【 2012年11月】

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〔よりぬきタグ〕 ◊巨古老樹◊金剛◊恐竜◊高野◊棚田◊錦織

巨樹・古樹・老樹 その11 高野山奥の院参道の特別母樹林661の三本杉


 和歌山県の北部、紀泉山脈(きせんさんみゃく)中央構造線(ちゅうおうこうぞうせん)で区切られた紀伊山地(きいさんち)の一番北にあるのが高野山(こうやさん)

 1200年以上前に弘法大師(こうぼうだいし)空海(くうかい)がひらいた真言密教(しんごんみっきょう)仏教の聖地です。



高野山金剛峯寺の根本大塔
高野山金剛峯寺の根本大塔




 明治時時代の激しい改革の結果多くが失われてしまいましたが、古いお寺や神社の周りでは、今でも昔の森が残されていることがあります。

 もちろん高野山もそうで、特に奥の院参道周辺には古くて大きな杉が何本も生えています。
 さすがに屋久島にはかないませんが樹齢数百歳の杉が何本もあり、古樹・巨樹・老樹の宝庫でもあります。

 ただ残念なことに個性的な名前が付けられているものはないようです。

 確かに高野山奥の院へ杉を見に来る人は少数派。
 多くの人は歴史上の人物の墓碑を見に来ているのでしょう。



高野山奥の院参道付近
高野山奥の院参道付近




 樹齢千歳を超えないと認められない屋久島杉ほどの太い幹周りの老木は見当たらないものの、天をつくような巨樹は何本もあります。

 そんな中の一つが、奥の院近くにある三本が根元で一つになった杉です。

 奥の院の大きな杉には管理のためか小さな標識がついているものがります。

 その杉の標識には「特別母樹林661」とあります。

 ということで勝手に「特別母樹林661の三本杉」と命名しました。



特別母樹

 樹木を増やすための種をとったり穂をとったりするために適した木として農林水産大臣が指定した木のこと。




高野山の特別母樹林661の三本杉(2012年5月)
高野山の特別母樹林661の三本杉(2012年5月)




 杉はほかに杉とくっつきやすいのか、それとも根元からいくつも芽を出しやすいのか、このように数本の杉が根元で一つになっているものはよく見かけます。

 といってもそれは高野山や金剛山山頂付近のような伐採が禁じられた神域・聖域などで、植林されている林業地帯の杉ではそのようなものは見かけません、

 これはひとつの杉が根元で別の芽を出したのではなく、2つの杉の木がひとつになったのかもしれません。



 ということは、この特別母樹林661の三本杉は三本の杉がひとつになったものということになります。

 奥の院参道の杉は植えられたものもあると聞きます。

 しかし大きな切り株の上などに小さな杉が芽を出しているところもあります。

 お墓もあり多くの人が訪れるところですので、杉が自由に育つことはできないでしょう。
 育てる杉の選定の基準はわかりませんが、高野山が続く限りはこの巨樹の森は続いていくにちがいありません。



巨樹(大きな木)・古樹(樹齢の高い木)・老樹(年老いて見える木)」とはIWO(いきもの は おもしろい!)が以下の独自基準で選んだものです。
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2.見た目が「巨樹」「古樹」「老樹」を感じさせる樹木
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4.地域の自然を愛する組織や団体等が「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
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今年の錦織公園の紅葉スポットへ『紅葉ハンドブック』といっしょに!


 いよいよ紅葉シーズンもピークという時期に大阪の富田林(とんだばやし)市の錦織(にしこおり)公園へ行って来ました。

 錦織公園は南河内(かわち)地方の里山を中心に遊具や遊歩道などが整備された大阪府の公園です。

 というわけで、昔の河内地方の自然が残ったところと、いろいろと草木が植えられたところにわかれます。

 さあ、どんな紅葉(こうよう)があるでしょうか。

 文一総合出版の『紅葉ハンドブック』片手に行ってみました。



 錦織公園には数カ所の出入り口があります。

 その中で駐車場があるのが3箇所。
 一つは公園とは関係ない個人経営の駐車場。
 もう一つの北野駐車場は臨時駐車場。

 南の駐車場は毎日開いている上に近くに公園事務所があるので、南入口が錦織公園のメインゲートになるでしょう。

 ということで、出会った紅葉(こうよう)黄葉(おうよう)褐葉(かつよう)を南入口から順に並べてみました。



石水苑

 まずは石水苑。

 休憩スペースや自販機にトイレがあるパークセンターの裏側にある「庭」。

 石や緑の松などと並べて、絵のようになっています。


石水苑の紅葉
石水苑の紅葉



 石水苑の後ろでは数本のモミジがあります。



ロックガーデン

 そして隣の公園事務所前のロックガーデンでは、ドウダンツツジ(満天星)が真っ赤になっていました。


真っ赤なドウダンツツジ
真っ赤なドウダンツツジ




梅の里

 ロックガーデンの間を通り過ぎ、臨時駐車場の向かい側が梅の里。
 すり鉢状のところにいろいろな梅が植えられています。

 その梅林を見下ろすようなった丘の上。

 大きな木が何本も黄葉しています。

 おそらくエノキ(榎)でしょう。


梅の里頂上の黄葉
梅の里頂上の黄葉
エノキ?の葉
エノキ?の葉

 楕円形で荒くてはっきりとした葉脈はエノキの特徴。
エノキ?の樹皮
エノキ?の樹皮

 ブナを思わせるツルッとした樹皮もエノキの特徴。



奥の池

 梅の里から臨時駐車場の方に戻って南入口に向かって右の道をしばらく行くと右手に大きな池があります。
 それが奥の池。よくカモが浮かんでいます。

 対岸に数カ所紅葉が見えます。
 ハゼノキ(黄櫨)でしょう。

 晴れの日には池に紅葉が写ってきれい、かもしれません。


奥の池と小さく見える展望台
奥の池と小さく見える展望台
※画像スライドできます ⇒⇒

奥の池の紅葉
奥の池の紅葉

多分ハゼノキ
多分ハゼノキ

 1本の葉柄(ようへい)に小さい葉がいっぱい付くのがハゼノキの特徴です。
 また真っ赤に紅葉します。



やんちゃの里

 奥の池からさらに進んで階段を登り、舗装された尾根を越えると、そこは遊具がいっぱいそろったやんちゃの里。
 土日休日には子供でいっぱいになります。

 その北側、寺池台出入口のほうにはいろいろな落葉樹が植えられています。


 まずはモミジバフウ(紅葉葉楓)

大分葉が落ちたモミジバフウ
大分葉が落ちたモミジバフウ
モミジバフウの落ち葉
モミジバフウの落ち葉

 まるで巨大なカエデみたいな葉ですが、カエデ科ではなくフウ科。ちがう植物です。
 葉もふちのギザギザ(鋸歯(きょし))もなく直線的な形です。
 カエデの仲間は鋸歯があって形も曲線的です。

 次はメタセコイア

きれいに褐葉しているメタセコイア
きれいに褐葉しているメタセコイア
メタセコイアの葉
メタセコイアの葉

 ここのはまだまだ小さいですが、きれいに褐葉(かつよう)していました。
 よくにてあちこちにある樹木にラクウショウがありますが、葉が対生(たいせい)(向い合ってつく)になっていることがメタセコイアの特徴です。
 ラクウショウは互生(ごせい)(互い違いにつく)です。

 そしてナンキンハゼ(南京黄櫨)

まだ紅葉しきっていないナンキンハゼ
まだ紅葉しきっていないナンキンハゼ
白い実がなるナンキンハゼ
白い実がなるナンキンハゼ

 やんちゃの里の隅っこでひっそり紅葉していました。



じゅんさい池

 やんちゃの里から河内の里を抜けて一の谷芝生広場の東にあるのがじゅんさい池。

 池の周りにヤマモミジ(山紅葉)が植えられています。


じゅんさい池のヤマモミジ
じゅんさい池のヤマモミジ




水辺の里

 じゅんさい池から尾根道に上がり、五ツ辻から赤松の尾根道にはいって途中で降りると南浦谷池があります。

 ここも奥の池のように池越しに真っ赤な紅葉を見ることができます。
 奥の池よりも小さいので、逆さ紅葉もよく見えます。

南浦谷池の逆さ紅葉
南浦谷池の逆さ紅葉



 そして南浦谷池がある水辺の里にも落葉樹が植えられています。


葉が大分落ちたモミジバフウ
葉が大分落ちたモミジバフウ
モミジバフウの葉
モミジバフウの葉

 目立つのは真ん中辺りにあるモミジバフウ(紅葉葉楓)
 でもこちらも半分くらいは葉が落ちていました。

黄色とオレンジ色のトウカエデ
黄色とオレンジ色のトウカエデ
トウカエデの葉
トウカエデの葉

 見頃だったのは南浦谷池の逆さ紅葉とトウカエデ(唐楓)

 3つに分かれて左右の葉脈が前へ伸びるのがトウカエデ。



峠のつり橋

峠のつり橋の近くのクヌギ
峠のつり橋の近くのクヌギ

 クヌギ(櫟)は公園の所々にありますが、ここのクヌギは大きさも揃ってきれいに黄葉していました。




 ここから水辺の里に戻ればすぐ北入口ですが、南入口までは2キロ近く。歩けば30分ほど。

 錦織公園を探索するときには、時間に余裕を持ちましょう。

 そして駐車場は夏冬問わず午後5時には締まりますので、ご注意ください。



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アジア版ティラノサウルスのタルボサウルスが吠える?「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉


 2012年11月23日からはじまる大阪市立自然史博物館の特別展「発掘! モンゴル恐竜化石展」~ゴビ砂漠の恐竜化石はなぜ古生物学者を惹きつけてやまないのか?~。

 その内覧会にブロガー招待で参加しました。



長居公園南西入り口の特別展の看板
長居公園南西入り口の特別展の看板




 今回の特別展はゴビ砂漠、つまりモンゴル国で発掘された恐竜を中心とした化石が展示されています。

 モンゴルは有名な恐竜化石産地の一つです。

 そのモンゴルと日本の共同調査20年の成果がギュっと詰められているようです。



 この「モンゴル恐竜展」を一言で無理やり表してみると。

 「タルボサウルス!」

 タルボサウルスはティラノサウルス科の恐竜です。

 ティラノサウルス科は、もちろん「T.rex」こと中生代白亜紀末期の北アメリカにいたティラノサウルスが属している科です。

 つまり、簡単に言うとアジアのティラノサウルスです。
 専門家に怒られるかもしれませんが。



乱杭歯を剥きだして吠えている?タルボサウルス「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉
乱杭歯を剥きだして吠えている?タルボサウルス
「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉




 タルボサウルスは中生代白亜紀後期、つまりティラノサウルスとほぼ同じ時代の東アジアにいた肉食恐竜。
 大きさも12メートルとティラノサウルスと変わらない大きさです。

 見た目もそっくりで、専門家でなければ同じ恐竜に見えるかもしれません。

 「両雄並び立たず」の言葉通り、同じ場所に同じものを食べて同じ生活を行う生き物は1種しか生きられないというルールがあります。

 タルボサウルスとティラノサウルスは今と同じように海で隔てられたアジアと北アメリカに住み分け、それぞれの場所で最大級の肉食恐竜となったのでしょう。



下に置かれたタルボサウルス頭「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉
下に置かれたタルボサウルス頭
「発掘! モンゴル恐竜化石展」〈大阪市立自然史博物館〉




 今回も恐竜・古生物復元模型作家の徳川広和さんの話を聞くことができました。
 「発掘! モンゴル恐竜化石展」オリジナルのタルボサウルス・フィギュアをデザインされた方です。

 徳川さんはからは今回の恐竜展のすごいところを色々と教えてもらいました。

 たとえば百数十点もの展示があるなか、レプリカが13点しかないということ。
 これは恐竜展としてはものすごく少なく、つまり本物の化石ばかり展示されているわけです。

 さらに(しゅ)の基本的な標本となる「タイプ標本」が10点以上。
 これもふつうにはないこと。

 そういうことも含めて展示されているものの質の高さも並大抵ではないそうです。

 実はわからないところでそんなすご展示だったのです!


徳川広和さんのブログ
:ふらぎ雑記帳 <恐竜・古生物模型作品ギャラリー・ブログ>




 もちろん展示されているのはタルボサウルスだけではありません。

 ほんの一部を紹介すると。


プロトケラトプスとヴェロキラプトルの格闘化石
プロトケラトプスとヴェロキラプトルの
格闘化石
サウロロフス
サウロロフス
サイカニア
サイカニア
プロトケラトプス成体
プロトケラトプス成体


 残りはまた別の記事に。



 「発掘! モンゴル恐竜化石展」はなんと2013年6月2日まで半年以上続きます。

 しかしまだまだとのんびりしているといつの間にか終わってしまって……
 なんてことになってしまうかもしれません。

 気になる人は、さあ、長居公園へ急げ!



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タグ: 発掘!モンゴル恐竜化石展タルボサウルス恐竜大阪市立自然史博物館ヴェロキラプトルプロトケラトプスサウロロフスサイカニア格闘化石

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今年の金剛山の紅葉というか黄葉いっぱい!


 先週の休みに金剛山(こんごうざん)へ行って来ました。

 去年は時期を逃してまったく見ることができなかったモミジ谷紅葉(こうよう)です。

 「モミジ谷」といいつつ、多いのはブナ。

 近畿ではブナは標高が高いところにしか生えないだけでなく、カエデなどよりも葉が落ちるのが早いので、平地では紅葉の見頃はまだまだ先、とのんびりしていると見逃してしまいます。

 実は今年も金剛山のブナの見頃は一週間前。
 ちょっとタイミングを逃したかもしれません。



 モミジ谷は金剛山の北側、国道旧309号の水越峠(みずこしとうげ)からアプローチします。

 モミジ谷道までは林業作業のトラックも走れるガンドガコバ林道を歩きます。
 ここは金剛山地と紀泉(きせん)山脈の尾根をつなぐダイヤモンド・トレールにもなっている道です。

 途中ふり返ると、金剛山の南にある大和葛城山(やまとかつらぎさん)の一部が紅葉していました。



紅葉している大和葛城山
紅葉している大和葛城山




 そして曲がり角をすぎて大和葛城山が見えなくなると、今度は金剛山が見えてきます。
 大阪側は山深くなっている金剛山の登山口で山頂付近が見える数少ないルートがこのガンドがコバ林道です。

 北側の尾根が紅葉や黄葉(おうよう)しています。
 多分、モミジ谷のあたりでしょう。

 黄色というとブナの色。
 今年はなんとか間に合ったようです。



黄葉している金剛山山頂付近
黄葉している金剛山山頂付近




 すぐに山頂は手前の尾根に隠れて見えなくなります。
 もう山頂を見ることはできません。

 モミジ谷道は狭い谷を山頂直下まで登っていく道です。

 と書くと沢登のようですが、道は基本的に水の流れていないところ。
 ただし、何度も川を渡ります。

 六甲山の西に何度も川を渡る道があり、「トエンティクロス」と呼ばれていますが、するとモミジ谷は「フォーティクロス」といった感じです。



晴天でも薄暗いモミジ谷道
晴天でも薄暗いモミジ谷道




 モミジ谷の上流側は自然林が多く残るところです。

 山頂に近づくに連れて足元には落ち葉が増えていきます。
 すごい量です。

 ちょっと嫌な予感がしましたが……

 果たして。
 立ち止まって見上げると、きれいに、葉が、落ちてました。

 ブナの黄葉はもう終わっていました。
 ほぼ完全に。



葉を落としたブナ林の向こうに見える黄色く色づいた木々
葉を落としたブナ林の向こうに見える黄色く色づいた木々




 しかし、まだモミジの仲間は残っていて、ところどころ木々の間から紅葉や黄葉した木が見えます。

 ブナの葉が落ちたのでモミジの紅葉がよく見えるようなっていたのです。

 これは怪我の功名?



葉を落とした木々の間から見える黄色いモミジ
葉を落とした木々の間から見える黄色いモミジ





 所々にあるモミジを見ることはできましたがブナの黄葉が見れなくて残念でした。

 ということで、ブナ林が広がる千早本道へも行ってみることにしました。

 といっても車は水越峠側に置いているのでブナ林が広がる八合目まで。
 もちろん、杉林の中をまっすぐ行く道ではなく、ブナ林の中を通る道です。

 すると。



千早本道八合目と九合目の間のモミジ
千早本道八合目と九合目の間のモミジ




 あちこちでモミジの大木が紅葉していまいた。

 そして。



千早本道八合目と九合目の間でかろうじて黄葉していたしていたブナ
千早本道八合目と九合目の間でかろうじて黄葉していたしていたブナ




 まだ黄葉しているブナがありました。

 本命のモミジ谷ではちょっと時期を逃した感じですが、千早本道は意外な紅葉ポイントだったことを発見しました。



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植物が薬や毒を生み出す遠い惑星が事件を引き起こす?『樹環惑星』


 『樹環惑星』。
 著者は伊野(いの)隆之(たかゆき)さん。

 たった漢字四文字の単純なタイトルですが、結構濃い内容です。



樹環惑星――ダイビング・オパリア―― (徳間文庫)

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 「樹環」というのは作者の造語なのか辞書で見つけることはできません。

 同じ「じゅかん」と発音する「樹冠」は木の地上にある部分のことで、簡単に言うと、葉が茂って木を形作っている部分です。

 それが林や森のように木がいくつも集まった状態では「林冠(りんかん)」と呼ばれます。

 木と空の境目で、様々な生物の生活の場となっている部分でもあります。

 「環」という漢字には「取り囲む」と言う意味がありますから、作品のテーマになっている「樹冠」が占める場所を強調しているのかもしれません。



 「惑星」がつくタイトルからもわかるようにSFです。

 物語の舞台となるのは森林に覆われた惑星オパリア。
 しかし地球とは違う進化を遂げた樹木たちは、人間にとって毒になる成分を作り出します。

 そのため、この惑星に入植した人々は、樹林帯よりも遥か上にある高地にしか居住していません。



 主人公はこの惑星の樹木の研究者シギーラ。
 宇宙で深刻化する麻薬の出処を探るために派遣されます。

 麻薬の成分がこの惑星の樹木の樹冠部分で作り出される物質の可能性があったのです。

 しかしその森林部分は木々がつくりだした有害な物質があり、足を踏み入れたことがある者も一握り。
 その一人がシギーラだったのです。



 植物が人間にとって薬や毒になる成分を作り出すのは昔から知られています。

 日本の漢方薬のように、現代的な薬が作り出されれてもまだ使われているものもあります。

 薬は量が多ければ毒になるものも少なくありません。
 つまり薬は毒と紙一重。

 ということは、植物は動物から身を守るために毒を作っているつもりが人間に薬として利用されているだけかもしれません。

 オパリアの植物が作り出す毒も、量が少なければ薬になるかもしない。
 それがこの惑星を大きく左右していたのです。



 色々な要素が盛り込まれたこの物語は、あとがきにあるように「行政SF」としての性質が色濃い作品となっています。

 そのため林冠をはじめとして、この惑星の生態系に関する描写はかなり押さえ気味。

 フォワード氏の『中性子星』までとは言いませんが、もう少しこの惑星の生物の様子が描かれてもわるくなかったと思います。
 少なくとも、樹冠での生き物たちの生活の様子などはもっとあってほしかったと思います。



 このようにリアルな設定のSFとしての設定だけでなく、星と星の政治的駆け引きや、犯人捜査、ほかに高空からのダイビングなど盛りだくさんの作品になっています。



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巨樹・古樹・老樹 その10 岩湧山のいわわきの道の展望デッキの沢胡桃


 冬になれば遠くからでもよく分かる山頂の岩湧山(いわわきさん)

 それは山頂に広い茅場(かやば)があり、それが枯れて黄色く色づくからです。

 茅場のススキに覆われた山頂とその周りを囲む杉の植林。

 どちらも人の手が入ったものです。



錦織公園展望台から見た冬の岩湧山山頂(2011年4月)
錦織公園展望台から見た冬の岩湧山山頂(2011年4月)




 ところが北側の山腹にある岩湧寺(いわわきじ)のまわりには、大きな木が何本もあります。

 境内にある巨杉は山のお寺らしい雰囲気を醸しています。

 岩湧寺周辺には岩湧山の登山道がいくつかあります。
 その中のいわわきの道にぎょうじゃの道がつながるところに立っているのが、サワグルミ(沢胡桃)。

 名前の通り山の水気の多いところを好む木ですが、名前と違ってクルミではありません。

 サワグルミがあるのは水場のとなり。
 岩湧寺から山頂までの間で唯一昭文社の『山と高原地図49金剛・葛城 紀泉高原』に載っている水場です。



岩湧山のいわわきの道の展望デッキの沢胡桃 2012年6月
岩湧山のいわわきの道の展望デッキの沢胡桃 2012年6月




 名前の通り、沢の近くに立っています。

 サワグルミは樹高が30メートルに達するそうですから、日本の森では高い木になるでしょう。

 このサワグルミも大きな木です。

 ここにはデッキがあって大阪の風景を楽しむことができますし、日があたって水が多いところなのでサワグルミのような高い木があっても野草が咲いています。



岩湧山のいわわきの道の展望デッキとサワグルミ
岩湧山のいわわきの道の展望デッキとサワグルミ




 水場とデッキとサワグルミの巨樹たち。

 登る人も下る人も一息つける場所です。



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4.地域の自然を愛する組織や団体等が「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木
5.その他IWOが「巨樹」「古樹」「老樹」と認めた樹木




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2012年秋の一人ぼっちのヤドリギは?


 いつの間にか小さくなった近所の一人ぼっちのヤドリギ。

 その後は?



2011年12月の小さくなったひとりぼっちのヤドリギ
2011年12月の小さくなったひとりぼっちのヤドリギ




 ヤドリギが小さくなったからでしょうか、今年は去年と違ってポプラが葉を茂らし、以前ほどではないですが隙間だらけの去年とは大違いです。

 ヤドリギは相変わらず小さなまま。
 ここにあることを知らなかったらポプラの葉に隠れて見つけられないかもしれません。



2012年10月のひとりぼっちのヤドリギ
2012年10月のひとりぼっちのヤドリギ




 この1年ほどの変化はこうです。

 ポプラが葉を減らす。
 
 ヤドリギが小さくなる。
 
 翌年ポプラの葉が茂る。
 
 ヤドリギは小さいまま。



 この変化はポプラの対ヤドリギ対策なのか、それともヤドリギに栄養を奪われたので葉を茂らすことができなかっただけなのか。
 またはそれ以外なのかはわかりません。

 ただ、見た目はヤドリギの勢力を削ぐことには成功しているようです。

 といっても、ヤドリギを駆除したわけではありませんので、いずれヤドリギは大きく育つでしょう。

 その時、ポプラはどうなるでしょうか。



2010年11月の大きかったころのひとりぼっちのヤドリギ
2010年11月の大きかったころのひとりぼっちのヤドリギ




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秋の終わりと奈良公園のルリセンチコガネのおやすみ


 そろそろ糞虫の季節も終わったかなと、今年は遅めの10月下旬に行った奈良公園。



この記事にはコガネムシの画像があります。





若草山山頂付近から見た晩秋の天然記念物春日山原始林
若草山山頂付近から見た晩秋の天然記念物春日山原始林




 国立博物館近くの日当たりの良い芝の上では、相変わらずエンマコガネが鹿の糞の中にもぐりこんでいました。

 そして糞虫シーズンにはよくルリセンチコガネ(るり色のオオセンチコガネ)を見かける飛火野の林の中では、1匹も見かけることはありませんでした。



鹿苑近くで出会った晩秋のルリセンチコガネ
鹿苑近くで出会った晩秋のルリセンチコガネ




 そこで春にルリセンチコガネを何匹も見かけた鹿苑のまわりへ行ってみると、やっと1匹。

 そのあと行った春日山遊歩道で1匹。

 この日はたった2匹でした。



春日山遊歩道で出会った晩秋のルリセンチコガネ
春日山遊歩道で出会った晩秋のルリセンチコガネ




 10月下旬の奈良公園。

 秋と一緒にセンチコガネの季節も終わりのようです。



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実はかくれた水族館。滋賀県立琵琶湖博物館の水族展示室


 琵琶湖(びわこ)博物館。

 その名の通り琵琶湖に特化した博物館です。

 琵琶湖東岸の烏丸(からすま)半島の先にあります。



 順番に見ていくと、まずは地質の展示です。

 琵琶湖とその周辺の地質の資料が展示され、琵琶湖のおいたちを教えてくれます。

 化石も展示され、さすがに恐竜はいませんが、大きなゾウが出迎えてくれます。

 次は人間と琵琶湖の歴史。

 自然科学で始まったが人文科学になり、人々と琵琶湖の関係がわかります。

 そして琵琶湖で暮らす人々の民俗展示になります。



滋賀県で見つかったミエゾウに近い黄河象
滋賀県で見つかったミエゾウに近い黄河象




 その後にやってくるのが水族(すいぞく)展示室。

 ややこしそうな名前ですが、つまり水族館です。

 琵琶湖博物館は地理や歴史から民俗まで幅広い展示を行なっているので、「水族館」とは呼ばないのでしょう。



 飼育されているのは当然琵琶湖に住む生き物。

 固有種が多い古代湖です。
 他の水族館では見ることができない魚がいっぱい。

 それが海水魚の水族館に負けない規模で展示されています。

 「水族展示室」ではなく「水族館」と呼びたくなるくらいの量です。



淡水魚を下から見れるトンネル水槽
淡水魚を下から見れるトンネル水槽




 魚に混じって展示されているのが滋賀県の鳥でもあるカイツブリ(鳰)。

 カイツブリは池などに住む決して珍しい鳥ではありません。
 しかし警戒心が強いうえに潜水が得意なので、人間の気配を察知すると池に潜って遠くに逃げていってしまうのです。

 そのため身近にいながら、意外と近くで見る機会がない鳥なのです。

 それが透明なアクリル板を隔てたところをスイスイと泳いでいます。

 アクリル板を越えてやってこないことがわかっているのか、人間を怖がりません。

 こんな近くでカイツブリを見る機会などそうあることではないでしょう。



間近に見れるカイツブリ
間近に見れるカイツブリ




 さらにカイツブリコーナーの特徴は、餌やり見ることができることです。

 飼育員の方が生きた小アユを水槽に放ちます。

 するとカイツブリは水に潜り、右へ左へ逃げるアユを追いかけ、見事に捕まえます。

 間近でカイツブリを見れるだけでなく、泳いで魚をつかまえるところまで見ることができる施設はそうないでしょう。



小鮎(右の白くて細い筋)を追いかけるカイツブリ(左の白くて太い筋)
小鮎(右の白くて細い筋)を追いかけるカイツブリ(左の白くて太い筋)




 滋賀県立琵琶湖博物館水族展示室。

 もう「琵琶湖水族館」と言ってもいいんじゃないでしょうか。



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今年もいっぱい収穫。タルサトイモ2012


 10月下旬にタルサトイモの収穫をしました。

 本当なら11月まで待つつもりだったのですが、葉っぱがしおれ始めてきたので早めの収穫です。



 普通イモは掘るものですが、大きな漬物樽(つけものだる)で育てていたので、“発掘”します。

 畑のときは株の間を十分空けることができたので一株ごとにスコップで掘り起こしていたのですが、タルサトイモはたった3株でもぎゅうぎゅう。

 葉っぱをみんな根元から切り、樽をひっくりかえして土ごと樽から出します。
 そしてイモがとれたり傷がついたりしないように土を取っていきます。

 発掘作業です。



 今年は大豊作だったようでイモ同士が絡み合っています。

 株と株の境目を探しながら少しずつ土をほぐし、根を切っていきます。

 しばらく里芋の収穫とは思えない地味な作業を続けていき、やっと3株を分けることができました。



 タルサトイモ2012の結果は次の通り。


大1-37個

大1-37個



大2-32個

大2-32個



小-6個

小-6個




 全体でおよそ3kg。

 数え方は、きわめていい加減。
 調理するときにばらして皮を向いて食べようと思うかどうか。
 ばらして皮をむいて食べようと思うものを数えました。

 洗うと日持ちしないということでまだ少し土がついたままですので、重さは数以上にいい加減な数字です。



 2009年は種芋3個で合計26個
 2010年は種芋5個で合計33個
 2011年は種芋3個で合計71個

 今年は75個!

 小の6個は株自体が小さかったのですが、これだけ差がつくとは思っていませんでした。

 今までの中で最高とはいえ、去年とそれほど数は変わりません。
 ただ1個1個の大きさが去年よりも大きく感じますし、その証拠にイモがからみあっていましたので、今年は最高の出来だと思います。



 最高の収穫になった心当たりは、種芋の選択。

 今までは形のいいものを選んでいました。
 それは変わりませんが、今年は小芋になる小さな芽がいっぱいついているものを選びました。

 それが良かったような気がします。



 ということで、来年も芽が多い小芋を種芋にしたいと思います。



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タグ: タルサトイモ2012タルサトイモサトイモ

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