【 2013年03月】

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六甲山で日本でX番めの危険生物に遭遇!


 紅葉も終わった冬の六甲山。

 芦屋川(あしやがわ)からロックガーデンを越えて六甲山地(ろっこうさんち)最高峰から有馬(ありま)温泉へ抜けるという黄金ルートの途中、尾根の舗装道路までまだ1時間という雨ヶ峠。

 どちらの分岐に行くべきか、と悩んでいると目の前を黒い影が。

 イノシシです。



六甲山で出会った黒い影
六甲山で出会った黒い影




 イノシシというと豚の元になったとも言われる動物で日本には昔から住んでいます。
 人間の身近にいるためか古代の神話にも登場します。

 しかし。

 野生動物に襲われて命を落とす件数が日本で2番目に多いのがイノシシ。ともいわれます。

 実は日本で2番目ぐらいに危険な生き物だったのです。
 ちなみに1番目くらいはスズメバチ。



 よく見ると、小さなイノシシもイます。

 子供連れです。

 子連れの野生動物は厄介です。
 子供を守るために何をするかわかりません。
 それがイノシシの勝手な妄想であっても。



六甲山の子連れのイノシシ
六甲山の子連れのイノシシ




 なんとなく嫌な予感がしましたが、イノシシ親子はこちらにまったく無視しています。

 しかしイノシシがいるのはこれから向かう方向。

 通りすぎるのを待つことにしました。

 するとそのままイノシシはヤブの中へ。



 そこで出発したらいいのですが、野生のイノシシを間近に見る機会などそんなに無いだろうと藪から出てくるの待っていました。

 イノシシはすぐに藪から出てきましたが、そのとき、親イノシシが立ち止まったこちらを向きました。
 まるでにらんでいるように。

 さっきまではまったく無視していたというのに、今になって急に怒りのオーラを纏いはじめました。

 イノシシの脳内では妄想が炸裂しているのでしょうか。



 これはやばい。

 さらに妄想が膨らんで突進してきたら、

 危ないのはイノシシの突進を受けた時。
 鋭い牙で足などを裂かれ、その時動脈を切られたりすると、出血多量で運が悪ければ……



こちらを睨んでいる(ように見える)六甲山のイノシシ
こちらを睨んでいる(ように見える)六甲山のイノシシ




 まず走って逃げても無駄。

 突進してきたのを寸前で交わすしか方法がないのでしょう。

 と思っていたら、横にベンチがあることを思い出しました。

 わずか数十センチの高さしかありませんが、噂通り猪突猛進ならば、イノシシの突進を防ぐことができるでしょう。

 さあ、これらの運命は?



 数十センチの段差に恐れをなしたのか、それとも何かを悟ったのか、はたまた妄想が終了したのか。

 イノシシはこちらを無視して再び食事に戻りました。

 ほっと胸をなでおろしたのですが、まだイノシシはいます。

 再び妄想が炸裂しないように静かにすみやかにその場を離れました。



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タグ: イノシシ六甲山地六甲山の動物

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和歌山の雑賀の岬で出会った すみれ


 暖流ながれる和歌山の北西部、雑賀衆(さいかしゅう)で有名な雑賀崎(さいがざき)

 そこで小さく海に飛び出した小さな岬、トンガの鼻。
 あるのが幕末の対欧米列強紀州防衛用砲台跡。
 通称「カゴバ台場」。

 そこへ向かう途中、スミレが咲いていました。



スミレが咲いているトンガの鼻のカゴバ台への道
スミレが咲いているトンガの鼻のカゴバ台への道
薄紫色に見えるのがスミレ




 もう3月も半ばを過ぎました。

 冷え込んだ2月の反動のように暖かくなって、一気に春がやってきたようです。

 半月ほど前まで雪の積もった葛城山や金剛山を歩いていたので、すごく意外に感じました。

 暖かい和歌山でなくても近畿平野部なら、スミレが咲いていても驚くような時期ではないのですが。



 花の色はほんのり薄い紫色。大きく広がっているのはタチツボスミレのようですが、色が薄すぎます。

 茎は赤紫のような色で、葉の形もハート型のように見えて葉柄のつけのあたりで切れ落ちているちょっと変わった形をしているのでチツボスミレではなさそうです。
 葉脈のところが赤紫色をしているものもあります。

 とりあえず花や(きょ)や葉などスミレを見分けるポイントになる部分を写しました。



トンガの鼻のスミレの花
トンガの鼻のスミレの花
トンガの鼻のスミレの花の距
トンガの鼻のスミレの花の距
トンガの花のスミレの花の葉
トンガの花のスミレの花の葉



 家に帰ると『スミレハンドブック』の出番です。

 しかし、残念ながら「これだ!」とピッタリくるものはありません。

 スミレは種類が多いだけでなく、一つの種類の中でも花の色などの差が大きく、『スミレハンドブック』を持ってしても、気持ちよく見分けることができるものはそんなに多くありません。

 今回もそのパターンです。



 葉も距も特徴的なのですぐわかるだろうと思っていたら、逆にぴたりと当てはまりそうなものはありません。

 それでも葉の葉脈の色づき方などからアカフタチツボスミレ(赤斑立坪菫)かな、と思いましたが、距の形が全く違います。

 スミレを見分けるのはなかなか難しそうです。



 ということで、はっきりするまで仮の名前をつけることにしました。


 「雑賀カゴバ台場すみれ(サイカカゴバダイバスミレ)」です。



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タグ: スミレ春の花紫色の花和歌山

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ものすごく昔の和歌山の海にはこんなでっかいやつがいた!「発見!モササウルス」和歌山県立自然博物館


 和歌山県立自然博物館の「開館30周年記念特別展 発見!モササウルス―化石の発掘エピソードと最新情報―」に行ってきました。

和歌山県立自然博物館
和歌山県立自然博物館
 モササウルスは恐竜がいた中生代の白亜紀後期の海にいたトカゲに近い爬虫類(はちゅうるい)の一種。
 復元図もトカゲに似た細長い尾の姿でしたが、今は魚のような尾ヒレを持っていた姿に変わってきています。

 大きいものは10メートルを超え、海の王者とも。

 日本各地で化石が見つかっていて、博物館がある和歌山で見つかったものが展示されています。



 決して大きいとは言えない展示室ですが、その分モササウルスがぎっちりつまっています。

 まずはモササウルスの説明。
 そして発掘の様子のパネルジオラマ。
 石の中から化石を取り出すクリーニング作業も見ることができます。

 そしてモササウルスの化石の展示。



クリーニング作業ルーム
クリーニング作業ルーム
作業は10:30~11:30と14:00~15:00だそうです。




 まだクリーニングは終わってないので、クリーニングが済んだものを展示しています。

 背骨は太く、アゴは長く、歯は大きく、前足のヒレは何十センチもあります。
 こんな大きなヒレで泳ぐのですから、体が大きくないわけがありません。



大きい前足のヒレの化石
大きい前足のヒレの化石




 展示室の奥には化石が見つかった状態を(かたど)ったレプリカ(産状レプリカ)があります。

 化石の「見つかった状態」にもたくさんの情報があります。
 化石を扱う古生物学にかぎらず考古学などでも、見つかった状態は大切なのです。

 しかし見つけたままでは一番重要な化石を取り出すことができません。

 ということで、見つかった状態を立体的に残すためにレプリカが作られました。



ヒレの上に肋骨がのった産状レプリカ
ヒレの上に肋骨がのった産状レプリカ




 タイトル通りモササウルスだらけの展示ですが、なにもモササウルスの説明だけではありません。

 化石発掘の様子や石から化石を取り出すクリーニング、化石の産状から推理する生きていた時や亡くなった後の様子、石と化石の見分け方など化石研究についての情報もたくさんあります。



右下顎骨(前部)に残った鋭いモササウルスの歯
右下顎骨(前部)に残った鋭いモササウルスの歯




 日本では各地でモササウルスが見つかっていますが、ばらばらのものばかりでこれほどそろっているものはほかにはありません。

 さらに頭の骨や前後のヒレが見つかるなど、モササウルス研究にとって大変貴重な化石。

 モササウルス全体の研究に与える影響も少なくなさそうです。

 和歌山で見つかったモササウルスの化石はまだまだクリーニングの真っ最中。
 これからどんな発見があるのか楽しみです。



 そんなモササウルスの展示も2013年3月31日まで。

 残りあとわずか。

 さあ、和歌山へ急げ!



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タグ: モササウルス化石和歌山県立自然博物館発見!モササウルス中生代白亜紀和歌山

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「発掘! モンゴル恐竜化石展」恐竜だけでなく植物も戦っていた?


 モンゴルの恐竜の化石がいっぱい展示されている大阪市立自然史博物館の「発掘! モンゴル恐竜化石展」。



花と緑と自然の情報センターの門の看板
花と緑と自然の情報センターの
門の看板

 生き物として恐竜を見るとき、恐竜が生きていた環境を知るということも大切です。

 たとえば植物などの化石は昔の環境を知る助けになります。

 「発掘! モンゴル恐竜化石展」でも、多くはありませんが植物の化石も展示されています。




 まずはモンゴルのマンライから発掘された今から1億4000万年前の中生代(ちゅうせいだい)白亜紀(はくあき)前期の植物化石。

 当時、そこは湖だったようで、周辺から流れてきたものが湖の底に泥と一緒にたまり、酸素の少ない状態で微生物に分解されることもなく化石になったものでしょう。




 展示されているものは裸子植物の化石が目立ちます。

 裸子植物(らししょくぶつ)というのは種になる部分(種子(しゅし))がむき出し(裸)になっているのが特徴です。

 恐竜と同じように中生代に繁栄し、恐竜とちがって絶滅しなかったものの、すごく種類を減らしてしまいました。

 それとは反対に恐竜絶滅後に繁栄したのが雌蕊(めしべ)の根元の部分が種をくるんだ被子植物(ひししょくぶつ)です。



裸子植物の枝の化石
裸子植物の枝の化石
白亜紀の終わりに絶滅した裸子植物ベネチテス目の葉の化石
白亜紀の終わりに絶滅した裸子植物
ベネチテス目の葉の化石



 今も残っている裸子植物といえば針葉樹(しんようじゅ)
 松や杉などです。

 身近に生えているので衰退したようには思えませんが、目にする針葉樹の多くは人間が植えたもの。

 自然の状態では、多くの種類が乾燥したところや栄養の乏しいところ、寒いところのように環境が厳しいところによく生えています。




 針葉樹以外ではイチョウやソテツなどがあります。

 どちらもそれほど珍しい植物ではありませんが、ソテツは日本では南九州や南西諸島・小笠原諸島など暖かいところにしか自生していません。

 イチョウにいたっては中国の南部の山にただ1種が自生しているだけで、日本のイチョウはそれを増やしたものです。

 現在、裸子植物は約750種あると言われていますが、被子植物は24万種。
 なんと裸子植物の種の数は被子植物の種の数の1/320です。
 恐竜がいた中生代とはまったく逆の状態です。



ソテツの仲間の葉の化石その1
ソテツの仲間の葉の化石その1
ソテツの仲間の葉の化石その2
ソテツの仲間の葉の化石その2



 被子植物は裸子植物より遅れて中生代ジュラ紀ころに登場したと考えられています。

 陸上で植物が生える「場所(ニッチ)」は、すでにシダ植物を圧倒した裸子植物に覆われ、被子植物は隙間で細々と生えていたことでしょう。

 白亜紀前期のマンライの地層からは、裸子植物が多く被子植物はわずかしかみつかっていないそうです。

 展示も被子植物もシダ植物も少なく、裸子植物が圧倒しています。



被子植物の葉の化石
被子植物の葉の化石
シダ植物の葉の化石
シダ植物の葉の化石



 そしてバイシンツァフの9000万年前の白亜紀後期のコーナー。

 オルニトミムス類やテリジノサウルスの仲間など恐竜の化石に混じって、カメやスポンなど水辺にすむ爬虫類の化石も展示されています。

 ここで展示されているのが広葉樹の葉の化石。

 広葉樹は葉が広い被子植物の木のこと。
 イチョウのように裸子植物でも葉が広いものもありますが、普通は被子植物の樹木のことを指します。

 白亜紀の後期は被子植物が裸子植物に対抗して繁栄をはじめた時期と考えられています。

 恐竜も鳥脚類(ちょうきゃくるい)の恐竜が繁栄しますが、それも被子植物を食べるようになったから、ともいわれています。

 ここでも広葉樹の葉の化石と一緒に鳥脚類の原始的なハドロサウルスの仲間の化石が展示されています。



広葉樹の葉の化石
広葉樹の葉の化石
ハドロサウルスの仲間の化石
ハドロサウルスの仲間の化石



 古生代の後期に現れた裸子植物が中生代にシダ植物の「場所」を奪い、新生代に被子植物に「場所」を奪われます。

 そして被子植物が陸地を覆い尽くしているのが今。

 少ない点数の植物化石ですが、じっくり見ていると、恐竜のこともいろいろわかってくるかもしれません。



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展ハドロサウルスソテツシダ化石中生代裸子植物被子植物

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“ウミ”セミ?


 和歌山県の海南市にある和歌山県立自然博物館。

 展示の多くが海の生き物が占めるだけあって、海岸に建っています。

 博物館の近くに公園があるのでそこでちょっと休憩しながら海を見ていたら。



和歌山県立自然博物館近くの海
和歌山県立自然博物館近くの海




 古い自転車のブレーキみたいな聞き慣れた鳴き声が。

 遠くを青いものが横切っていきます。

 カワセミです。



 カワセミは漢字で書くと「翡翠」。
 輝石(きせき)の「ひすい」と同じ字です。

 ほかに「川蝉」とも書きます。

 そのとおり川に住む鳥だと思っていたのですが、海にも住むようです。



海にやってきたカワセミ
海にやってきたカワセミ




 さあ、川と同じように海に飛び込んで魚を捕るか。

 と見ていたのですが、またブレーキ音を出しながら飛んでいってしまいました。

 残念。



 ネットで調べてみると、意外と海での目撃が多いようです。
 もちろん、海に潜って魚も獲るようです。

 カワセミにとって餌場としての淡水と海水のちがいはあまりないようです。

 それでも「川蝉」とよばれ川での目撃が多いのには、なにか理由がありそうです。



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タグ: カワセミ海の鳥スズメより大きい鳥

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今年はやっと梅満開 花の文化園

 今年は開花が遅れた大阪の梅も、やっと満開の季節。

 3月9日の講演を聞きに行った花の文化園でもやっと見頃。



花の文化園の梅園の月影枝垂れ
花の文化園の梅園の月影枝垂れ




 毎年同じにならないのが、自然。

 5年10年の平均から大きくずれたとしても、100年1000年でみれば平均の中にはいるかもしれません。



梅の花に覆われている花の文化園の梅園
梅の花に覆われている花の文化園の梅園




 去年とちがうからといって大騒ぎしないで、その年その年の変化を楽しむ余裕を持つことが、自然との付き合い方かもしれません。




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真っ白な葛城山でもいろいろないきものが!


 大阪の南半分を囲むようにあるのが金剛山地(こんごうさんち)和泉山脈(いずみさんみゃく)

 金剛山地が和泉山脈に接したところにある金剛山は冬から春の始まりにかけて冷え込んで天気がくずれた時にはよく白くなります。

 ところが冷たく湿った空気が水越峠(みずこしとうげ)で抜けていって大和葛城山(やまとかつらぎさん)までやってこないのか、金剛山ほど白っぽくなることがありません。



 ことしの2月の冷え込みはちょっと強かったようです。

 大和葛城山も白く色づきました。

 結構雪が積もっているようです。

 これは行くしか無い。



 雪が積もって真っ白になった道や落葉樹に雪が積もった雪の滝を見ながらついた葛城山山頂は。

 真っ白。

 雪はもちろん霧がかかって遠くが見えません。

 そして風が強く、横から吹いてきます。

 雪の中に霧氷(むひょう)に覆われた木があります。



葛城山山頂付近の霧氷に覆われた木
葛城山山頂付近の霧氷に覆われた木




 そして斜めになった霧氷に覆われた杉も。



葛城山山頂付近の霧氷に覆われた傾いた杉
葛城山山頂付近の霧氷に覆われた傾いた杉




 たった標高959.2メートルの奈良・大阪とは思えない風景です。



 そしてしばらくして霧が晴れると、隣の金剛山が現われました。



雪の葛城山山頂付近から見た雪の金剛山
雪の葛城山山頂付近から見た雪の金剛山
※画像スライドできます ⇒⇒




 こんなことになるのは一年の中でわずかな間とは言え、ここにも多くの植物、動物が生きています。



山頂付近の雪の上に残った動物の足跡
山頂付近の雪の上に残った動物の足跡
不明瞭ですが大きさ(5センチ以下)やつき方からして、タヌキ???




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タグ: 大和葛城山雪の金剛山フィールドサインタヌキ霧氷雪の大和葛城山金剛山

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金剛山 崩れゆく?白亜紀の花崗岩の山

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 クライマーしまへびに出会った金剛山黒栂(くろとが)谷の奥、カトラ谷道の入口。

 今年大きな砂防ダム(堰堤(えんてい))の工事が行われたようで、木が切られ、谷が広げられていました。

 登山道になる北東側斜面もきれいに切り落とされています。



 露出してまだ数ヶ月。
 コケも草も生えていない新しい地層が露出しています。

 そこをジムグリが直登(ヘビなので少し蛇行)していったのですが、その地層は大粒の砂がほとんどでした。

 砂があるということは、川を流れて来て堆積したわけですが、金剛山は中生代(ちゅうせいだい)白亜紀(はくあき)花崗岩(かこうがん)の塊の山。

 川の下流にあった地層が盛り上がったわけではないはず。
 この砂を積もらせたのは一体誰でしょうか。



カトラ谷道入口辺りの様子
カトラ谷道入口辺りの様子
シマヘビが登っていったあたりの切り崩されたばかりの壁
シマヘビが登っていったあたりの
切り崩されたばかりの壁
 谷の幅が広いこのあたりの(がけ)面は、荒い砂(真砂)の中に割れた大小様々な花崗岩の石が埋もれています。
 つまり、このあたりは山の上の方から流れてきた真砂が溜まったところです。




 金剛山は山頂近くでも花崗岩の岩盤を見かけ、落ち葉をのけると花崗岩が風化した真砂があるようなところです。

 目の前の厚く積もった砂は色からして真砂、風化した花崗岩です。

 と言うことは大きな川がどこか遠くから運んできた砂ではなく、金剛山の山自体が風化し崩れてきたものなのでしょう。多分。



奥の方の堰堤
奥の方の堰堤
奥の堰堤付近は岩盤が見えます
奥の堰堤付近は岩盤が見えます
 奥の方になると他に幅も狭くなり、花崗岩の岩盤がそのまま露出しています。
 つまり、このあたりは真砂がたまらず下流へ流れていくようなところです。




 山が風化し削れていくのは当然ですが、それが少なくとも数メートルも堆積しているのには驚きました。

 このあたりは1125mの金剛山が一気に数百メートル下がって傾斜が緩やかになったところ。
 それでも標高は700mもありますし、の地図の時間から言っても四合目あたり。

 上から流されてきた真砂が数メートルも積もるというのは、そんなにすごい勢いで金剛山は風化(くすれて)しているのでしょうか。



錦織公園展望台から見た金剛山
錦織公園展望台から見た金剛山




 金剛山には堰堤が多いような気がしますし、今も増えています。

 花崗岩は硬いのですが風化しやすい性質を持っています。
 風化して真砂になった花崗岩はどんどん溜まっていくと、大雨などで一気に流れて土石流になり、下流地域に災害を起こしますことがあります。

 砂防堰堤があちこちにあるのは風化しやすい花崗岩の山というのが大きな理由なのでしょう。



 神戸から宝塚にかけてある六甲山も同じように花崗岩でできた金剛山と同じくらいの1000m足らずの山です。
 こちらは海抜数十mから一気に1000m近くまで標高が上がるので、昔から土石流の多いところでした。

 神戸側から見た六甲山と比べれは、大阪側から見た金剛山はゆるやかな山。

 そのため一旦途中で溜まった真砂が、百年に一度のような大雨で一気に土石流になるのかもしれません。

 あちこちに砂防堰堤を作り続けなければならないほど風化しやすい山のようです。



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金剛山の凍った滝の氷漬けの植物の4 モミジ谷第六堰堤2013


 金剛山の氷瀑(ひょうばく)で有名なモミジ谷の第六堰堤(えんてい)

 堰堤というのは人工的に作られた水をせき止めるもの。
 小さなダム。

 ですから、名前からすると小さなコンクリートの壁が凍っているだけのような気がします。

 しかしここは第六堰堤の下にある天然の滝が凍るのです。



氷よりも雪が目立つモミジ谷大六堰堤の氷瀑2013
氷よりも雪が目立つモミジ谷大六堰堤の氷瀑2013




 冷え込みが今ひとつだったので、2月半ばに行ったときは去年よりも凍っていませんでした。

 それでもあいかわらず滝の右隣には滝以上の氷の壁が。
 どういうわけか滝があるのに岩を伝い流れる水が凍ったもののようです。



凍った滝の隣のもっと凍った崖
凍った滝の隣のもっと凍った崖




 今年もコケや小さな種子植物が氷に飲み込まれています。
 そしてスゲ(菅)も。

 厚そうな氷は、ここ数日の冷え込みで固まったように見えません。
 つまり何日も氷の下にいるにちがいありません。



左半分氷の中のスゲの仲間
左半分氷の中のスゲの仲間




 こんな過酷な状況でも生き延びる植物。

 地球を何度も襲った氷河時代でも生き物が絶滅しなかったのもうなづけます。



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タグ: 氷瀑初春の金剛山金剛山モミジ谷(金剛山)金剛山の植物雪の金剛山

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金剛山の雪の滝


 雪が積もってはすぐ解けを繰り返していた今年の金剛山(こんごうざん)

 雪が積もったタイミングをねらって向かったモミジ谷。



 大阪と奈良の府県境にある金剛山。
 そのモミジ谷は小さな狭い谷ですが、緑が生い茂り、四季を通して楽しめるきれいなところです。

 木々が真っ白です。

 霧氷(むひょう)ではありません。
 雪が積もったのです。



雪が積もって真っ白になったモミジ谷道
雪が積もって真っ白になったモミジ谷道




 空気中の水分が凍りつた霧氷とちがい、枝の上に雪が積もっただけなので近くで見るとなんだかもっちゃりとしているのですが、離れてみると山が白く覆われて、霧氷とはまたちがった美しさを感じます。



 杉林の中、ほんの数メートルの高さしか無い小さな落葉樹の集まりにに雪がつもり、まるで山の斜面を激しく流れ落ちる滝のようです。



金剛山のモミジ谷の雪の滝
金剛山のモミジ谷の雪の滝




 氷の滝で有名なモミジ谷ですが、雪の降ったあとには、雪の滝があちこちに現われていました。



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