【 架空・神話・創作】

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竜はいろいろな役割や性質を持った種族のような?

 2024年。
 今年は辰年。
 ということで、竜の話。

 十二支の動物の中で、唯一の実在しない存在。
 にも関わらず、はじめでも終わりでもなく、真ん中でもない微妙な順。
 どうしてこの位置になったのかはわかりませんが、神ではなく他の動物たちと同じようです。

大阪市中央区の高津宮(こうづぐう)の龍が守護している神輿庫
大阪大空襲のときこの神輿庫だけは焼け残ったそうです
高津宮の神輿庫

 十二支は本来動物とは関係がないのですが、民衆に広めるために動物を当てたとも言われています。
 しかし十二支と組み合わされる十干には動物も植物も当てられていないようで、ふしぎです。
 もともと十二支は12年ではなく、1日を12に分けた時間に当てたともいうので、わかりやすくしたというのも頷けます。

宝暦(ほうれき)年間(1760年頃)に作られた神輿庫の守護龍
神輿庫の守護竜

 現在の竜のイメージができたのがいつのころかわかりませんが、最古の漢字と言われる甲骨文字にはすでに竜とされる文字があります。
 3000年前から身近な存在として意識されていたのでしょう。

江戸中期の龍の顔は今の竜とかわらないようです
龍の顔

 中国では民間の信仰の対象になりながら、皇帝の象徴にもなり、さらに日本では独自の蛇信仰とも合わさり一言では表せないほど複雑な存在になりました。
 どうやら一口に「竜」といっても種族の名前のような感じで、神に怪異や怪物などさまざまな竜がいるようです。
 最近はヨーロッパのドラゴンと同じにされ羽が生えていることもあります。  より一層大きな種族になりつつあるようです。

境内の小さな池の上の竜は現代につくられたもの?
神輿庫の龍の顔ががマンダっぽくこちらはキングギドラのような?
焼き物の竜

 それでも竜のデザインは、角と手足を持ちオオカミのような口と長いヒゲを持つヘビという感じで定着しているように感じます。
 いまのところは。

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theme : 博物学・自然・生き物
genre : 学問・文化・芸術

閉館の前に行きたかったやさしい水族館 沖縄県南城市がまがま水族館

 地方の小さな水族館が閉館しました。
 最近話題になっていたので、一度行ってみたいと思っていた水族館です。

 水族館があるのは、沖縄県南城市。
 沖縄本島とも呼ばれる沖縄島の南部の東、太平洋側で、世界遺産の斎場御嶽(せーふぁーうたき)や、鍾乳洞の玉泉洞があります。

 水族館の名前は「がまがま水族館」。
 「がま」は沖縄で洞窟を意味します。
 石灰岩の地面が多い沖縄では、自然にできた洞窟がたくさんあります。
 その洞窟を探検するワクワク感をイメージされたようです。
 実際、外観も風化した石灰岩のように見えます。

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 ホームページによると開館は1973年5月。
 沖縄県が日本に復帰したのは1972年5月。
 その1年後です。
 ほぼ半世紀の歴史があります。

 旅行などでどこかへ行くときは、その土地の博物館、植物園、動物園、そして水族館などの施設はチェックするのですが、前回沖縄に行ったときには気づきませんでした。
 それだけ地域密着型の小さな水族館のようです。

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 ホームページの館内案内を見ると、屋内の魚類展示と、屋外のペンギンペン展示の2つに別れ、それぞれが円形なので8のようになっています。
 魚類コーナーのほうが種類も数も多く全体のスペースは広いのですが、館内の映像を見てるとケープペンギンがいるペンギンコーナーが広く感じます。
 ペンギン展示館です。

 魚類は沖縄の沿岸の魚が中心のようで、地域密着型なのがわかります。
 種類は豊富ですが、おそらくその時時で大きく変わるのでは、と思います。
 漁師さんがめずらしい魚を捕まえたら持ってくるとか、職員さん自ら魚を捕まえに行くとか。

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 ドキュメンタリー風の番組でも来館者には地元の人が多く、愛されていることがわかります。
 入館料も高校生以上が500円。
 公立博物館並の値段です。
 城南市私立とも沖縄県立とも書かれていないので私立だと思いますが、どうしてこのような値段で今まで維持できるのか不思議なくらいです。

 閉館の理由が設備の老朽化なのも、地元の人が来館しやすいような入館料にしたためかもしれません。
 確かに円形の建物はデッドスペースだらけでしょうし、石灰岩を模したような外壁の維持は普通の建物よりたいへんでしょう。
 それに館内もバックヤードも番組で見る限りきれいに整えられ、半世紀という時間を感じさせません。
 来館者が気持ちよく訪れることができるようにという心遣いなのでしょう。

 それは展示にも反映しているように感じます。
 一般に沖縄の水の生き物というと、海をイメージすることが多いと思います。
 でも実は、沖縄には絶滅危惧種や希少野生動植物種などに指定されている淡水の生き物がとてもが多いのです。
 カエルの仲間には沖縄島固有種など沖縄にしか住んでいない種類がたくさんいます。
 サワガニにいたってはは小さな沖縄島にもかかわらずいくつもの種類がいます。
 そういった淡水の生き物をほとんど展示せず、海の魚類に絞ったところも、ビーチに行けば会えるような身近な魚がたくさんいる憩いの場を目指していたから感じます。

 きれいな館内を見ればまだまだ水族館を続けることはできたように思います。
 でも、魚たちを優先するのは当然として、その分館内や外壁が汚れ、養生できず、来館者が気持ちよく見て回ることができなくなることを避けたかったのでは、と思います。

 ジンベイザメやイルカなど人気が高い魚がいるわけではありませんが、このようなほっこりする水族館が閉館するのは残念です。
 沖縄に行ったときに訪れなかったのが悔やまれます。

 がまがま水族館と入れ替わるように新しい水族館が開館されました。
 がまがま水族館の飼育員さんも移られた聞きました。
 がまがま水族館のこころはまだ消えないようです。

■参考外部リンク■
がまがま水族館

おしらせ

このがまがま水族館は、アニメ作品『白い砂のアクアトープ』に登場する架空の水族館です。
実在するホームページも作品の一部となっています。
今回の記事はそれをテーマにした二次創作としてお読みください。

■参考外部リンク■
TVアニメ『白い砂のアクアトープ』

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タグ: がまがま水族館白い砂のアクアトープ沖縄水族館

theme : 最近のアニメ
genre : アニメ・コミック

謎が多い狛犬は 犬?

 戌年(いぬどし)ということで、狛犬(こまいぬ)のはなし。
 神社の入口、鳥居の両脇にいることが多いペアの像。
 実在しない架空の動物。

天王寺の堀越神社の狛犬

 その形は一定でなく、神社によっていろいろ。
 でも、平たい顔で犬っぽくないことが多いかもしれません。
 中には伏見のお稲荷さんのように口が飛び出した犬っぽいのもありますが、それは犬じゃなくて狐。
 よく見るのは丸顔に鼻ぺちゃで、もじゃもじゃ。
 それは狛犬じゃなくて、実は獅子(しし)。
 ライオンのことでじゃなくて、架空の動物の獅子。
 狛犬は別の動物だったのです。

神社に向かって右側にいる「阿形(あぎょう)」の獅子

 狛犬の見た目は獅子とかわらないようですが、頭に1本の角があります。

左側の「吽形(うんぎょう)」の狛犬

新しいもののようですが角のある狛犬になっています
でも犬っぽくはありません

 もともと、この狛犬と獅子がセットになって、神社の鳥居の脇などにいました。
 なぜかペアで「狛犬」と呼ばれるようになり、いつしか狛犬の代わりに獅子のペアが使われるようになっても、呼び名はそのまま。

 狛犬と獅子のペアになったのは平安時代頃と言われますが、どうしてペアになったのかわかりません。
 そもそも狛犬自体どこからやってきたのかもわかりません。
 中国発祥の朝鮮経由とか、日本発祥とか諸説あります。

 古代の中国では墓を守り悪霊を払うために鎮墓獣と呼ばれる像が置かれていました。
 なかでも唐代の陶器で作られた鎮墓獣は、上体を起こして座る獣の姿で、頭には角が生えています。
 見た目は狛犬とはちょっとちがうようですが、いくつかの特徴はそっくり。
 ただ、狛犬が鎮墓獣由来かどうかはわかりません。

*北京大学賽克勒考古与芸術博物館に提示されていた鎮墓獣

左が吽形で右が阿形 右の角は1本で左は2本 右は人面で左は獣面

*「北京大学サックラー考古・芸術博物館」(意訳)
アメリカの医療研究者アーサー・M・サックラー博士の協力によって
北京大学に作られた古代中国王朝関連遺物の博物館

 最近の「狛犬」は左右の獅子がそれぞれ子供と玉を持った中国式も時折見かけ、バリエーションが豊富。
 ですが、江戸時代の定番とされるのは、向かって右側が獅子で口を開けた「阿形(あぎょう)」。

和歌山護国神社の阿形の獅子

 そして左側が角のある狛犬で口を閉じた「吽形(うんぎょう)」。

同じく吽形の獅子

作られた時期は堀越神社のものとそれほど変わらないと思いますが
こちらは獅子のペア

 それだけでなく、オスとメスのペアになっています。
 古い「狛犬」には男女それぞれの性器を模した彫刻されていることがよくあります。
 中国式の場合、子供を抱えている獅子と玉を押さえている獅子なっていることがあり、子供の方をメス、玉の方をオスを表すと言われることがあります。

北京の紫禁城の獅子

どちらも阿形の獅子
手前(向かって右)が玉に手を置き
奥(向かって左)は子供に手を置いています

 現在の価値観からすると下品に思えるかもしれませんが、平均寿命が短かった時代には、性と生殖に関することは下品どころが大切なことでした。
 今では想像つかないかもしれませんが、ほんの数十年前までは、子供の死亡率はとても高く、兄弟姉妹を病気で失うことはめずらしいことではありませんでした。
 「狛犬」は寺社や参拝者を守るだけでなく、子孫繁栄の意味も持っていたのかもしれません。

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タグ: 狛犬獅子堀越神社和歌山護国神社紫禁城北京大学賽克勒考古与芸術博物館

theme : 神社仏閣
genre : 学問・文化・芸術

南極の地下には想像も表現もできない知的生命体がいた!『狂気の山脈にて』ハワード・フィリップ・ラヴクラフト著

 いよいよ、いや、ついにクトゥルフです。
 それもH.P.ラヴクラフトさんの作品です。
 今から80年前に他界したアメリカの小説家。
 一般的に有名かどうかわかりませんが、人気マンガ『文豪ストレイドッグス』にも登場する作家です。

 現在の日本でも彼が創作したと言われる「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の影響は大きく、数多くの「二次創作作品」がつくられています。
 ところが、「クトゥルフ神話」を作ったのは、ラヴクラフトさんではありません。
 弟子のオーガスト・ダーレスさんがキャラクターや世界観を整理し、善悪二元論的な対立の神話に構成したことがはじまりとされています。
 もちろん、ラヴクラフトさんの頭のなかには大きな物語世界が作られていて、それをわかりやすい形にまとめ上げたのがダーレスさんなのかもしれませんが。

 小説のジャンルとしては、ホラー、恐怖小説です。
 ただし幽霊とか妖怪とかが出てくる「普通のホラー」ではありません。
 この地球、そして宇宙には人知を超えた無数の生命体があり、独自の歴史を紡いでいて、人間との接点ができたとき、それがホラー(恐怖)になるのです。
 なぜホラーかというと、その生命体は人間の理解の限界を超えた、多くの人が嫌悪を抱くような存在だから。
 つまりよくある宇宙人とも幽霊ともまったくちがうのです。

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 その代表作の一つが『狂気の山脈にて』。
 物語は南極の地質調査隊が遭遇した恐怖の体験を綴った生還者の手記という形で進行します。
 手記というのはラヴクラフトさんがよく使うスタイルで、物語にリアリティを持たせるための手法です。
 読者にありもしない設定の物語で恐怖を感じさせるためにはリアリティが必要。
 それが当事者が書いた手記というスタイルと、科学的な裏打ちのある設定です。
 そのためSFとしての側面も持っています。

 『狂気の山脈にて』でも、手記を書いたのは地質学の科学者です。
 科学者の視点で、彼らが遭遇した異様なものが次々と描写されます。
 南極の山脈の地下で出会ったのは人類が知らない文明が築いた施設。
 そして、その主と思われる生命体。
 生命体は仮死状態なのか動かないため細かく観察されます。
 その異様さは尋常ではありません。

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 詳細は実際に小説を読んで想像するのが一番だと思います。
 マンガも出版されていますが、おすすめしません。
 ネットで探せば想像図が簡単に見つかるでしょうが、それも見ないことをおすすめします。
 もちろん、ドラえもんの映画も。
 なぜならラブクラフトさんのホラーの演出方法の一つに、人間の常識と想像を超えた表現があります。
 その生命体の「古(いにしえ)のもの」も、人間が持っているだろう「生き物の姿の常識」そして「知的生命体の姿のイメージ」を完全に壊します。
 体の部分部分は想像できても、生物として一つにまとまって動いている姿は想像することができません。
 その不安定な状態が、ラヴクラフトさんが狙ったホラーの一つでしょう。
ですから、それが具体的な形を持った絵になると、ホラーも半減するように感じます。

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 南極の地下施設に残されたものから調査隊が推測したのは、「古のもの」が地球にやってきたのは複雑多様な生命が突然現れたカンブリア爆発よりも前。
 それだけでなく、他にも人類が知らない生き物が地球に来ていたことも。
 もちろんどれも生き物の常識を軽く超えています。
 既存の常識を超えた生き物に対する恐怖。
 想像してみてください。いや、できないでしょう。

 クトゥルフ神話物の作品は作者の死後も作り続けられていて、今も新しい作品が誕生しています。
 それどころか、ホラーの対極とも言える萌えキャラすらつくられています。
 それらはいわばオーガスト・ダーレスさんの二次創作のさらに二次創作のようなもの。
 まずはラヴクラフトさんのオリジナルをおすすめします。

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タグ: 狂気の山脈にてラヴクラフトクトゥルフ神話クトゥルー神話古のもの旧支配者ダーレス

theme : 本の紹介
genre : 小説・文学

蟲師 特別篇「日蝕む翳」の美しい花 節分草


 「蟲師」。

 明治か大正か昭和初期か定かでない時代の日本のどこかを舞台とした、変わった“生き物”の「蟲(むし)」とその専門家の「蟲師(むしし)」と人々の物語。

 漆原友紀(うるしばら ゆき)さんの作品です。



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「蟲」と「蟲師」

 「蟲」について、1巻の冒頭にこうあります。

およそ遠しと
されしもの

下等で奇怪
見慣れた動植物とは
まるで違うと
おぼしきモノ達

それら異形の一群を
ヒトは古くから
畏れを含み いつしか
総じて「蟲」と呼んだ


 「蟲」とは目に見えない、この世のあらゆる生命よりも命の源流に近いもの、とされます。

 ときに人に害を与えることがあり、それを治したり防いだりするのが「蟲師」。

 主人公の蟲師ギンコが日本を旅しながら蟲で困る人々と出会っていきます。

 日本らしい自然と不思議な生き物の「蟲」が織りなす美しく時には悲しい物語。



 2005年から2006年にかけてアニメーション化、2007年には実写映画化もされました。
 2008年に第10巻が出版され、現在最終巻となっています。

 それから5年と少し、2014年1月に新作とそのアニメーション化された作品が公開されました。

 それが「日蝕む翳(ひはむかげ)」。



「日蝕む翳」

 日食が起こり日が陰ると無数の蟲が現れます。

 「日蝕み(ひはみ)」という蟲も空に現れ、小さな蟲を取り込みます。

 ところが日蝕みは日食が終わっても空で太陽を隠したまま。
 日食と思って現れた蟲を取り込み続けます。

 日蝕みは直接人間に何かをするわけではありません。

 しかし、太陽を隠されると農業はもちろん日常生活にも支障が出てきます。



 日蝕みの退治方法は、地面の下に残った“根”に光を当てること。

 “根”は地面の下に隠れていますが、その場所には異変が起き、本来その時期には咲かない花が咲いていたりします。

 そして見つかったのが林の中で季節外れの花が咲く場所。

 薄暗い林の中で小さくて白くてきれいな花が一面咲いています。

 そこを掘り返すと、果たして日蝕みの“根”が見つかりました。

 日蝕み退治と、日蝕みの亜種の月蝕みによって特異体質になってしまった双子の姉妹の話を折込みながら、物語は進んでいきます。



節分草

 日蝕みの“根”の上で咲いていた季節外れのきれいな白い花。

 これは架空の花ではないようです。

 おそらくセツブンソウ(節分草)。

 キンポウゲ科の多年草。



花の文化園のセツブンソウの花
花の文化園のセツブンソウの花




 春先、落葉広葉樹の林床で咲きます。

 樹木が葉を伸ばす前、太陽光が林床に届く間に葉で栄養を作り花を咲かせようという作戦です。

 ちょうど節分の頃に咲くことが名前の由来と言われていますが、地域によって節分から離れた時期に咲くことも少なくありません。



 「日蝕む翳」は、服装から温かい季節の話のようです。

 セツブンソウが咲いているのも葉が茂って薄暗くなっている林の中。

 もちろん本当ならばセツブンソウは花も葉も枯れ、地面の上には何も残っていない時期です。



たくさん咲いている花の文化園のセツブンソウ
たくさん咲いている花の文化園のセツブンソウ




 セツブンソウは関東以西の本州の落葉広葉樹林で石灰岩を好むということで、生息場所が限られる植物。

 見た目の美しさから盗採が後を絶たず、そのうえ開発による環境の変化などで減少、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種。
 まだ絶滅の指定はないものの、西本州の15府県で何かのカテゴリーに指定されています。

 ただ条件を整えれば栽培はできるようで、栽培している植物園も少なくはないようです。



 アニメーションの中では、白い花弁(はなびら)がおぼろげに光を発しているようでした。

 実際のセツブンソウは残念ながら蛍光は発しませんが、キンポウゲ科の花らしく太陽の光を受け光っているように見えます。

 白い透き通るような花弁は、実は萼(がく)。

 本来の花弁は退化して、先に蜜腺(みつせん)をつけオシベやメシベと並んでいます。
 先が黄色くなっているオシベのようなのが、花弁が変化した蜜腺です。



日蝕みがいなくてもおぼろげに光っているような花
日蝕みがいなくてもおぼろげに光っているような花




花の文化園

 大阪南東部の植物園、花の文化園ではちょうど節分の頃から咲き始めます。

 場所は梅園の中。

 梅の花の季節まで咲いていることも珍しくはありません。

 花の文化園は毎月第3日曜日にコスプレの日を設け、コスプレイヤーに更衣室の無料開放などを行っています。

 2月にも開催されれば、ちょうどセツブンソウの花の時期と合うかもしれません。

 蟲師レイヤーは狙い目かも。

 ただしかなり寒いと思いますので防寒対策は必須でしょう。



セツブンソウが咲く花の文化園の梅園
セツブンソウが咲く花の文化園の梅園




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タグ: 蟲師セツブンソウ漆原友紀花の文化園日蝕む翳日蝕み

theme : アニメ
genre : アニメ・コミック

「ぐあーっ!! 甘塩っぺーっ!!」アニメーション「銀の匙 Silver Spoon」第1期全11話


 アニメーション「銀の匙 Silver Spoon」の第1期全11話の放送が終わりました。

 映画にもなった「鋼の錬金術師」の作者の荒川弘(あらかわ ひろむ)さんの現在進行中の作品を原作としたものです。
ここから話は始まります

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 本土とはスケールがちがう北海道の農業高校に入学した主人公の八軒勇吾(はちけん ゆうご)。

 実家の農業を継ぐために入学してきたクラスメートばかりの中で、農業とは縁がないサラリーマン家庭で育った八軒は、一年の間は全寮制という農業漬けの中でカルチャーギャップを感じながら、成長していく物語です。


 マンガ第1巻の紹介はこちら。
【「その子に名前つけちゃダメだよ?」荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』第1巻】



八軒勇吾 豚丼と出会う

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 第1期のテーマは「豚丼」。
 原作エピソードの順番を入れ替えて、11話でまとまるようにしています。

 「豚丼」は入学したての八軒が実習で出会った子豚の名前です。

 兄弟との乳房の取り合いに負け、一番乳の出の悪い乳房で育ったためほかより小さい豚に、自分を重ね合わせて思わず名前をつけてしまいます。

 しかし農業高校の実習でペットの豚を育てるわけはありません。
 食肉にするための豚です。

 農家出身のクラスメートに別れにくくなるから名前を付けないようにと言われながら、どうせなら食べ物の名前をつければ、ということで決まったのが「豚丼」。



 八軒は豚丼を他の豚に負けないくらい大きく育てます。

 そして出荷される時がきました。

 悩んだ八軒は、夏休みのバイト代で豚丼の肉を買うことを決心するのです。

 そして51キログラムの肉になって帰ってきた豚丼。

 八軒はそれを様々に加工して食べます。

 この間の八軒の葛藤は、アニメや原作のマンガをご覧ください。



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 自分が世話をした家畜を食べるというのは、現代社会ではめったにあることではないと思いますが、数十年前の農家では、それほど珍しいことではありませんでした。

 もちろん家畜は大切に育てられますが、やはりペットではありません。

 大切に育てて、食べる。

 家畜を飼っていない現代人にとっては、家庭菜園で野菜を育てることが一番近いかもしれません。
 それでもなかり遠いところにあると思いますが。



 動物を食べるということは、日常的に行っていることですが、野菜のように育てて収穫して、下処理して、食べ物に調理するという過程をすべて経験することは、今ではまれなことになています。

 豚丼も八軒は食肉加工は専門業者に任せています。

 しかし、マンガでもアニメでも簡単に流されていますが、八軒は夏休みにとても重要な経験をしています。

 夜間車で移動している時に運悪く轢いてしまった鹿を、八軒が解体したのです。


八軒勇吾 鹿を解体する

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 目の前に力なく横たわる鹿は目立った外傷もなくまるで生きているようです。

 そこに包丁を立て、腹を裂き、内蔵を取り出し、関節を外し、筋肉を取り、皮を剥ぐ。

 マンガでもアニメでもあっという間に終わってしまいますが、実際は解剖学的知識のない八軒にとっては簡単ではなく、時間もかかって力もいる大変な作業だったはずです。
 もちろん心理的にも。

 本来ならば、徐々に肉になっているシカの様子を、それに向い合う八軒の顔も合わせてじっくりと描いてほしいところです。

 作者はどう考えたかはわかりませんが、掲載されている週刊少年マンガ雑誌では、さり気なく流すことが限界だったのでしょう。
 アニメもそれに倣っているようです。



 哺乳類の動物を殺して食べることに嫌悪感を持つ人がいます。

 確かに生きている哺乳動物を殺せと言われればためらうのは当然で、解体されていく哺乳動物を見るのは辛いことと思います。

 しかし、寒冷だったり、乾燥してたりして農作物を作ることが困難な地域では、遊牧して動物を食べる習慣を持った人々がいます。

 そういう地域では子供の頃から哺乳動物の解体方法を学びます。
 それだけでなく、解体した哺乳動物の大切な扱い方も学びます。

 そういう人たちの文化に触れていると、動物を食べるということが悪いことには思えません。

八軒勇吾 豚丼と別れる

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 たとえば日本で人気のある松阪牛も、解体ショーを行えば人は集まらず、苦情が出るかもしれません。

 しかしそれがマグロの解体ショーなら人が集まり、苦情も来ないでしょう。

 どちらも同じ動物。
 人間と同じで切れば赤い血が流れる骨を持った脊椎動物です。

 生き物として違いがあるとは思えません。

 これは習慣の違い、文化の違いなのではないでしょうか。

 個人の価値観として哺乳動物の肉食を避けるのは尊重されなければならないと思います。

 それと同じように、動物を食べることも尊重されなければならないところはあると思います。
 もちろん、不必要な殺生はやめるべきだと思いますが。



八軒勇吾
みんなと豚丼を食べる

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 「ぐあーっ!! 甘塩っぺーっ!!」

 八軒が一緒に生活をする高校の仲間とともに「豚丼」を食べた時の言葉です。
 アニメでは八軒の声でしたが、マンガでは誰のものかはわかりません。

 きっと八軒の言葉であり、みんなの言葉なのでしょう。

 八軒は葛藤を覚えながらも、豚丼も鹿もおいしそうに平らげます。

 これがすべての答えとは思いませんが、ひとつの答えのような気がします。

 そういう意味で八軒の鹿の解体はもっときっちりと描いて欲しかったと思います。
 マンガだからできることですから。


 まさかBD特典映像になったりして……



 アニメの「銀の匙 Silver Spoon」第2期は2014年1月から放送の予定です。



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タグ: 銀の匙荒川弘

theme : アニメ・コミック
genre : アニメ・コミック

奈良公園の鹿には気をつけろ! 特に話しかけてくる牝鹿には!!『鹿男あをによし』


 デビュー作から次々と映画化ドラマ化マンガ化される人気作家、万城目(まきめ)(まなぶ)さん。

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 デビュー作『鴨川ホルモー』に続く長編第2作です。



 タイトルの「あをによし」は万葉集の歌などに使われた奈良を表す枕詞で、「あをによし」とあれば、次は奈良のことが書かれます。

 ということで、タイトル通り奈良盆地が舞台の作品です。
 さらに「鹿」とあるように、奈良公園周辺で物語は進みます。



鹿がいっぱい奈良公園
鹿がいっぱい奈良公園




 ちょっとした事情があって奈良市の私立の女子校に教師として赴任することになった主人公。

 奈良にやってきてすぐ奈良公園で鹿に話しかけられ、ある役目を担わされます。

 日本を地震災害から守るために大(まなず)(しず)める道具を狐の使いから受け取って欲しいというのです。

 このあたりは京都で行われる謎の競技「ホルモー」(『鴨川ホルモー』参照)と同じように大昔から行われる伝統で細かいことはわからないという、民俗学的リアリティがあります。




 大鯰鎮めの道具は、偶然なのか京都にある姉妹校の人間から受けとることになります。

 しかし受け取りに失敗、顔が鹿になるという呪いをかけられてしまいます。
 呪いを解くために大鯰鎮めの道具を取り返さなければらないと主人公は考えます。

 幸い周りの人間には普通の人間のままに見えますが、鏡に映る自分の顔は日々鹿へと変化していきます。

 焦る主人公。

 はたして大鯰鎮め道具を取り返して人間の顔に戻れるのか。



奈良公園の牝鹿
奈良公園の牝鹿




 顧問になってしまった剣道部の手に汗握る試合や、主人公の周りのいろいろな人間関系の変化など、エピソード盛りだくさん。

 ホルモー競技の1シーズン(2年)を追いかけることに専念した(せざるを得なかった?)『鴨川ホルモー』よりもページ数が増えた以上に読み所も増えています。

 物語が進んでいくうちに散らばっているように見えたエピソードが一点に集まってくるところが、万城目作品。



 奈良公園の鹿は春日大社に祀られる武甕槌命(たけみかづちのみこと)の使い、神使(しんし)
 その鹿に話しかけられます。

 奈良公園に行ったことがない人にとっては『もののけ姫』のような世界を想像するかも知れません。

 確かに春日大社周辺には神社の杜があって伐採も立ち入りも禁止されていますので、鬱蒼(うっそう)とした広葉樹の森が広がっています。

 しかし奈良公園の多くは鹿が下草を食べてしまうので、日当たりのいいところは在来種の芝が覆い、林の中はただ落ち葉と鹿の糞が落ちているだけ。



奈良公園の牝鹿と仔鹿
奈良公園の牝鹿と仔鹿




 この作品でも鹿に話しかけられるのはとなりで遠足の小学生がワイワイとおべんとうを食べるようなところ。
 『もののけ姫』とちがいなんか世俗まみれた感じがします。

 しかし、人間を恐れず、なにか言いたげにこちらをじっと見つめる奈良公園の鹿たちを見ていると、『鹿男あをによし』が実際のあったことで、となりにいる鹿から今にも話しかけられそうな錯覚を感じます。



小学生がお弁当を食べる奈良公園
小学生がお弁当を食べる奈良公園




 この作品も2008年に玉木宏さん主演でテレビドラマ化されています。

 ただ中心のスタッフが奈良や近畿出身者でないためか、せっかく奈良公園でロケーションしているのに奈良らしさがまったく感じられず、どこか関東のような感じがする、残念な作品になってしまいました。

 それなら千葉や埼玉などに舞台を移しても良かったような気がしますが、人間の姿を見ると逃げていってしまうような鹿が話しかけてくることに「もしや」と思わせるところは、日本でも奈良公園以外は、ないのかもしれません。



まだ袋角の奈良公園の牡鹿
まだ袋角の奈良公園の牡鹿




 前作の『鴨川ホルモー』、そしてこの『鹿男あをによし』、長編3作目の『プリンセス・トヨトミ』(映画はまったくちがう作品と思ってください)と、常識ではありえない話です。

 それなのに、京都、奈良、大阪の舞台となった土地に行くと、現実のことかもしれないと思えてくる妙なリアリティーを感じる作品です。

 ただ、京都で「ホルモ~~~~~」と言う叫び声を探したり、大阪城の謎の地下施設探したりするのとはちがい、奈良公園へ行く時には近寄ってくる鹿にはご注意ください?



 余談ですが。

 物語に大きく関わってくる女子高生の顔が魚を連想させるとあるので、もしや「イスマス面」で、地震はオオナマズでなく千匹の山羊が起こしているのかと思ったのですが、この作品ではただの「魚を連想させる顔」だったようです。



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タグ: 鹿男あをによし万城目学奈良公園ニホンジカ奈良公園の鹿

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