金星ジャングルにはどんな生き物がいるのか?
2012年6月6日は、金星が太陽の前を通る金星の日面通過が起きました。
2週間前の金環日食と同じように、地球と太陽の間を天体が通る現象です。
金星は地球とほぼ同じ大きさで、月の3.5倍の直径がありますが、地球からの距離は月の100倍位以上。
ということで、日食のように太陽を隠すことはありません。
金環日食の時に使った太陽観察グラスで見ても、乱視を矯正していないと見えないくらいの小さな点です。

太陽の前を通る金星(右下)と太陽黒点?(左側)
金星を作っている物質の種類と量は地球に似ていて、大きさも同じことから地球と似ている惑星と考えられていることもありました。
ただ厚い雲に覆われていて大口径の望遠鏡でも表面を見ることはできません。
それで20世紀の初め頃は金星表面は高温多湿の状態で、地球の古生代石炭紀に似た状態と考えられてもいました。
石炭紀は巨大なシダ植物や昆虫が陸上に進出、脊椎動物も水から離れようとしていた頃です。
何十年も前に書かれたSF小説にはそういった金星のイメージが反映されているものがあります。
なかでも、今年公開された映画「ジョン・カーター」の原作となった『火星のプリンセス』をはじめとする「火星シリーズ」を書いたエドガー・ライス・バローズの「金星シリーズ」は、地球人とよく似た人々が生活する惑星として描かれています。
また、50年以上続いている(らしい)ドイツの超長編SF小説の「宇宙英雄ペリー・ローダン シリーズ」は、初期には金星にジャングルがあり、「デューン/砂の惑星シリーズ」のサンドワームのような巨大なミミズがいたりしました。
その後ソ連やアメリカが数多くの探査機を飛ばし、金星の表面へ探査用のカプセルを幾つも降ろしました。
その結果、金星表面はジャングルどころか水はなく、90気圧(水深900mの深海と同じくらいの圧力)400℃(鉛が溶ける温度)という信じられない状況だったことがわかりました。
実は金星表面にいくつも探査用カプセルを降ろさなければならなかったのは、想像を絶する過酷な環境だったので途中で壊れてしまうからです。
地表で探査機が何年も活動できる火星とはまるで正反対。
60年以上前に著者が没した「金星シリーズ」とちがい、複数の著者が延々と書き続けてきた「ローダン・シリーズ」では、金星基地はいつの間にか忘れ去られた存在になってしまいました。
いくつもの探査機が調査している火星は、今でも生物や生物の痕跡が探査されているのに、金星ではそんなことを全く聞かないのも、うなずけます。
タグ: 金星 火星 惑星 金星シリーズ(バローズ) ローダン・シリーズ

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