クジラと大阪市立自然史博物館の関係 日本でもっともクジラの標本化に適した博物館かもしれない
淀川河口付近で亡くなったマッコウクジラが紀伊水道近くの海底に還り2週間ほど。
もう話題に上ることもなくなりました。
話題になっていたころのネットニュースのコメントを見ていると、標本化の意思表示していた大阪市立自然史博物館について知らなさそうなものが少なくありませんでした。
「自然史」は生き物やその環境の移り変わりなどをまとめたもの。
大阪市立自然史博物館では、地面とそこで活動している動植物から、地面の下、地球の奥深くまでが対象になっています。
空から上は大阪市立科学館が担当しています。

この自然史博物館の名物の一つがクジラの全身骨格標本。
なかでも大阪近辺に流れ着いたクジラの遺体を標本にしたもの。
今回自然史博物館が申し出たのは、こういった経験に基づいたことでもあったのでしょう。

現在博物館の入口前のポーチに展示されている3体のクジラもそうですし、去年の年末には堺市の泉北に埋葬されていたニタリクジラを掘り起こしたところです。
この自然史博物館を拠点としているなにわホネホネ団というサークルがあり、そのニタリクジラの掘り起こしも行ったそうです。
外部リンク:大阪府/続編:漂流した死体鯨の対応について
今回のマッコウクジラより大きい19メートルのナガスクジラも標本にしました。
博物館だけでなく、ボランティアや重機オペレーターなど関係する人々にも経験者が多数。
臭く汚れる掘り起こしの作業に自ら進んで参加するボランティアが何人もいるという、日本でもっともクジラの標本化に適した博物館、かもしれません。
クジラの展示もここだけでなく、本館内部にも全身骨格や部分的な骨などが展示されています。
さらに2月26日までの特別展でも大阪の地下から見つかった複数の骨が展示されています。
そこで常設展示されているクジラを探してみました。

大阪府岬町で見つかった全長7mのザトウクジラのザットン

大阪府堺泉北港で見つかった
全長9.1mのメスのマッコウクジラのマッコ

鶴見区の地下から見つかったナガスクジラ類の下あごの骨

イルカ類(小型のクジラ)の胸椎と脊椎骨

ナガスクジラの鯨ひげ(歯のかわりに食べ物をこし取る器官)

1952年に北海道でとれたナガスクジラの全身骨格

大阪湾にも住んでるスナメリ

まるでクジラの博物館のようです。
まだまだ見逃したクジラがいるかも知れません。
興味がある方は、探してみてください。
このような博物館が、どうして今回はクジラの標本化に向けた作業ができなかったのか。
不思議でなりません。
大阪府が対応したときは無事標本化できましたが、大阪市では無理でした。
謎です。
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タグ: 大阪市立自然史博物館 クジラ ナガスクジラ ザトウクジラ マッコウクジラ 自然史博物館

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