タイトルにあるようにこの特別展はトリケラトプスが主人公。
もちろん特別展のテーマとして選ばれるのですから、人気のある恐竜です。

「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」案内板と立て看板と幟
地下鉄長居駅3番出口を出るとこの3点が出迎えてくれました。
人気の秘密は、頭にある3本の大きな角とその後ろの大きなフリルという、ほかの草食恐竜とちがって頭に剣と盾を持ったようななんだか強そうな姿だからかもしれません。
このトリケラトプス。
けっこう変わった恐竜のようです。
トリケラトプスの変わったところ。
見ての通り大きな頭。
角とフリルの大きさだけでなく、頭そのものも結構な大きさです。
展示されているケラトプシア類(トリケラトプスの仲間)の化石を見ると、頭が大きいのは基本的な姿のようです。

会場入り口で出迎えてくれるトリケラトプスの128cmの大きな頭
展示の後半でトリケラトプスとティラノサウルスが並んでいますが、比べるてみるとトリケラトプスの頭はそれほど大きいようには感じません。
それはティラのサウルスが頭が大きい恐竜だから。
出口近くにある同じ草食恐竜のディプロドクスと比べたら、トリケラトプスはびっくりするほどの大きな頭なのがわかります。
ディプロドクスは全長20mを超える大きな竜脚形類の恐竜。でも展示されている頭は70cm。
トリケラトプスは全長10m足らずで体は半分以下なのに、入り口で展示されている頭は倍近くの128cm。
長さが倍近いのですから、大きさはもっとちがいます。
ただしそれぞれ首と尻尾の割合が全然ちがいますし、展示されているディプロドクスは大人ではないかもしれませんから、単純に比べることはできませんが。

出口近くのディプロドクスの70cmの小さな頭
なぜこんなにも頭の大きさに差があるのかというと、ひとつは植物の食べ方のちがいと考えられています。
ディプロドクスは植物を引きちぎってそのまま丸飲み。
もちろん丸飲みでは植物はまともに消化できません。
胃袋の中に溜め込んだ石ですりつぶします。
ですから頭に強い筋肉はいりませんから大きくなりません。
ところが、トリケラトプスは歯ですりつぶしてから飲みこむのです。
つまり、よく噛んで食べる。
強い力がいりますから、強い筋肉がたくさん必要で、その支えとなるために頭も大きくなります。
そしてこの食べ方はウシやヒツジのような今の草食哺乳類と同じ。
ですから、トリケラトプスの歯の役割や並び方もシカやウシやヒツジと似ているところがあります。
ちがう進化の道筋をたどった生き物が、同じような環境で似たような形になる収斂進化(しゅうれんしんか)の一つの例でしょうか。
と言っても、シカやウシやヒツジもトリケラトプスほど頭は大きくありませんが。

中生代の草食動物のトリケラトプスの顎

現在の草食動物のシカの顎(常設展第3展示室)
※特別展会場では展示されていません。
顎の先で植物を切りとり、隙間があって、奥の歯ですりつぶすという役割が同じ。
ケラトプシア類が頭でっかちになりながらララミディア大陸に広がり多様化していくことができたのも、よく噛んで食べることがよかったのかもしれません。
今の動物でも、繁栄している大型の草食動物の多くはトリケラトプスと同じようによくかんで食べる口や歯になっています。

ララミディア大陸最初のケラトプシア類のズニケラトプス
この時すでにトリケラトプスの顎と同じつくりになっていました。
※ほかの画像と比べやすいように角度を変えています。
特別展会場の出口近くに現在の牛の仲間の頭の骨も展示されているのですが、下顎が展示されていないのが残念。
時間があれば博物館本館の常設展第3展示室に行って確認してみてください。
色々な生き物と比べてみるとおもしろいと思います。
そして第2展示室には特別展会場にはいない恐竜の化石も展示されています。
特別展のチケットで常設展示も見られますので、行かないのはもったいない!
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