二十四節気でも七十二候でも霜が降りる季節なんですが……
10月後半になり、1年を24に分けて季節の移り変わりを表した二十四節気(にじゅうしせっき)では18番目の「霜降(そうこう)」。
1年を72に分けて季節を表した七十二候(しちじゅうにこう)では第五十二項の「霜始降(しもはじめてふる)」。
どちらも霜が降り始めるほど寒くなってきたことを表します。

窓ガラスについた霜
「霜」は空気中の水蒸気が物の表面で氷になること。
霜がつくものの温度が0℃以下になっていなくてはならなく、普通は気温が5℃位から下がった時に起きる現象です。
いくら冷え込んできたからといって、近畿の平野部では最低気温が10℃よりもまだまだ上。
まだまだ霜には縁遠く感じます。
ちょうどこの頃に白い花を咲かせるのがシモバシラ。
漢字で書くと「霜柱」。
冬に現れる霜柱そのものが由来です。
シモバシラが咲くので「霜」の二十四節気や七十二候が現れたのでしょうか。

シモバシラの花(花の文化園)
植物のシモバシラの由来は、冬になると枯れた茎に大きな霜柱ができるからで、「霜降」や「霜始降」とは関係無さそうです。
それに霜柱は地面に中の水分が凍って地面の上に飛び出してきたもので、霜とはちょっとでき方がちがいます。
結局、「霜降」「霜始降」の由来はわかりませんが、もしかしたら二十四節気が考えられた頃の中国は寒冷期だったのかもしれません。
なにしろ中国の首都は基本的に北方の内陸部にありましたので、今頃なら時には霜が降りることがあったのかもしれません。
もっとも七十二候は日本で何度か改定されていますから、江戸時代に寒冷化して大飢饉を迎えた時に改定したままになっているのでしょうか。

長く成長した霜柱
もちろん北の地域や標高の高いところではすでに霜が降りていることもあるでしょう。
逆に南の地域では一年中霜が降りることがない地域もあります。
その補正を行った七十二候に「暦の会」の「現代七十二候」があります。
それによると「霜始降」は次のようになります。
おおよその 期間 | 七十二候 | 暦の会の現代七十二候 | ||
---|---|---|---|---|
北日本 | 中部日本 | 西日本 | ||
10月24日 ~28日 | 霜始降 | 初雪 | サザンカ開花 | ガン渡来 |
「中部日本」「西日本」という区分がわかりにくく、残念ながら南西諸島が含まれていませんが、参考にしたものが古いので今では改良されているかもしれません。
二十四節気や七十二候は万能ではありませんが、各地の気候に合わせて補正すれば、日々身近に季節の移り変わりを感じることができるかもしれません。

タグ: 霜降 霜始降 二十四節気 七十二候 シモバシラ 白い花 晩秋の花

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