。



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! トリケラトプス登場編


 博物館と植物園がコラボした「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。 
 そして「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」。

 化石と植物園で見ることができる植物の紹介も、いよいよ最後。




白亜紀にあったかもしれない植物に囲まれた会場入口




 もちろん今回の主役、トリケラトプスがいた時代・場所の植物です。

 トリケラトプスの大好物もあるかもしれません。



サントニアン 8630万年~8360万年前
カンパニアン 8360万年~7210万年前
中生代 白亜紀 後期
マーストリヒチアン 7210万年~6600万年前
トリケラトプス
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

今回のテーマになっている人気恐竜トリケラトプス。

体も大きくなり、各地で多様化していたそれまでのケラトプシア類とちがい、たった一種で各地に広がっていきました。

しかしそんなトリケラトプスも白亜紀末の大量絶滅に飲み込まれ、最後のケラトプシア類になってしまいました。


下に並ぶのはトリケラトプスと同じ時代のララミディア大陸にはえていた植物の化石です。
つまりトリケラトプスが食べたかもしれない植物。

白亜紀の後期になると被子植物の化石が増え、繁栄をはじめたことがわかります。

ただ、今の植物との関係がわからないものも少なくないということなので、一気に多様化して、絶滅してしまったものも少なくないのかもしれません。
まるでカンブリア爆発のようです。

セコイア・ダコテンシスの球果
裸子植物
球果類
ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

今のセコイアの球果とよく似ています。

トリケラトプスが食べるのには小さいですが、ブドウのようにまとまっていたのなら、食べごたえがあったかもしれません。
セコイア
裸子植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:長居植物園内北 明石植物群北

100mを超える巨木になることで有名。
トリケラトプスも余裕で森の中を歩くことができたでしょう。

この植物園のセコイアはそこまで大きくありませんが幾本も植えられ森になっています。
セコイアの森の中を歩いてみると恐竜の気分を味わえるかもしれません。

メタセコイアの枝
裸子植物
球果類
ヒノキ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

葉の形や生え方、対生(左右同じ場所から葉が生えること)のところなど、今のメタセコイアにそっくりです。

葉と葉の間隔が開いているようにみえるのは、化石になる前に離れてしまったため?

落葉したものが化石になったのなら、枝に小さな葉がついたまま落ちるところもメタセコイアと同じです。
メタセコイア
裸子植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:中国
展示:長居植物園内北 小池東

葉が上の化石とそっくりです。

数百万年前まで日本にも生えていましたが、その後絶滅しました。

今、日本のあちこちにはえているのは、は中国で見つかったメタセコイアを増やしたものです。
コルノフィルムの葉
被子植物
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

現在のミズキ属の植物と同じように葉の縁にそうように葉脈が走っています。

ミズキ属ならば、ヤマボウシのような花が咲き、甘い実がなっていたかもしれません?
ヤマボウシ
被子植物門 双子葉植物綱 ミズキ目 ミズキ科
産地:日本・朝鮮半島・中国・台湾
展示:長居植物園内中央 ユーカリ北西

花弁のように見えるのは総苞片。

モクレン同様、白亜紀の花は花弁がまだ現れていなかったのでしょうか。

マーストリヒチアン
後期
白亜紀
白亜紀末の大量絶滅
中生代

新生代 6600万年前~現在 哺乳類の繁栄



 白亜紀末の大量絶滅で恐竜は絶滅。

 その後哺乳類が繁栄することで、新生代の動物相は変わってしまいました。

 しかし植物は今もある植物と同じもの、近いものが白亜紀には生えていました。

 化石に残っているくらいですから、決して少なかったわけではないはずです。

 白亜紀末の大量絶滅はもちろん植物にもキカデオイデア類の絶滅など影響があったものの、生き残った植物が少なくないというのは、おもしろいところです。



 「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」はもう終わってしまいますが、植物園の樹木たちはまだまだ残ります。

 会場に行ったけど植物園に行けなかった方も、会場に来られなかった方も、ぜひ長居植物園で恐竜ビオトープを感じてみてください。



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ララミディア大陸編


 トリケラトプスの仲間がいっぱい見られる「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 となりでは特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」が開催中。

 植物園の中にある会場の立地を活かし、化石と一緒に今も生きている恐竜時代の植物を紹介しています。

 恐竜は白亜紀末の大絶滅ですべていなくなってしまいましたが、意外と植物は生き残っていたりします。

 そんな恐竜時代のビオトープを体験できるのが、長居植物園。




会場へ向かう階段




 ということで、会場で紹介されていた化石と、植物園にある化石の親戚や似ている植物を並べてみた第三弾。

 今回はケラトプシア類が多様化したララミディア大陸の白亜紀後期の植物の前編です。



中生代 白亜紀
後期 1億50万年~6600万年前 ケラトプシア類の繁栄

花が咲く被子植物はジュラ紀から白亜紀の間に誕生したと言われています。

初期の被子植物のひとつアルカエアントゥスは花の構造などからモクレンの仲間と考えられています。

つまり、モクレンは初期の被子植物の花の構造を残しているのです。

その特徴の一つがオシベとメシベが渦巻きのように並んでいること。

また花弁(かべん)と萼(がく)の区別がつかないところも初期の花の特徴とされます。

カラタネオガタマ
被子植物門 双子葉植物綱 モクレン目 モクレン科
産地:中国
展示:長居植物園内 大池東 マグノリア園

もうモクレンの花は終わってしまいましたが、同じモクレン科のカラタネオガタマが咲いていました。

確かに近くで見るとメシベが「彡(さん)」のように螺旋(らせん)に並んでいます。

オガタマの花はとても甘い香りがします。

中生代 白亜紀 後期
セノマニアン 1億50万年~9390万年前
ガマズミ属の一種の葉
被子植物
スイカズラ科
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

見るからに広葉樹の葉。

白亜紀後期になり、被子植物の時代になったことを象徴しているようです。
オオデマリ
被子植物門 双子葉植物綱 マツムシソウ目 スイカズラ科
園芸品種
展示:長居植物園内北 桜園南西

現在のガマズミ属のひとつ、オオデマリ。

アジサイと似ていますが、アジサイはバラ目アジサイ科ですのでちがう植物です。
どちらも目立つ花は装飾花(そうしょくか)とよばれ、種ができない花。

オオデマリは花全体を装飾花にした園芸品種で、野生種はガクアジサイのように周辺だけが装飾花になります。

中生代にすでに装飾花があったのかどうかは、わかりません。

セノマニアン
中生代 白亜紀 後期
チューロニアン 9390万年~8980万年前
ズニケラトプス
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:アメリカ
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

東アジアで誕生したケラトプシア類が、ララミディア大陸(北アメリカ西部)に渡った最初のケラトプシア類。

プシッタコサウルスよりももっと大きく、頭のフリルも角も大きくなっているので、もっと古い時代にアジア風のケラトプシア類がいたのでは、と想像します。

アロウカリア
裸子植物
ナンヨウスギ科
産地:北海道
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

花を咲かせる被子植物ばかり紹介しましたが、まだまだ裸子植物の球果植物もいます。

シダ類もキカデオイデア類も絶滅はしていませんが、新しく登場した被子植物と球果植物が大半を占めていました。

ナンヨウスギ
球果植物門 マツ綱 マツ目 ナンヨウスギ科
原産:オーストラリア
展示:花と緑と自然の情報センター 入口前 庭園内

現在も生き残っているナンヨウスギ。

枝や葉の雰囲気は化石とちょっとちがうようにも感じますが、生きた状態のまま瞬時に化石になったわけではないでしょうから、まったく同じというわけには行かないのでしょう。

草食恐竜によく好まれた植物だそうですが、今の草食哺乳類にはどうなのでしょうか。

チューロニアン
中生代 白亜紀 後期
コニアシアン 8980万年~8630万年前
コウヨウザン属に近縁なヒノキ科の果実
裸子植物
ヒノキ科
産地:北海道
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

「果実」となっていますが、針葉樹なので球果のことです。
マツで言うと松ぼっくり。

子房や中花被が大きくなった被子植物の果実と違い堅そうですが、植物繊維の塊と考えると、草食動物にとっては美味しい食べ物なのかもしれません。
コウヨウザン
球果植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:中国・台湾
展示:長居植物園内北 渓流東

右は雄花ですから、化石とはちがいます。

スギの仲間らしく樹高が30mを超えるそうですが、ここのはまだ子供、人の背丈をやっと超えたくらいです。

30mになるのはあとどれくらいの時間が必要でしょうか。
コニアシアン
サントニアン 8630万年~8360万年前
カンパニアン 8360万年~7210万年前
中生代 白亜紀 後期
マーストリヒチアン 7210万年~6600万年前



 白亜紀後期になって被子植物が目立ってきました。

 そしていよいよ次回はトリケラトプスのマーストリヒチアンの植物です。



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タグ: 恐竜戦国時代の覇者!Ceratopsia球果植物恐竜ビオトープカラタネオガタマオオデマリズニケラトプスアロウカリアナンヨウスギコウヨウザン

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genre : 学問・文化・芸術

特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ケラトプシア類登場編


 残りわずかの特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 となりでは特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」で恐竜時代の植物化石と、植物園で見られる「生きた化石」の案内も展示されています。




特別展へは外階段ですが「恐竜のエサ」を見るのはこちらから




 恐竜は絶滅してしまって今はいませんが、植物は今も仲間が生き残っているものもあります。

 トリケラトプスを見たあとには、植物園に行って恐竜ビオトープを感じてみるもいいと思います。

 ということで展示されている化石と、植物園で見られる関係する植物を並べてみました。

 そのジュラ紀から白亜紀前期編です。



中生代 2億5217万年~6600万年前
ジュラ紀 2億130万年~1億4500万年前 恐竜の繁栄

古生代には当たり前のようにあった木性シダ類が中生代の展示からなくなり、裸子植物がシダ類を圧倒していったことがわかります。

キカデオイデアの幹
裸子植物
キカデオイデア類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

ソテツによく似た裸子植物。

三畳紀に現れ、白亜紀に絶滅したとこは恐竜と同じです。

ソテツは古生代に現れ、現在まで残っていますので、見た目が似ていてもなにか決定的にちがうものもあったのでしょう。

ザミテスの葉
裸子植物
キカデオイデア類
産地:フランス
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

こちらは別のキカデオイデア類の葉。

幹同様葉もソテツによく似ています。
ソテツ
裸子植物
ソテツ門 ソテツ綱 ソテツ ソテツ科
産地:日本・中国南部
展示:長居植物園 南西 キッチンガーデン北

このように幹も葉もキカデオイデアとよく似ています。

幹や茎の先に細かく別れた葉をつけるのは木製シダ類にも共通しています。

理由はわかりませんが、古生代の後期から中生代の三畳紀には、このスタイルがよかったのでしょうか。
それとも種子植物のように枝が細かく別れた姿は、実は結構難しい進化なのでしょうか。

とはいえ、ソテツ類の化石の展示はなかったので、実はそんなに繁栄してなかったのかもしれません。

それでも2億年以上生き残っているのですから、地味にしぶとい植物のようです。

アロウカリアの球果
裸子植物
球果類
産地:アルゼンチン
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

「球果類」は、今の針葉樹のこと。
つまり、「球果」は松ぼっくり(松笠)。

この頃は今の松ぼっくりよりも大きなものがあり、草食恐竜の食べ物になっていたようです。
ヒマラヤスギ?の球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

針葉樹の球果にはいろいろな形がありますが、ポピュラーなのは松ぼっくりでしょう。

この辺りにはいろいろな種類のマツ科植物が植えられています。
どれのものかわかりませんが、落ちてたところはヒマラヤスギの下だったので、とりあえずヒマラヤスギということに。

先のほうが毛羽立っているのは、動物に食べられたためと思います。
リスかもしれません。

ヒマラヤスギは名前に「スギ」とついていますが、スギではなくマツの仲間です。

イチョウのなかま
裸子植物
イチョウ類
産地:イギリス
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

「イチョウ」というと扇型に広がった葉ですが、このように深い切れ込みの葉もありました。

それだけイチョウの仲間が多様化していたということなのでしょう。
イチョウ
裸子植物門 イチョウ綱 イチョウ目 イチョウ科
産地:中国
展示:長居植物園 北 間氷期植物群付近

ポピュラーな樹木ですが、古生代から生き続ける生きた化石。

にも関わらず今はただ1種しか残っていません。

日本中のいたるところに街路樹として植えられています。
こんなに生える場所を選ばない樹木なのに、どうして衰退したのでしょうか。

中生代 ジュラ紀
前期 2億130万年~1億7410万年前
中期 1億7410万年~1億6350万年前
後期 1億6350万年~1億4500万年前
インロンの成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

最初に登場したケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の恐竜。
室内でも飼えそうな大きさです。

このインロンのおかげで、ケラトプシア類とほかの鳥盤類恐竜の関係が明らかになってきました。

後期
ジュラ紀
中生代
白亜紀 1億4500万年~6600万年前 鳥類の発達
前期 1億4500万年~1億50万年前 鳥盤類の巨大化
プシッタコサウルス成体復元モデル
鳥盤類
ケラトプシア類
産地:モンゴル・中国
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

白亜紀の前期に登場したケラトプシア類。

まだアジアにいて、体も小さいまま。

手足のバランスからキグルミのようです。


白亜紀になると展示されている植物化石の内、キカデオイデア類も減り、球果植物の量が増えます。
裸子植物の中でも球果類が繁栄していったことがわかります。

クラッソストローブスの雄性球果
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

雄性球果、つまり“オシベ”の塊。

ただ裸子植物には被子植物のような「オシベ」はないので、この言い方は正しくありませんが。

ちょっと小ぶりに見えるのは松ぼっくり(雌性球果)でないから?
ヒマラヤスギの雄性球果
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三期植物群北西

松ぼっくりが大きいヒマラヤスギですから、雄性球果も大きめです。
キュプレッシオクラドゥス
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「ヒノキ科の枝に似た」という意味。

化石ではわかりにくいですが、右のスケッチをみるとたしかにヒノキによく似ています。

ヒノキ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 ヒノキ科
産地:日本
展示:長居植物園 北 小池北

「針葉樹」という割には針状になっていないのがヒノキの特徴。

ウロコが連なったような形をしています。

エラトクラドゥス・マンチェリカスの枝
裸子植物
球果類
産地:兵庫県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

学名は「マツのような枝」。

という割には、あまりマツのようには見えないような。

葉の先がそっていてマツよりもスギのようにも見えます。
ヒマラヤスギ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 マツ科
産地:ヒマラヤ北西部
展示:長居植物園 北 第三紀植物群北西

マツと並べてみると、エラトクラドゥス・マンチェリカスはやっぱりスギの方に近い気がします。
前期
中生代 白亜紀
後期 1億50万年~6600万年前



 予告では被子植物と書いていましたが、都合により次回に。

 次こそは被子植物の花が登場。

 そしていよいよトリケラトプスも!



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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」と長居植物園で 恐竜ビオトープを感じてみる! ケラトプシア類以前編


 大阪で見られるのも残りわずかになってしまった特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス-知られざる大陸ララミディアでの攻防-」。

 恐竜展ですが植物化石の展示も見どころです。



 しかし!

 会場があるのは長居植物園の中。
 いろんな植物がいっぱいあるところ。

 恐竜展が植物園とリンクしていないのはもったいない!



 と思っていたら、特別陳列「恐竜戦国時代の『エサ』?!-化石と長居植物園で知る植物の進化-」がはじまりました。

 場所は会場入口のアトリウム。

 展示スペースは小さいものの、無料で化石が見られるのですから、すごいことです。




入り口です。




 特別展はどうしてもケラトプシア類中心ですから、植物の歴史を追い切れないところがあります。

 それをフォローするようにこちらでは古生代から新生代までの展示があります。

 それだけでなく、長居植物園で見ることができる「生きた化石」や「化石の生きた親戚」のマップも用意されています。

 ここや会場で植物化石を見た後は、植物園へ行き「生きた化石」の森に入って中生代のビオトープを想像して、恐竜気分を味わうのもおもしろそうです。

 特別展の入場券で入れますから、行かないほうがもったいない!

 それに、特別展と植物園のカップリングは、他の会場へ巡回していっても見ることができないでしょう!
 きっと。



 ということで、化石と植物園で見ることができる「生きた化石」や「化石の生きた親戚」を並べてみました。

 恐竜時代のビオトープを想像してみましょう。



シルル紀 4億4340万年~4億1920万年前 節足動物の上陸
古生代 5億4100万年~2億5217万年前
デボン紀 4億1920万年~3億5890万年前 昆虫の出現

古生代は生き物にとってとても大きな出来事が連続した時代です。
カンブリア爆発で有名な動物の多様化からはじまります。
現在ある動物の基本的な形がカンブリア紀にできたと言われています。

その後、海で育まれた生き物たちが新天地の陸上へ進出し始めたのがシルル紀。

次のデボン紀で植物や昆虫をはじめとした節足動物たちの多様化がはじまります。

クックソニア
リニア状植物
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

陸上に進出した初期の植物。
今わかっている中で最も古い植物の化石と言われています。

まだ葉がなく、先の丸い部分に胞子が入っています。

スギゴケのような蘚類(せんるい)のコケよりも大きいようですが、まだ水を送る管の維管束(いかんそく)を持っていなかったので、限界近い大きさだったかもしれません。

産地:イギリス


復元模型
デボン紀
デボン紀末の大量絶滅
古生代
石炭紀 3億5890万年~2億9890万年前 爬虫類の出現

石炭紀はその名前の通り石炭がたくさんできた時代です。

石炭は木が腐らずに地面に埋もれて作られます。
つまり、大量の石炭だできるほどの木が茂っていたことになります。

ただその木は、今ではほとんど見ることができなくなった木の様なシダ(木性シダ)です。

同じ森でも近づけば今とはずいぶんちがった様子だったことでしょう。

カラミテス
シダ植物
トクサ類
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!


産地:アメリカ

産地:スペイン
高さ30mにもなった木の様なシダ(木性シダ)。

このような巨大なシダの森があり、それが地面に埋もれて石炭になりました。

石炭紀には二酸化炭素濃度が減りましたが、石炭という形で地面の下に炭素(二酸化炭素)が埋もれたためと言われています。
ということは相当な量の石炭ができたのでしょう。

木のように見えて、ツクシ(スギナ)の仲間です。

プサロニウス
シダ植物
木性シダ
産地:ブラジル
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!

見た目は木ですが、断面を見ると木とちがうことがわかります。
水を送る管の維管束が中心に集まり、その周りを根が囲んでいるそうです。

細い茎を根で補強している、ということなのでしょう。

ヒカゲヘゴ
裸子植物
シダ植物門 シダ綱 ヘゴ目 ヘゴ科
産地:琉球列島他
展示:花と緑と自然の情報センター 2階 アトリウム

現在にも生き残る木性シダ。

といっても石炭紀の木性シダほど大きくはなれず、高くても10mを超えるくらいですが。

恐竜気分を味わうには、ちょっと小さいかもしれませんが、見上げることができるシダです。

暖かい地域の植物で、大阪では温室で育てられています。

アトリウムにありますが、期間中はちょっと見にくいかもしれません。

石炭紀
ペルム紀 2億9890万年~2億5217万年前 爬虫類の巨大化
ペルム紀末の大量絶滅
古生代

中生代 2億5217万年~6600万年前
三畳紀 2億5217万年~2億130万年前 恐竜の出現

ペルム紀末の地球最大の大絶滅後に始まったのが中生代三畳紀。

空気中の酸素濃度の低下もあり、陸上の脊椎動物は大打撃を受けたようです。

その低酸素状態に適応するように進化した恐竜が登場しました。

ギンゴイテス
裸子植物
イチョウ類
産地:山口県
展示:恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス

イチョウの仲間。

葉の形がちょっと違いますが、今はたった1種になってしまったイチョウも昔は多様化していました。
イチョウ
裸子植物門 イチョウ綱 イチョウ目 イチョウ科
産地:中国
展示:長居植物園 北部 間氷期植物群付近

今は中国の奥地に1種のみ自生しているだけですが、古生代の後期には出現し、中生代には多様化して繁栄していました。

実はものすごい年季の入った「生きた化石」です。

ナンヨウスギ
裸子植物
球果植物門 ナンヨウスギ科
展示:恐竜戦国時代の『エサ』?!


産地:アルゼンチン

産地:アメリカ
「球果植物(きゅうかしょくぶつ)」というのは、文字のように丸い実をつける裸子植物のこと。

今で言うと、マツやスギなどの針葉樹になります。

断面を見ると、プサロニウスとちがって今の樹木と同じように年輪が見えます。
ということは、季節があったということ?

恐竜はめっちゃ好きだったそうです。

産地:アメリカ
ナンヨウスギ
裸子植物
球果植物門 マツ綱 マツ目 ナンヨウスギ科
産地:オーストラリア
展示:花と緑と自然の情報センター 入口前 庭園

同じ名前ということは、同じ種ということ?

そうならいまだに生き残っていたというのはすごい!

イチョウ以上の生きた化石かも。

三畳紀
三畳紀末の大量絶滅
中生代



 今回は今は少数派になってしまったシダと裸子植物でした。

 花が咲く被子植物と、いよいよはじまるケラトプシア時代は次回に!



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七十二候第二十一候「竹笋生」ってタケノコが生える季節ってこと?


 夏が始まる二十四節気(にじゅうしせっき)の立夏(りっか)を迎えて3つ目の七十二候(しちじゅうにこう)、「竹笋生」。

 読みは「たけのこ しょうず」。

 意味は「タケノコが生えてくる時期」。

 あれ?



 タケノコは一般的に春が旬とされます。

 よく食べられるモウソウチクの旬は3月から5月上旬まで。

 5月中頃に「タケノコがはえている」というのは、ちょっと違和感があります。

 七十二候は二十四節気と同じように古代の中国で考えだされたもの。

 当時の中国の中心地は高緯度地域にありました。

 ということで、それが原因?



「竹笋生」のころのタケノコ(錦織公園のモウソウチク)
「竹笋生」のころのタケノコ(錦織公園のモウソウチク)
もう食べられないほど伸びてます。




 と思ったら、中国の第二十一候は「王瓜生(おうか しょうず)」。

 「王瓜」はカラスウリのこと。

 ちょうど今頃が発芽の時期。

 ということで、日本でも「竹笋生」よりも「王瓜生」のほうが違和感が少なかったりします。



カラスウリ属カラスウリの花(10月の下赤阪の棚田)
カラスウリ属カラスウリの花(10月の下赤阪の棚田)




 ところがモウソウチクは中国原産。

 日本に広まったと言われるのは江戸時代中期以降。

 七十二候の日本風の変更が行われたよりも後のこと。



「竹笋生」のタケノコその2(錦織公園のモウソウチク)
「竹笋生」のタケノコその2(錦織公園のモウソウチク)
こんなタケノコもあります。食べるのには向きませんが。




 モウソウチク以外の食用タケノコの一つにマダケがあります。

 こちらの旬は5月から6月。

 七十二候と合います。

 「竹笋生」の竹がマダケなのかどうかはわかりませんが、とりあえずマダケとすれば辻褄も合う七十二候になります。



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今年もはじめます バケツ稲プチビオトープ2014


 今年もバケツ稲とプランター稲はじめます。

 植え付けの時の苗の傷みを少なくするため、今年は小さな栽培ポットに一つずつ籾(もみ)をまきました。

 土は赤玉土(あかだまつち)にブレンドした肥料をまぜたもの。

 栽培ポットは水抜きの穴が開いているので、水槽に合う大きさに切り取りました。



塩水選中の籾
塩水選中の籾

濃い塩水に籾をつけて沈んだものを使います。
浮かんできたのは中身が詰まっていない籾。
エビ伝説水槽使用。




 稲は籾をまいてから1日の平均気温を足していって100℃を超えたら芽が出ると言われています。

 周りの田んぼよりもちょっと早めの4月下旬にまきました。

 このころの平均気温は20℃に届きません。

 ということで芽を出すのに一週間かかりました。

 あとはこのまま本葉が4~5枚でて、高さが20センチ位まで育てたら、田植え、いやプランター植えです。



育苗ポットにまいた種籾
育苗ポットにまいた種籾

塩水で選別(塩水選)した籾をまきました。
この後赤玉土を薄くかけてスズメに食べられないようにふたをしました。




 4年目の今年のテーマは「ビオトープ」。

 ビオトープとは、簡単に説明すると、こんなかんじでしょうか。


 動植物をはじめいろいろな生き物がそれぞれ関係しあってまとまって生活している場所のこと。



 例えば、「ビオトープ」というと、水槽に水草と魚を一緒に入れることを指します。

 本来「ビオトープ」は水槽にかぎらず、いくつもの生き物が一緒に生きている状態のこと。

 そして、人間は環境を整える程度しか関係しないこと。



水槽苗代に籾をまいてから一週間後
水槽苗代に籾をまいてから一週間後

赤玉土のすき間から小さな芽が顔を出しています。
真ん中辺りをよく見てください。
出たところなのでまだ緑色はしていません。




 毎年プランター稲やバケツ稲で、稲と一緒にカブトエビやカイエビなどを育てています。

 今までは稲の収穫を中心にやって来ましたが、いつもカブトエビが十分成長する前に死んでしまいます。

 周りの田んぼではまだまだ元気に泳いでいるというのに。



本葉が2枚になった二週間後
本葉が2枚になった二週間後

もうしばらく育てます。
本葉がもっと増えて苗が水槽の上まで伸びたあたりでプランター植え。




 そこで今年は稲を育てながらも、カブトエビもよく育つような方法を考えていくことにしました。

 カブトエビの餌やりはしませんが、プランターの水の管理は毎日するので「ビオトープ」とはちょっと言いにくい。

 ということで、ちょっとだけビオトープ、プチビオトープです。



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金剛山のゴールデンウイークは後半も花の季節 カトラ谷のニリンソウ


 カタクリの花がピークを超えたゴールデンウイークはじめの金剛山山頂付近。

 それから一週間。

 カタクリの花はほとんど終わりましたが、ニリンソウが満開を迎えていました。

 いつもならもう少し早い満開ですが、今年は3月の大雪と、4月の雪が影響したのか、ちょっと遅めになっています。



一面に咲いている金剛山カトラ谷のニリンソウ
一面に咲いている金剛山カトラ谷のニリンソウ




 ニリンソウはキンポウゲ科の多年草で、落葉樹が葉を茂らせる前に葉を伸ばし、花を咲かせる春植物(スプリング・エフェメラル)の一つ。

 春植物は、落葉樹林の林床(木々の下の地面)に生える植物で、落葉樹が葉を広げる前、林床に光が当たる間に成長する植物のことです。

 カタクリも春植物の一つです。



ニリンソウ(二輪草)
Anemone flaccida
双子葉植物綱 キンポウゲ目 キンポウゲ科 イチリンソウ属
多年草

キンポウゲ科特有の質感の花びら
キンポウゲ科特有の質感の花びら




谷筋からしゃがんで見ると白い絨毯のよう
谷筋からしゃがんで見ると白い絨毯のよう




 金剛山には一面にニリンソウが生える「お花畑」は何箇所かありますが、一番有名なのがカトラ谷源流。

 水の流れが地面の下に潜り見えなくなった涸沢(かれさわ)になったところにあります。

 まわりはブナやイヌブナなどの落葉樹に覆われた谷ですが、尾根筋に近いところなので広い斜面になっています。



落葉樹林の中のニリンソウ
落葉樹林の中のニリンソウ




花が光を集めるように伸び上がる
花が光を集めるように伸び上がる




 地面の凹凸を覆うように一面ニリンソウが白い花を咲かせています。



絨毯のように地面を覆うニリンソウ
絨毯のように地面を覆うニリンソウ




 よく見るとニリンソウの中にキンキエンゴサクが細長い距(きょ)がある薄紫色の花を咲かせています。



キンキエンゴサク(近畿延胡索)
Corydalis lineariloba var. papillingera
双子葉植物綱 ケシ目 ケマンソウ科 キケマン属
多年草

一見シソ科にも見えますが距があるケシ科のキンキエンゴサク
一見シソ科にも見えますが距があるケシ科のキンキエンゴサク




 そしてまだ花を咲かせていないもののカワチブシが葉を伸ばしています。

 そして離れたところではヤマシャクヤクも咲きはじめていました。



ヤマシャクヤク(山芍薬)
Paeonia japonica
双子葉植物綱 ユキノシタ目 ボタン科 ボタン属
多年草

過剰に八重化していないシンプルなところが魅力のヤマシャクヤク
過剰に八重化していないシンプルなところが魅力のヤマシャクヤク




 まだまだ金剛山の花の季節は続きます。



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巨樹・古樹・老樹 その17 久宝寺緑地の年老いた西洋箱柳


 大阪の八尾市と東大阪市と大阪市平野区にまたがる緑地、久宝寺(きゅうほうじ)緑地。

 住宅や工場の中にある緑地です。

 広い敷地には木が植えられ、スポーツグラウンドやプールなどもあります。



緑地というより公園という感じの久宝寺緑地
緑地というより公園という感じの久宝寺緑地




 冬。

 開園から40年。

 大きな木も目につきます。

 そんななかで数本の木に札が下げられています。

 大きなポプラの木。
 品種名はセイヨウハコヤナギ(西洋箱柳)。

 年をとり倒れる恐れがあって危険なので伐採を予定しているそうです。



 高さはまだそれほどではないようですが、幹は太く、結構年をとっていることがわかります。

 太い枝がいくつも切られ、その先に細い枝が何本も出ているので、何度も剪定を受けたので低くなったのでしょう。



久宝寺緑地の年老いた西洋箱柳(2014年2月)
久宝寺緑地の年老いた西洋箱柳(2014年2月)




 ポプラは幹がもろいのか、それとも根があまり張らないのか、それとも数が多いのか、老木が突然倒れることがあるようです。

 本来なら天寿を全うして朽ちるがままに任せる自然のままがいいのでしょうが、多くの人が集まる公園となるとそうはいきません。

 一つ間違えば人の命に関わる大事故になってしまいます。



 伐採の時期は書かれていませんでした。

 もう切られているのかもしれません。

 自然との付き合いの難しさを感じます。



巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木




■参考外部リンク■
久宝寺緑地


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特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」で ケラトプシアを並べてみる!


 トリケラトプスの仲間、ケラトプシア類がたくさん展示されている「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」。

 最初は体も小さく、二足歩行もできていたケラトプシア類ですが、体と後頭部のフリルが次第に大きくなり、完全な四足歩行に変わっていく様子が見て取れます。

 といっても、時代と地域に分けて展示されているので会場中に広がっていて、くらべて見にくいところもあります。




会場があるセンター入り口の案内板




 ということで、会場のケラトプシア類の頭部を同じ向きにして並べてみました。



見やすくするために画像の角度などを調整しています。
一部の画像では左右を反転させています。
実物の大きさの比率は反映されていません。
並ぶ順はあくまでおおよその古い順で、時間を正確には反映していません。
また、進化の系統を表していません。




アジア大陸のケラトプシア類 ララミディア大陸のケラトプシア類
ジュラ紀 2億130万~1億4500万年前
最初のケラトプシア類
インロン

ジュラ紀後期 オックスフォーディアン
1億6350万~1億5730万年前
中国 新疆ウイグル自治区
成体復元モデル
ジュラ紀後期のアジア大陸でケラトプシア類は誕生しました。

今の北アメリカ西部にあたるララミディア大陸とアジア大陸は繋がっていなかったので、ケラトプシア類はまだアジアにいました。
白亜紀 1億4500万~6600万年前
ホンシャノサウルス

白亜紀前期 バレミアン-アルビアン
1億2940万~1億50万年前
中国 遼寧省
下顎がないようです
※画像の左右を反転させています。
白亜紀になってもまだアジア大陸とララミディア大陸はつながっていません。
アルバロフォサウルス

白亜紀前期 バレミアン-アルビアン
1億2940万~1億50万年前
石川県 白山市
プシッタコサウルス

白亜紀前期 アプチアン-アルビアン
1億2500万~1億50万年前
モンゴル ドルノゴビ県
アーケオケラトプス

白亜紀前期 アルビアン
1億1300万~1億50万年前
中国 甘粛省
※画像の左右を反転させています。
白亜紀後期 チューロニアン 9390万~8980万年前

アジア大陸と地続きになった現在のベーリング海峡から
ララミディア大陸にケラトプシア類が渡ってくる

ララミディア大陸最古のケラトプシア類
ズニケラトプス

白亜紀後期 チューロニアン
9390万~8980万年前
アメリカ ニューメキシコ州
白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
ララミディア大陸でケラトプシア類の多様化と拡散

「恐竜戦国時代」

ディアブロケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
セントロサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
※画像の左右を反転させています。
スティラコサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
頭部模型
※画像の左右を反転させています。
カスモサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
コスモケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
ユタケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
ナストケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
アメリカ ユタ州
バガケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
モンゴル
パキリノサウルス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
カナダ アルバータ州
プロトケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
モンゴル
※画像の左右を反転させています。
コアウイラケラトプス

白亜紀後期 カンパニアン
8360万~7210万年前
メキシコ コアウイラ州
※画像の左右を反転させています。

トリケラトプスと同時代の
ケラトプシア類
トロサウルス

白亜紀後期 マーストヒチリアン
7210万~6600万年前
アメリカ サウスダコタ州
下顎がありません
最後のケラトプシア類
トリケラトプス

白亜紀後期 マーストヒチリアン
7210万~6600万年前
アメリカ サウスダコタ州
この化石の名前は「ホーマー」
6600万年前 K/Pg境界の大量絶滅
ケラトプシア類を含む恐竜が絶滅


1/3あたりの白い線がK/Pg境界



 こうして並べてみておもしろいのは、アジアではプロトケラトプスになるまであまり変わらなかったフリルが、ララミディア最初のケラトプシア類のズニケラトプスでもう角と一緒に大きくなっています。

 体も頭も小さかったケラトプシア類がララミディア大陸に渡ったとたん、体とフリルが大きくなったのがわかります。

 そして白亜紀後期のカンパニアンになるとフリルの形の多様化が進み、このままでは無駄が多すぎて絶滅してしまうのでは、と思ったところでトリケラトプスが登場。

 シンプルかつ巨大化戦略でララミディア大陸に広がっていったというのは、とてもおもしろく感じます。




正面から見るとちょっと平べったいトリケラトプス
数千万年も地面に押しつぶされたため?




 それに対してアジアに残ったケラトプシア類はララミディアほどの多様化は見せず、フリルもプロトケラトプスでやっと大きくなったくらい。

 それでも体の大きさはトリケラトプスどころかカスモサウルスほどもありません。
 ライオンどころかオオカミにだってやられてしまいそうです。

 ケラトプシア類にとってなにか都合の良いものがララミディア大陸にはあったのでしょうか。

 それとも、何か偶然がきっかけとなってケラトプシア類の多様化が進む道筋ができたのでしょうか。

 もちろん、すべてのケラトプシア類の化石があるわけではありませんので、展示されているものだけで結論は出せませんが、いろいろ考えると面白そうです。



 会場では、この画像ではわかりにくい歯の変化や前肢(ぜんし)の変化も見ることができます。

 もちろんそれぞれの大きさも。


 ぜひ目で見て確認してみてください。



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