【 2013年11月】

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大阪南港野鳥園はこれからどうなるのしょうか? ビオトープで考えてみる


 大阪湾の埋立地にある大阪南港野鳥園。
 財政難の大阪市の改革のため廃止が検討されています。

 ここは国際的なシギ・チドリネットワークに登録され、環境省の「日本の重要湿地500」にも選ばれている人工の干潟です。

 貴重な鳥もやってきますので大阪市も干潟をなくすのではなく、展望塔と管理者の常駐の廃止を検討しているようです。

 展望塔がなくなると鳥達を観察できなくなりますし、常駐者がいなくなると干潟への侵入者が現れるなどして干潟が壊される可能性もあります。

 もちろん野鳥愛好家の方たちが中心となって野鳥園を守る活動が行われています。



大阪南港野鳥園の入り口
大阪南港野鳥園の入り口




 ビオトープ好きの視点から見ると、もちろん廃止は反対ですが今の野鳥園にも不満はあります。

 それは干潟から遠いところからしか見ることができないこと。

 干潟に鳥が集まるということは、干潟には鳥の餌になる小さな生き物たちがいっぱいいることの証。

 しかしそういう小さな生き物たちを見ることはできません。

 ここは干潟の野鳥園であって、残念ながら干潟のビオトープ園ではないのです。



大阪南港野鳥園の北池
大阪南港野鳥園の北池




 人が干潟に入って行くと鳥は逃げてしまうのはわかります。

 しかしここは池が3つもあるような干潟です。

 その一部で干潟まで降りることができ、干潟の小さな生き物を観察できるようにしても、干潟全体に影響があるとは思えません。

 野鳥観察用の壁で囲むなどすれば、野鳥を近くで観察することもできてむしろ一石二鳥ではないでしょうか。



野鳥園の北にある淀川河口の矢倉干潟のハクセンシオマネキ
野鳥園の北にある淀川河口の矢倉干潟のハクセンシオマネキ

見ることはできませんが野鳥園にもこんな生き物がいっぱいいるはずです。




 大阪南港野鳥園は廃止にならないでほしいと思います。

 といっても、それは野鳥のためだけではありません。

 展望塔には望遠鏡のような大きなレンズを付けたカメラで撮影している人がいつもいます。

 でもそんなカメラでも写すことができない小さな生き物たちもいっぱいいます。

 そんな生き物たちを間近で見ることができれば、この干潟の大切さももっとよくわかってもらえるのではないでしょうか。



 現在の野鳥園の存続だけでなく、たとえば野鳥も含めた干潟のビオトープについて学習するための「ビオトープ園」としての再出発もありじゃないかな、と思います。



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やっと脱穀。プランター稲・バケツ稲・ペットボトル稲2013


 「やっと」がやたらとつく今年のバケツ稲。

 ついに脱穀(だっこく)までやってきまいた。



 稲穂(いなほ)からお米が入った籾(もみ)をはずす脱穀は、いつもの通りガラスコップを使用。

 コップでしごくようにして稲穂から籾をこそぎとっていきます。

 量が少ないバケツ稲だからできる技です。



プランター稲のガラスコップ脱穀
プランター稲のガラスコップ脱穀




 今年は化成肥料を使ったおかげで稲の成長もよく……と思っていたら、穂が出る直前に病気に

 薬を使わず病変を切り取るという古典的対症療法で何とか乗り越え、ちょっと丈は低かったのですが、なんとか去年よりいっぱい収穫することが出来ました。



 2012年は有機肥料を使ったために水が悪くなり、稲の成長に大きく影響しました。
 そのため収穫できた籾はプランター稲で30g、バケツ稲で11g、ペットボトル稲は量るほどもありませんでした。

 それに対して今年、2013年はプランター稲で150g、バケツ稲で90g、ペットボトル稲で20g。

 やっぱり田んぼとは比べられなほど小さなプランターでは、肥料は化成肥料のほうがいいようです。

 それでもはじめてつくった2011年にはプランターで250gとれましたので、病気の影響は少なくないようです。



脱穀前のプランター稲
脱穀前のプランター稲




 来年はプランター稲ビオトープの方に力を入れようと思っています。

 カブトエビたちの酸欠防止のために植える苗の数を大幅に減らす予定なので、来年は病気にかからなくても収穫量はもっと減るかもしれません。

 それもちょっとさみしいので、あと半年の間に来年のプランター稲・バケツ稲の予定をじっくり考えます。



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タグ: バケツ稲プランター稲プランター稲2013バケツ稲2013ペットボトル稲2013脱穀プランター稲の脱穀プランター稲の考察

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七十二候 第五十九候「朔風払葉」で北風にとばされた“顔おちば”


 七十二候(しちじゅうにこう)の第五十九候「朔風払葉」。

 よみは「きたかぜ このはをはらう」。

 二十四節気「小雪」の2つ目の候です。



 「朔風(さくふう)」は北風のこと。

 落葉を飛ばす程の強い北風が吹きはじめる季節がやって来ました。

 冬のはじまりに吹く強い北風というと、木枯(こが)らし。

 気象用語としての「木枯らし」は、10月半ばから11月末にかけて西高東低の冬型の気圧配置になった時に吹く、北よりの風速8メートル以上の風のこと。

 風速8メートルの風というと傘がさせないような「強い風」ではありませんが、落ち葉を吹き飛ばすくらいの強さはある風です。



 ということで、風で飛ばされた落ち葉の中でちょっと顔っぽいものを集めてみました。



端正な“顔”
端正な“顔”
ソメイヨシノ
宇宙人ぽい“顔”
宇宙人ぽい“顔”
ソメイヨシノ
ザラブ星人っぽい“顔”
ザラブ星人っぽい“顔”
黄色いソメイヨシノ
ちょっととぼけた“顔”
ちょっととぼけた“顔”
茶色になったソメイヨシノ
デニム地の上のなかよし“顔”
デニム地の上のなかよし“顔”
ソメイヨシノと先のほうが欠けた茶色くなったソメイヨシノ



 顔みたいな虫食い跡のある落ち葉。

 インターネットで探してみたのですが、呼び名を見つけることができなかったので、「顔おちば(顔落ち葉)」と勝手に決めました。



 落ち葉の穴はイモムシが開けたものだと思います。

 食べることが仕事のようなイモムシが、まるで目のように対照的な位置にだけ開けた穴。

 偶然だと思いますが、芸術的なイモムシもいるのかもしれません。

 ただ才能のあるイモムシはとても少ないようで、海のような落ち葉の中から「顔おちば」を探すのは、なかなかむずかしいものがあります。

 だからその分面白さがあるのかもしれません。



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タグ: 顔おちば七十二候朔風払葉落ち葉ソメイヨシノ紅葉

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大阪城の立冬の紅葉・黄葉・褐葉


 北海道や沖縄などを除き、日本中の多くの地域で見頃になっている紅葉(こうよう)。

 大阪にも紅葉の名所はありますが、多くは山の手になります。
 数少ない平野部の名所と言われる大阪城公園へ行ってきました。



大阪城の刻印石広場から見た天守閣
大阪城の刻印石広場から見た天守閣




 大阪の中央で南北に連なる上町台地(うえまちだいち)。

 旧淀川(現在の大川)から新大和川を超えて泉北丘陵(せんぼくきゅうりょう)につながっています。

 瀬戸内海と京都をつなぐ流通の要衝の淀川を見下ろすような形になっていたのが大阪城。

 豊臣秀吉がつくった城です。

 現在では一部が官庁街などになっているものの、城の縄張りにはグラウンドやホールなどの施設の他に、庭園や公園などがあります。



黄葉している銀杏と紅葉している桜と鉄筋コンクリートの天守閣
黄葉している銀杏と紅葉している桜と鉄筋コンクリートの天守閣




 大阪城公園には梅林、桃園、桜並木などがありますが、残念ながらモミジやカエデ園のようなものはないようです。

 奈良の春日大社(かすがたいしゃ)の原始林を観てもわかるように、ほっておけば常緑広葉樹(じょうりょくこうようじゅ)に覆われていまう大阪平野・丘陵部。

 モミジやカエデがきれいに紅葉するのが難しい環境なのかもしれません。



褐葉しているケヤキ
褐葉しているケヤキ



 そんな中できれいに色づいているのは外堀の東側にある道路のイチョウ並木。

 まだ少し早かったのか、若干緑色が残っているものもありますが、黄色に染まっています。

 ただ並木が作られて間がないようで、小さい木ばかりなのがちょっと残念。



まだ小さいイチョウの並木
まだ小さいイチョウの並木




 桜も紅葉していますが、よく目につくのはハゼノキ。



本丸の広場のハゼノキ
本丸の広場のハゼノキ




 石垣にも生えていました。

 草のように小さいハゼノキですが、いずれ陸上自衛隊の隊員に抜かれてしまうことでしょう。



内堀の石垣のハゼノキ
内堀の石垣のハゼノキ




 いつまでも暑いと思っていたら、もう冬。

 そしていつの間にか紅葉も終わってしまいそうです。



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タグ: 大阪城公園紅葉黄葉褐葉イチョウサクラケヤキハゼノキ

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七十二候第五十七候「金盞香」。「金盞」ってキンセンカではありません?


 暦(こよみ)の上では冬が始まり、山に雪が降り始めるようになる二十四節気(にじゅうしせっき)の小雪(しょうせつ)の直前です。

 立春(りっしゅん)から数えて57番目の七十二候(しちじゅうにこう)、「金盞香」。

 よみは「きんせんか さく」。
 または「きんせんか こうばし」。



 「金盞」つまり「金盞花(キンセンカ)」は地中海原産のキク科の観賞用植物です。
 別名「カレンデュラ」。

 花期は品種によって変わりますが3月から6月まで。

 冬には咲きません。



キンセンカ「ドワーフ・アリスオレンジ」の花(京都府立植物園2011年3月)
キンセンカ「ドワーフ・アリスオレンジ」の花(京都府立植物園2011年3月)




 ふしぎに思っていると、この「金盞」はスイセンのこと。

 「きんさん」とも読みます。

 「盞(さん)」は玉(ぎょく)製の小さな杯(さかづき,はい)のこと。
 細かいことを表す「戔(さん)」と器を表す「皿」を合わせた形声文字(けいせいもじ)。

 スイセンは冬に咲く花。

 たしかに咲く時期はキンセンカよりもスイセンのほうがピッタリです。



「ニホンズイセン」の花(錦織公園2013年2月)
「ニホンズイセン」の花(錦織公園2013年2月)




 スイセンは地中海原産のヒガンバナ科の観賞用植物。

 特に原種のスイセンは、園芸種ではよく目立つ6枚の花被片が細く糸状。
 真ん中のオシベとメシベを囲む副花冠の方が目立ちますので、杯のように見えます。



「金盞」にぴったりの原種スイセン「ナルキサス ロミエウキシイ(種名)アトラスゴールド(園芸品種名)」(花の文化園2011年3月)
「金盞」にぴったりの原種スイセン
「ナルキサス ロミエウキシイ(種名)アトラスゴールド(園芸品種名)」
(花の文化園2011年3月)



 花の少ない冬に咲く植物としてあちこちに植えられていますが、大阪平野部でもスイセンが咲くのはもう少し先のようです。

 今回も少しフライング気味の七十二候でした。



まだ葉だけの「金盞香」の頃のスイセン(大阪城公園2013年11月)
まだ葉だけの「金盞香」の頃のスイセン(大阪城公園2013年11月)
この頃のスイセンは野菜のニラに間違われることがあります。
スイセンは食べると毒がありますのでご注意ください。
食べなければさわっても問題ありません。



 ちなみにスイセンは室町時代以前に中国から入ってきたと考えられています。

 ただ、中国では「金盞花(ジヌジャヌファ)」はキンセンカのこと。
 そして「金盞子(ジヌジャヌズ)」はタンポポのこと。

 スイセンは日本と同じ「水仙(シュィシャヌ)」です。

 ですから「金盞香」は日本オリジナル。

 実際中国の第五十七候は「野鶏入水為蜃(イェジルシュィウェィシェヌ/やけいみずにいり おおはまぐりとなる)」になります。

 ただ、鳥のキジが海に入って貝の大きな蛤(蜃)になるというふしぎな意味です。



中国にいるキジのコウライキジの亜種ニホンキジ(下赤阪の棚田)
中国にいるキジのコウライキジの亜種ニホンキジ(下赤阪の棚田)




 実際に無いものが見える自然現象の「蜃気楼(しんきろう)」。

 これは大蛤()がを吐いて幻の閣を作り出すと思われていたことが由来です。

 古代の中国では、陸上の鳥が神秘的な力を持った貝になると考えられていたのでしょう。

 富山湾などで見られる蜃気楼は、冬の風物詩になっていますので、寒くなる季節を表しています。

 とはいえ、この七十二候ができた時の中国の都の長安は海から1000キロも離れた内陸。

 言い伝えだけで考えだされたものなのでしょう。



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タグ: 金盞香七十二候形声文字六書スイセンキンセンカキジ

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迷探偵は地衣類の汚名を雪げるのか? その2


 間が開いてしまいましたが、【迷探偵は地衣類の汚名を雪げるのか?】の続きです。



 インターネットでいまだよく目にするのが「地衣類(ちいるい)が木を枯らす」という冤罪。
 ひどいものになると地衣類が樹木に「寄生」していると書いてあるものもあります。

 そんなことはありません。
 地衣類は樹木の表面にひっついていますが、少なくとも寄生はしていません。



梅の木についている奈良公園のウメノキゴケ
梅の木についている奈良公園のウメノキゴケ




 「地衣類」というのは、見た目はコケに似ているようですが、コケとはまったくちがう生き物です。

 「コケ」は大きくなれませんが葉緑体で光合成をする植物です。

 地衣類はちょっとややこしい生き物。

 なぜなら体はカビと同じ菌類(きんるい)。
 それが光合成を行う藻類(そうるい)をとりこんだもの。

 つまり二つのちがう生き物が合体した生き物。



 藻類に住むところを世話してあげる代わりに藻類が光合成した栄養をもらうのです。
 カビのように何かを溶かして食べるのではありません。

 ですから、菌類でも寄生はしないのです。

 ただ場所を借りてひっついているだけ。
 着生しているのです。

 このように地衣類や生き物に対する知識不足が、地衣類が樹木に寄生するというような冤罪を引き起こしているようです。



 ただ木を枯らさないはずの地衣類が木を枯らす稀な例としてあげられるのが、ウメノキゴケとツツジです。

 葉を落とした冬のツツジを見ていると、ときおり枯れた小枝の先にウメノキゴケが覆うようについているものがあります。

 この小枝を枯らしたのが、ウメノキゴケだというのです。



ツツジの小枝を枯らしているように見える高野山のウメノキゴケの仲間
ツツジの小枝を枯らしているように見える高野山のウメノキゴケの仲間




 たしかに地衣類のウメノキゴケがツツジの新芽を覆って枯らしているように見えます。

 しかし見れば見るほど違和感があります。

 平たいウメノキゴケは小枝に巻きつかず、覆うと言うよりものっかているように見えることです。

 小枝を枯らしているのではなく、小枝では足場が不安定で困っているようにも見えます。



ツツジの枯れた小枝にしがみついている錦織公園のナミガタウメノキゴケ
ツツジの枯れた小枝にしがみついている錦織公園のナミガタウメノキゴケ




 そしてもっと不思議なのが、ツツジとウメノキゴケの成長速度の差です。

 地衣類は成長がとても遅いので有名ですが、柏谷博之著『地衣類のふしぎ』のよるとウメノキゴケの成長は直径で年5.4mm。

 つまり、ウメノキゴケの端っこは1年たってもたった3mmも伸びないことにないます。

 ツツジの成長速度はわかりませんが、どう考えても年間ミリレベルとは思えません。

 どうしてツツジよりもはるかに成長が遅い地衣類がツツジの新芽を覆うことができるのでしょうか。

 つまり、ツツジが成長を止めたので地衣類が覆ったのです。
 それも時間をかけて。



 ただ成長の遅い地衣類は、自分より早いコケに勝つために成長を阻害する物質(地衣物質)を作り出している可能性があるそうです。

 とはいえ、地衣類のまわりでコケが広い範囲で枯れているのは見たことがないので、その地衣物質もそれほど強力なものではないでしょう。

 そもそも地衣類の成長速度からすると、そんなに大量に作れないはずです。



ツツジだけでなく自分も枯れてしまった金剛山のウメノキゴケの仲間
ツツジだけでなく自分も枯れてしまった金剛山のウメノキゴケの仲間




 もしかするとウメノキゴケの地衣物質が意図せずツツジの新芽の成長を止め、そのまま枯らしてしまった可能性もあるかもしれません。

 たまたまウメノキゴケがついた部分が何らかの理由で枯れてしまったのですが、ウメノキゴケはそのまま成長していたという可能性も十分ありえます。

 そもそもツツジが枯れて直射日光がガンガン当たるようになると、ウメノキゴケもいずれ枯れてしまうでしょう。
 または枝が折れて地面に落ちてしまうかもしれません。

 どちらにしてもウメノキゴケにとってひっついているツツジが枯れると得があるとは思えません。



 最後にウメノキゴケがツツジに寄生、つまりツツジから栄養や水を盗んだり、ツツジの体を分解して食べたりしていることは、ありません。

 ですから「地衣類がツツジに寄生している」という人は、地衣類のことを理解していないので、ご注意を。



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タグ: 地衣類ウメノキゴケ

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七十二候第五十六候「地始凍」なのに雪も降っていません。


 1年を72に分けてその時期を象徴する言葉で表す七十二候(しちじゅうにこう)。

 その立春から数えて56番目、「地始凍」。
 よみは「ち はじめてこおる」。

 地面が凍るほど寒くなってきたことを表します。

 秋の猛暑が嘘のように冷たい空気がやってきて、東北や北海道では数十センチも雪がつもりました。

 ところが、大阪で最も標高が高い金剛山でも、まだ氷点下にはなっていないようです。



 「地面が凍る」というと、日本では雪が積もって白くなるようなイメージがあります。

 しかし大阪ではそこまで雪がつもるのは数年に一度くらい。

 大阪で最も高い場所の金剛山の千早園地でも、せっかく積もった雪もちょっと暖かくなっただけで簡単にとけてしまいます。

 七十二候が改定された江戸があった東京も、長期間雪が積もることはありません。

 まったく実感がわかない七十二候です。



「地が凍る」イメージの大阪最高地点のちはや園地(1月下旬)
「地が凍る」イメージの大阪最高地点のちはや園地(1月下旬)




 七十二候の発祥の地、中国でも第五十六候は「地始凍」。同じです。

 中国の場合、高緯度の内陸部に首都が置かれていましたから、今頃地面が凍っていたのでしょうか。

 日本が参考にした大衍暦(たいえんれき)宣明暦(せんみょうれき)は唐の時代の暦(こよみ)です。

 唐の都があった現在の西安の今の気温は、最低気温が氷点下に届くかどうか。
 地面が凍るほどではないような気がします。

 唐の時代にはもっと寒かったのでしょうか。
 これは地球温暖化のため?

 ちょっと疑問が残る七十二候です。



 ともあれ、寒さも本番になる時期というのは、今も昔も、北も南も、日本国内ならかわりはないようです。



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花が少ない初冬の萬葉植物園の金色の花


 今からおよそ1300年前の奈良時代に作られた日本で最も古い歌集の万葉集(まんようしゅう)。
 その歌に詠(よ)まれた植物が集められた万葉植物園。

 日本中にある万葉植物園の中で最初に開かれたのが、奈良公園にある「春日大社 神苑 萬葉植物園」。



 木々の葉が色づき始めた初冬の奈良公園。

 といっても真っ赤に染まっているのは外来種のナンキンハゼ。



紅葉したナンキンハゼと観光客とシカ
紅葉したナンキンハゼと観光客とシカ




 奈良公園のはずれには春日大社(かすがたいしゃ)の鎮守(ちんじゅ)の杜(もり)の春日山原始林があります。

 神域として長い間ほとんど人の手が入らなかったため、森林の移り変わりがとまる「極相(きょくそう)」という状態です。

 奈良公園は気候区分では「暖帯(だんたい)」と呼ばれる「わりと温かいところ」に区分されていますので、奈良公園の自然林は冬でも葉が落ちない照葉樹(しょうようじゅ)の森になっています。



極相に近づいている奈良公園の森の林床
極相に近づいている奈良公園の森の林床
草がないのはシカが食べるせいでもあります。



 照葉樹が目立つ奈良公園で、いろいろな植物が植えられている植物園はちょっと雰囲気の違う場所になっています。

 しかし稲刈りも終わり、秋の七草もナンバンギセルも咲き終わり、かといってツバキにはまだまだ早すぎる初冬の萬葉植物園。

 ほとんど花がないなかで、小さな花が咲いていました。

 いや、正しくは花ではありませんが、まるで花のように見えます。

 しかも金色の。



花が少ない初冬にたくさん咲いている萬葉植物園の金色の“花”
花が少ない初冬にたくさん咲いている萬葉植物園の金色の“花”




 それはハナワラビ。

 冬に葉が茂る冬緑性のシダ植物。

 正門から入って右側、椿園の入り口付近のあまり日の当たらない木の陰、コケのじゅうたんの中に生えています。

 下の方に広がるのは、光合成をして栄養を作り出すことを役目にしている栄養葉(えいようよう)。
 花のように見えるのは、胞子が詰まった胞子嚢(ほうしのう)をたくさんつけた胞子葉(ほうしよう)。

 よく見かけるのはフユノハナワラビ(冬の花蕨)とオオハナワラビ(大花蕨)。

 これは葉のふちにあるギザギザの鋸歯(きょし)が細かいのでオオハナワラビ。



花のようなオオハナワラビの胞子葉
花のようなオオハナワラビの胞子葉
細かい鋸歯の栄養葉
細かい鋸歯の栄養葉


 手入れされるときに刈られてしまうのか、小さいものばかり。

 でも、花が少ない初冬の植物園で咲く数少ない花。

 しかも金色の花です。



春日大社神苑萬葉植物園のオオハナワラビ
春日大社神苑萬葉植物園のオオハナワラビ




 ただ、万葉植物じゃないでしょうから、毎年ここに咲いているのかどうかは、わかりません。

 オオハナワラビも植物園の一員になってくれれば、うれしいな。



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日本の棚田百選 下赤阪の棚田のしめくくり


 2013年11月9日。

 日本の棚田百選に選ばれた大阪の千早赤阪村(ちはやあかさかむら)の下赤阪の棚田で「金剛山の里 棚田夢灯り&収穫祭2013」が行われました。

 内容は棚田のライトアップと農産品などの模擬店。



 午後4時、隣にある村立中学校の吹奏楽部の演奏から棚田のイベントが始まります。

 演奏の最中に小学生が中心となって棚田に下りて行き、点灯が始まります。

 「ライトアップ」というと電気をつけるようですが、棚田の畦(あぜ)の部分に並べられた筒の中のロウソクに火をつけるようです。

 といってもまだ明るい4時半。

 火がついているのかどうかもわかりません。



明かりがかすかに見えはじめた5時頃<
明かりがかすかに見えはじめた5時頃




 太陽が雲に隠れ、暗くなり、風も冷たくなってきました。

 富田林(とんだばやし)の方では霧が出ているようです。

 みるみるあたりが暗くなってきて、棚田の輪郭が浮き上がってきます。



薄暗さの中に明かりが浮かび上がってきた5時30分頃
薄暗さの中に明かりが浮かび上がってきた5時30分頃




 そして棚田が闇に覆われ、輪郭だけが浮き上がってきます。

 昼間に何度も見た棚田ですが、またちがった景色です。



宵の明星とライトアップされ棚田
宵の明星とライトアップされた棚田
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 奥の広場は目の前から棚田がはじまりますので、明かりが立体的に見えます。



奥の広場からだとライトアップ立体的に見えます
奥の広場からだとライトアップ立体的に見えます
※画像スライドできます ⇒⇒


 冬の間は畑になるのか、それとも来年の春まで休ませるのかわかりませんが、これで棚田の今年の稲作はおわりでしょう。

 今年は入水から収穫祭まで、稲だけでなく色々な生き物が命を育むのを見てきました。

 来年の棚田ではどんな新しい出会いがあるか、今から楽しみです。



中学校の前から全体を見たライトアップされた棚田
中学校の前から全体を見たライトアップされた棚田
※画像スライドできます ⇒⇒


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金剛山のモミジ谷の堰堤ビオトープの更新


 10月末に金剛山のモミジ谷に行ってきました。

 大阪と奈良の境にある金剛山。
 その北側の水越峠(みずこしとうげ)からの道の中からでも好きな道の一つです。



 この日はモミジ谷のとなりのサネ尾を登って、モミジ谷を下るコースを選びました。

 サネ尾は右がスギやヒノキの針葉樹の植林、左が広葉樹林、道はその狭間の尾根という、おもしろい道です。

 途中谷に降りる道がありますが、尾根を登りつめるとダイヤモンドトレールに合流して、鳥居のところに出ます。

 そのまま山頂広場へ行き、昼食。

 そして下山。



広葉樹と針葉樹の間を歩くサネ尾
広葉樹と針葉樹の間を歩くサネ尾




 モミジ谷の上流は道も無くなり沢の中を歩くことになるのですが、何度もきているので大丈夫大丈夫と思って上流部へ下ってみると。

 なんか様子が変です。

 V字の狭い谷の沢には角張った花崗岩(かこうがん)の岩が転がっていたはずなのですが、花崗岩の岩盤がむき出しになっています。



 足を滑らさないように気をつけながら水が流れる岩盤の上を歩いて行くと、「道」がなくなっています。

 モミジ谷の上流は岩盤が飛び出し小さな滝がいくつもあるのですが、そこに流木と岩が絡んで谷を塞いでいます。

 水は流木の隙間を流れているのでダムにはなっていませんが、道は完全に断ち切られています。

 台風18号の影響です。



流木で塞がれてしまったモミジ谷支流の小さな滝
流木で塞がれてしまったモミジ谷支流の小さな滝




 流木に力を加えてきっちりと固定されていることを確認して、素早く降りていきます。

 それを何度か繰り返し、冬に凍る第六堰堤(だいろくえんてい)があるモミジ谷本流との分岐に到着。

 遠くから見るだけでも、まるで別のところに来たかのように風景が変わっているのがわかります。



 ここは谷が広くなっているところで、岩の間から草や小さな木が生えていたり、ところどころに苔が生えていたりとモミジ谷らしいところでした。

 それがまるで標高が高い山のように、白い花崗岩の岩が川原を埋め尽くしていました。



花崗岩の河原に変わってしまった支流から見たモミジ谷本流との分岐点
花崗岩の河原に変わってしまった支流から見たモミジ谷本流との分岐点


木々に覆われていた下流から見たモミジ谷本流支流の分岐点(2012年)
木々に覆われていた下流から見たモミジ谷本流支流の分岐点(2012年)
上の写真は左側の支流から見たものです。




 ここからガンドガコバ林道に合流するまで5つの堰堤があります。

 堰堤は大雨などで土石流がおきたときにその被害を減らすため、土石や流木を塞き止めて量を減らすことが目的。

 そのため堰堤の上は土砂がたまってちょっとした広場のようになっています。

 そこには様々な木や草が生え、時にはコケに覆われ、モミジ谷独特の風景を作り出していました。



 しかしどの堰堤の上も草はもちろん多くの木が流され、代わりに白い花崗岩と倒木が絡み合ったまま横たわるだけ。

 どこにも今までのモミジ谷の風景は残っていません。



石だらけになってしまった第4堰堤の上
石だらけになってしまった第4堰堤の上


もとはこんなに草と木に覆われていた第4堰堤の上(2012年)
もとはこんなに草と木に覆われていた第4堰堤の上(2012年)
上は上流から下流に向かって下は下流から上流に向かって




 金剛山のモミジ谷は六甲山のトエンティクロスよりも多くの沢渡を繰り返すのですが、所々で道が崩れ、川の流れも変わって、沢を渡るどころか沢の中を歩かなければならないところも出てきます。

 台風18号は近畿のあちこちで大きな水による被害を出しましたが、その爪あとは金剛山にもくっきりと残っていました。



 堰堤は人間が作ったもの。

 堰堤によってつくりだされたモミジ谷の風景は、人間と川の流れによって作られたもの。

 しかも氾濫する川の上に作られた儚(はかな)い自然。



 しかしそういう場所にも、そういう場所だからこそ育つ植物があります。

 モミジ谷の堰堤の風景は一度リセットされてしまいましたが、次はどのような形で自然が育っていくのかを楽しみにしていこうと思います。



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タグ: モミジ谷(金剛山)金剛山川のビオトープビオトープ台風台風18号(2013)モミジ谷遷移

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