大阪・奈良・和歌山の府県境に連なる山々、
金剛山地と
紀泉山脈きせんさんみゃく。
ここには「かつらぎ」という名前がつく山や峰がいくつもあります。
そのなかでも「
葛城山かつらぎさん」と現在呼ばれる山は2山(ざん)。
紀泉山脈にあるのは「
和泉葛城山いずみかつらぎさん」、金剛山地にあるのが「
大和葛城山やまとかつらぎさん」と呼ばれます。
その大和葛城山の山頂付近にあるのが、自然ツツジ園。
2つの小さな峰にはさまれた峠の斜面一面にツツジが生えています。
5月中頃が見頃なのでが、ちょっと遅れて行ってきました。
大和葛城山へは奈良県側からロープウエイがありますが、金剛山と大和葛城山を分ける水越峠からダイヤモンドトレールを歩いていきました。
葛城山山頂へはいきなり急な登りからはじまります。
急な登りはツツジ園の一つ手前の峰まで延々と続くので、金剛山の半分くらいの時間で登れますが、こちらのほうがしんどく感じるかもしれません。

錦織公園展望台からみた大和葛城山(2011年12月)
登りきったところで体をクールダウンさせるようにゆるやかなアップダウンを少し行くと、杉林の向こうに赤い色がかすかに見えてきます。
そして林を抜けると。
目に飛び込んでくるのは
躑躅色つつじいろよりもさらに赤味が濃い
紅緋色べにひいろ。
一面に咲いています。
峠を覆うようにツツジが咲いています。
南側から見たツツジ園
※画像スライドできます ⇒⇒
躑躅色(つつじいろ) 紅緋(べにひ)
種類はヤマツツジ(山躑躅)でしょうか。
丸く樹形の外側を覆うように非紅色の花が咲いています。
山頂側の峰の上がツツジ園を展望できるようになっていて、そこに大勢の人が見えます。
ツツジ園の中をぐるりと回っていくように回遊路を歩いて行くとそこに行けそうです。
時々ふり返るとツツジ園の全体がそのたびにちがう姿を見せてくれます。
そして峰の上に到着。
展望デッキの上に立ちます。
谷一面が非紅色ですが、ところどころにピンク色に近い躑躅色の花や、もう咲き終わって緑色になったツツジが色合いに変化をつけます。
ここがツツジで有名なのがよくわかります。
こんな広くてきれいなツツジ園はどこでもあるものではないでしょう。

北側の展望デッキから見たツツジ園
以前、この場所は一面の笹原だったそうです。
今でも山頂付近には笹原が残っています。
あるときそのササが花が咲いた後一斉に枯れ、そのササと入れ替わるようにツツジが増え、今のツツジ園になったそうです。
ササは荒地に最初に生える植物の一つです。
その役割を終えてツツジに場所を譲ったのかもしれません。
ツツジは腐植質が富んだ水はけの良い酸性土壌を好みます。
大和葛城山は金剛山と同じように中生代の花崗岩が盛り上がってできた山です。
花崗岩は風化しやすく、真砂土という土になります。
この真砂土は弱酸性で、水はけが良い土です。
そこにササが育つことで腐植質が増えツツジが育ちやすい状況ができたところで、交代が始まったのでしょう。

自然ツツジ園のツツジ
自然はこのように移り変わっていくものです。
その移り変わりの中で葛城山に現れたツツジ園ですが、今では維持するために下草の刈り取りなどが行われているようです。
周辺の自然を損なわない範囲でこの美しいツツジ園を維持していって欲しいと思います。
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