クジラは魚から進化したのではありません。“ちょっと前”までは四足でした。「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」
鳥取で始まり、大阪、岡山と続いた「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」も、とうとう名古屋市科学館。
公式ページによると、ここが最後のようです。
この「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」のすごいところの一つは、海に住む動物(と思われる生き物)なら、時代を問わず展示していること。
ですから今いるクジラと滅んでしまった首長竜が一緒に並んでいたり(大阪会場では)と現実にありえなく、普段博物館でも見ることができない組み合わせ展示のおもしろさがあります
そんなおもしろい組み合わせの一つがクジラ。
クジラは魚のような姿をして海に住んでいますが、人間と同じ
ですから、クジラは魚から直接進化したのではなく、陸に住んで足で歩いていた哺乳類が海に戻って足を失って魚のような姿になったものなのです。

骨だけを見るとクジラは魚と言うよりも足が無くなった哺乳類という感じ
※右にスライドすると顔が見れます ⇒⇒
ということで、ここでは今のクジラと一緒にまだ足があった頃の「クジラ」、そしてその中間の「クジラ」も展示されています。
まずは四足で歩いていたパキケトス。
今から5000万年前に生きていました。
そして後脚を失いましたが、今のクジラやイルカとはちょっと違う姿のバシロサウルス。
今から3500万年前に生きていました。
次は一見今のイルカのようですが、首の骨や手の形がちょっとちがうヌマタネズミイルカ。
今から500万年前に生きていました。
最後は今のクジラやイルカたち。

パキケトス(大阪会場)
始新世前期 5000万年前
↑
これが
(中略)
こうなった!
↓
これが
(中略)
こうなった!
↓

ハンドウイルカ(大阪会場)
完新世 現在
四足のパキケトスから足を無くして海中を泳ぐようになったバシロサウルスまでたった1500万年。
5000年足らずの人間の歴史からするとものすごく長い時間ですが、38億年の地球の生命の歴史からすればたった250分の1。
たったそれだけの時間で四足の動物が魚のような姿になるのです。
といってもバシロサウルスはクジラどころか
展示されている骨格だけでは、どう見ても祖先と子孫の関係にあるとは思えません。
しかし四足のパキケトスは耳の骨などがクジラと共通した特殊な形をしていることなどからクジラの祖先と同じグループ、と考えられています。
現在生きている動物の中でクジラに最も近いのはカバと考えられています。
そして、広い分類では
それで「
同じ海で生きるジュゴン(
![水面から顔を出してもクジラぽくないカバ[天王寺動物園]](http://blog-imgs-46.fc2.com/i/k/i/ikimono8000/082104.jpg)
水面から顔を出してもクジラぽくないカバ[天王寺動物園]
たとえば、一度陸で生活するようになって海に戻った生き物に
生き物の進化というのは、時には思いがけない形をつくりだすようです。
それと同時に、特定の環境に適応した形は意外とバリエーションが少ないのかもしれません。
会場に来た時には、これらの動物の骨をじっくり見比べてみるともっと面白いことがわかるかもしれません。
タグ: パキケトス ハンドウイルカ クジラ OCEAN!海はモンスターでいっぱい 鯨偶蹄目

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