【 2014年01月】

[カテゴリ リスト] 【表示記事リスト】
ビオトープ
┃《ビオトープとは
山・森・里山
川・湖・池
海岸・干潟・海
公園・緑地・田畑
都市
野鳥・鳥
モズ
哺乳類
爬虫類・両生類
恐竜と化石爬虫類

節足動物
甲虫
昆虫(甲虫以外)
甲殻類
虫(節足動物以外)
その他の海の動物
草花
野菜・食用作物
お茶
樹木
花木
紅葉・黄葉・褐葉
果物・実
コケ・シダ
その他植物について
微生物・菌類・細菌 等
地衣類
博物館・植物園・催事 等
季節
本・DVD・物語・伝承
架空・神話・創作
語彙集
フィールドワーク
リンク
ブログのご利用について


〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

七十二候 第七十候「款冬華」すぎて山菜顔を出す


 1月中旬、最後の二十四節気(にじゅうしせっき)「大寒(だいかん)」の初候(しょこう)。

 七十二候(しちじゅうにこう)「款冬華」。

 よみは「ふきのはな さく」または「かんとう はなさく」。

 「款冬」は山菜のフキのこと。

 意味は「フキの花が咲くころ」ではなく、「フキノトウがそっと顔をのぞかせるころ」。

 フキノトウ(蕗の薹)は、フキの蕾(つぼみ)。

 てんぷらにして食べるあのフキノトウです。



 山菜といいつつ、近所に自生地の心当たりはありません。

 ということで、「款冬華」がすぎた河内長野市の植物園、花の文化園へ。

 ここの球根園にフキが植えられています。

 しかしその一角は何も植わっていないように見えます。

 ちょっと早すぎたかな、と思いながら顔を近づけてみると、七十ニ候の通りフキノトウが顔を覗かせていました。



落ち葉の下から顔をのぞかせたふきのとう
落ち葉の下から顔をのぞかせたふきのとう




 食べごろにはまだちょっと早そうなフキノトウがあちこち顔を覗かせています。



緑色の蕾が顔をのぞかせています
緑色の蕾が顔をのぞかせています




 いつもはずれていますが、今回はさすが七十二候。

 ぴったりです。



まだまだ小さいふきのとう
まだまだ小さいふきのとう




 もちろんここは植物園。

 どんなにおいしそうに見えても、見るだけです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 七十二候款冬華フキノトウ花の文化園フキ山菜

関連記事
スポンサーサイト



theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

七十二候 第七十一候「水沢腹堅」沢の水が厚く凍りつきます。


 1月下旬。

 二十四節気(にじゅうしせっき)の大寒(だいかん)

 一年で1番寒い時期。

 ということで七十二候(しちじゅうにこう)も「水沢腹堅」。

 よみは「すいたく ふくけん」または「さわみず こおりつめる」。

 沢の水が厚く凍りつくくらい寒いことを表します。



 といっても、大阪の平野部の冬は水が凍っても「厚く」というには程遠い寒さ。

 厚く凍ると言っているのは沢。

 小さい川、狭い川のことです。

 普通「沢」と言われれば山の源流部に近い小さな川をイメージするのではないでしょうか。



 ということで、大阪の沢があるところの一つ、金剛山へ。
 よく行く山です。

 標高がたった1125mしかない山ですが、冬には沢にある滝が凍ります。



2013年の台風18号でできたモミジ谷の倒木と氷
2013年の台風18号でできたモミジ谷の倒木と氷




 最近は完全凍結することはほとんどありませんが、むかしはアイスクライミングができるほど凍ったこともあったそうです。

 そんな凍る滝のひとつが、モミジ谷本流の第六堰堤(えんてい)。

 自然の滝と堰堤(小さな砂防ダム)の滝が凍ります。



 1月下旬「水沢腹堅」のころ。

 2013年の台風18号の影響がまだ残っていますが、ほとんど手が付けられていなかった10月とちがい、道が付けられ、じゃまになる木のいくつかが切られていました。

 第六堰堤の滝の全面が凍るにはまだまだですが、飛沫がかかるところは厚い氷が覆っていました。



2014年「水沢腹堅」のころのモミジ谷第六堰堤
2014年「水沢腹堅」のころのモミジ谷第六堰堤




 そしてここはどういうわけか右側の壁が滝よりも厚い氷に覆われます。

 氷の下にはコケやスゲが閉じ込められています。

 「水沢腹堅」らしい景色です。

 ただし、このあたりは大阪府ではなく奈良県ですが。



厚い氷が覆っている第六堰堤右壁
厚い氷が覆っている第六堰堤右壁




 金剛山で滝が1番凍るのは2月に入ってから。

 今年はどこまで凍るのが楽しみです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 七十二候水沢腹堅冬の金剛山金剛山氷瀑モミジ谷(金剛山)台風18号(2013)

関連記事

theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

金剛山の樹氷は西からやってくる


 金剛山の山頂付近が白くなることがある冬。

 山頂には雪がつもり、木々が樹氷に覆われます。

 冷やされた空気中の水蒸気が、木などにあたって氷に変わったものを「霧氷(むひょう)」といいます。

 その中で風で吹きつけられた水蒸気が凍って白くなったものが「樹氷(じゅひょう)」。
 ですから風が吹いてくる方に向かって成長していきます。

 金剛山は阪神地域でも霧氷を見に行きやすい場所の一つとして有名で、冬が一年で最も登山者が多くなる時期、と言われています。



 この日は北側の水越峠(みずこしとうげ)からのアプローチ。

 2月には滝が凍るモミジ谷本流から山頂へ向かいます。

 凍る第六堰堤(だいろくえんてい)を経て、源流アタックをしないで尾根道へ。

 道にはまだまだ雪が残っていますが、霧氷はないようです。



モミジ谷から尾根道を登りきったあたり
モミジ谷から尾根道を登りきったあたり
雪は積もっていますが霧氷はなさそう




 真冬でも少し暖かくなると気温が0℃を超えてしまうことがある金剛山山頂では、霧氷が見られるかどうかは、その時の気象状況によって変わります。

 ちょっとガッカリしながら金剛山で一番高い葛木岳(かつらぎだけ)をぐるりとまわる登山道にでました。

 木が白くなっているところもありますが、それは霧氷ではなく雪が積もったもの。
 吹きつけたようにべったりとついてます。



 しかし葛木岳を迂回して西側の転法輪寺に近づくと、様子が変わりました。

 真っ白。

 霧氷です。



林床の低木にまで霧氷がついてる転法輪寺裏
林床の低木にまで霧氷がついてる転法輪寺裏




 背の高いスギはもちろん、下生えの低い木まで真っ白です。

 それほど標高は変わらないのに、別世界。



霧氷がびっしりついた山頂のスギその1
霧氷がびっしりついた山頂のスギその1




霧氷がびっしりついた山頂のスギその2
霧氷がびっしりついた山頂のスギその2




 冬は北西の風が吹きます。

 そして金剛山の北西には大阪湾があります。

 霧氷は冷たいだけでなく、水蒸気を含んだ風でなければできません。

 ということで、西側に霧氷がたくさんできたのでしょう。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 樹氷霧氷冬の金剛山金剛山金剛山の樹氷金剛山のスギスギ

関連記事

theme : 散策・自然観察
genre : 趣味・実用

蟲師 特別篇「日蝕む翳」の美しい花 節分草


 「蟲師」。

 明治か大正か昭和初期か定かでない時代の日本のどこかを舞台とした、変わった“生き物”の「蟲(むし)」とその専門家の「蟲師(むしし)」と人々の物語。

 漆原友紀(うるしばら ゆき)さんの作品です。



蟲師(1) [ 漆原友紀 ]

価格:1,200円
(2014/1/14 00:40時点)

「蟲」と「蟲師」

 「蟲」について、1巻の冒頭にこうあります。

およそ遠しと
されしもの

下等で奇怪
見慣れた動植物とは
まるで違うと
おぼしきモノ達

それら異形の一群を
ヒトは古くから
畏れを含み いつしか
総じて「蟲」と呼んだ


 「蟲」とは目に見えない、この世のあらゆる生命よりも命の源流に近いもの、とされます。

 ときに人に害を与えることがあり、それを治したり防いだりするのが「蟲師」。

 主人公の蟲師ギンコが日本を旅しながら蟲で困る人々と出会っていきます。

 日本らしい自然と不思議な生き物の「蟲」が織りなす美しく時には悲しい物語。



 2005年から2006年にかけてアニメーション化、2007年には実写映画化もされました。
 2008年に第10巻が出版され、現在最終巻となっています。

 それから5年と少し、2014年1月に新作とそのアニメーション化された作品が公開されました。

 それが「日蝕む翳(ひはむかげ)」。



「日蝕む翳」

 日食が起こり日が陰ると無数の蟲が現れます。

 「日蝕み(ひはみ)」という蟲も空に現れ、小さな蟲を取り込みます。

 ところが日蝕みは日食が終わっても空で太陽を隠したまま。
 日食と思って現れた蟲を取り込み続けます。

 日蝕みは直接人間に何かをするわけではありません。

 しかし、太陽を隠されると農業はもちろん日常生活にも支障が出てきます。



 日蝕みの退治方法は、地面の下に残った“根”に光を当てること。

 “根”は地面の下に隠れていますが、その場所には異変が起き、本来その時期には咲かない花が咲いていたりします。

 そして見つかったのが林の中で季節外れの花が咲く場所。

 薄暗い林の中で小さくて白くてきれいな花が一面咲いています。

 そこを掘り返すと、果たして日蝕みの“根”が見つかりました。

 日蝕み退治と、日蝕みの亜種の月蝕みによって特異体質になってしまった双子の姉妹の話を折込みながら、物語は進んでいきます。



節分草

 日蝕みの“根”の上で咲いていた季節外れのきれいな白い花。

 これは架空の花ではないようです。

 おそらくセツブンソウ(節分草)。

 キンポウゲ科の多年草。



花の文化園のセツブンソウの花
花の文化園のセツブンソウの花




 春先、落葉広葉樹の林床で咲きます。

 樹木が葉を伸ばす前、太陽光が林床に届く間に葉で栄養を作り花を咲かせようという作戦です。

 ちょうど節分の頃に咲くことが名前の由来と言われていますが、地域によって節分から離れた時期に咲くことも少なくありません。



 「日蝕む翳」は、服装から温かい季節の話のようです。

 セツブンソウが咲いているのも葉が茂って薄暗くなっている林の中。

 もちろん本当ならばセツブンソウは花も葉も枯れ、地面の上には何も残っていない時期です。



たくさん咲いている花の文化園のセツブンソウ
たくさん咲いている花の文化園のセツブンソウ




 セツブンソウは関東以西の本州の落葉広葉樹林で石灰岩を好むということで、生息場所が限られる植物。

 見た目の美しさから盗採が後を絶たず、そのうえ開発による環境の変化などで減少、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種。
 まだ絶滅の指定はないものの、西本州の15府県で何かのカテゴリーに指定されています。

 ただ条件を整えれば栽培はできるようで、栽培している植物園も少なくはないようです。



 アニメーションの中では、白い花弁(はなびら)がおぼろげに光を発しているようでした。

 実際のセツブンソウは残念ながら蛍光は発しませんが、キンポウゲ科の花らしく太陽の光を受け光っているように見えます。

 白い透き通るような花弁は、実は萼(がく)。

 本来の花弁は退化して、先に蜜腺(みつせん)をつけオシベやメシベと並んでいます。
 先が黄色くなっているオシベのようなのが、花弁が変化した蜜腺です。



日蝕みがいなくてもおぼろげに光っているような花
日蝕みがいなくてもおぼろげに光っているような花




花の文化園

 大阪南東部の植物園、花の文化園ではちょうど節分の頃から咲き始めます。

 場所は梅園の中。

 梅の花の季節まで咲いていることも珍しくはありません。

 花の文化園は毎月第3日曜日にコスプレの日を設け、コスプレイヤーに更衣室の無料開放などを行っています。

 2月にも開催されれば、ちょうどセツブンソウの花の時期と合うかもしれません。

 蟲師レイヤーは狙い目かも。

 ただしかなり寒いと思いますので防寒対策は必須でしょう。



セツブンソウが咲く花の文化園の梅園
セツブンソウが咲く花の文化園の梅園




››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 蟲師セツブンソウ漆原友紀花の文化園日蝕む翳日蝕み

関連記事

theme : アニメ
genre : アニメ・コミック

巨樹・古樹・老樹 その15 大阪市立大学理学部附属植物園の外国産針葉樹木園のメタセコイア


 大阪の北東部の交野市(かたのし)私市(きさいち)。
 ちょうど生駒山地(いこまさんち)が始まるところにあるのが大阪市立大学理学部附属植物園。

 名前の通り大学の研究施設ですが、一般に公開されています。

 植物園の入口付近には芝の広場などがあり、天気が良ければ、緑に囲まれ都会の喧騒から離れれて、お弁当を広げるのにはちょうどいい場所です。



 そこに植えられている天をつくような鋭い三角形の樹木。

 初春に訪れると、木は2種類あることがわかります。

 ひとつは常緑針葉樹のセコイア。

 そしてもうひとつは落葉の針葉樹。
 30mを超える高さと言われるメタセコイア。



大阪市立大学理学部附属植物園のメタセコイアとセコイア
大阪市立大学理学部附属植物園のメタセコイアとセコイア




 メタセコイアは日本に生えていたスギの仲間です。

 といっても、いまから300万年くらい前の話です。

 この頃は世界的に気温が下がる寒冷化で、日本でも針葉樹と落葉広葉樹の混交林が発達します。

 メタセコイアもそうした針葉樹の一つでした。

 その後の温暖化で常緑広葉樹の林が発達。

 それを繰り返して70万年くらい前に日本のメタセコイアは絶滅しました。

 そのメタセコイアの化石を見つけた三木博士が園長だったのが、この植物園。



外国産針葉樹木園のメタセコイア(2013年4月)
外国産針葉樹木園のメタセコイア(2013年4月)




 植物園に縁のメタセコイアの生きた樹木。

 もちろん、「ジュラシックパーク」のように化石の中からDNAを取り出し、ラクウショウの胚(はい)の中に入れてつくりだしたもの、ではありません。

 1945年に中国で見つかった、現在まで生き残っていたメタセコイアを増やしたものです。

 ここには日本で二番目に古い苗木があります。

 ただそれを知ったのは帰ってから、このときは生駒山地縦走がメインだったので植物園の下調べが不十分でした。

 しっぱい。

 また次回。



巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
1.一般に「巨樹」「古樹」「老樹」と認知されている樹木
2.その場所や地域の中で見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
3.見た目が小さくてもその種として「巨樹」「古樹」「老樹」な樹木
4.地域の自然を愛する組織や団体などが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木




››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: メタセコイア市大附属植物園巨樹・古樹・老樹

関連記事

theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

七十二候第六十六候「雪下出麦」と第六十七候「芹乃栄」 寒い冬でもがんばってます。


 1月。
 新しい年のはじめ。

 一年で最も寒くなると言われる小寒を挟んだ七十二候(しちじゅうにこう)の「雪下出麦」と「芹乃栄」。
 一年で最初とその次の候です。

 よみは「ゆきわたりて むぎのびる」と「せり すなわちさかう」。

 もうちょっとわかりやすくると「麦、雪の下で芽を出す」と「芹、よく育つ」。

 寒い中でも成長している様を表しています。



里山の農家を再現した錦織公園の河内の里の風景
里山の農家を再現した錦織公園の河内の里の風景
大阪南東部の南河内(みなみがわち)地方の農家の雰囲気を再現した河内の里。
小さいですが、田畑のビオトープが再現され、ほかにも今の河内地方では見ることがなくなった茶畑や、和紙の原料となるコウゾやミツマタなどが栽培されています。
隣にはコナラを中心とした里山のビオトープもあります。



 日本では稲刈りが終わってから田植えまでの間にムギを育てることがあります。

 冬はムギが育つ季節。

 そして多年草のセリも青々しています。

 ムギはこのまま育って春に収穫を迎えます。
 セリはいつでも食べることができます。

 植物が枯れて寒々とした冬でも、身近で青々としている植物をみて、暖かくなりはじめる春を思っていたのでしょうか。



青々している「雪下出麦」の頃のムギ
青々している「雪下出麦」の頃のムギ
河内の里では田んぼではなく畑に植えられています。
ほかにダイコンやカブなどが育っていました。



 もちろん本州の太平洋側平野部では冬でも枯れない草はたくさんあります。

 その中からムギとセリが選ばれたのも、身近で大切な食べ物だったからかもしれません。



ちょっと元気がなさそうな「芹乃栄」の頃のセリ
ちょっと元気がなさそうな「芹乃栄」の頃のセリ
セリは田んぼの一角に生えています。
田んぼそのものは雑草もなくきれいですので、意図的に残されているのだと思います。
水辺が好きなセリですので、ちょっと元気が無いようにみえるのは、田んぼの水がなくなったためかもしれません。



 この後、二十四節気(にじゅうしせっき)は一年で一番寒いという「大寒(だいかん)」になりますが、七十二候では春を思わせるような候が続きます。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 七十二候雪下出麦芹乃栄セリムギ錦織公園河内の里

関連記事

theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

春の七種は食べるだけじゃなくて探してみるのもおもしろいかも


 1月7日は七草粥の日。

 正しくは「七種(ななくさ)の節句(せっく)」。

 七草粥(ななくさがゆ)を食べて無病息災(病気も災いもないこと)を願います。



 七種、七種類の草はこのように歌われています。


「芹(せり)、薺(なづな)、御行(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)、これぞ七種(ななくさ)」


 もしかしたら全部聞いたことがない植物かもしれません。

 ということで確認するため、この時期には七種を展示している大阪の錦織公園(にしこおりこうえん)の河内の里に行ってみました。



お正月モードの錦織公園の河内の里
お正月モードの錦織公園の河内の里




 河内の里の里の家に通じる小さな橋の上に7つのプランターが並べら、それぞれに七種が1種類づつ植えられています。



和名:セリ(芹)
セリ目 セリ科 セリ属
多年草

芹(せり)
水辺を好みます。
河内の里の田んぼや錦織公園の近くの田圃にも生えています。


和名:ナズナ(薺)
フウチョウソウ目 アブラナ科 ナズナ属
越年草

薺(なずな) 薺(なずな)
実の形が三味線のバチに似ていることから「ペンペングサ」と呼ばれるようになった、といわれています。
空き地や畑の畦などによく生える草です。
実ができていればわかりやすいと思います。


和名:ハハコグサ(母子草)
キク目 キク科 ハハコグサ属
越年草

御形(ごぎょう)
葉には短く白い毛が生えていて、白っぽく見えます。
春には舌状花がない小さくて黄色い花を咲かせます。


和名:ハコベ(繁縷)
ナデシコ目 ナデシコ科 ハコベ属
越年草

繁縷(はこべら)
普通の雑草ですが、コハコベなど他のハコベ属の種類とよく似ています。


和名:コオニタビラコ(小鬼田平子)
キク目 キク科 ヤブタビラコ属
越年草

仏の座(ほとけのざ)
ロゼット状のときは、タンポポなどほかのキク科とよく似ています。

和名が「ホトケノザ」という植物がありますが、そちらはシソ科。
春の七草の「仏の座」とはちがいます。


和名:カブ(蕪)
フウチョウソウ目 アブラナ科 アブラナ属
一年草・越年草

菘(すずな)
古くから野菜として食べられていましたが、中国から伝わった外来種と考えられています。
野生化はしていないようでうですので、意外と弱いのでしょうか。


和名:ダイコン(大根)
フウチョウソウ目 アブラナ科 ダイコン属
一年草・二年草

蘿蔔(すずしろ)
古くから食べられていますが、こちらも外来種。
野生種が見られないのはカブと同じ。
昔から食べられているようですので、野菜化が著しくて自然に生きる力が弱くなっているのかもしれません。




 ということで、セリ、カブ、ダイコン以外は今では雑草としても生える植物。
 いや、セリも水辺で見かける雑草のひとつ。

 逆に雑草で見かけないのはカブとダイコンだけ。

 近所に畑や田圃があったらのぞいてみると、カブとダイコン以外の五草と出会えるかもしれません。



 ところで、春の七種を食べる1月7日は本当は旧暦。

 2014年は2月6日。

 まだ一ヶ月先です。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 春の七種春の七草セリナズナハハコグサハコベコオニタビラコカブダイコン錦織公園

関連記事

theme : 散策・自然観察
genre : 趣味・実用

初冬の赤い木の実2013 常緑低木・小低木編


 冬の植物園や公園などに行くと目につくのが、赤い実。

 葉が落ちる落葉樹はもちろん、緑の葉が残っている樹木では、赤い実がよく目立ちます。



 冬に赤い実をつける木。
 まずは冬でも葉を落とさない常緑樹の中でも、低い木を集めてみました。




落ち着いた感じの奈良公園の萬葉植物園




常緑低木(樹高3m以下)
キンポウゲ目
ナンテン(南天)
キンポウゲ目 メギ科 ナンテン属
半落葉性
互生

11月下旬 錦織公園(里山)
11月下旬 錦織公園(里山)
育つ場所の条件によっては落葉することもある半落葉性。

「ナンテン」は「ずる(災難を災難でないようにする)」という意味にとらえて、おめでたい植物とされます。

「ナンテン(南天)」の名前は中国での呼び名「南天燭(ナンティェヌチュ)」「南天竹(ナンティェヌチュ)」の略です。

中国原産で、山野で見かけるものは栽培されていたものが野生化したものと考えられています。
木の実は鳥にとってはそれなりにおいしいのか、春を待たずしてなくなります。
そのように実を食べた鳥によってばらまかれた種から育ったものも少なくないでしょう。




常緑小低木(樹高1m以下)
ツツジ目
マンリョウ(万両)
ツツジ目 ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
互生

11月上旬 萬葉植物園

まだ少し時期が早いようで赤くなりきっていませんでした。
ほかのジュウリョウからセンリョウまでは赤くなっていたのですが。
12月上旬 花の文化園(植物園)
12月上旬 花の文化園(植物園)
関東から南西諸島までに自生しています。

「両」は江戸時代のお金の単位。
今で言うと「万円」くらいの感じでしょうか。
「万両」は「億円」になり、相当な金額です。
そこからお金がたくさん集まるということで、おめでたいものとして正月などに飾られました。


カラタチバナ(唐橘)
ツツジ目 ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
別名:百両(ひゃくりょう)
互生

11月上旬 萬葉植物園
11月上旬 萬葉植物園
関東から九州までの温かい林などに生えます。

ヒャクリョウという別名のように縁起物として好まれ、センリョウやマンリョウに似ています。



コショウ目
センリョウ(仙蓼,千両)
コショウ目 センリョウ科 センリョウ属
対生

11月上旬 萬葉植物園
11月上旬 萬葉植物園
関東から南西諸島までの温かいところに自生しています。

マンリョウの10分の1ですが、それでも数千万と相当な価値がある名前です。
そのためマンリョウと同じようにお正月の縁起物として飾られます。

マンリョウとよく似ていて、目にすることも多いですが、赤い実が上に向くのが特徴。
マンリョウは下を向きます。



サクラソウ目
ヤブコウジ(藪柑子)
サクラソウ目 ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
別名:十両(じゅうりょう)
互生

11月上旬 萬葉植物園
11月上旬 萬葉植物園
北海道から九州までの常緑林に自生しています。

別名の「ジュウリョウ」は「マンリョウ」の1000分の1ですが、縁起物とされます。




 常緑の低い木を集めてみると、ナンテン、マンリョウ、センリョウとおめでたい木がそろいました。

 さらにジュウリョウ(十両)からマンリョウ(万両)までの「両」シリーズも。

 みんな常緑の低木で庭木として扱いやすいこと、花の少ない冬に赤い実をつけることから古くから好まれていたようです。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 冬の植物園の赤い木の実赤い実冬の実ナンテンマンリョウカラタチバナセンリョウヤブコウジ小判シリーズ縁起物

関連記事

theme : 散策・自然観察
genre : 趣味・実用

たった8種しかいない? それとも8種もいる? 日本の馬


 恒例の新年最初の干支(えと)記事です。

 今年は午年(うまどし)。
 本来、干支と動物は関係がなかったのは漢字を見ての通り。

 と言うのはさておき。



 馬は犬や猫のように日常的に出会うような生き物ではありませんが、テレビでは身近な生き物です。

 時代劇になると必ずと言っていいほど画面に登場します。
 週末には多くの馬が競争しているところを中継されることもあります。

 しかし、その馬は「日本の馬」ではないのです。

 多くの場合は、ヨーロッパで品種改良された大柄な種類。
 昔から日本にいた馬ではないのです。



阿蘇山草千里の馬
阿蘇山草千里の馬




 日本で見つかった馬の化石は500万くらい前のもの。
 人類はまだ誕生していません。

 その頃はまだ3本指だったようで、果たして「馬」と言っていいのか微妙ですが、その後絶滅。
 日本から馬はいなくなってしまいました。



 長い空白の後、馬が日本に現れたのは今から千数百年前の弥生時代後期から古墳時代と考えられています。
 古墳からは馬の埴輪(はにわ)や馬具が多数出土しているので、古墳時代には日本にいたことは間違いないようです。

 もちろん人間によってアジア大陸から持ち込まれたのです。

 小柄なモンゴルの蒙古馬(もうこうま)の系統と考えられています。



古墳時代中期の石見遺跡出土の飾り馬埴輪(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館)
古墳時代中期の石見遺跡出土の飾り馬埴輪
(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館)




 日本にやってきた馬は、各地に分散し、それぞれの地域ごとの特徴を持つようになりました。

 日本の馬の誕生です。

 しかし明治になり欧米列強と戦うために大柄なヨーロッパ系の馬を導入、日本の馬と交配させ次第に純粋な日本の馬が減っていったのです。

 そして自動車などの発達もあり、農耕にも使われなくなり、各地で馬はどんどん減っていってしまいました。



 現在、日本馬事協会が「日本在来馬」として8種類の馬を認定しています。

 この場合の「種類」は、生物学的な分類の「種」ではなく、それよりも更に細かい「亜種」、というよりも人間がつくりだした「品種」と考える方がいいと思います。



北海道和種馬(ほっかいどうわしゅば)
地域:北海道
俗称:道産子(どさんこ)


北海道和種馬 摩耶姫号(六甲山牧場 2010年)


木曽馬(きそうま)
地域:長野県木曽地域・岐阜県飛騨地方
長野県天然記念物

木曽馬(六甲山牧場 2010年)
木曽馬(六甲山牧場 2010年)


野間馬(のまうま)
地域:愛媛県今治市(いまばりし)
今治市天然記念物

野間馬(天王寺動物園 2009年)
野間馬(天王寺動物園 2009年)


対州馬(たいしゅうば)
地域:長崎県対馬市(つしまし)


御崎馬(みさきうま)
地域:宮崎県都井岬(といみさき)
国の天然記念物

御崎馬(宮崎県都井岬 2009年)
御崎馬(宮崎県都井岬 2009年)


トカラ馬(とからうま)
地域:鹿児島県トカラ列島
鹿児島県天然記念物


宮古馬(みやこうま)
地域:沖縄県宮古島
沖縄県天然記念物


与那国馬(よなぐにうま)
地域:沖縄県与那国島(よなぐにじま)
与那国町天然記念物

与那国馬(六甲山牧場 2010年)
与那国馬(六甲山牧場 2010年)




 馬は主に農耕や荷物の運搬などに使われてきました。

 もちろん今ではそれらに使われることはなく、せいぜい観光用に人を乗せる程度。

 半ば野生化しているような馬もいますが、多くは有志が集まって絶滅しないように飼育をしている状態です。

 半ば史前帰化のような動物ですが、千年をかけて日本で誕生した馬です。
 世界中、いや日本でもほかの地域にはいないような馬。

 しかしすでに役割を失ってしまった馬たち。
 これからどうなっていくのでしょうか。



››この記事のはじめに戻る‹‹

タグ: 日本在来馬干支北海道和種馬木曽馬御崎馬与那国馬

関連記事

theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

二十四節気・七十二候
プロフィール

ノート

Author:ノート
都会の植え込みから自然あふれる山まで。
フィールドワーカーのノートが生き物たちとの出会いを書いています。

検索フォーム
カレンダー
12 | 2014/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
BLOG & NEWS | 動物プロダクション SCIENCE FACTORY ltd.
けろんの100円で昆虫採集!
相生山からのメッセージ
ななこの『生き物のお世話』ブログ
雑記帳~身の回りの出来事やら自然やら~
とある昆虫研究者のメモ
ACTOW
徳川広和・恐竜・古生物・模型・フィギュア作品ギャラリー
コトラ&ミーのこんにちは ご近所さん
すみれ奏へようこそ
そぞろ歩き
デジカメ・昆虫・写真
くろねこのチラシの裏
どくだみ荘日乗
故郷の廃家
とらログ
ようこそ大阪市立自然史博物館へ
インターネットミュージアム
いきもの を ぱちり!
管理画面
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
最近記事のRSS
最新コメントのRSS
最新トラックバックのRSS