【 2013年12月03日】

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東京と大阪、どっちが「自然」が多い?


 大阪の人の気質として、どうしても東京にこだわってしまうところがあります。

 東京が日本の首都であり、今では日本の経済の中心地になったので、やっかみみたいなものがあるのでしょうか。

 東京を田舎としてまったく気にしていない京都の人ともちがうところですが、東京を価値観の基準に置く地方の人には理解し難いことのようです。



 誰が起こすのかわかりませんが、ときおり目にするのが東京VS大阪。

 そんな一つに、「東京のほうが大阪より緑が多い」というのがあります。

 この場合の「緑」とは、公園や緑地のように単純に植物が生えている場所のようです。

 残念ながら東京23区と大阪市の「緑」の量を比べるための具体的なデータを見つけることはできませんでしたが、東京には都心に大きな公園がいくつもあり、確かに緑が多いイメージがあります。

 また面積も東京23区のほうが大阪市の3倍くらいあり、都心から離れた「郊外」部分の広さがちがいますので、東京23区のほうが緑が多いのも当たり前のような気がします。






 ただ、この「緑」はちょっとクセモノだったりします。

 多くの場合、都市部の「緑」は公園であったり、残された田畑であったりと人為的に作られた「緑」で、もとからあった「自然」ではないのです。

 そのため、東京は多摩地区という豊かな自然を残す地域があるというのに、意外にも絶滅種が多いのです。



まだ歴史が浅い細い木が多い東京の明治神宮参道
まだ歴史が浅い細い木が多い東京の明治神宮参道




 例えば、カヤネズミは「日本のレッドデータ検索システム」では東京都は「絶滅」になっています。
 東京都の環境局のページでも区部・北多摩では絶滅、南多摩・西多摩でも絶滅危惧II類。

 大阪では「絶滅危惧種」ですらなく「要注目」で、大阪市内でも淀川周辺で確認されているようで、「カヤネズミの巣を探そう!」なんて観察会があちこちで行われていたりします。

 ということは、東京は大阪よりも「緑」は多いですが、「自然」が少ないのかもしれません。

 もちろん、カヤネズミの例だけで決めつけることはできませんが。



30都府県でRDB指定のカヤネズミ(天王寺動物園)
30都府県でRDB指定のカヤネズミ(天王寺動物園)




 例えば東京の中心で圧倒的な「緑」を抱えている明治神宮。

 しかしここは荒れ地に作り上げた人工の森です。
 しかも、政府の政策によって日本中の社寺から「鎮守の森」という自然が奪われていった後に作られた森。

 見た目は立派な森になっていますが、荒れ地に作っただけに長距離を移動できない小さな生き物たちは必ずしも集まってこれたわけでもないようです。

 それに当時の最新の理論で森になるように計算されて作られたのですが、日本中から植物が集められるという現在の生物多様性から考えると最悪の方法で作られたもの。

 「緑」は豊富でも、「自然」については微妙な森。

 それが東京都心の広大な「緑」の一面なのです。



まるで歴史の古い神社のような風格がある明治神宮
まるで歴史の古い神社のような風格がある明治神宮




 それ以外にも感じることがあります。

 東京より大阪のほうが山が近いということ。

 都心で高いところへ上がると、東京でも大阪でも山が見えます。
 東京なら天気が良ければ日本一高い富士山が見えます。

 でも、東京のほうが山が見える方向が少なく、そして遠いのです。

 実際、3方を山に囲まれた大阪では、多くの場所で30分も電車に乗れば山に行くことができますが、広い関東平野にあり3方を海と平野に囲まれた東京の場合はそういうわけにはいきません。

 東京では簡単に日帰りできる身近な「山」というと高尾山(たかおさん)や丹沢(たんざわ)といった西の方の山ですが、大阪なら北西の六甲山、東の生駒山、南東の金剛山などがあります。
 人によって葛城山であり岩湧山であり妙見山かもしれません。

 大阪では住む所によって、身近な山はそれぞれちがってきます。



スカイツリーより低い高尾山の6号路
スカイツリーより低い高尾山の6号路




 最近、大阪でも東京を真似て「緑」を増やそうという声がよく聞かれます。

 しかし東京より「緑」は少なくても「自然」が近い大阪。

 この「自然」を生かさない方法はありません。

 大阪市に緑地を作ることに反対はしませんが、今ある自然、つまり大阪周辺の山々や丘陵地帯へのアクセスを整えたり、山や自然を維持する活動や、理解し守るための教育などを行うことも大切じゃないかな、と思います。



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タグ: ビオトープ自然カヤネズミ代々木公園明治神宮高尾山

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