【 2014年02月】

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『野草のロゼット ハンドブック』を買ったので錦織公園でロゼットハント。略して「ロゼ・ハン」 その3 日当たりが悪そうで乾燥しにくそうな場所


 もたもたしている間に春がやってきたので一時的にお休みしていた錦織公園(にしこおりこうえん)のロゼットハント

 「ロゼット」は、植物が茎を伸ばさず地面に葉を広げている状態です。
 秋に芽生えた植物が冬の寒い期間を乗り切るときによくこの状態になります。

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 暖かくなると同時に茎を伸ばせるので、春に芽生える植物より先に大きく育つことができるのです。

 中にはオオバコのようにロゼットのままの植物もあります。



 大阪の里山を利用した錦織公園には、いろいろな環境、ビオトープがあります。
 特徴的なビオトープに生えるロゼットを調べたロゼットハント。

 その最後、湿気の多いところの様子です。



ページ数は文一総合出版『野草のロゼット ハンドブック』(「RHB」と略)の初版第一刷のものです。
名前・科属以外の説明は『野草のロゼット ハンドブック』以外を参考にしている場合もあります。
植物の素人が判別しているため間違っている可能性があります。




日当たりが悪そうで乾燥しにくそうな場所

 小さな山が連なり池が多い錦織公園。

 山に降った水がしみだし、山に囲まれ光が当たらなさそうなところです。



しゃくなげの谷

 湿気が多く日当たりの悪そうなところは数カ所ありますが、選んだのはしゃくなげの谷の一番底の部分。

 東西と南という光が差してくる3方を山に囲まれ、残りの北には池があるという、湿気を貯めるために出来たような場所です。




ロゼハンしたしゃくなげの谷

大きな地図で見る
しゃくなげの谷のロゼハン場所



 しゃくなげの谷は名前の通谷一面にシャクナゲが植えられています。

 シャクナゲは光が強くないところで成長する陰樹です。

 というわけで、光が差し込まないこの場所が選ばれたのかもしれません。
 また他にもすぼまり風の抜けも悪そうで、一年中湿り気の多いところです。




切れ込みのある葉


オニタビラコ(鬼田平子)
RHB:P81
キク科 オニタビラコ属
一年草

分布:北海道,本州,四国,九州,沖縄,

生育場所:畑,土手,庭,空き地,道端,




楕円形の葉


オオバコ(大葉子)
RHB:P52
オオバコ科 オオバコ属
多年草

分布:北海道,本州,四国,九州,沖縄,

生育場所:空き地,グラウンド,道端,

別名:車前草(しゃぜんそう)



 日当たりが悪くても雑草は一面生えていますが、調べてみるとここではたった2種類。

 日当たりのいいところでは、乾燥気味でも湿り気が多くても10種類以上あります。



 参考までに、今まで紹介した日当たりの良い場所のロゼットです。


日当たりがよさそうで乾燥しにくそうな場所
キク科 オニタビラコ属 オニタビラコ(鬼田平子)
アザミ属 ノアザミ(野薊)
ヒレアザミ属 ヒレアザミ(鰭薊)
ヨモギ属 ヨモギ(蓬)
コウゾリナ属 コウゾリナ(剃刀菜・顔剃菜)
チチコグサモドキ属 ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
タンポポ属 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
ノボロギク属 ノボロギク(野襤褸菊)
イズハハコ属 ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)
ムカシヨモギ属 ハルジオン(春紫苑)
ハハコグサ属 ハハコグサ(母子草)
オオバコ科 オオバコ属 オオバコ(大葉子)
タデ科 ギシギシ属 スイバ(蓚,酸い葉)



日当たりがよさそうで乾燥しやすそうな場所
キク科 オニタビラコ属 オニタビラコ(鬼田平子)
タンポポ属 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
ブタナ属 ブタナ(豚菜)
アキノキリンソウ属 セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
ハハコグサ属 チチコグサ(父子草)
チチコグサモドキ属 ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
ムカシヨモギ属 ハルジオン(春紫苑)
イズハハコ属 オオアレチノギク(大荒地野菊)
ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)
コウゾリナ属 コウゾリナ(剃刀菜・顔剃菜)
ムラサキ科 キュウリグサ属 キュウリグサ(胡瓜草)
オオバコ科 オオバコ属 オオバコ(大葉子)
タデ科 ギシギシ属 スイバ(蓚,酸い葉)
イネ科 エノコログサ属 アキノエノコログサ(秋の狗尾草)



 どうやら踏まれても踏まれてもへこたれない雑草にとっては、水分よりも日当たりのほうが大切なようです。



◆ ロゼット 錦織公園のロゼット 錦織公園 ◆

■外部リンク■
文一総合出版
大阪府営 錦織公園


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タグ: ロゼットロゼットハンドブック錦織公園のロゼット錦織公園オニタビラコオオバコ

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絶滅危惧種のセツブンソウが見頃になっていました。2月下旬の花の文化園


 大阪の南河内地域にある植物園の花の文化園。

 名前のように園芸植物を中心としてはじまった植物園ですが、現在は大阪や日本の絶滅危惧種など貴重なな植物を栽培し展示しています。

 そんなものの一つがセツブンソウ(節分草)。

 キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草です。

 名前の由来は節分の頃に咲くことから。

 花の文化園では今年も節分の頃に咲きはじめました

 そして梅が咲きはじめた2月下旬。



たくさん咲いているセツブンソウ
たくさん咲いているセツブンソウ
時期ははずれていないので日蝕みはいないはずです。




 本州の関東以西の落葉広葉樹林で石灰岩質のところを好むという結構自生地が限られそうな植物。

 日本のレッドデータ検索システムで調べてみると15府県で準絶滅危惧種以上のランクに指定されています。



小さな花と2枚の葉と短い茎のセツブンソウ
小さな花と2枚の葉と短い茎のセツブンソウ




 驚いたのは、大阪で絶滅危惧 I 類に指定されていること。

 もちろん絶滅の一つ手前のランクということもありますが、レッドデータブックに記載されているということは、自生地があるということです。

 それに驚きました。



キンポウゲ科らしく光が当たるときれいなセツブンソウの花
キンポウゲ科らしく光が当たるときれいなセツブンソウの花




 IWO(いきもの は おもしろい!)の基本フィールドになっている南大阪は、花崗岩、火山岩、砂岩泥岩とそれらが風化してたまったもの。

 そして山林は広い範囲で人の手が入った里山やスギ・ヒノキの植林地帯。

 落葉広葉樹があるのは里山か山地の標高の高いところの一部。

 ちょっとセツブンソウが自生するような環境とは思えません。

 大阪府のページで調べてみると、やはり大阪北部のようです。



二つの花が重なって八重咲のように見えます
二つの花が重なって八重咲のように見えます




 そんな大阪でセツブンソウを見ることができる数少ない場所が花の文化園。

 植えられているのは梅林の中。

 梅を見に来た時には足下にも目をやって、セツブンソウの小さな花も見てください。



フクジュソウも咲きはじめました
フクジュソウも咲きはじめました
場所によっては咲いていません
場所によっては咲いていません
花の文化園ではフクジュソウのほうがちょっと遅れて咲きます。



タグ♦ セツブンソウ 春の花 花の文化園

■参考外部リンク■
大阪府立花の文化園公式サイト
大阪府/大阪の野生生物
地質図Navi - 産総研
日本のレッドデータ検索システム


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タグ: セツブンソウ春の花白い花花の文化園フクジュソウ黄色い花萼の花キンポウゲ科の花

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冬の狭山池の鳥たち 2013.1 水辺のまわりにいた鳥たち編


 前回からかなり開いてしまった冬の狭山池にやってくる鳥たち。

 もたもたしている間に冬鳥の季節が終わってしまったの、次の冬鳥の季節まで待っていました。

 ということで、この鳥は2013年はじめの冬の鳥達です。

 この冬にやってくるのも同じ鳥たちだと思いますが、かならずしも同じとは限りません。




北側から見た狭山池
正面に見えるのは岩湧山や和泉葛城山などの和泉山脈の山々




 狭山池は大阪南東部の河内(かわち)地方にある、日本で一番古い溜池と言われる池で、農林水産省の「ため池百選」にも選ばれています。

 さらに大阪でも一二を争う大きな池で、周回路が整備され、トイレも数箇所、駐車場もあって、無料の博物館もあります。

 一部には浅瀬や葦原など様々なビオトープが残されていて、水辺の鳥から草原の鳥までいろいろ集まってくるのが特徴。

 なかでも種類が多い冬の狭山池で出会った鳥たちです。



 前回の狭山池の冬の鳥はこちらです。
【冬の狭山池の鳥たち 2013.1 水辺にいた鳥たち編】



 これらの鳥は冬に見かけた「冬の鳥」で、必ずしも冬の間だけ日本にやってくる「冬鳥(ふゆどり)」だけではありません。
 一年中日本にいる「留鳥(りゅうちょう)」や季節によって住む所変える「漂鳥(ひょうちょう)」も含まれます。



水際の刈られた草むらにいた鳥
ツル目
バン(鷭)
ツル目 クイナ科 バン属
ハトくらい
留鳥


草むらにいるとクイナっぽいバン
オオバンのように池に浮かんでいることもありますが、水かきのかわりになる弁足(べんそく)が無いためか立つことができる浅瀬を好むような気がします。
人影を見ると、カモが平然と泳いでいるような距離でも隠れようとします。

いつも水の中にいるイメージですが、人が近寄らないようなところだと地面の上にも上がってくるようです。





池の中や岸のコンクリートや
岩等の上にいた鳥
コウノトリ目
アオサギ(蒼鷺)
コウノトリ目 サギ科 アオサギ属
カラスよりずっと大きい
留鳥


首を縮めている?アオサギ
池の中にある謎の構造物の上に泊まるアオサギ。
首を縮めているのか、ちょっとゴイサギのような感じ。

下の黒い物体は、多分カワウ。



ペリカン目
カワウ(川鵜)
ペリカン目 ウ科 ウ属
カラスより大きい
留鳥


岩の上で体を温めろカワウ
川に住んでいますが、鵜飼(うかい)に使われるウではありません。
鵜飼に使われるのは海に住むウミウ。

カモのように長時間水につかっているのは苦手なのか、泳ぐ姿よりもこのようにぼーっとしてる姿をよく見ます。

本来ウは真っ黒ですが、顔が白くなってきているので、繁殖期が近づいて婚姻色(こんいんしょく)にかわる途中のようです。



スズメ目
ハクセキレイ(白鶺鴒)
スズメ目 セキレイ科 セキレイ属
スズメより大きい
漂鳥


灰セキレイではなくハクセキレイ

セグロセキレイではなくハクセキレイ
水辺から住宅街や都市のアスファルトや電線の上まで、人間の活動範囲を生活圏にする鳥。
よく見かける三鶺鴒(さんせきれい)の一つ。

名前は「白セキレイ」ですが、見た目は「灰セキレイ」。
そして「黒セキレイ」もいるのがやっかい。
「黒セキレイ」はセグロセキレイと間違いやすいですが、過眼線(かがんせん)(目の部分を通る線模様)があるのが特徴です。


セグロセキレイ(背黒鶺鴒)
スズメ目 セキレイ科 セキレイ属
スズメより大きい
留鳥


背中が真っ黒なセグロセキレイ
ハクセキレイと違って見た目もわかりやすいセグロセキレイ。
三鶺鴒の一つ。

行動範囲はハクセキレイと同じで、一緒にいることもよくあります。

黒いハクセキレイとの見分け方は、黒い顔に白い眉。


キセキレイ(黄鶺鴒)
スズメ目 セキレイ科 セキレイ属
スズメより大きい
留鳥


黄色くて小さいキセキレイ

飛ぶキセキレイ
よく見かける三鶺鴒のひとつですが、ハクセキレイやセグロセキレイほど見かけません。

行動範囲は水辺にこだわりを持っているようです。
体もちょっと小さく、いつも1羽で行動するなどちょっと、ハクセキレイやセグロセキレイより個性的?なセキレイです。


アオジ(青鵐,蒿鵐,蒿雀)
スズメ目 ホオジロ科 ホオジロ属
スズメくらい
漂鳥


珍しくはっきり写せたアオジ
冬になると草むらで「チッチッチッ」とよく鳴いていますが、なかなか姿を見せないのはウグイス並。
意外と住宅街の公園にいたりしますが、姿を見せないので身近な鳥というイメージは持たれていないようです。

水辺でもよく見かけますが、水辺が好きというよりも河原に茂っている草が好きなようです。


イソヒヨドリ(磯鵯)
スズメ目 ツグミ科 イソヒヨドリ属
ハトより小さい
留鳥


赤いお腹がよく目立つイソヒヨドリ
画像では黒っぽく見えますが濃い紺色の背中と茶色がかった赤いお腹が特徴。

1年に1回位見かけますが、日頃どこにいるのかはわかりません。

名前に「ヒヨドリ」がついていますが「ツグミ」の仲間。
首をぴんと立ててスタスタ歩く姿はたしかにツグミ。



ハト目
カワラバト(河原鳩)
ハト目 ハト科 カワラバト属
大きさ33cm
留鳥


公園などによくいるハト。
ドバトとも呼ばれます。

数ある野鳥の中でも最も人間を恐れません。
伝書鳩やレース鳩として日本に持ち込まれたものが野生化したもの。
人間を恐れないのは遺伝的なものかもしれません。

特に水辺を好むというわけではありませんが、狭山池ではよく見かけます。




 水辺の近くには、水辺を好む鳥と、水辺にこだわらない鳥たちがいます。
 いつも水に浮かんでいるカモ類もいることがありますが、この時はみかけませんでした。

 草がたくさん生えているので種がいっぱい転がっているのでしょう。

 水辺の鳥と野原の鳥の交差点です。



◆タグ 冬の狭山池の鳥たち 2013.1 冬の鳥 狭山池の鳥 ◆

■外部リンク■
狭山池 - 大阪狭山市
大阪府/狭山池ダム
農林水産省/ため池百選


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タグ: 狭山池冬の鳥水辺の鳥冬の狭山池の鳥13.1キセキレイアオジイソヒヨドリカワラバトハクセキレイカワウ

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今年の花の文化園の梅の花はあともう少し。


 大阪南部にある植物園、花の文化園。

 ここにも梅園があります。

 コタツに入りながら梅を見ることができるのが、この梅園の特徴。



 2月下旬の日曜日。

 梅は咲いています。

 ただ、梅園中が満開になってコタツに入りながら楽しめるのは、もう少し時間が必要なようでした。



 白梅(はくばい)
南高(なんこう)
近畿に住んでいると梅干しとして有名な品種。
花梅としてもポピュラーなようで梅園でもよく見かけます。

野梅(やばい)
虎の尾(とらのお)



 薄紅梅淡(うすきこうばいあわく)
紅冬至(こうとうじ)



 薄紅梅(うすきこうばい)
道知辺(みちしるべ)
由来はわかりませんが、記憶に残る名前です。




 紅梅(こうばい)
唐梅(とうばい)



 濃紅梅(こきこうばい)
鹿児島紅(かごしまべに)
濃い赤の花の梅ですが、咲くのはもう少し先のようです。


※花のの色はデジカメで写した画像の色をIWO(いきもの は おもしろい!)が独自の判断で分類したものです。
専門的な分類や実際の色とちがうことがあります。
※色は「有職装束研究【綺陽会】」の「色彩と色目」を参考にさせていただきました。
ただし「白梅」という色はありませんので「白」としました。




 もういっぱい咲いているように見えますが、写真をよく見ればわかるようにまだまだつぼみばかり。




まだ梅園はこんな感じ




 でも、暖かくなったら一気に花開きそうな感じです。



■参考外部リンク■
大阪府立花の文化園公式サイト


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タグ: 花の文化園春の花南高(梅)野梅虎の尾(梅)紅冬至(梅)道知辺(梅)唐梅鹿児島紅(梅)

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海遊館の巨大生物 高脚蟹


 今では当たり前になってしまった水族館のアクリル大水槽。

 その始まりが、大阪の天保山(てんぽうざん)の海遊館。

 水槽の大きさでこそ一番ではなくなりましたが、360°上から下から真ん中から眺めることができる回遊式のデザインは、最新の大型水槽に負けない魅力があります。



この記事にはカニのアップの画像があります。





お食事中の海遊館の大水槽のジンベイザメ
お食事中の海遊館の大水槽のジンベイザメ



 海遊館といえば、大水槽で泳ぐ魚類最大のジンベイザメが有名ですが、そのとなりの日本海のコーナーにも最大の生き物がいます。

 タカアシガニ。

 冬の味覚として有名なズワイガニと同じ日本近海の深海に住む甲殻類(こうかくるい)のカニです。

 ただ日本海と茨城県より北の太平洋に住むズワイガニに対して、タカアシガニは岩手県から南の太平洋ですので、生息域はほとんどかぶりません。



 脚がやたらと長く、広げると3mを超えるものもいます。

 これは今いる甲殻類、そして節足動物(せっそくどうぶつ)で最大の大きさ。

 もちろん胴体も大きく、甲羅の幅が30cm、長さが40cmもあります。

 体だけでも比べらられるのはダイオウグソクムシくらいという巨大節足動物です。



ナガアシガニのほうがよく似合うかも?海遊館のタカアシガニ
ナガアシガニのほうがよく似合うかも?海遊館のタカアシガニ




 カニを含む節足動物には、巨大化するためにはいくつかのハードルがあります。

 そのひとつは節足動物の特徴である外骨格(がいこっかく)。
 人間のように内部の骨で体を支えるのではなく、硬い殻で体を覆って支える仕組みです。

 体が2倍の長さになると縦横の広さは4倍、重さは8倍になります。
 ということは、体を支える部分も8倍の大きさが必要になります。

 つまり単純に言えば体が倍の大きさになると外骨格は8倍の厚さが必要になり、筋肉や内蔵などが入るスペースが無くなってしまいます。

 水中では、体重を支える外骨格は陸上ほど厚くしなくてもいいのですが、それでも大きさには限りがあります。

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 そしてもう一つが呼吸。

 人間は横隔膜(おうかくまく)を使って強制的に肺の空気を入れ替え、心臓というポンプで体中に張り巡らせた血管をつかって酸素を送り出します。

 ところが節足動物には強力な心臓も、体中に張り巡らせた血管もありません。

 「開放血管系」と言って、体の真ん中にだけある血管から送り出された血液が、そのまま体中を流れるのです。

 ムカデやヤスリなどの多足類や昆虫は、気管という管を使って体の中に直接空気を取り入れるのですが、強制的に空気を入れ替える機能が未熟で、体が大きくなりすぎると空気が行き渡らなくなってしまいます。

 そのため人間より大きい昆虫や多足類がいたのは、今よりもはるかに酸素が多かった時代に限られます。



海遊館のタカアシガニの体のアップ
海遊館のタカアシガニの体のアップ




 エラに向かって水の流れをつくり水中の酸素を取り込んでいる甲殻類も血管がほとんどない開放血管系ですから、体の隅々にまで血液を流しにくいはずです。

 さらに海水中に含まれる酸素の量は空気中よりも少ないので、たくさんの酸素が必要になる大きな体になるのはたいへんです。

 そのため大きさが3mと言われるタカアシガニも、内蔵など重要な部分は40cm四方くらいの部分にまとめています。

 同じ甲殻類のダイオウグソクムシくらいの大きさです。



 とはいえ内蔵が入っていなくても脚も必要なもの。

 一体1mを超える長い脚にどのように血液を流しているのか、不思議です。

 身には水分が多いそうなので、とにかく血液を多くして無理やり流れをつくってしまうしまう作戦なのかもしれません。

 または脚を動かすときに何か血液が入れ替わるようなシステムがひっそりとあるのかも。



 恐竜もそうですが、大きすぎる生き物はいろいろと工夫された体をしています。

 きっとタカアシガニにもなにかあるにちがいありません。

 ダイオウグソクムシほど珍しくはありませんが、今いる最大の節足動物のタカアシガニにはダイオウグソクムシも驚くような珍しい仕組みを持っているかもしれません。



◆タグ タカアシガニ 節足動物 ダイオウグソクムシ 海遊館 ◆

■参考外部リンク■
世界最大級の水族館 海遊館


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タグ: タカアシガニ海遊館水族館カニ節足動物甲殻類

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雪と梅 今年はちょっと遅くなりそうな錦織公園梅園


 2月半ばの大雪。

 大阪の里山を残した錦織公園(にしこおりこうえん)も雪に覆われていました。



 公園の南にある梅園。

 そろそろ咲き始める頃ですが、立春からの冷え込みと雪でちょっと足踏み状態のようです。



雪の錦織公園梅園
雪の錦織公園梅園




 そんな梅園で早咲きの梅が雪の中で咲いていました。



早咲きの冬至梅

早咲きの冬至梅






早咲きの紅梅(八重寒紅?)

早咲きの紅梅(八重寒紅?)

早咲きの紅梅(八重寒紅?)




 大雪から一週間。

 蕾(つぼみ)もくふくらんできているようですから、暖かくなると一気に咲くことでしょう。



■参考外部リンク■
大阪府営 錦織公園


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タグ: 雪の錦織公園錦織公園冬至梅紅梅白い花赤い花春の花

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霧氷と氷と959mの葛城山


 2月中旬。

 冷え込んで雪が降りました。

 そこで金剛山に行こうとしたら、千早大橋から先が路面凍結。
 大阪でも標高が高く光の当たらない谷筋ですから、大雪が降ったら簡単にはとけません。

 にもかかわらず大量のチェーン無しのFR2WD(後輪駆動車)という雪道や凍結路面を走るのは自殺行為のような車が大量にスタック(行動不能)。

 走行車線だけでな対向車線でも追い越そうとしてスタックしているので道をふさいで通れません。
 ということで、行き先を隣の葛城山(かつらぎざん)(大和葛城山)に変更。



 道の標高が低い上に東側に面して光が当たるので、道路は問題なし。

 でも山頂は一面銀世界。

 一帯が芝地なのでまるでスキー場のようです。

 朝一番に登ってきた子どもたちがソリ遊びしています。



まるで雪国のような大和葛城山山頂
まるで雪国のような大和葛城山山頂




 葛城山は金剛山よりも100mほど標高が低いだけでなく、風向きが関係しているのかそれとも日当たりがいいためか雪はすぐとけてします。

 木々には雪が積もったり霧氷がついています。

 よく見ると、根元のほうが透明な氷になっていたり、氷が枝の形になって木からぶら下がたり、氷柱(つらら)ができたりしています。

 一度枝についた霧氷などが暖かさかけたところで、また凍ったものでしょうか。



一部が透明な氷になっているロープウエイ駅への道の落葉樹(イチョウ?)
一部が透明な氷になっているロープウエイ駅への道の落葉樹(イチョウ?)

ロープウエイ駅への道の落葉樹(イチョウ?)
ロープウエイ駅への道の落葉樹(イチョウ?)




枝の形の氷がついているツツジ園のヤマツツジ
枝の形の氷がついているツツジ園のヤマツツジ




霧氷の根本が透明な氷になっているツツジ園のヤマツツジ
霧氷の根本が透明な氷になっているツツジ園のヤマツツジ




とけてツララができたマツ(アカマツ?)
とけてツララができたマツ(アカマツ?)




長いツララができている針葉樹(ツガ?)
長いツララができている針葉樹(ツガ?)




 霧氷と透明な氷。

 暖かい山だからこそ見ることができる冬の風景かもしれません。

 この雪も数日でとけてしまうでしょう。



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晩冬の落葉樹の赤い木の実2014


 冬になって木々が葉を落とすと、とたんに目立ってくるのが赤い実。

 常緑樹でも赤い実がなるものは少なくないですが、落葉植物ほどは目立ちません。

 まだ葉が残っている時期の赤い実の落葉樹は集めてみましたが、今度は葉を落とした晩冬に出会った赤い実を集めてみました。




晩冬のガマズミの赤い実[花の文化園]




落葉高木(樹高5m以上)
被子植物門 双子葉植物綱 ツツジ目 カキノキ科 カキノキ属

実:5cm程度~10cm程度 楕円形等
花期:5月~6月
分布:本州・四国・九州で栽培等

1月上旬 錦織公園 1月上旬 錦織公園

里山などに生えているカキノキは、基本的に渋柿と考えています。
渋柿と言っても時間が立ては渋が抜けて熟柿(じゅくし)になって食べることができます。

ヒヨドリやムクドリなどがつついているところを見かけることもありますが、このようにして晩冬まで残っているものも少なくありません。

もしかしたら熟柿をすぎて腐って食べられなくなってしまったのでしょうか。
1月下旬 下赤阪の棚田



落葉低木(樹高3m以下)
被子植物門 双子葉植物綱 モチノキ目 モチノキ科 モチノキ属

実:直径5mm 球形
花期:5月~7月
分布:本州・四国・九州の落葉広葉樹林

2月上旬 花の文化園 2月上旬 花の文化園
名前は「梅に似ている木」というような意味ですが、ウメはバラ科ですので、まったちちがう種類の木です。

確かに葉はウメに似ていると思いますが、花や実はまったくにていません。

ですから葉を落とした状態で赤い実だけを見ても、名前は浮かびにくいでしょう。

被子植物門 双子葉植物綱
マツムシソウ目 スイカズラ科 ガマズミ属

実:長さ6~7mm 楕円形
花期:5月~6月
分布:北海道・本州・四国・九州の山地や丘陵地帯

2月上旬 花の文化園 2月上旬 花の文化園
2月上旬 花の文化園 2月上旬 花の文化園
2月になって実がしぼみはじめていました。
と思ったのですが、別の木ではまだしわのない実がついていました。
同じ植物園の同じ日ですが、ちょっとした場所のちがいで差ができたのでしょうか。

*蒾:草冠に「迷」




蔓性落葉低木(樹高3m以下)
被子植物門 双子葉植物綱 バラ目 バラ科 バラ属

実:6~9mm 楕円形
花期:5~6月
分布:北海道・本州・四国・九州の山野

1月下旬 金剛山 1月下旬 金剛山
名前のようにバラの仲間。
刺がありますのでご注意ください。




蔓性落葉草本
ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)
被子植物門 双子葉植物綱 ナス目 ナス科 ナス属

実:1cm程度 球形
花期:8~9月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄の山野の開けた草叢


ほかの植物とちがってこれだけが草(草本)。

蔓植物(つるしょくぶつ)なので、枯れてもしぶとく残っています。

実がなんとなくトマトっぽく見えるようにトマトと同じナス科ナス属。
花もトマトやナスに似ていますが、実は食べられないようです。

基本的に、ナス科ナス属の野草の実には毒があり、野菜のトマトやナスの方が特別なようです。
1月下旬 金剛山



 常緑樹が多い大阪平野部では、赤い実の落葉植物はどうしても植物園が中心になってしまいます。

 神戸市立森林植物園なら北の地域の植物も豊富ですが、行く機会が持てませんでした。

 自然に近い森が残っている金剛山山頂付近は、ブナやミズナラの落葉樹が中心ですが、今のところ赤い実の落葉樹には気づいていません。
 大阪の平地や丘陵地帯の極相(きょくそう)(変化が止まってしまって安定した状態の森や林)は常緑広葉樹林。

 赤い実の木もそういう状態に適した常緑広葉樹が多いのかもしれません。



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大阪湾は「魚庭」だった! きしわだ自然資料館「となりの大阪湾」


 2013年は大阪湾の環境再生を目指す大阪湾再生行動計画が10年目を迎え、「大阪湾Years」がおこなわれています。

 その連携企画として大阪湾に面した地域の博物館などの施設が大阪湾をテーマとした企画展示を行っています。

 4月1日に大阪南港野鳥園で始まった企画展は、阪神間の博物館や水族館等で続々と開催されています。

 その一つがこのブログでも紹介した大阪市立自然史博物館の「いきもの いっぱい 大阪湾」

 そして一番最後となるのが、きしわだ自然資料館の「となりの大阪湾」です。



外壁工事中のきしわだ自然資料館
外壁工事中のきしわだ自然資料館




 きしわだ自然資料館は、名前にあるように自然や環境を広く扱う自然史系の博物館。

 大阪には大阪市立自然史博物館がありますが、ぐっとコンパクトにしたような感じです。

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 友の会などの活動が盛んなところで、ちりめんじゃこの中に紛れている海の生き物「チリメンモンスター」、略して「チリモン」発祥の博物館として有名です。



 決して広くはない展示室ですが、ぎゅっとつめ込まれた展示は、じっくり見ると結構時間がかかる濃い内容になっています。

 展示の中心は生き物の標本と、生体(生きている状態)の展示。

 普通、博物館で目にする標本というと液体と一緒にビンに入った液浸標本(えきしんひょうほん)。
 内臓など体の部分が残るので後々の研究にも使うこともできる点がすぐれています。

 しかし博物館に訪れる多くの専門家でない人にとっては、色あせた標本はいくら実物だといっても、野山や海などで生きている姿を見てすぐわかるでしょうか。



ちょっとがっかりしてしまう液浸標本「クルマエビ」
ちょっとがっかりしてしまう液浸標本「クルマエビ」




 そこで、新しい「プラスティネーション」という保存法を施した標本も展示されています。

 プラスティネーションというのは、動物の体に含まれる血液などの液体を合成樹脂(プラスチック)に置き換えること。

 色も形も生きていた時の様子を残すことができ、もちろん腐ることもないので、博物館などの展示に適しています。

 生物の体に含まれる水分などを合成樹脂に置き換える方法は、1978年に大阪藤井寺市で見つかった古代の木製大型そり「修羅(しゅら)」の保存などのように、植物に使われることもあります。

修羅が展示されている 近つ飛鳥博物館




プラスティネーション標本のいろいろ


リアルな「マダコ」
リアルな「マダコ」

魚用には質感で課題がありそうな「マルアジ」
魚用には質感で課題がありそうな「マルアジ」

模様が消えてしまって甲殻類にはまだまだ課題がありそうな「クルマエビ」
模様が消えてしまって甲殻類にはまだまだ課題がありそうな「クルマエビ」

プラスティネーションではありませんが樹脂でパックしたチリモン
プラスティネーションではありませんが樹脂でパックしたチリモン
チリモンが取れる地域によって種類が変わり、それが見た目の色のちがいにもなっているのがおもしろい!


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 さすがに生きている時と同じ、鮮魚売り場で見るのと同じ、というわけにはいきませんが、液浸標本とは比べ物にならないほどのリアルな魚介類が並んでいます。

 それも聞いたことがある、食べたことがあるような魚も多く、大阪湾が豊かな海だったことがわかります。

 深海底が大きく入り込んでいるため生き物の種類が豊富な東京湾に対して50メートルあるかないかの浅い海底が広がる大阪湾ですが、けっして生き物の種類が少ないわけではないことがわかります。

 しかし、残念なことにここで紹介されている生き物たちが今もたくさん大阪湾に住んでいる、というわけではないようです。

 数が減ってきている絶滅危惧種もあれば、在来種から餌や住むところを奪っている外来種もいます。



大阪湾水槽で展示されている大阪湾の生きているもの


貝殻でフタをしている「マダコ」
貝殻でフタをしている「マダコ」

エントランスのマダコはたこつぼから出てきました
エントランスのマダコはたこつぼから出てきました

エビのようでエビでないシャコ
エビのようでエビでないシャコ

背びれに毒があるハオコゼ
背びれに毒があるハオコゼ




 大阪の別の呼び名の一つに「なにわ」があります。

 由来にはいろいろな説がありますがその一つに「魚がたくさんいる海」というような意味の「魚庭」があります。

 多くの場合「浪速」「難波」など海の潮の流れが速いことや船の航行が難しいことの意味が強調され、あまり目にすることはありませんが。

 ともあれ、きしわだ自然資料館をはじめ「大阪湾Years」の展示を見て思うのは、やっぱり「なにわ」は「魚庭」が一番。



天上にいたカニのゾエア(子供)と思われる模型
天上にいたカニのゾエア(子供)と思われる模型
実物はチリモンになるくらいの小さいプランクトンです。




 ただ太平洋とは紀淡海峡(きたんかいきょう)、瀬戸内海とは明石海峡(あかしかいきょう)という二つの狭い出入口しか持たず、淀川という人口密集地を通る河川が流れ込んでいる大阪湾は、汚れやすくきれいになりにくいつくりになっています。

 大阪湾が誰が見ても「魚庭」と納得できるよう、一人ひとりが考え、できることをしていかなければならい。

 展示されている標本たちは、そう訴えているようにも感じます。



 きしわだ自然資料館の「となりの大阪湾」は2014年3月2日まで開催中です。



◆タグ 大阪湾の生き物 大阪湾 いきもの いっぱい 大阪湾 ◆

■参考外部リンク■
きしわだ自然資料館 - 大阪府岸和田市公式ウェブサイト:祭都きしわだ
大阪湾Years2012-2013大阪湾再生推進協議会


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タグ: 大阪湾の生き物大阪湾きしわだ自然資料館プラスティネーションクルマエビマダコチリモンシャコハオコゼゾエア

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いきもの は おもしろい!の「こよみ」のはなし 二十四節気と七十二候を計算する


 最近、二十四節気(にじゅうしせっき)や七十二候(しちじゅうにこう)の本が出版されるなど徐々に注目を集めています。

 この2つは現在の「新暦」が日本に導入される以前に使われていたため「旧暦」とひとまとめにされることがあります。



 「旧暦」でよく想像されるのが「太陰暦(たいいんれき)」。

 太陽の動きの1周期を1年とする太陽暦(たいようれき)とちがい、月の満ちかけの周期を1月とするのが太陰暦。

 ですから1年の長さは太陽暦とちがってきます。

 月の動きと海の干満と関係がありますので、漁業をしている人にとっては、太陰暦はわかりやすい暦(こよみ)になります。



 日本のように四季があるところ。
 北極圏のように極端に冬が長いもの。
 熱帯地域のように雨季と乾季にわかれるもの。

 地域によって様々ですが、気候の移り変わりは生活に直接結びつきます。

 季節は地球が太陽の周りをまわる動きと関係しています。

 言い換えると、地球からみたときの太陽の動きが季節と関係しているのです。

 つまり、季節の移り変わりは太陽暦のほうがわかりやすいのです。



1日と1年のサイクルをつくる太陽(正しくは地球の自転と公転ですが)
1日と1年のサイクルをつくる太陽(正しくは地球の自転と公転ですが)
太陽観察グラスを使用 右下の黒い点は金星




 日本の太陰暦の場合、太陽暦と比べると毎年10日ほど少なくなりズレが出てきます。

 ズレは3年ごと1月増やして1年を13ヶ月にして調整しますが、それでも農業をしている人にとっては農作業の基準にしずらいでしょう。

 それで、太陽の動きを基準とした二十四節気と七十二候をつくって農作業の基準にしたのです。



 このように二十四節気も七十二候も月ではなく太陽の動きをもとに作られたものなのです。
 つまり太陽暦。

 そのため日本の「旧暦」は太陰暦と太陽暦を合わせていたので「太陰太陽暦」とも呼ばれています。

 ですから「旧暦」=「太陰暦」というのは半分ちがいます。



海の干満の周期をつくる月
海の干満の周期をつくる月




 二十四節気は1年を24等分するのですが、その分け方には二通りあります。

 ひとつは「平気法(へいきほう)」と呼ばれ、冬至から次の冬至までの時間を24等分するもの。
 もちろん、すべての節気は等間隔の時間で分けられます。
 ただ、24時間で割り切れませんので、カレンダー上は1日程度ずれることもあります。



 もう一つは「定気法(ていきほう)」と呼ばれ、地球から見た太陽の通り道(黄道)を春分の場所をはじまりとして24等分するもの。

 地球の軌道は楕円ですので、定気法では節気と節気の間の時間は厳密には一致しません。

 こちらの方法ではそれぞれ間隔の時間が変わってきます。



 といってもそんなに大きなちがいはないのですが、冬至や夏至の頃では1日ずれることもあります。
 そうなると、どちらかに統一しなければ、ちょっと具合が悪くなります。

 現在、日本の天文観測の中心といえる国立天文台の二十四節気は定気法で行われていますので、このブログも二十四節気は定気法に合わせています。



太陽と月が一緒に見られるのが日蝕
太陽と月が一緒に見られるのが日蝕



 二十四節気が定気法なのですから、二十四節気をさらに3分して、1年を72に分ける七十二候も定気法で行うのが自然です。

 ところが国立天文台が公開しているのは二十四節気まで。

 さらに天体運行の高度な計算はできないので、この記事を公開した時点では、このブログでは七十二候については節気と節気の間の時間を平気法のように3等分しています。



 ただ、少しでも定気法に近づけるために、国立天文台が公表している分単位まで計算に入れています。

 ですので、「定気平気法」ともいえるような方法で七十二候の計算をしています。

 そのため他の個人や団体などの発表する七十二候の日付とずれている可能性があります。

 ご了承ください。



◆タグ 太陽暦 太陰暦 二十四節気 七十二候 ◆

■参考外部リンク■
国立天文台 天文情報センター 暦計算室国立天文台


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