野草でも海草でなく浜草
興居島の砂浜にいるのは、イソギンチャクやウニばかりではありません。
波打ち
際ぎわから目を陸のほうに向けると、植物が生えています。
歩いた砂浜は沖縄の離島にあるような藪からそのまま砂浜になって海になる、というところではありません。
海岸沿いに道があり、道と海を隔てるように堤防があります。それで海の砂と陸の土が明確に分けられています。
その堤防と砂浜の境から海に向かってが植物の場所です。
といっても、カタバミやオオバコのようにどこでも生えている「雑草」とはちょっとちがいます。
砂浜の野草です。

砂浜のハマヒルガオ●興居島については 【フィールド〈メモ〉てくてく: 興居島てくてく】浜の昼顔
やっぱり目立つのはハマヒルガオ。漢字で書くと「
浜昼顔はまひるがお」。
ちょうど花の季節であちこちで薄いピンクの花が咲いています。
あちこちに生えていて、花の色が薄いのによく目立ちます。
名前のように花の形はアサガオの似ています。でも、昼間咲いているので「ヒルガオ」です。
蔓つるがのびているのもよく似ています。
それもそのはず、アサガオと同じヒルガオ科です。
ただ長い蔓は何かにまきついているのではなく、砂の上を這っているのがアサガオと違うところです。

ハマヒルガオの花浜の豌豆
紫色でよく目立つのですが、ハマヒルガオほどどこでも咲いているわけではないのがハマエンドウ。漢字では「
浜豌豆はまえんどう」。
固まっているので生えていれば紫色の花はよく目立ちます。
きれいですが薄くて少々地味なハマヒルガオに対して派手な紫色のハマエンドウ。
でも、
蔓つる状になって砂浜の上を這っているのはハマヒルガオと同じです。
名前のとおりマメ科です。
ということは、どう考えても養分の少ない砂浜で育つのですから、根には
根粒菌こんりゅうきんがいるのでしょうか?

ハマエンドウ小さい待宵草
次は黄色い花。
これはおそらくコマツヨイグサ。漢字では「
小待宵草こまつよいぐさ」。
花の数が少ないのですが、色があざやかな黄色なのでよく目立ちます。
ただ夕方に咲いて朝にはしぼむということで、しぼみかけの眠たい花ばかりでしたが。
なんでも北アメリカからの
帰化植物きかしょくぶつだそうです。
興居島ごごしまで出会った
帰化植物きかしょくぶつはツタバウンランに続いて二つ目です。
アメリカからの
帰化生物きかしょくぶつというと、日本の動植物を圧倒して数を減らすというイメージがありますが、見たところ、コマツヨイグサがハマヒルガオやハマエンドウを圧倒しているようには感じませんでした。

コマツヨイグサ弘法の麦?
きれいな花は咲いていないので遠目には目立ちませんが、個性的な穂があるコウボウムギです。漢字では「
弘法麦こうぼうむぎ」。
その名のとおりまっすぐに伸びた茎の先に「麦」のようなツンツンとがった穂が固まってついています。
芒のぎがついてる?
ならイネ科?
と思いましたが、カヤツリグサ科でした。
分類を上に向かっていっても
単子葉植物綱たんしようしょくぶつこうまで一緒にならないので、イネ科とは結構はなれた植物。
ということで、コウボウムギの穂のヒゲは「
芒のぎ」ではないようです。

コウボウムギ「芒」については 記事【芒種。芒のある穀類、稼種する時なればなり】砂浜には砂浜の
土は水や肥料を保つことができますが、砂は水や肥料を保つ力が弱く、さらに多くの植物が苦手な塩が山ほどある海のそばの砂浜。
ここは植物にとっては大変な場所だと思うのですが、砂浜の植物を土に植えれば育つかというと、そうでもないようです。
砂浜の野草には砂浜が必要なようです。
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