【 2012年12月】

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〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

ぽつんと咲いていた初冬の白い竜胆


 紅葉が見頃を迎えた11月初旬の高野山。

 高野山上の寺院群を囲む山々をつなぐ巡礼の道、女人道(にょにんみち)

 歩きながらふと足元に目をやると、小さな白い花が。

 (こよみ)の上ではもう冬。
 大門のところの温度表示は10℃を示していました。
 もう秋の花も終わりつつあります。

 そんな時期に目にした小さな白い花を咲かせる野草です。



冬のはじまりの高野山女人道で咲いていた野草
冬のはじまりの高野山女人道で咲いていた野草




 先が広がった筒状の花は花弁が5枚、茎の先で咲いています。
 葉っぱらしい披針形(ひしんけい)の葉は2枚向き合ってつく対生(たいせい)

 リンドウ(竜胆)に似ていますが、その花の色は白。リンドウは紫色です。



リンドウ(花の文化園)
リンドウ〈花の文化園〉




 白いリンドウのシロバナリンドウ(白花竜胆)のようですが、花弁には斑点がありません。

 いろいろ調べてみると、どうやらシロバナササリンドウ(白花笹竜胆)のようです。



高野山のシロバナササリンドウ
高野山のシロバナササリンドウ




 紅葉を見るために高野山に集まった人々からちょっと離れてみたら、きれいな花と出会えました。



 と書いて公開したのですが、これはツルリンドウではないか、という指摘を受けました。

 「ツルリンドウ」というキーワードをもとに画像を検索、この時写した写真と比較してみると、確かにツルリンドウの可能性が高そうです。



蔓っぽいのが見えるツルリンドウ
蔓っぽいのが見えるツルリンドウ




 この花にかぎらず、種の多い野草を調べるのは一苦労。

 ひとつの属に種がひしめいているような場合、見た目で区別するのが難しいことがよくあります。

 市販されている一般向け図鑑ではそんな細かいところまで載っているものは少なく、図鑑のニッチを開拓しているいつもお世話になってる文一総合出版ですら、出版されているのはほんのわずか。

 今回もそうで、はじめに花のつくりがリンドウに似ていると思い調べてみるも、山野草の本にはリンドウの種類は少なく、ネット検索するもののなかなかピタリと合致するものが見つけられません。

 情報が多いと言われるインターネットにしても手がかりの少ないところから珍しい植物の探すのは至難の技。



 しかし、そんなややこしい植物でも専門家の方はきっちり見分けることができるのですからすごいものです。

 願わくば、そういった人たちがインターネット上に図鑑としてその知識を公開してくれれば……
 なんですが、専門家の知識はとても価値のあるもの。
 無料でインターネットに公開できるようなものではありません。

 あとは自分を研鑽するだけ。

 がんばらねば。



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タグ: シロバナササリンドウリンドウ初冬の花女人道高野山初冬の高野山高野山の花

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小タルボ登場! 大タルボだけに任せておけない?!「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


植物園入り口と特別展会場入口の分岐にある看板
植物園入り口と
特別展会場入口の分岐にある看板
 アジアのティラノサウルス科の恐竜、タルボサウルスがいっぱい展示されている大阪市立自然史博物館の特別展「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 なんと大人のタルボサウルスの復元骨格が2体。

 そして子供のタルボサウルスが見つかった状態のレプリカなどいろいろいっぱい。

 タルボサウルスだらけっ!
 タルボ祭り状態。

 ティラノサウルス科の恐竜の化石がこれだけ集まるのも珍しいことかもしれません。



会場出口近くにいる伏せ大タルボ
会場出口近くにいる伏せ大タルボ




 そんな中で2012年12月22日から()タルボ(子供のタルボサウルス)の復元された全身骨格が展示されるそうです。

 それも(おお)タルボ(大人のタルボサウルス)と並べて。

 同じ自然史博物館で今年の3月からやっていた「新説・恐竜の成長」の展示では、同じ恐竜でも大人と子供でちがう恐竜と思われるほどちがっていました。

 それがタルボサウルスで確認できる!



小タルボが見つかった状態の化石のレプリカ
小タルボが見つかった状態の化石のレプリカ




 実は大タルボの復元された骨格が2体もあるのに小タルボがないのを残念に思っていました。

 それが登場。

 さすが半年以上続く特別展。
 開催中にもどんどん進化しています。

 さあ、次は何が登場するか?


 っとそのまえに、小タルボを見に行かなければ!



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タグ: タルボサウルス発掘!モンゴル恐竜化石展小タルボ大タルボ恐竜大阪市立自然史博物館

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金剛山にこの冬も樹氷の季節がやってきました。杉編


 金剛山にも樹氷の季節がやってきました。

 といってもとなりは大阪の奈良県。
 標高も1100m。

 ちょっと寒気が緩んだだけでとけてしまう(はかな)い樹氷。

 まだまだ寒さ本番というわけではありませんので、この樹氷も太陽があたったらとけてしまうかもしれません。



 というわけで、樹氷杉編です。



山頂広場の上の樹氷杉の軍団
山頂広場の上の樹氷杉の軍団




 金剛山は歴史の古い信仰の山です。
 それも役小角(えんのおづぬ)ゆかりと言われる修験道(しゅげんどう)の山。



山頂広場の上の樹氷杉
山頂広場の上の樹氷杉




 山頂は大きな杉に覆われています。

 スギは常緑の針葉樹ですので、深緑(ふかみどり)の葉に白い氷がついて白でも緑でもないなんとも言えない青碧(せいへき)色になります。
青壁(せいへき)
日本の伝統色 和色大辞典



近くで見ると先が尖って鳥よけ?
近くで見ると先が尖って鳥よけ?
よく見ると雪か粗氷(そひょう)らしいものもついています。




 これからしばらくの間、金剛山のたのしみが増えました。



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タグ: 樹氷霧氷金剛山冬の金剛山金剛山の杉

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干し柿、今年は揉むのと揉まないの


 北風が吹く寒い冬。
 今年も干し柿の季節がやって来ました。

 毎年いろいろテーマを決めていますが、今年のテーマは「()む・揉まない」です。

 田舎の親戚の話では、干し柿は揉んで作るもの。

 ということで今まではまったく揉まないで作っていましたが、今年は揉むと揉まないとでどれだけ差があるか、ということをテーマにすることにしました。



 農産物を中心に売っている店で一袋渋柿(しぶがき)を買い、皮をむいてヘタにヒモを結んで10秒ほど沸騰(ふっとう)したお湯の中につけます。
 消毒をしなくても天気を読めばカビは生えないことは去年わかりましたが、今年は念を入れて熱湯消毒することにしました。




1日目

●皮をむく前の渋柿
皮をむく前の渋柿

 今回も干し柿の基本として教わったように皮をむく前にきれいな乾いたふきんで柿を磨くように拭きました。
 もちろん水に濡らしません。
 濡らさないのはカビ防止のためです。

 それからひもを結ぶときに花柄(かへい)がとれてしまったものがあるので、それは串を刺すことにしました。
 この方法で串にカビを生やしてしまったので、今年は刺す前に串を沸騰したお湯に10秒ほどつけました。

●皮をむいた渋柿
揉む予定の柿
揉む予定の柿
揉まない柿
揉まない柿
串を刺した柿
串を刺した柿


4日目
揉む予定の柿
揉む予定の柿
揉まない柿
揉まない柿

 表面も十分乾いて干し柿っぽくなってきました。



5日目
●揉む前
揉む予定の柿
揉む予定の柿
揉まない柿
揉まない柿

 ということで干し柿っぽくなたので揉みはじめることにしました。

 この時点ではどちらも見た目の干し柿具合のちがいはありません。

●揉んだ後
揉んだ柿
揉んだ柿

 皮をむいたときは柿らしく堅かったのに、たった4日干しただけで揉めるほど柔らかくなっていました。

 両手の親指地人差し指で上から下に揉んで、指を横にずらしてまた上から下に揉むを一回り繰り返します。

 揉み終わるとちょっとくたっとした感じになりました。



7日目
揉んだ柿
揉んだ柿
揉まない柿
揉まない柿

 毎日1回揉むだけなので、まだはっきりとした違いはないようです。

 心なしか揉んでいるほうはくたっとした「干柿感」が出てきているようにも見えます。



10日目
揉んでいる柿
揉んでいる柿
揉まない柿
揉まない柿
揉まない串柿
揉まない串柿

 ここまでくると揉む揉まないの違いがはっきりとでてきました。

 ためしに味見用をかじってみると、どちらも渋みを感じなくなり同じ味になっていました。
 今までも揉まなくても10日くらいで渋みがなくなっていましたからいつも通り。
 渋みが無くなったら出来上がりと考えるのなら、干し柿完成。

 揉むと揉まないで渋味の違いはないようです。
 じゃあ、揉む揉まないの違いは何かというと水分の抜け方のようです。

 保存食としての干し柿を考えるのなら揉んだほうがずっと早いということ。



 ということで、今年は保存が効く水分が減って粉を吹く状態までかんばってみようと思います。



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タグ: 干し柿2012干し柿渋柿

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巨樹・古樹・老樹 その12 奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミ


 奈良の春日大社(かすがたいしゃ)の後ろ側、若草山の右隣りにこんもりとしたあまり大きくない山があります。

 いくつかの小さな山がありますが、それらをまとめて「春日山(かすがやま)」と呼ばれています。

 長いあいだ春日大社の神域として大切に守られてきました。
 そのため多くの人が生活する都市の隣にありながら原生林(原始林)となっています。

 ということで特別天然記念物に指定されています。

 そして世界遺産でもありますが、こちらのほうは奈良の寺院群などと一緒になった「自然遺産」ではなく「文化遺産」です。



遊歩道から見た春日山原始林
遊歩道から見た春日山原始林




 今回も「巨樹に親しむ会」の『奈良公園の巨樹』をもとにしています。

 春日山にはぐるりと囲むように道が整備されています。

 その「春日山遊歩道」の北側、遊歩道の入り口からしばらく行って車止めから100mほど行ったところにまっすぐ天をつくように木が生えています。

 モミ(樅)の木です。



 そのような木は遊歩道のあちこちに生えていますが、遊歩道の木の切れ間の谷側にまっすぐ立っているので、目立ちます。

 『奈良公園の巨樹』の405番のモミを探そうとして、出会ったのはこのモミ(樅)の木。
 はじめはの405番のモミだと思っていたのですが、帰ってから地図で確認してみると、少し場所がずれているようなので、どうやらの405番モミではないようです。

 とはいえ、齢を重ねた立派なモミなのはまちがいないでしょう。



奈良公園春日山原始林の405番近くのモミ(2012年10月)
奈良公園春日山原始林の405番近くのモミ(2012年10月)




 モミは針葉樹。
 針葉樹といっても松のような針型ではなく、少し平たく細長い形をしています。
 同じような葉の木にカヤがありますが、葉の先が別れているのがモミの特徴です。

 下に落ちている葉をひろってみるとなんと先が二股に分かれていません。

 年老いたモミの木の葉は先が丸まってくるといいます。

 大きさからもわかるようにこの木は長い間ここに立っているようようです。



奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミの葉
奈良公園春日山原始林の405番モミ近くのモミの葉

比叡山の若いモミの葉
比叡山の若いモミの葉




 モミは日本ではクリスマスツリーとして有名です。
 ですからとがった円錐形の形でイメージされることが多いでしょう。

 葉や枝を落としクリスマスツリーには程遠い形は、原生林の中多くの木々と戦って勝ち残った証なのかもしれません。



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地瀝青 とけぬ初雪 雪の虫


大阪最大規模の滝畑ダム
大阪最大規模の滝畑ダム
 雪虫。

 雪のようにふわふわと飛ぶ小さな虫です。

 北海道ではこの虫が舞いはじめると、初雪が近いといわれるそうです。

 近畿地方の平野部ではちょうど今頃、11月の終わり頃から12月の初めの頃によく見かけます。

 今年は雪虫見かけないなぁ、と思っていたら、先日ふらっと寄った河内長野(かわちながの)市にある大阪最大規模のダム、滝畑(たきはた)ダムで出会いました。



この記事にはの画像があります。





 雪虫というのアブラムシの一種で、冬に羽を生やして飛び立ちます。
 交尾をして越冬のための卵を生むためです。

 体に白い綿毛のようなものをつけているので、フワフワと飛んでいる姿が雪のように見えるのです。



飛んでいるところを写すのが難しい雪虫
飛んでいるところを写すのが難しい雪虫




 カメラを持って追いかけていると、雪虫が一つ、アスファルト(地瀝青(ちれきせい))の上に落ちました。

 雪ならあっという間にとけてしまいますが、もちろん雪虫はとけません。



アスファルトの上に落ちてもとけない雪の虫
アスファルトの上に落ちてもとけない雪の虫




 さすがに大阪では雪虫を見かけても初雪はまだ先。

 それでももう秋には戻らないほど寒くなってきたことはまちがいありません。




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タグ: 雪虫冬の虫滝畑ダム

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大きなお城の小さな庭園 和歌山城 紅葉渓庭園


 紀の国和歌山県の県庁所在地、和歌山市。

 江戸時代には将軍を二人も輩出した紀州徳川家の居城、和歌山城があります。



和歌山中央局前交差点から見た和歌山城天守閣
和歌山中央局前交差点から見た和歌山城天守閣




 その西の丸にはに回遊式日本庭園があり、紅葉渓庭園(もみじだにていえん)とよばれています。

 江戸時代には名園と呼ばれていたのですが、明治以後荒廃したうえ戦争で焼けてしまいました。

 その後発掘調査の上、様々な資料を元にして再現されたのが今の紅葉渓庭園です。

 多くの木が植えら、きれいに紅葉していました。



紅葉と紅葉渓庭園(もみじだにていえん)
紅葉と紅葉渓庭園(もみじだにていえん)

紅葉と鳶魚閣(えんぎょかく)
紅葉と鳶魚閣(えんぎょかく)

オオモミジとトウカエデ?
オオモミジとトウカエデ?

枯木と紅葉
枯木と紅葉

紅葉瀑
紅葉瀑

紅葉とお堀
紅葉とお堀

池に浮かぶ紅葉
池に浮かぶ紅葉

鯉と沈んだ紅葉
鯉と沈んだ紅葉

陽を浴びる紅葉
陽を浴びる紅葉




 とても広い和歌山城に対して紅葉渓庭園は信じられないほどとても小さいのが特徴です。

 兼六園や後楽園のような大名の庭園はとにかく広く、わかりやすく権勢を表し迫力があるものの、どうしても力押しばかりで美しさに欠ける感じがします。

 しかし将軍を輩出した紀州徳川家の庭園だというのに、京都の寺院よりも小さいような庭園。

 その分大庭園には感じない美しさを感じることができます。



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ヴェロキラプトルの掘り出した化石を見てみると想像ふくらむ「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


 2012年11月23日からはじまった長居公園の大阪市立自然史博物館の特別展「発掘! モンゴル恐竜化石展」。

 この特別展のすごいところの一つは、いろいろな状態の化石が展示されていること。
 組み立てて復元したものから発掘した時の状態のものまで。



長居公園にある「発掘! モンゴル恐竜化石展」会場まで500mの看板
長居公園にある「発掘! モンゴル恐竜化石展」会場まで500mの看板




 博物館の化石というと、体中の骨を組み合わせて生きていた時のようにポーズを付けて展示されるイメージが強いかもしれません。
 たしかに大型恐竜などでそういう展示をするとよく目立ちます。

 「発掘! モンゴル恐竜化石展」でもタルボサウルスが2体もあるほかサウロロフスやサイカニアなどいろいろな恐竜が生きていた時の格好で展示されています。



もしかして一番有名なモンゴル恐竜?のヴェロキラプトルのレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
もしかして一番有名なモンゴル恐竜?のヴェロキラプトルのレプリカ
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 岩石の中から化石を取り出す作業のことを「クリーニング」、クリーニング作業をする技術者のことを「プレパレーター」と言います。

 プレパレーターが化石を取り出すことで研究者が調べることができ、私たちが見ることができるのです。

 でも、見つかった化石がすべてばらばらにクリーニングされ、組み立てられるわけではありません。

 なかには石に閉じ込められていた状態の化石がわかるようにクリーニングされたものもあります。
 まとまって見つかった化石の場合、骨のつながりがわかったりといろいろ貴重な情報があるのです。



翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物「発掘! モンゴル恐竜化石展」
翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物
「発掘! モンゴル恐竜化石展」
真ん中辺りの肋骨(ろっこつ)でも背骨でもない化石が翼竜の骨のようです。




 翼竜の骨がおなかの中に入っていたヴェロキラプトルの実物化石。

 重なったヴェロキラプトルの肋骨や翼竜の骨をどのようにして見極めて取り出していったのでしょうか。

 おかげでヴェロキラプトルが翼竜を食べていたらしいことがわかります。

 すごい!



有名なヴェロキラプトルとプロトケラトプスの格闘化石のレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
有名なヴェロキラプトルとプロトケラトプスの格闘化石のレプリカ
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 有名なプロトケラトプスとヴェロキラプトルが格闘している状態で化石になったもの。

 ヴェロキラプトルが横倒しにされてプロトケラトプスがのしかかろうとしているようですが、まるでひとつの生き物のように複雑に重なっているので、何がなんやらよくわかりません。

 まずヴェロキラプトルの足の爪がプロトケラトプスの首のあたりに食い込んでいます。
 そしてプロトケラトプスがヴェロキラプトルの右手に噛み付いています。
 最後にヴェロキラプトルの左手がプロトケラトプスの頭の襟飾(えりかざ)りにかかっているようです。



格闘化石のレプリカ「発掘! モンゴル恐竜化石展」
ヴェロキラプトルの足の爪がプロトケラトプスの首のあたりに食い込み
プロトケラトプスがヴェロキラプトルの右手に噛み付き
ヴェロキラプトルの左手がプロトケラトプスの頭の襟飾りにかかっている




 体に鋭くて長い爪が当たっているようなのでヴェロキーポイントが高そうですが、押し倒しているのでプロトケラーポイントのほうが高そう。
 それにこの状態ではプロトケラトプスがヴェロキラプトルに襲いかかっているように見えます。

 恐竜総合格闘技については素人なのでどちらが勝っているのか見当もつきませんが、このまま化石になったということで、時間切れ引き分け、でしょうか。

 しかし格闘したまま化石になる確率は限りなく「0」に近いような気もします。
 でも別々の死骸がこういう形で化石になる確率も限りなく「0」に近いように思います。

 一体どちらが真実なんだろう、と思いを巡らすことができるのもきれいにクリーニングしてあるからでしょう。



喉元に鉤爪が食い込んでいるように見える格闘化石「発掘! モンゴル恐竜化石展」
喉元に鉤爪が食い込んでいるように見える格闘化石
「発掘! モンゴル恐竜化石展」




 このように恐竜の研究は、多くの人の知識と技術、知恵と工夫によって支えられているのです。

 大昔のモンゴルを歩き回っていた恐竜の姿を思い描くのもいいですが、数千万年の時間と格闘する現在の化石技術者が石の中から見つけ出したものと思って見ると面白い発見がある、かもしれません。



 ちなみに、会場では全身復元された翼竜の展示はありませんが、自然史博物館常設の第2展示室には翼竜プテラノドンの復元骨格が展示されています。




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コオロギ怪人? と遭遇しました!


 子供のころに図鑑で見たときから、一度生きているものを見てみたいと思っていた生き物がいくつかあります。

 その一つがミツカドコオロギ(三角蟋蟀)。

 バッタ目(直翅目)コオロギ科の昆虫です。



この記事にはコオロギの画像があります。








 コオロギにはいくつも種類がありますが、ミツカドコオロギは図鑑のコオロギのページでひときわ異彩を放っています。

 ほとんどのコオロギは頭がまるくなっていますが、ミツカドコオロギは違うのです。



 普通は丸くなる頭の先がバッサリと切り落とされたように平らになています。
 それだけでなく、名前の由来通りに顔の左右と上が三角形に飛び出しているのです。

 顔だけを見ていると明らかに他のコオロギと違っています。
 普通のサメとシュモクザメ以上の隔たりを感じます。



 そしてどういう意味があるのかわからない三方へ飛び出したツノは、仮面ライダーの怪人やウルトラマンの怪獣を彷彿させる造形です。

 そんなわけで昆虫離れした怪人や怪獣みたいな形のムシに会ってみたいと思っていました。



 前置きが長くなりましたが、念願叶ってミツカドコオロギに出会うことができたのです。

 10月半ばのちょっと涼しくなってきた朝の通勤のわずかな時間。
 なんと近所。

 最初はコオロギが石垣にへばりついているな、程度にしか思わなかったのですが、その頭の形が変なことに気づきました。

 まさかと思い、運良く持ってたデジカメをカバンから出し、遠間から数枚写しながらカメラを近づけていきます。
 いきなり近づけると逃げてしまうので。



頭がちょっと変な形のコオロギ
頭がちょっと変な形のコオロギ




 じっくり見ると頭は普通のコオロギと違う形。
 怪人っぽい顔はミツカドコオロギにまちがいないでしょう。

  見えないところに逃げ込むまでじっくりと観察していたのですが、通勤途中ではそうはいきません。

 今は短時間でできるだけいろいろな方向から写真を撮って、あとで画像で確認するしかありません。

 十分とはいえませんが写真を撮って、後ろ髪を引かれながら会社へ向かいました。



平らな顔にツノがあるミツカドコオロギ
平らな顔にツノがあるミツカドコオロギ




 家に帰ってパソコン画面で確認してみると、果たしてミツカドコオロギでした。

 近所で出会ったコオロギです。

 近くにミツカドコオロギが住んでいることに気づかず何年も生活していたのです。

 でも調べてみるとそれほど珍しい種類ではないようで、夜行性で草原に住んでいるので目にすることがなかったようです。



正面から見たミツカドコオロギ
正面から見たミツカドコオロギ




 灯台(とうだい)(もと)(くら)し。



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